ひこじいさんのブログ

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2016年04月20日
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菜の花や 月は東に 日は西に  与謝蕪村

この句は春の夕暮れを詠んだ句として余りにも有名で、人口に膾炙している。
蕪村が、神戸六甲山地の摩耶山を訪れた際に見た情景とされる。

摩耶山から見る空には月と太陽が同時に出ており、一面の畑には黄色い菜の花が今を盛りと咲いている夕景を詠んだ句である。
昭和20年代までは日本の春には、何処でも普通に見られる農村風景でもあった。

アブラナ科の菜類・ダイコン・カブ・キャベツやブロッコリー等も花を咲かせるが、この当時菜の花と言えば油を採る目的で栽培された菜種のことであった。

戦後も暫くの間農村では、自家栽培した菜種から食用油を採っていた。そのため菜種は、全国各地で栽培され春には菜の花を普通に見ることができた。

現在土手や河原に咲く菜の花は菜種と同じように見えるが、そのほとんどが緑肥としても栽培されるセイヨウカラシナで蕪村が見た種類とは異なる菜の花である。

種類は異なっても、独特で濃密な同じ香りを持っている。養蜂業者にとって菜の花は重要な蜜源となっており、「なの花蜜」が採取される。



句が詠まれた年の3月の夕方の空に月が昇るのは10日頃からで、満月は29日だから23日に太陽と共に空に在ることは無い。

菜種の花は満開になっていなくても、既に咲き始めていたと思われる。

太陽が西の空に沈む夕暮れ時に月が東に見えるのは、満月の前後である。今年3月の満月は、3月24日であった。

旧暦の5月3日、当時の畑に菜の花が咲き夕暮れ時に月と太陽が同時に見えたのは新暦3月の下旬であったと考えるのが妥当である。

このことから菜の花畑と東西の空の月と太陽の様を、後になって合体させて詠んだ句と考えることもできる。


風も無く穏やかで独特の春の緩い空気に包まれた4月19日の夕刻は、月齢11.7の少し歪な月が4時40分に東の空に昇った。
空に浮かんだ雲を茜色に染めながら、西の空に日が沈んだのは6時18分だった。

蕪村が見たとされる月とは30日の差があるが緑肥として作ったセイヨウカラシナの黄色の花は、菜の花独特の香りを振り蒔いて未だ盛んに咲いている。

昨日は太陽と月が空に暫くは同居したと思われるが、外へ出て実際に確認したのは6時20分で既に日は沈んだ後であった。

ベランダに出て空を見上げながら、蕪村も342年前同じ月を同じ季節に眺めていたのだと考えると思わず「菜の花や…」と声に出して呟いていた。






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最終更新日  2016年04月20日 18時11分11秒


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