ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2012.01.30
XML
カテゴリ: 社会風俗
庶民生活あれこれ (27)

今日の1枚は、実話を元にした作品「カリカチュラーナ」という連作から、「わたくし、1000フラン札を盗まれました」と題する1枚です。

インチキ興信所

舞台はインチキ興信所。妙齢の婦人が興信所を訪れ、1000フランの札を盗まれたと訴えている図です。ト書きをそのまま紹介します。

「わたくし、1000フラン札を盗まれました」
「なるほど、手前どもにおあつらえ向きの情報がありますよ。その盗人は私の友人なのですよ。」
「まぁ。それではわたくしのお札を取り返し、盗んだのが誰かわかるでしょうか。」
「なんでもないことです。早速仕事にかかりますので、1500フラン頂戴します。明日には盗んだ男がお宅を訪ね、盗んだ札をお返しし、ついでに彼の名刺をお渡しするでしょう…。」

この作品は、1836年11月に『シャリヴァリ』紙に掲載されました。

この話、実はフランソワ・ヴィドックという男の実話なのです。彼は徒刑囚で脱獄の常習犯です。そのため犯罪人の世界では英雄視される有名人でした。バルザックの小説『ゴリオ爺さん』、『幻滅』。『浮かれ女盛衰記』の3部作に登場するヴォートランは、このヴィドックをモデルに造型されたのです。



公安は、その情報の正確性を確認すると、彼の脱走を手助けし、やがて彼の部下の徒刑囚を班員とする捜索部隊を作り、ヴィドックに班長を任せたのです。察しがつくと思いますが、これはあくまで公安警察の秘密組織ですから、パリ警視庁の公金から経費は落せません。彼らにかかる経費は全て、公安警察の機密費で処理されました。

ヴィドックを使い出してから、公安警察の検挙率は格段に向上したことは、言うまでもありません。そのヴィドックは七月革命後に表向き仕事を引退し、33年の6月頃に、この絵にあるような興信所を開き、自らの経験を生かして、今度は探偵業に精を出したのです。

バルザックは、こうした公安警察の恥部を、『浮かれ女盛衰記』の後半で詳細に記しています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.01.30 15:40:33
コメント(12) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ザビ神父

ザビ神父

カレンダー

お気に入りブログ

ソフトバンクがトヨ… New! 歩世亜さん

求められているのは … New! kopanda06さん

「地方紙」 New! でぶじゅぺ理さん

福井県大野市  武… New! トンカツ1188さん

映画「きっと、いつ… New! naomin0203さん

コメント新着

でぶじゅぺ理 @ Re:石破辞任(09/09) 明けましておめでとうございます。 本年…
葉月 生 @ Re:ご無沙汰しました(08/15) 神父さま お帰りなさいませ。 1ヵ月に1回…
kopanda06 @ Re:石破辞任(09/09) お久しぶりです。 降雨の中、高見観音の…
吉祥天2260 @ Re:石破辞任(09/09) どの人見てもなんだかねぇ・・・ 国のこと…
わからんtin1951 @ Re:石破辞任(09/09) テレビを観ていると、総裁選のことばかり…

バックナンバー

・2026.06
・2026.05
・2026.04
・2026.03
・2026.02

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: