ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2010.12.24
XML
カテゴリ: 国際経済
ユーロの憂鬱 (19)

EU加盟国は、実体経済の悪化という現実を前にして、スクラムを組んでEU全体として、危機乗り切りを図る道を選ぶことをせず、自国経済の回復のみを図ろうとしました。自分さえよければという身勝手さが、これだけ深刻な危機においても拭えなかったのです。

その結果、どの国の政府も、経済ナショナリズムの傾向を強めていったのです。自国製品の愛用運動が、あちこちで始まりました。当時のブラウン英国首相は、「バイ・ブリティッシュ」と英国製品を愛用しようと呼びかけました。 フランスのサルコジ大統領は、自動車メーカーの工場閉鎖に際して、国内の工場ではなく東欧の工場を閉鎖すべきだと発言し、圧力をかけました。

イギリス、スペイン、ギリシアでは、銀行への資金注入に際し、資金の貸し出しは、自国企業に限るという、行政指導に乗り出すなど、露骨な自国企業優先方針が打ち出されました。

経済が好調なときには表面化しなかった、各国の手前勝手なご都合主義が、状況の悪化と共に顔をもたげ、協調体制の実現を妨げる要因になったのです。

今問題になっているアイルランドを取り上げてみましょう。アイルランドは、EUの補助金を上手に使って、経済基盤の改善を成し遂げたのです。この国では、花崗岩に覆われたやせた土地が、国土の大半を占めています。ですから国土の多くは放牧地となったおり、農地は国土の6分の1以下で、収量も少なく、長くヨーロッパの最貧国に数えられていました。

米国にアイルランド系の移民が多い背景に、こうしたアイルランドの貧しさがあったのです。そのアイルランドは、1973年に、EUの前身であるECへの加盟を認められたのです。その結果アイルランドは、EC内の構造不況地帯に与えられる補助金の給付が受けられるようになり(最高時には、アイルランドのGDPの7%近くを、EUからの補助金が占めたとされています)、インフラの整備と産業振興に成功したのです。
                               続く







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.12.24 21:19:36
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ザビ神父

ザビ神父

カレンダー

お気に入りブログ

ソフトバンクがトヨ… New! 歩世亜さん

求められているのは … New! kopanda06さん

「地方紙」 New! でぶじゅぺ理さん

福井県大野市  武… New! トンカツ1188さん

映画「きっと、いつ… New! naomin0203さん

コメント新着

でぶじゅぺ理 @ Re:石破辞任(09/09) 明けましておめでとうございます。 本年…
葉月 生 @ Re:ご無沙汰しました(08/15) 神父さま お帰りなさいませ。 1ヵ月に1回…
kopanda06 @ Re:石破辞任(09/09) お久しぶりです。 降雨の中、高見観音の…
吉祥天2260 @ Re:石破辞任(09/09) どの人見てもなんだかねぇ・・・ 国のこと…
わからんtin1951 @ Re:石破辞任(09/09) テレビを観ていると、総裁選のことばかり…

バックナンバー

・2026.06
・2026.05
・2026.04
・2026.03
・2026.02

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: