ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2009.01.30
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カテゴリ: 民衆の歴史
富くじ

この絵もマルレの石版画集にあるものの1枚です。

富くじ

バルザックの小説には、良く賭博に走る社交界の様子が登場しますが、庶民は国家が財政収入のために企画した「富くじ」に、なけなしの虎の子をかけていました。

1824年製作のこの絵より少し後のことになりますが、1827年のパリには、市内163ヶ所に富くじ売り場があり、2,927万9千フランを売り上げ、700万フランの利益を上げていたそうです。パリの除くフランス全土の売り上げは2,207万5千フランだったそうですから、首都パリの売り上げは、前フランスをかなり上回っていたことになります。

富くじは毎月5日、15日、25日の3回抽選発表があり、パリでは毎回およそ10万人の人々が富くじに参加していたようです。抽選では90通りの番号の内、当たり番号は5つで、「エクストレ」と呼ばれるうち一つの番号を当てるクジは15倍。二つ当てる「アンプ」は27倍なのに対し、三つ当てる必要のある「テルヌ」は、最も確率が低いことから、何と5200倍の賞金で、射幸心を煽っていたのです。

バルザックの小説『ラブイユーズ』は、20年来テルヌを当てることを夢見てきた、デコワン未亡人を主人公とした物語です。

マルレのこの絵は、富くじ売り場の外に張り出された、当たりくじの掲示板を見る人々を描いています。右端の2人の人足と1人の女中の3人組は、女中が手にする富くじを3人で金を出し合って買ったのでしょう。3人の深刻な顔つきと厳しい目つきから、外れクジを諦めきれずに再度チェックしている様子が窺えます。

帽子箱を提げている防止女工は、意気消沈した貧しそうな老人の札を覗いています。買い物籠を下げた料理番の女性、風呂敷包みを抱えた太っちょの書記、足の悪い乞食などが、富くじの参加者として描かれています。入口に立って、冷ややかに様子を見ている老婆は、富くじの売り子です。

そして、当たりくじ掲示板の後方のガラスケースに入った数字は、おそらく前回や前々回の当たり番号を掲示したものと思われます。



現代の宝くじ騒動の原型がここに描かれているようです。






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最終更新日  2009.01.30 21:29:33
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