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Jan 10, 2006
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写真のプロになります。

這ってでも。
くいついてでも。
どんな形になっても。
必ず写真の仕事についてそれを極めます。
必ずプロになる。



昨日の夜。
一時帰宅していた祖父が熱を出し、入院していた病院で様態が急変した。
高熱を出し、意識も朦朧としていて息が出来ない状態。血圧も上がって、危篤状態に陥った。

妹と寂しく出前のご飯を食べながら、父と母の慌てぶりをぽつりぽつりと話しながら、「5月以来あってないなぁ・・・」と思った。

5月には親戚が久しぶりに集まって、祖父の77歳の誕生日を新宿でお祝いした。
末孫のいっくんに、ガンダムのプラモをもらって嬉しそうな顔をしてた。
確かその次の日ぐらいにガンが発見された気がした。

本人には忙しくて直接渡せなかったが、誕生日会の祖父の写真を10枚以上自分で焼いて写真集を作り、病院先の祖父に送った。
なかなかのできで、自分でも気に入った写真が何枚も入ってた。
父から聞いた話によると、
「おじいちゃんね。お前の写真集ずーっと見ててさ。おばあちゃんが持って帰るって言ってるのに置いておくってきかなくて。一日中見てるよ。」
気に入ってくれたそうだ。

今日は学校があったが、休み、妹といったん帰ってくる父を待って病院へ行った。
「おじぃちゃん。今は熱も下がってだいぶ落ち着いてるよ。」

病院の空気って苦手・・・。
父方の祖父であるこのじぃちゃんも苦手だった。
大学教授のせいか、ああしなさいこうしなさいしか言った事がなく、口うるさくてかたくて嫌いだった。
いつも先生みたいな顔をして生徒として孫に接する。間違ってる。と思った。
よく恐い顔してた。

よく写真に撮ったが、出来る写真はすべてかっこ良くなる。
そんな祖父は好きだった。
作った写真集のタイトルは「dandyism」。

病室に入って驚いた。
よく来たねぇ。という祖父の声は酸素マスクでこもり、やっと聞き取れるぐらいだった。
別人のような痩せこけた身体にたくさんのチューブと機械が繋がれて、祖父を含めた何か大きな機械の塊のようになっていた。
これは誰だ・・・?

「久しぶりだね、おじいちゃん。」
祖父がぎゅぅっと手を握った。温かい・・・。ホッとした。
「・・・しゃ・・・て・・・」
「なに?」
耳を近づける。
「写真・・・頑張ってるか?」
「・・・うん。」
「そうか・・・。」

にこぉっと笑うおじいちゃんは顔からケンがなくなり、仏様のようだった。
たまに冗談を言うぐらい今日は落ち着いていた。

みんなが慌ただしく動いているとき、祖父と二人だけの会話をした。
祖父はつらそうに息を少し大変そうにしながら一生懸命話してくれた。

「くれた写真集あるだろ・・・?」
「うん。」
「脳外科の先生がな。夜おじいちゃんの病室に入ってきた。」
「うん。」
「おじいちゃんはびっくりしてな。どうしましたって聞いたらね。
このお写真は誰が撮られたんですか?って言うんだよ・・・。」
「うん。」
「孫が撮ってくれまして・・・いつもカメラ片手に一生懸命なんですよ。って言ったらな、先生が僕も結構写真見ますけど、ほんとにいい写真を撮りますねぇ。おどろいたなぁ。って褒めてくれていたよ。」
「うん。」


「プロです。」
「・・・え?」
「プロが撮ったんです。」
「・・・。」
「じいちゃんは言ったよ。プロが撮ったんです。」
「・・・嘘ついたらダメだよ。」
「・・・あの写真集見てなぁ・・・あぁ。こいつはこれで生きてくんだなぁっておじいちゃん思ったんだよぉ・・・。だから嘘じゃない。」
「・・・。」
「でもなぁ・・・つらくなったらやめてもいいんだよ?写真・・・。おじいちゃんが思っただけでお前の人生だからねぇ・・・。これからは詩的な写真を撮りなさい。写真集の文も良かった・・・。いい写真だ。素晴らしい。」

言葉がなかった。

帰り際、祖父は右手に妹の手を、左手にジェダさんの手を握りこう言った。

人の人生、生きる道は色々ある。
60億人とおりあるんだよ。
おじいちゃんも77年間のおじいちゃんの生き方がある。
お前たちはお前たちの人生を堂々と生きなさい。

祖父がポロポロポロポロ泣いていた。
初めて泣いてるところを見て、自分も頷きながら泣いた。
耐えられなかった。

プロです。
プロが撮ったんです。
じいちゃんは言ったよ。プロが撮ったんです。
・・・あの写真集見てなぁ・・・あぁ。こいつはこれで生きてくんだなぁっておじいちゃん思ったんだよぉ・・・。だから嘘じゃない。
でもなぁ・・・つらくなったらやめてもいいんだよ?写真・・・。おじいちゃんが思っただけでお前の人生だからねぇ・・・。


写真のプロになります。

這ってでも。
くいついてでも。
どんな形になっても。
必ず写真の仕事についてそれを極めます。
必ずプロになる。








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Last updated  Jan 11, 2006 07:42:36 PM
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