団塊定年日記

団塊定年日記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

Frankenstein0313

Frankenstein0313

Calendar

Favorite Blog

ネックウォーマーを… New! Mittyoさん

長〜い夜。 danmama313さん

砂の薔薇1-3 風竜胆さん

Republic of MJ Jiro3284さん
【カラーガード大好… いるまよしやすさん

Comments

技術は進歩する@ Re:どうする原子力発電所(01/14) ダイセルイノベーションパークの首席技師…
松本一幸@ Re:「イザベラ・バードの道を辿る」横浜散策編(03/04) 本の出版、楽しみにしています
NUWV松本@ Re:弟の七七日忌明法要(04/08) ALSを患われてみえた弟さんの法要だったの…
masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
Frankenstein0313 @ Re[1]:〔継続は力なり〕技術士二次試験合格!!!(03/06) t-nik0618さん  コメントありがとうござ…

Freepage List

2022.03.24
XML
テーマ: お勧めの本(7414)
カテゴリ: カテゴリ未分類
シドニー・デッカー著 清川和宏、作田博、古濱寛訳
『セーフティ・アナーキスト』~現場の知恵と創造力を活かす~
       海文堂 3600円+税

【推薦の言葉(要旨)】    早稲田大学理工学術院教授 小松原明哲氏
 1.先進諸国の安全へのアプローチは、がんじがらめの官僚主義に無理やり押し込まれて
   おり、本来、押し込めるはずのないものまで押し込もうとするがために、かえって
   現場は不安全になっている。
 2.本書のいう官僚主義とは、規程化による安全実現ともいえるが、現場を守るための

         ての規程化ということ。
 3.規程は安全のために定められたのではない。もし、そうしたことを定めていなけれ
         ば、作業員に事故が生じたときには、管理者は自分の責任を問われることになって
         しまうから定めている。
 4.規程を現場が守っているか、そのコンプライアンスを監視する役割とその規程が生
         まれその監視者がきちんと監視しているかを監視する役割とその規程が生まれ・・
        ・・という無限後退に陥る。
 5.安全への官僚主義の結果、考えない現場、幼稚化した現場が生まれる。また監視の
        ために膨大なコストがかかり、安全のための現場改善への投資に回るお金が乏しく
        なる。その結果、かえって不安全になる。
 6.より多くの規則を書き、より多くの書類をつくり、より多くのコンプライアンスを

 7.欧米では、契約時には、事細かな契約書を交わさないといけない。あらゆるケース
        を想定して、それに対して、事前に事細かに対応策を決めておかなくては先に進め
        ない。これが彼らのリスクマネジメント。
 8.現場は生きており、あらゆるケースを想定し尽せない。常識溢れる現場を育て、
        その現場判断を尊重する。そうした安全があってもおかしくないのではないか、

 9.「階層的なトップダウンの権威ではなく、横並びの協調に価値を置いている」
        「人間の自主性と自己決定を再評価させ、職人の技量のプライドを正しく認識させ、
         また彼ら自身が作っていない無意味なものを遵守するという強制から解放する職場」
       「無秩序ではなく自己規制や相互の協調を生み出すこと」端的にいえば、”現場を信
        じよ。信じられる現場をつくるために、管理者や経営者、当局は自己保身のためでは
         ない行動をせよ”といえる。
 10.日本の契約書はシンプルである。「本契約に定めのない事項、又は本契約について
         の疑義が生じた場合は、本契約の趣旨に従い、甲乙誠意をもって協議し、解決するも
         のとする」などとされるのが一般的である。つまり、常識と知性、教養ある大人同士
         が、同じ目標に向けて協力することが前提になっている。これが著者の言う「もっと
         良い方法があることが示されている」ということではないだろうか。
 11.日本においても、注意をしないと、著者の言う官僚主義に流されてしまうかもしれ
         ない。海の向こうから渡来するものにあこがれを持ってしまう傾向があるからである。
         無論、日本の信義誠実の原則にも、おそらく弱点はあるはず。同様に、いままでの日
         本の安全へのアプローチにも弱点はあるだろう。おそらく双方合わせた、より適切な
         安全へのアプローチというものがあり、それを求めていくことが、これからの安全に
   とって最も重要。
 12.安全をどう実現するのか、ということは、文化であり哲学。重要なことは、テクニ
   ックではなくその使い方。包丁も使い方を誤れば凶器になる。

【訳者まえがき(要約)】     清川 和宏氏、作田 博氏、古濱 寛氏
  1.2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故から10年以上が経つ。現在で
    は、より厳しい安全規制が課せられ、また電気事業者は自主的に安全を高めるため
    の活動が要求されている。
  2.安全はシステムを継続的に稼働させるための必要条件であり、とくに、原子力発電
    所のように複雑系システムではなおさらである。
  3.これまでは、規則を数多く作り、トップダウン(規制当局、企業の上位管理者)で
    指示し、その規則を遵守させるという規則遵守(コンプライアンス)をベースとし
    た安全マネジメントに従ってきた。
  4.実際に発生した事故やインシデントの根本原因を探求し、発生の都度、対策として
    新たな規則をつくり出し続け、我が国の原子力産業は、低インシデント発生率を
    世界に誇っていた。しかし、重大事故は発生した。
  5.規則遵守に依存した従来型の安全マネジメントではいくつかの問題点が明らかに
    なってきた。1つは、規則は倍化、3倍化してきたが、トラブルはそれほど減って
    いない。さらに悪いことには、従来型の管理が行き過ぎると、現場実務者は規則を
    守ることに多大な労力を割かれ、安全そのものについて自ら考える余裕がなくなる。
    (インシデントの数が少ない組織ほど大事故が多い)
  6.従来型の安全マネジメントは既知のリスクに対しては非常に効果的に働くが、未知
    のリスクに対してはほとんど無力。次に発生するであろう大事故につながるリスク
    を事前に予測することはほとんど不可能。
  7.現場実務者は、標準的な状況に適用できる規則を、それぞれの状況に合わせて臨機
    応変に適用している。通常はほとんど成功しているが、何らかの理由でうまくいか
    なかったときに事故への道を歩み始めることが考えられる。これを防止するには、
    現場実務者の知恵と創造力を活かし、現場で対応し、安全を作り出すという「草の
    根」の安全マネジメントが不可欠。
  8.従来の規則遵守を中心とした安全マネジメント一辺倒ではなく、現場に任せたほう
    がよい作業や規則制定などに関する権限を現場実務者に与え、現場での安全を作り
    出すとともに、実務者の自主性や自己充足などの人間性を高めることもねらった
    「草の根」の安全マネジメントを組み合わせることを目指すべき。
  9.デッカーはアナーキストを階層型のトップダウンの権限ではなく、個人の完全な
    自由と独立を望む人として定義している。社会学、哲学など多岐の分野の知見から
    広く安全マネジメントのあり方について議論している学術書である。

              【目  次】
  第1章 変革のための事例
  第2章 あなたにとって何がベストかを知っている
  第3章 権威主義的高モダニズム
  第4章 安全官僚制度
  第5章 測定されるものは操作される
  第6章 私たちが幼児化するとき
  第7章 新たな信仰
  第8章 非決定論的な世界
  第9章 アナーキー対アナーキズム
  第10章 解決方法
                                                                                  ー 以上 ー





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.03.25 06:21:18
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: