HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

August 31, 2026
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テーマ: 中国旅行記(222)
カテゴリ: カテゴリ未分類
第20回は敦煌つづき、1986年8月2日(土)です。記述や画像は当時の私たちの記憶であり、何かの正確な記録や証拠ではありません。

鳴沙(めいさ)山 へ。別の夢にまぎれこんだよう、この世のモノとは思えぬスルドイ砂丘だった。草一本ホコリ一つなく、異世界のようにそびえている。風向きがいつも一定なのでこのように砂がたまるそうだ。左写真は、朝陽を浴びる鳴沙山。私たちは朝一番の客で、砂丘は未だ静まりかえっていた。
 さっそくラクダに乗る。右画像はチケット、手書きで「沙漠之舟」とある。ラクダは2~5頭くらい縦につながれたのが何組かいて、ぺたんぺたんと座り、そこへ我々がまたがる。赤いタオルが鞍代わりだが、二つのコブを挟みこんでぎゅっと縛ってあるせいかコブはとても小さい(左下画像)。
 ラクダは前脚から立つが、この時がくんと揺れる。私は乗馬経験があるが、ラクダも乗った高さは馬ぐらいで思ったよりは低い。エル・オレンス(=アラビアのロレンス。 神坂智子『T・E・ロレンス』 に出てくる)気取りで背筋を伸ばすと、遠く広がる朝の砂丘がよく見渡せた。ラクダの頭には毛がまばらに突っ立つように生えている。まつげは黒くて長い。歩く途中でオシッコやフンをするやつもいたが、フンはウサギやシカみたく、丸でコロコロしている。
 涼しい朝の空気を吸いながら 月牙泉 の近くまで、砂丘と砂丘の間の、ちょっと緑のあるところをたどってゆく。中央写真は、自分の影を撮ったもの。右写真は、まぶしすぎてハレーション気味だが、我らがラクダ隊の影が左下に写っている。私のラクダは最後尾だったので、後ろを振り返ると誰もいない砂丘が広がり、急斜面の、朝陽に照らされた部分と影の部分とが、くっきりしたコントラストですばらしい。前の方を行く数頭のラクダには首に鈴がついていて、それが一つ一つ微妙に違う音色でカランコロンと素朴に鳴り、辺りの静寂に吸いこまれてゆく。

 月牙泉のほとりでラクダを下りる。左写真は私を乗せたラクダくんと鳴沙山。右下写真は、朝陽を浴びるキャラバン隊。右方のシルエットはラクダ飼いのおじさん。
 泉を見に行った。澄んだ池で三日月の形はいまいちいびつだ。きっと水が多すぎるか少なすぎるかだろう。水を2回すくって口に含むととても冷たい。池の周りだけがわずかに緑。この辺では今でも夜にはオオカミが吠えたりするそうだ。貴重な水場なのだろう。両側にそそり立つ砂の急斜面はあまりに単調で空まで直結しているため、どのくらい高いのやらよくわからない。
 左は、月牙泉参観券の表と裏。珍しくプラスチック製。表にあるような建物は昔の想像図だろう、見当たらない(右画像)。裏には「敦煌県から南へ16キロの鳴沙山脈に三日月型の泉がある。熱い風が吹いても砂に埋もれることなく水深は深い。青緑色を保ち格別に甘い味わいが特徴。古くから多くの美しい伝説が語り継がれる人気スポット」などと書いてあるようだ。
 左写真は、月牙泉のほとりの私たち旅の一行。水面に姿が映っている。後ろの砂丘は異星のようだ。
 裸足になり、その斜面に挑戦した。足に触れる砂は少し暖かい程度で心地よい。ただサラサラと崩れてゆくので、一足ごとに足首まで埋まる。斜面の傾斜もずいぶんきつい、30度かそれ以上あるのでは? 砂がどんどん崩れるので、振り返ると巨人でも歩いたような大きな丸い足跡?が点々と続いている。どうにもならないほど息が切れてきた。立ち止まり、また登り、砂の中に手をつき、あえぐ。登れば登るほど砂の壁は私たちの前で大きくなり、その彼方に見える真っ青な空は遠のいてゆくように感じる。
 Nと添乗員Wさんがギブアップした後も、Mと私はなりふり構わず登り続けた(右写真)。砂の感触が快いのだけが慰めだ。
 忽然として近くの斜面に現れた中国人のおじいさんは斜めにツツツッといとも軽やかに歩いて行き、斜めに登れば楽だよ、と身振りで教えてくれた。そこで今度は大きく「く」の字を描いて登ることにした。その後も、疲れて大の字になったりしながらも、私たちはしぶとく登り続けた。

 左写真は、砂丘中腹でふり返って撮ったもの。ラクダで来た緑地と、画面下すれすれに月牙泉、日付の下あたりに、泉のほとりに一軒だけある小屋が見える。
 ついに、遠のいていくばかりだった頂上と蒼天が止まったとみるや、一挙にぐんぐん視界が開けるような気がした。もうすぐだ! 四つん這いになり、カメラを砂の中に引きずりつつ、息も絶え絶えの最後のひと踏ん張り。――着いた。


砂丘登り、まだつづく





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Last updated  August 31, 2026 11:48:10 PM
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