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もう1月も今日を含めて後3日を残すだけとなってしまった。今年は無理をしてまでネタ探しはしないことにしていたら、すっかりサボり癖が付いてしまい、今月の更新は今回がまだ4回目。我ながら、一寸酷すぎる。反省、反省・・・。 今日紹介する枝垂梅は、昨年も掲載したが、初めての花が1輪だけ咲いたのが3前、昨年もまだ花は少なく、今年になって漸く賑やかに咲いて、梅の花らしくなって来た。枝垂梅.まだ幹の太さは3cm位で貫禄はない(2009/01/28) しかし、御覧の様に幹はまだ3cm位で、木全体に風格が出て来るのには、まだかなりの年月が必要だろう。 上の写真、本当ならば、木全体を示したいところである。しかし、植物や昆虫の写真を撮る時には、背景に建物や柵などの人工物を絶対に入れない、と言うことを基本にしている。庭は南側にあるから、順光で撮影すれば、必ず建物が背景に入ってしまう。また、広角や標準レンズで撮ると、方向と関係なく、何処かの家や柵、或いは、電線等が写り込んでしまう。 私の写真にストロボを使ったものが多いのは、1つは背景を消す為でもあるが、この梅の木の様なものをストロボ光だけで撮ったら全く不自然な写真になってしまう。上の写真は300mmの望遠を使い、ストロボを焚いても目立たない様、且つ、逆光写真にならない様に、5メートル位離れて撮ったものである。枝垂梅の花(2009/01/28) 天候は曇りである。それでもやはり建物の構造上南側からの光が強く、普通に撮ると逆光写真になってしまう。上の写真も下の写真も、やはり長めの望遠で遠くからストロボを焚いて撮っている。狭い庭で動植物の写真を撮るのは、結構大変なのである。枝垂れているところを撮ったのだが後の花と少し重なってしまった(2009/01/28) 写真もほぼ撮り終えたとき、雲間から急に朝の日が射して来て、一番南側にある花にだけその光が当たった。一枝の花だけが輝いている。其処を空かさず撮ったのが下の写真。勿論これにはストロボは使っていない。一番奥にある枝にだけ陽が当たっている(2009/01/28) 昨年掲載したこの枝垂梅の花には、雌蕊が脱落しているものが多かった。今年はどうかと言うと、殆どの花にチャンと雌蕊が付いている。やはり、木が充分に成熟していない場合には、雌蕊の発達が不充分になることがあるらしい。 このWeblogの取柄は、まァ、言ってみればマクロ写真であろう。読者諸氏もそれを期待しておられるかも知れない。今回は望遠レンズで撮ったフツーの写真であった。この次は、この枝垂梅の花を等倍以上で撮影した写真を紹介することにしよう。
2009.01.29
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毎日寒い日が続いている。日中は陽が射すが、少し暖かくなれば庭を彷徨する筈のヒラタアブ類も全く姿を見せない。この冬は特別に寒いのだろうか。 前回書いた様に、今年はめぼしいネタが出現しない限り、このWeblogは特に更新しないつもりで居た。しかし、寒さで木々の開花も遅れ、気が付くともう2週間近くも投稿を空けてしまっている。これは何か書かないとマズイ。 新しい写真は無いが、昨年に撮ってまだ掲載していない虫の写真が何種分か残っている。もう新年の写真に拘ることはあるまい。そこで、今日はその中から小さなハエの一種を紹介することにした。チビクチナガハリバエの1種Siphona paludosa、和名はまだ付いていない。ヤドリバエ科セスジハリバエ亜科に属す寄生バエである。 日本産ヤドリバエ類は500種以上(実際はその2倍近くは居るらしい)もあり、それを統一的に記述した文献が無い為、その同定は困難を極める。この図鑑にも載っていない小さなヤドリバエの名前が分かったのにはそれなりの理由がある。実は、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てたところ、九州大学名誉教授の三枝豊平先生が同定して下さったのである。