ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.01.13
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カテゴリ: 国際経済
ユーロの憂鬱 (36)

ドバイショックを引き金とした、第3次BIS規制の導入延期は、イギリス金融機関のドバイへの巨額貸付と、その不良債権化を明るみに出しました。巨額の不良債権の存在は、当然該当する金融機関の存続を危うくします。

実は、こうした巨額貸付を欧州や米国の銀行は、その多くが抱え込んでいるのです。しかもそうした巨額貸付は、アメリカの銀行よりもヨーロッパの銀行の方が、数多く抱えていると考えられています。

EU加盟国のメガバンクは、東欧や北欧、南欧のみでなく、ロシアや中東、さらには南米やアジアにまで触手を伸ばし、多額の資金を貸し付けているのです。彼らは何故、そんなに欲張って融資を拡大しようとするのでしょうか。それは、欧州の巨大金融機関の資産規模が巨大化し、1国のGDPの規模を遥かに凌駕する規模に達しているからです。

そのような巨大銀行が破綻したとしたら、国有化によって救済しようにも、資金が足りませんから不可能になります。頼りは国際金融界も協調融資しかありません。

そしてもう一つ、リーマンショックで明らかになったことは、金融機関同士の取引が、網の目のように複雑に絡み合って、どこがどこに繋がっているのかが、誰にも分らなくなってしまっているということでした。デリバティブ取引の普及の結果、コンピューターに計算させた複雑な仕組みが、こうした結果を導いたのです。

そして欧州の場合、EUという国境を超えた統一市場が存在し、金融機関の国境を超えた合併なども、数多く行なわれています。そうしたメガバンクが、単一の金融市場で競争し手いるのです。金融システムのシステミックリスクを、計量しようとしても、何処まで正確に計量できるかは、かなり疑わしいといわざるを得ないのです。

事実ECBが昨春(2010年春)実施した金融機関のストレステストで、正常と診断されたアイルランドの銀行は、半年後の10月末には、格付け機関によって、破綻懸念先(あえて我々の馴染みの言葉で表現しました)に分類されているのです。
                                 続く





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最終更新日  2011.01.13 20:22:43
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