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2011.02.12
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カテゴリ: 心理学は面白い
臨床心理学の分野では、ケーススタディと呼ばれる

個別の事例研究がとても大切になります。
診断された病名、症状がたとえ同じであったとしても
人間一人ひとりは完全に個別の存在であるため
まったく同じ事例など、この世に存在しないからです。
ケーススタディを通して
人間理解を深めていくことが
カウンセラーにとっては大きな経験や財産になり

いつか、大きな恩恵を受けることにつながっていきます。

カウンセリングにも守秘義務というのがあるので
事例研究の具体例が世の中に出回ることは少ないのですが
ある臨床心理学の本に紹介されていたので
興味あるケースを短くまとめて紹介しますね。


星 20代男性の場合

小学校のころ、学校の成績はよく
いつもクラスで一番だった。
性格は大人しく、一人で本を読むのが好きだったので
友だちはいなかった。
気がつくと、いじめを受けるようになっていた。

いじめを受けるのだと思っていた。
いじめはだんだんエスカレートしていって
殴られることもあった。
だが、いじめがひどくなるにつれて、
さらに勉強を頑張るようになった。


あいかわらずいじめを受けたが
成績は相変わらずトップクラスだった。
そして、有名な進学校に入学した。
このまま、一流大学に進むものだと信じていた。

高校ではいじめがなかった。
ある日ふと、「自分には心から話せる友だちがいない」
と感じるようになった。
それから、彼のはりつめていた心はじょじょに
壊れ出していった。
「自分はどうして人と交流できないのか」
という劣等感が生まれた。
それから、学校の成績はみるみる下がっていった。
不安が高まり、学校を休みがちになっていく。
高校はなんとか卒業できたが、
どの大学にも合格できず、予備校に通いだした。

しかし、「頭が馬鹿になったのか」と思うほど
以前には簡単に解けていた問題すら分からなくなっていた。
しかし、
「自分は他の人より優れているはずだ」という
意識が抜けず、そのまま3年間も浪人生活を送ってしまう。
しかし、遂に限界を感じ、
美術の専門学校に入学を決めた。
絵を描くことが好きだったからである。
しかし、入学から3カ月たち
退学することを考え始めている。
集中力が低下しているのか
授業の内容が理解できず
クラスメートとも気軽に話せず、
友だちができない。

いじめ体験が根っこにあるため
これまでずっと「仲間関係」というものに価値をおかず
むしろ避けてきた。
そして、仲間が大事だと気づいたときには
問題が大きくなりすぎていて
自分ではどうしようもできなくなっていた。
「友だちが一人もいない」自分に劣等感をだき、
その思いに苦しめられている。

「優等生で勉強ができて、頭のいい自分」から
「時には失敗もするし、挫折することもある自分」へと
自己イメージを修正する必要があった。

その後、彼は退学を考え直すようになった。
少しづつクラスメートと話をするようになり、
受け入れられているという感覚が生まれてきたからである。
以前はくだらないと思っていた
仲間との馬鹿話も
意外と面白いと思えるようになってきた。
ある時、友だちに誘われて授業をさぼりゲーセンに行った。
授業をさぼるなんて
以前の優等生だった自分には考えられない行動である。
不思議に罪悪感を感じず
「こんなこともあっていいんだ」と思えた。

授業で理解できないことは相変わらず多いが
わからないところを友だちに聞けるようになった。
わからなくても、授業が楽しくなってきた。
これまでずっと
「自分は他の人間と違い、優秀なんだ」と信じてきたが
「平凡な人間かもしれない」と思うようになってきて、
それでも良かった。

仲間と一緒、という感覚を経験するまで
彼には長い道のりが必要だったのだろう。

カウンセリンは約2年間続き
美術学校の卒業を待たずに終了した。

(『はじめての臨床心理学』北樹出版 より抜粋)


劣等コンプレックスを初めて提唱した
個人心理学のアドラーによると
優越意識と劣等意識は表裏一体であり、
過度の劣等意識と同じく
過度の優越意識も、適応障害のもととなっています。

自己を正しく評価することが
劣等感克服への道なのです。

ありのままの自分を見つめることは
本当に苦しいですが
鏡の曇りをきれいに拭いたときに
案外、 マシ な自分が見えてくるものです。

「もっと自分を愛そうよ!」ウィンク

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Last updated  2011.02.12 11:01:35
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