チビクチナガハリバエの1種(Siphona paludosa)体長約4mm、普通の等倍接写(2008/09/27) まだ「北米産シオンの1種(白花)」が咲いていた頃の話である。毎年、この花には体長4mm程度の小さなハエがやって来る。その数は、ツマグロキンバエに次ぐ位で、この花を見れば必ず1~2頭は居る、と言う程多い。 しかし、種類はまるで分からない。翅脈から判断して、イエバエ科、クロバエ科、ニクバエ科、或いは、ヤドリバエの仲間の何れかであることは確かだが、虫が小さ過ぎて等倍接写程度の写真ではそれ以上の検索が出来ないのである。これだけ沢山来るにも拘わらず、科すら分からないと言うのは何とも腹立たしい。そこで、例の超接写システムを使って、徹底的に写真を撮り、少なくとも科までは落としてやろうと思った。胸部側面、超接写システムで撮影、以下同じps:後小楯板、hy:下側剛毛(下側板剛毛)st:腹胸側剛毛(下前側板剛毛)(2008/09/28) 検索表に拠ると、下側剛毛と翅側剛毛があり、腹胸側剛毛が3本ある場合にその内の1本が後方に位置すれば、イエバエ科ではない。上の写真で、hyの印が示しているのが下側剛毛、その右の翅の付け根直下に微かに見えるのが翅側剛毛である。また、stは腹胸側剛毛を示し、これは3本あってその内の1本が後方に位置しているのが分かる。これらにより、イエバエ科は候補から除かれる。 また、上の写真では、小楯板の下に後小盾板(ps)が見え、一番最初の写真で明らかな様に、腹部背面には強い剛毛が発達している。これはヤドリバエ類(ヒラタヤドリバエ科、アシナガヤドリバエ科、ヤドリバエ科)の特徴である。触角は複眼中央より上方にあり、特殊な口器を持っている口器の先端部分を唇弁、その基部寄りの部分をprementumと呼ぶ(2008/09/28) 更に、腹部は幅広くはなく、触角は明らかに複眼の中央より上方に生じている。また、些か分かり難いが、肩後剛毛は2本、横線後方の翅内剛毛は3本ある様に見える。これで一応、ヤドリバエ科と言うことになる。余り自信は無いが・・・。 そこで、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」に詳細な写真(此処に掲載した写真の約2倍幅)を添付して御伺いを立ててみた。早速、数名の方から御回答を頂き、セスジハリバエ亜科に属すSiphonini(チビクチナガハリバエ族)のSiphona属(チビクチナガハリバエ属)かその近縁属が有力で、口器の構造が決め手になる様であった。其処で新たに口器が写っている写真を2枚追加した。中胸盾板(中胸背板)の拡大.番号は背中剛毛の基部(ソケット)を示すtrsは横線の基部(2008/09/28) すると、九州大学名誉教授の三枝豊平先生から御回答を賜った。其れに拠ると、「Siphoniniチビクチナガハリバエ族の属,亜属の検索では,このヤドリバエはSiphona (Siphona)の1種で」あることは間違いないが、「中胸背のdc剛毛の横線前と後の数が写真では明確でないこと(3+3か3+4か),口吻の長い部分の折れ曲がっているよりも手前の部分(prementum)の長さと頭部の長さの比較ができないこと,小腮鬚の色彩が判然としないこと(黄色か淡褐色か)なので,種までの所属は明確にはできません」とのお話であった。 一寸このままでは理解が難しいと思うので若干説明を加えると、「Siphona (Siphona)」はSiphona属のSiphona亜属の意、「横線」は双翅目の中胸盾板(中胸背板)を横切る溝で、写真のハエでは余り明確ではないが、上の写真のtrsを反対側まで延長した線である。また、dc剛毛は背中剛毛(dorsocentral seta)、小腮鬚は口器の基部近くから左右に出ている細長い突起状の構造のことである。 早速、画像倉庫の中を調べて見ると、背中剛毛の数や小腮鬚の色が分かる写真があった。背中剛毛は3+3、小腮鬚の色は黄色に見える。そこで、それらの写真を更に追加して、また、御伺いを立ててみた。