ザビ神父の証言

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2011.01.21
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カテゴリ: 社会風俗
アリゾナの銃撃事件を考える (4)

前回に記した米国の州財政の状況を考えると、アリゾナでの銃撃事件は偶発的なものではなく、今後似たような財政状況にあって、住民サービスを大幅に縮小している諸州で、続発する可能性を秘めています。

それ故に、こうした犯罪を強く非難し、銃撃を教唆する宣伝を繰り返した共和党保守派の議員や政治家たちの言動に、枠をはめる強さが、米国の政治と司法に求められると、私は考えます。否、私だけでなく、一般の日本人であれば、大多数の方がそう考えるのではないでしょうか。

ところが米国は違うのです。アラバマ州議会が、この期に及んで、なお銃規制を緩めようとしていることは、第2回に書きました。問題はノーベル平和賞まで受賞したオバマ大統領にあります。

彼は1月12日に、アリゾナ州立大学で開かれた6名の死者への追悼式で、大略次のように述べたのです。彼は、事件の背景とされる過剰な政治対立に触れ、「今回の事件が、新たな分裂を招くようなことがあってはならない」と、国民の結束を呼びかけた上で、

事件は狂信的個人の犯行であって、それを理由に共和党、特に最右派のティー・パーティの選挙戦術や政治路線を、問題にするのは誤りであるとし、「一瞬立ち止まって、対話が互いを傷つける方向にではなく、問題を解決する方向に向かっているかどうかを、確認する必要がある。」と述べたのです。

一般論としては尤もに聞こえますが、これで犠牲者の家族や友人、ギフォーズ会員議員やその支持者が納得できるでしょうか。きれいごとでお茶を濁した発言のように、私は受け止めました。

良く考えるまでもないのですが、対立候補、対立陣営を口汚くののしり、暗殺を示唆するメッセージを、インターネットやテレビなどで流し続けた特定人物を、真正面から非難し、批判の嵐を加えなければ、相手は益々付け上がり、類似のメッセージを流し続け、第2、第3の犠牲者を生み出すでしょう。

平和の使途のはずであるオバマ大統領のメッセージが、何故このように心に残らないアピールに留まるのでしょうか。







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最終更新日  2011.01.21 21:37:16
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