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と、言うわけで文字数制限に引っ掛かってしまった、前回の続きです。 さて、前日の日記では、and でつながれて文法的に同じ資格をもつはずの「同格」の語、句、節が、実は時間的な流れや、顕在性、重要度などを表すことがある、ということを説明しました。(うわー何かえらそー)これは、文法的に同じ資格を持つものが列挙されているからと言って、それらの順番を自由に変えることが出来ないことを示しています。たとえば、アメリカで街の中心部へと向かう電車の終着駅付近には、「park and ride」という大きな駐車場が設けてある場合が見受けられます。park (駐車場) and ride (電車に乗ること)において、park とrideは同格かもしれません。が、これをride and parkとすると、電車に乗ってから駐車するという順番になってしまいます。これはおかしいですね。駐車してから電車に乗って都心に向かうわけですから、park →rideの順番を変えることはできません。英語では、これに加え、こうした同格の語、句、節を用いる場合、もうひとつ重要な事項があります。それは、「修飾語を伴うものや、複数単語の名詞など、長いものをうしろのほうに持ってくる」というやつです。たとえば、先ほどの色の例で、青の代わりに水色を入れるとします。すると、英語的にはlight blue, red, and yellowとはならず、「修飾語を伴うものや、複数単語の名詞など、長いものをうしろのほうに持ってくる」という指針に従って、red, yellow, and light blueとする、というわけです。これは、light blue, red, and yellowといった場合、lightがblueだけではなく、ひょっとするとredとyellowにもひっかかってくるかもしれない、ということなのですが、原則として、たとえばMLAなどの書式では、修飾語は一つの名詞にかかるようにしなければならない、すなわちredとyellowもlight であれば、light blue, light red, and light yellowとしなければならないことになっています。アメリカ憲法等には、「人種、皮膚の色、宗教、性別、国籍」によって差別してはならない旨の規定が頻出します。こうした差別の基準となる事項は、なぜこの順番で並んでいるのか、という疑問も、英語に直すと、race, color, religion, sex, and/or national originとなり、「修飾語を伴うものや、複数単語の名詞など、長いものをうしろのほうに持ってくる」指針にしたがっていることがわかります。ここで、今度は日本の刑法を英語にした場合を考えてみます。あるソースによると、日英対訳版として、次のような一節がウェブに出ています。「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料」death penalty, imprisonment with work, imprisonment without work, fine, misdemeanor detention and petty fineこれは、「修飾語を伴うものや、複数単語の名詞など、長いものをうしろのほうに持ってくる」指針に反していますが、これは好ましくない表現といえるでしょうか?すぐにわかると思いますが、これは、これらの刑は重いものから順番に並んでますよねー?したがって、指針があるからといって、おいそれと順番を変えない方が良い、という判断からこうなっている、と考えられます。また、英語でも、この指針が適用されない場合があります。たとえば、パンとバターbread and butterという組み合わせは、英語でいう「成句」です。ここで注意が必要なのは、英語でいう成句の概念と、日本語の成句の概念には、ちと違う意味がある、ということです。日本語で言う成句とは、ある意味を表わすのに、それを直接そう表現するよりも、間接に装飾的に言った方がその内容を端的に表わすと見られる、慣用的な表現。例、突然の出現を天から降ったか地から涌(ワ)いたかと言うなど。ことわざやそれに類するものを意味する漢語的表現。例、人間万事塞翁(サイオウ)が馬二兎(ニト)を追う者は一兎をも得ずなど。となっています。ふむふむ。しかるに、英語で言う成句idiomとは、およそan expression whose meaning is not predictable from the usual meanings of its constituent elements, as kick the bucket or hang one's head, or from the general grammatical rules of a language, as the table round for the round table, and that is not a constituent of a larger expression of like characteristics. a language, dialect, or style of speaking peculiar to a given people. など、日本語の「成句」と比較すると、かなり広義の意味であり、たとえば、ある学術論文でのみ使用されている語の組み合わせもまたidiomとみなしてよいことになります。