翅の基部.CuA+CuP脈が翅縁に達しているのが分かる右下の丸く黒い構造は肩板(2008/09/28) 正月三箇日が過ぎてから、三枝先生より詳細な御回答を賜った。先生は、私が添付した写真に相当する標本を探す労をとられ、その標本と文献とを比較してSiphona (Siphona) paludosa Mesnil, 1960であると同定され、更に同定確認の参考として、その標本から交尾器と第5腹節腹板を取り出して(KOHで処理する)液浸標本とし、その写真を掲載して下さった。 先生のお話を転記すると、「この種は前胸後側板下方の剛毛が弱く,上向きで,翅のCuA+CuP脈[中略]が翅縁に達し,中胸の下前側板の3本の剛毛のうち下のものが前上方のものとほぼ同じ大きさ,であることからSiphona属に入り,且つ口吻の唇弁(labella)がprementumと同様に細長くなっていることからSiphona亜属に入ります。さらに,この亜属のなかで,本種は触角の柄節と梗節が黄褐色,口吻のprementumが頭部の長さより長く,dc剛毛が3+3(横線前の最前端の剛毛は弱い),腹部の第1+2背板の中央部後縁に近く1対の剛毛を欠く[中略],肩板(tegula)は黒色等の形質を持っています」となる。腹部の拡大.腹部の第1+2背板後縁には、第3背板以降に見られる様な1対の強力な剛毛が無い(2008/09/28) 2つ上の写真にCuA+CuP脈を示した。翅縁に達しているのが分かる。また、下前側板剛毛とは前述の腹胸側剛毛と同義で、2番目の写真のstで示した3本の剛毛のことである。下の1本が前上方の1本とほぼ同じ長さに見える。唇弁は普通のハエならばブラッシの様な構造をしている部分だが、このハエの場合は口器先端の細長い部分で、prementumはその基部側に接するやや黒っぽい細長い部分のことである。触角の柄節と梗節とは、3節ある触角のそれぞれ第1節と第2節の名称で、3番目の写真では柄節の方がかなり色濃く見えるが、ここに示していない別の写真を見ると、ほぼ同じ様な黄褐色をしている。dc剛毛は前述の通り背中剛毛のことであり、4番目の写真にその基部(ソケットと呼ぶ)を数字を振って示してある。横線前に3本、横線後に3本あるのが確認できる。 腹部の第1+2背板の中央部後縁に、第3背板以降にある様な1対の大きな剛毛が無いことは、上の写真から明らかである。また、肩板とは翅の付け根にある黒く丸い構造のことで(始めはこの黒いのが何か分からなかったが、肩板であると先生に教えて頂いた)確かに黒い色をしている(2つ上の写真)。頭部背面の拡大.これらの剛毛にもそれぞれ名前が付いている(2008/09/28) ・・・と言うことで、このハエは「Siphona (Siphona) paludosa Mesnil, 1960」であることが確認出来た。こんな小さなヤドリバエの同定が出来たと言うのは正に奇跡的で、これもみな三枝先生の御尽力に拠るものである。先生には、この場を借りて、厚く御礼申し上げる。 しかし、先生はヤドリバエの専門家ではない。ヤドリバエの専門家は、やはり九州大学名誉教授の嶌洪先生と北大の館卓司博士の御2人だけの様である。三枝先生は、最後に「今回はたまたま相当する標本を見つけて、しかも参考資料があったので同定できましたが、これは全くの偶然です。決して私にヤドリバエの同定ができると言うことでは全くありませんので、今後ヤドリバエの質問がありましても、先ず応じることはできません。念のために。」と付け加えておられる。ヤドリバエと言うのは、プロの研究者でも容易に同定出来ない、全く恐るべき連中なのである。
2009.01.19
