ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.04.12
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カテゴリ: 国際関係
放射性汚染水の海洋投棄を憂う(5)

福島の原発事故は、遂にレベル7に訂正されました、旧ソ連のチェルノブイリ事故と並ぶレベルに達しました。1基の原子炉ではなく、4基もの原子炉の複合事故ですから、最悪の事態に至っていなくても、ここまで事態が悪化しているのですから、いずれ今回の事故を受けて、IAEAは原発事故の分類を見直すことになるのでしょうね。

今回の事態に至った事情を顧みると、やはり政府と東電の初動時の判断の誤り、そしてその誤りの修正までもが後手後手と遅れていったことが、全てであるように思えます。

東電の社長や幹部は、当初の会見で、異口同音に「想定外の事態…」と語り、いかにも自分達の責任ではないかのような発言を繰り返していました。あまりのことに唖然としたのは、私だけではないでしょう。

企業に限ったことではないのですが、およそトップたるものの責任の1つは、想定外であろうがなかろうが、起きた事態にいかに対応するかにあります。今回のような自然災害に限らず、想定外の事態にというものは、いつか必ず起きるものです。いつか必ず起きるのですから、そうした事態がありうることを意識して、日頃から準備をしておくこともまた、企業経営者のリスク管理の要諦だろうと、私は考えます。

経営者にとって、最も大切なことは、日頃からこのリスク管理を欠かさないことです。日本を代表する内需型の大企業、そして政府公認の下に地域独占を許された大企業東電のトップ、そして経営陣は、国家の庇護に胡坐をかいて、この最も肝腎なリスク管理を、完璧に怠っていました。不幸なことに、この事実が明らかになったのは、原発の事故という、実は「想定された」大事故が起きて、しばらくしてのことでした。

実は、トップの資質に問題があるのは、東電に限りません。行政による規制に安住した大企業に、共通した欠陥です。このことは1990年代の不良債権問題の処理に際し、間の抜けた先送りしか選択できず、いたずらに傷を大きくして国民負担を肥大化し続けたメガバンクの先例を引き合いに出せば十分でしょう。

企業トップの力量は、国際市場でしのぎを削る外需開拓型企業トップとは、決断力の点で、雲泥の差があることが、誰の眼にも明らかになりました。

こも東電のトップの不甲斐なさは、経営陣全体に蔓延しています。菅内閣の対応も大問題なのですが、その菅内閣のメンバーからも、こんなため息が出ているのです。それは、3月11日以降で最大の余震があった、7日の23時台の地震の後です。大きな揺れに、東電2階の政府・東電の連絡対策室に駆けつけたところ、東電の経営陣は、平取締役に至るまで1人もおらず、もぬけの殻だったと…



夫々の現場で頑張っている東電の写真が気の毒でならないこの頃です。
                                続く





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最終更新日  2011.04.12 20:40:46
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