話はそれましたが、フランスパンとバターという場合、これは「修飾語を伴うものや、複数単語の名詞など、長いものをうしろのほうに持ってくる」指針で、butter and French breadとしなければならないでしょうか?まあ、指針としてはそうかもしれませんが、実際はFrench bread and butterの方が一般的です。これは、慣用的に用いられる組み合わせ以外にも、英語でいうidiomについて同様に見受けることができます。とまあ、and ひとつ取っても、かーなーりー注意が必要です。また、そもそもどこまでが直訳で、どこからが意訳なのかの線引きも難しい。。。一般に、「逐語訳」の例として挙げられているものとして、1954・55年版の口語訳聖書がありますが、前述の逐語訳の定義からすると、意訳と思われる部分もあります。たしかに、日本語の言い回しとしては、ちと不自然な表現が出てきますが、それをもってこれらの聖書を「逐語訳」とするのはどうかと。。。まあ、黙示録Revelationsなんか、英語でもちんぷんかんぷんで、意味がとらえにくいし。そもそも、教会でも黙示録を聖書に含めるかどうかでかなりもめたらしく、その時の理由が「神がワケの分かんないものを書くわけがない」ということだったらしいので、原語でも分かんなかったんだろーなー、と思います。さらに、先ほどのidiomの定義にあるように、通常ある特定の語義から推測できない表現をidiomというのであれば、それこそ通常の英和辞典なんかに出ているidiomの語義を使用した時点で「意訳」になります。だって、そもそもの語義と違う意味合いになる語群がidiomの定義なら、元の意味合いとは違うから、わかりやすく言いかえてある=意訳してある、ってことですからねえ。ふぅ、やっぱムズカシイ。。。ホントあたま痛いなー。
Apr 14, 2008
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いやー、もう忙しすぎてダメですね。。。半年以上日記を書けませんでしたが、ついに更新です!!例によって長ーいですが、おひまでしたらどーぞ! さて、先日、仕事で御一緒させていただいた通訳者の方に、「私は意訳が得意です。toniさんはどうですか?」という質問をされました。うーん、大変難しい質問ですね。正直なところ、答えは無いかもしれない。。。というのも、現場では両方とも必要なんですねーこれが。ちなみに直訳とか、逐語訳とか、意訳とか、わけわかんないかもしれないので、ちょっと定義を書いてみます。。。直訳、逐語訳は、諸説ありますが、英語で言う metaphrase のことです。meta (~と一緒に)phrase (フレーズ)すなわち「フレーズ通りに」というわけです。これに対して意訳は paraphrase のことです。すなわち、para (変換する)phrase (フレーズを)すなわち「フレーズを変換する」というわけです。これは、ある表現を、より分かりやすい表現に言いかえることを意味します。ちょっとまてよ。。。ってことは、「意訳」は「直訳、逐語訳」を前提としている、ってことか?いや、実にそのとーり。つまり、直訳、逐語訳がわかりやすければ、意訳の必要はないわけです。はは。これは、まさに僕のモットーそのもので、基本的に直訳。必要に応じて意訳というのを原則にしています。そんじゃあ、「直訳じゃないか!!」とか、「意訳するなよ!!」なんて喧々諤々の人たちは、なーんでそんなに怒ってるのかなぁ?というと、これはおそらく、直訳が不自然だからand/or意訳で元の意味が変わっているからです。つまり、文句を言われる場合、直訳または意訳が適切な箇所で使用されていない、あるいはそれらの技術が稚拙であることに起因します。直訳でも、十分に辞書を引いて適切な訳語を当てはめてゆくことにより、かなり自然な文章に仕上げることが可能なのに、その労を怠ったことについて苦情が来るわけです。これは、修行するよりほかに直しようがありません。うー!!まあ、もとが違う言語なので、訳すと不自然さが出る場合も往々にしてありますが、これは丹念に辞書を引きながら、より自然な表現にしなければなりません。しっかぁし、そりゃあ、誰もが自然な言い回しの文章を読みたいのは山々ですが、あてずっぽうでこれをやっちゃうと、大変なことになる場合もあります。たとえば、法律の条文。これを見た英語ネイティブの方は、おそらく不自然に感じる部分も多々あると思われます。しかし、これは所轄官庁から微細にわたり指導が行われているためで、それに従うと、直訳ロックの真骨頂「王様」も真っ青の、ものすごい「直訳」の英文が出来上がります。うへー!