父は、ある時から、私に、
「ガクモンしろ、がくもんしろ、学問しろ」とうるさく言うようになった。
私は、とても強く、反発した。
私には、「学問=勉強」、「勉強=試験」というイメージがあった。
父が言う学問は、
真面目に勉強して試験でいい点数を取れというふうに聞こえた。
だが、ある日、私は知った。
父の言う学問はそのようなものではなかった。
ある晩、酔っ払った父は涙ながらに言った。
「オレは学問がないので世の中のことが分からない」
私はそんなことはあるまいと思いながら聞いていた。
オレはガクモンが無いので、
新聞を読んでも分からない、テレビのニュースも分からない。
・・・酔っ払いの繰言は続く。
しかし、私は、ようやく気がついた。
父の言う「ガクモン、がくもん、学問」の意味が・・・。
父が、「ガクモン・・」と言い出したのは小学校3年生のころだった。
父は、そのとき、学問のある弟を喪ったのだ。
父の弟=私の叔父は、国立大学の卒業を目前に自死してしまった。
鹿児島市内の県立高校教師に内定していたのにである。
あとで知ったが、叔父はタイヘンな勉強家であり活動家でもあったらしい。
その遺産を、私はいまでも、受け継いでいる。
だが、叔父の自死の真相は、いまもってよく分からない。
今は、父の気持ちがよく分かる。
息子たちに、「人間は一生涯勉強せよ」と言い続けている今の私だ。
知れば知るほどに、知らない自分を知ることになることを知っている。
無知の知。
本当に、知らなければいけないことがたくさんある。
人間は、一生、勉強=学問しなければいけないようだが、
それは、また、しかし、楽しみでもあるようだと思う昨今だ。
意味わから~~じだが、一応、残しておこう。
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