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Jan 28, 2006
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朝、犬が車に轢かれるところを見た。

あ。

バスに乗っていた学生は全員声をあげた。

犬は・・・






1月15日にここで日記を書いた後、すぐに母から電話が入り、祖父が亡くなった事を知る。
身内が亡くなった経験が初めてで、なんだか実感が湧かない。
明後日からテスト期間にも入るし・・・なんだろ。どうしたらいいのかなぁ。

結局、上手い具合にテストにも妹の入試にも被らない日にお葬式となった。

父が言った。

写真をやっていて良かったと、本当に心底思った。

18日にお葬式。
会場に向かう。親戚のおじさんおばさんや、おじいちゃんのご兄弟などたくさん来てる・・・。
おじいちゃんはどこかな?

おじいちゃんどこ?
あっちの部屋で眠っているから行ってきな。

広い会場の真ん中に、白いお棺・・・頭の位置にある窓を開けるとおじいちゃんがいた。

「わぁ・・・おじいちゃん綺麗だねぇ・・・」
ガラス越しにおじいちゃんを撫でてたら涙が止まらなくなった。

でも、今ジェダさんがするべきことは泣く事じゃない。
ジェダさんとおじいちゃの思い出と共に、77年間生き抜いたこの人間(ひと)の最後の勇姿を記録する事だ。


シャッターを切る。
今のジェダさんが出来ること、したいこと、残したいことは写真を撮ること。
会場にはおじいちゃんとジェダさんとシャッター音しかない。
思い出と共に涙が溢れてファインダーが滲むし、嗚咽でカメラがブレるけど、撮り続けた。
気付いたら親戚中の人がジェダさんを見ていた。

ジェダさんはお構いなしで撮ってた。
親戚のおばさんが、
「あなたはずっとおじいちゃんを撮ってきたでしょう。おじいちゃんの人生の最後のページを撮れるのも、あなたよ。」
と言ってくれた。

父は親戚の人たちにジェダさんがおじいちゃんの遺影を撮った事、おじいちゃんが宝物にしていたジェダさん制作の写真集を見せて、話をしてくれていた。
親戚の人たちみんなが、ジェダさんがおじいちゃんを撮りやすい状況を作ってくれた。


19日の告別式。
お棺におじいちゃんに渡したいものをつめる。
大量のお花に包まれたおじいちゃんはますます綺麗になった。
写真集の写真も入れた。
親戚の人たちがみんなでおじいちゃんの身体の上全体に写真を並べてくれた。
お花の上から写真を並べたからおじいちゃんが写真に埋まっているみたいだと、みんな笑った。
父が泣くところを生まれて初めて見た。

火葬場に行く間、飛行機雲がぴゅーっと飛んでいた。
父は、「おじいちゃん、若いときは飛行機の設計士で飛行機大好きだったからあの飛行機雲きたのかなぁ・・・」とつぶやいた。

火葬後の骨だけになったおじいちゃんには葬儀屋から撮影許可が下りず、撮れなかったけど、骨にところどころついている緑色の物体を見て、あ。写真だ。と思った。
おじいちゃんと写真が一体化した。これでおじいちゃんは天国に一緒に写真を持っていける。

骨になったおじいちゃんを自宅に送って、おじいちゃんの部屋に置いた。
カメラが3台置いてある。おばあちゃんがくれると言った。

みんな口々に、あのままおじいちゃんは元気でも、ガンに蝕まれていくから痛くて痛くてしょうがなかったろう。でも、脳梗塞で死ぬ事も恐れないまま、なにも感じないまま逝けてよかった。と言う。
ジェダさんもそう思ってた。

おじいちゃんの部屋の机の上にあった電子辞書を開いてみる。
なにを最後に調べていたのかな。

異常
異常
異状
脳梗塞

蜘蛛膜下出血

「電池がありません。交換してください。」

ぞっとした。
やっぱり死ぬことが怖かったんだろうなぁ・・・。
誰にも言わずにいよう。みんなおじいちゃんが恐怖心を持たないまま逝けたと思っている。
そう願いたいだけなんだけど・・・。

おじいちゃんの残した手帳には、事細かに連絡先や日記が書いてある。
「小生撮影のために~時に来る。」
「12月に撮った小生の写真、県内写真展で優秀賞をとる。(電話で聞く)」

見て。と母。
「あなたの携帯電話の番号を書いた横に、にこちゃんマークが書いてあるのよ(笑)」
ほんとだ・・・。
手帳にはジェダさんが小さいときの写真もくしゃしくしゃになって入ってたらしい。
おじいちゃんありがとう。写真頑張るからね。
見てて。




朝、犬が車に轢かれるところを見た。

あ。

バスに乗っていた学生は全員声をあげた。

犬は・・・

地面と車の間でぐしゃぐしゃになって転がり、這い出した。

生きてた。


0128

今日からテストも終わって春休み。





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Last updated  Jan 28, 2006 03:05:36 PM
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