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叙情詞集「初春」
第1節「赤ん坊と鳥たち」
矢田部誠子(天才!せいこう時計をまいてる人)作詩
赤ん坊は
群れている鳩や
からすさえも
同じ人間同士のように
彼らの方に
よちよちと歩み寄り
鳥たちのついばんでいる餌を
さも
ほしそうに
手をさしのばす。
赤ん坊の差し出す手に
おどろいた鳥どもが
ぱっと羽音を立て
舞い立つと
赤ん坊はおどろいて
空を見上げ
明るい春の
日射しの中に
手をさしのばす。
赤ん坊の目には
飛び立った鳥たちの姿が
あたかも天人の舞っている
姿のように見えたのかも
しれない。
ずっと手をさし上げたままで
じっとしている。
そばに立っていた母親は
ほうら坊や
あなたが鳥さんたちに
あいさつをしないで
近づいたから
鳥さんがおどろいたのよ
坊やはふしぎそうに
ぺこんぺこんと小さい頭を
何度も何度も下げながら
「さようなら
さようなら」と言った
そう言っているように
その手から
感じられた。