前掲の「春になれば」を少し手直しして、詩人会議3月号に掲載されましたので、「春になれば(2)」として掲載させていただきます。
春になれば(2)
木枯らしが音を鳴らす窓辺
病院のベッドに横たわる母の寝息
静かな埋もれそうな寝息を聞き逃すまいとする
いつの間に忍びこんだ風が
魂を連れ去ってしまうかも知れないから
恰幅の良かった腕も足も痩せ細り
小人になって
白いカバーの布団に包まれている
ふと眼を覚まして言う
春になれば
春になれば
このゴロゴロしたのも取れるかも知れないね
きっと良くなって治るかもしれないね
涙をこらえて私は言う
きっと良くなるわよ
暖かくなればきっと
全身に転移してもどうにかして生きてもらいたい
父は最後の望みに生薬の菱を煎じて飲ませた
母はまた呟く
春になれば
春になれば
きっと良くなるね
暖かくなればきっと


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