ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2009.05.26
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カテゴリ: 民衆の歴史
宗教改革よもやま話 (8)

ところで、紙の価格は宗教改革の始まる16世紀に向けて急速に下がってゆきます。生産の普及と競争、紙利用の広がりなどの要素が価格下落の相乗作用を齎したのでしょう。14世紀後半の生産の始まり当時の価格を100とした時、16世紀初頭の価格は34程度に下がったとされています。

活版印刷による印刷物も、紙の普及により次第に増えてきます。ドイツについて言えば、ルターの改革の始まる前、15世紀末から16世紀初頭にかけての出版物は、年間40点程度とされているのですが、これがルターが一躍「時の人」となった1517年以降になると、急激に出版点数が増えてくるのです。

1519年には111点、1523年には498点の出版が確認できます。当然こうした出版物のかなりの部分が、ルター自身の著作や発言の要約で占められ、1519年では出版物の33%が、23年ではなんと40%に達していたと言われます。その外にも、ルター派の人々がルター派の主張を広めるために編集したパンフレット類も多く、1523年の出版点数のうち、何と418点が宗教改革関係の出版物でした。

ところで、ローマ教会の側ではどうしたかと言うと、こちらは印刷物を使ってルター派に対抗するということを、ほとんどしていません。活版印刷を使った出版物の利用には、極めて消極的なのです。元来ローマ教会は、民衆が文字を読んだり、文字に親しんだりすることに、極めて消極的でした。文字の読み書きは聖職者と1部の知識人だけで十分なのであり、民衆はそうした知識と権威のある人から、読み聞かせを受けたり、説教を聴いたりすることで、学べばよいと考えていたのです。

こうして、改革運動の初期においては、活版印刷という当時のハイテク技術に着目した宗教改革派が、民衆の教化に対する宣伝戦で、圧倒的優位にたったのです。活版印刷の発達なしに、宗教改革なしと言われる由縁はここにありました。
                              続く





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最終更新日  2009.05.27 19:36:37
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