雪に降り込められた昨夕から読み始め、今朝未明に読了する。
吉村 昭さんの文章は硬質だが実に読みやすい。
徹底した取材に裏付けられているから、全体に奥行きと広がりがある。
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明治日本の命運を賭した日露戦争。
戦勝ムードに沸き返る国民の多大な期待をその病弱小柄な一身に負い、
全権・小村寿太郎はアメリカ・ポーツマスでの講和会議に臨んだ。
ロシア側全権ウィッテとの緊迫した駆け引きの末に講和は劇的に成立するが、
樺太北部と賠償金を放棄する内容の講和条約に対し国民は憤懣を爆発させ、
かの有名な東京・日比谷焼討ち事件などの大暴動へと発展していくのである。
近代日本の分水嶺ともいわれる「日露戦争」に光をあて、
名利を求めず交渉妥結に生命を燃焼させた外相・小村寿太郎を描く。
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「明治日本」、「明治という国家」には学ぶところが大きいと思う。
現今の日露関係などをみるにつけ、その思いは強くなるばかりだ。
なにより、今の日本は、妙な「大国意識」を棄てなければならないだろう。
自らの「弱さ」をよく意識し、「細心にして大胆」な外交感覚が必要だ。
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2月中旬、今頃が寒さの底にあるのかもしれない。
今朝、外には名残りの雪があるが、仕事場にはブーゲンビリアが咲いている。
健気だな~~、ブーゲンちゃん。
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