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余り新春に相応しいとは言い難いが、今日は大晦日に撮ったオオワラジカイガラムシの初齢幼虫を紹介する。この虫の成虫(雄、雌)は一昨年(2007年)の春に掲載済みである。 昨年最後の書き込みは12月30日である。その時は、もう一度大晦日に更新する積もりで居たので、新年を迎える挨拶は何も書かなかった。ところが、その後掃除その他に時間がかかり過ぎ、更新する時間が無くなってしまった。まさか、正月早々に旧年中に撮った余り好感をそそらないカイガラムシの写真を載せる訳にも行くまい。そこで、今まで倉庫に入れて置いたのである。オオワラジカイガラムシの初齢幼虫.寝ている?仲間の上を歩く体長約1.7mm(2008/12/31) 大晦日に、何かネタはないかと+3の強老眼鏡を掛けてクリの幹を調べていたら見つかった。体長は約1.7mm、成虫は1cm前後あるから、これは相当の若齢幼虫である。 調べてみると、オオワラジカイガラムシは6月頃に産卵し、卵は夏から初冬の間は休眠していて、12月~1月にかけて孵化するとのこと。これから一番の寒さに向かう時期に孵化するとは、一寸珍しい生活環である。それならば、これは初齢幼虫であろう。 カイガラムシの多くは、先日のタマカイガラムシの様に、孵化したばかりの幼虫は歩くことが出来るが直ぐに固着生活に入る。これに対して、このオオワラジカイガラムシの属すワタフキカイガラムシ科やコナカイガラムシ科の連中は、成虫(雌)になってもかなり活発に歩き回る。 写真でお分かりの通り、この初齢幼虫は普通に歩行する昆虫に引けを取らない立派な脚を持っている。クリの樹皮上を活発に歩くオオワラジカイガラムシの初齢幼虫(2008/12/31) 我が家は20年前に全面改築した結果、大きな樹は1本も無くなってしまった。若木の樹皮の窪みや割れ目を探しても越冬中の虫はそう容易くは見つからない。更新は勿論今後も続けるが、その頻度はかなり低下するであろう。
2009.01.06
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また正月がやって来た。更に1つ年を取ることになって全く憂鬱極まりないが、グチは昨年の正月に書いたので、同じ愚は繰り返さない。 それでも、新年最初の記事には、何か正月に相応しい花でも載せようと思っていた。しかし、花は時期を合わせて咲いてくれる訳ではない。そこで暫くダンマリを決め込んでいたのだが、三箇日ももう過ぎた。正月に相応しいとは思えないが、虫の写真でも載せることにしよう。一応、写真は元旦に撮ってある。 体長2.5mm弱のクモガタテントウとその蛹である。クモガタテントウは既に2回(成虫、前蛹~羽化)も掲載しているので重複は避けたいところだが、今日のは越冬中の姿と言うことで御勘弁願いたい。越冬中のクモガタテントウ(2009/01/01) 陽の当たる百目柿の樹皮の窪みに潜んでいた。最初見付けたのは成虫(上)だけであったが、その直ぐ隣に蛹が1個あるのに気が付いた(下)。クモガタテントウの蛹(2009/01/01) これならば、他にもまだ蛹があるかも知れない。そこでマクロレンズで周囲を調べてみると、更に蛹が2個見つかった(下)。クモガタテントウは成虫で越冬するとされているが、蛹でも越冬出来るのだろうか。 写真を良く見てみると、中央上の蛹は、何となく羽化した後の蛹殻の様にも見える。そこから羽化した個体が左の成虫なのか? これは、もう一度調べ直す必要がありそうである。 そこで、今日になってからもう一度見に行った。成虫1、蛹3(本文参照のこと)が見える(2009/01/01) 蛹殻の様に見えたのは、羽化に失敗して死んだ成虫であった。蛹殻から体を半分出したまま、死んでいた。 以前、冬になって蛹化したキチョウが、やはり同じように羽化に失敗して半分体を出したまま死んだ例を見ている。恐らく、低温で動作が鈍く、蛹から脱出する前に体が固まってしまったのだろう。 やはりクモガタテントウは成虫越冬で、これらの蛹は晩秋になってから蛹化し、羽化が間に合わなかった可能性が高い。今は生きていても、何れは脱皮に失敗するか、或いは、そのまましんでしまう運命にあるものと思われる。 何だか、新年早々、悲しい話になってしまった。
2009.01.04
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