こうした翻訳は、所期の解釈以外の解釈が許されない場合に求められることが多いので、法律等の文書はこのスタイルでなければならないわけです。「王様」も、法律の文章も、ちょっと言い回しが不自然だけれど、決して「わかりにくい」わけではありませんよね。したがってその不自然さがドッヒャーという笑いになるとしても、不快感になったとしても、意味が通っていれば、「意訳」の必要はない、ということになります。なぜなら、意味が通じているからです。逆に、意味が通じなかったら、「意訳」が必要です。これを、「不自然だから変えちゃおーっと!」といったノリでやたらめったらいじり倒すと、実に深刻な問題が生じてしまう場合があります。身近なところで and という単語なんか、要注意ですね。通常、英語でandでつながれるものは、語、句、節です。(覚えておられますでしょーか。。。)これらが同じ資格を持つものとして列挙される場合、「同格」と言われます。たとえば、「会社に行く時、何線使って来るの?」:Which train do you take to commute?「山手線と、京浜東北線と、地下鉄だよ。」:I take Yamanote line, Keihin-tohoku Line and the subway.こういった場合、山手線、京浜東北線、地下鉄はそれぞれ同格であり、文中で同じ役割を担うものとして扱われます。したがって、この場合は、会社から順番に「地下鉄、山手線、京浜東北線」でも、自宅から順番に「京浜東北線、山手線、地下鉄」でも、あるいは思いつくままの順番でもオッケーなわけです。さて、会社の同僚Toniクンが、会社の帰りにこの人の家に遊びに行くとします。「どうやって行ったらいい?」:How can I get to your place?「地下鉄乗って、山手線のって、それから京浜東北線に乗るんだよ。」:You take the subway, Yamanote Line, and Keihin-tohoku Line.この場合、and でつながれている地下鉄、山手線、京浜東北線は、この順番でなければなりませんよね。目的地にたどり着くには、この順番で電車に乗らなければならないからです。すなわち、語順が「時間的な流れ」を表しています。つまり、文法上は同じ役割をするものとして列挙されている場合でも、出てくる語順により、時間的な概念が関連してくる場合があるのです。ま、もっともこの場合には、You take the subway, Yamanote Line, and then Keihin-tohoku Line.などとして、そこに時間的な流れがあることを強調する場合も多いけど。同様に、andで連結されている同格の語、句、節の順番が、時間的な概念だけではなく、重要度、顕在性などが関連する場合もあります。こうした場合の例として「~など」という表現があります。日本語では、まず顕在する例をあげ、それだけではないことを示すものとしてこの表現が使われますが、この場合、顕在性が語順により表現されていることになります。しかるに、同じ「~など」を表現する方法として、英語にはいくつかの言い回しがあります。これも場合により使い分けるのですが、たとえば、ある自動車の売り口上で、シートの色にバリエーションがあることを伝える文章として「シートの布地の色は、青、赤、黄色等からお選び頂けます。」というのを英語で言ってみるとします。A) The upholstery is available in blue, red, yellow, etc.B) The upholstery is available in various colors including blue, red, and yellow.C) The upholstery is available in blue, red, yellow, and some other colors.上記Aでは、「等」が、etc.で表現されています。日本語の語順をそのまま生かすことのできる表現です。etcは「等」の訳語として一般的ですが、上記Aを一般の文章中で用いるのは、あまりよくない、と言われています。これは、「文末のetcを避ける」という指針があるからです。しかし、上記のように、AはB、Cと比較して短いため、広告など、スペースに限りがある場合であって、語法等がそれほど問題ではない場合に使用されます。ちなみに、etcは、ラテン語のet cetera (and the rest)すなわち、青、赤、黄色、その他の色が同格として扱われているわけですが、その他の色を青、赤、黄色などに先んじて列挙することはできません。もし、「その他の色もある」ことを強調したい場合は、上記Bを用います。色のバリエーションが豊富であることが強調されます。この場合、都合「等」が例示された色よりも前に来るわけです。including は、such as でもオッケーです。上記Cは、前述のetc. を文末に持ってこないようにする、という指針を守るための解決策となります。
Apr 14, 2008
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