遊心六中記

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2020.04.12
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カテゴリ: 観照 & 探訪
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前回利用した境内案内図は、 朱印所の側壁に掲示してある境内案内図 です。

                            前回同様に 一部追加修正した形で境内案内図を利用 します。

みえいどう :本堂)です。

9年間に及ぶ平成大修理が終わり、4月13日から国宝御影堂の落慶法要の行事が始まる予定でした。
本来なら、この香炉の先に見える建物前面の仮フェンスが撤去されているはずでした。
残念ながら、新型コロナウィルス感染騒動の影響で、春の法要は中止となりました。
7日(火)の午後、この境内地で見かけたのはほんの数名の参拝者だけでした。


まずは、ぐるりと御影堂の外観を反時計回りに巡ってみましょう。

集会堂と御影堂との境にある築地塀の門を通り抜け、 北西側から眺めた御影堂 です。
御影堂の北面と西面 を眺めています。御影堂の西面は渡り廊下で阿弥陀堂と繋がっています。
御影堂北面、東方向の景色
北面は集会堂と渡り廊下で繋がっています。主なお堂がすべて屋根付きの廊下で繋がっています。

北面の向拝の 手挟み ​​ズームアップ​​ で撮ってみました。彫りの深い装飾が施されています。すぐ近くから個別に観察してみたいものです。

御影堂のまわりには 落慶法要のための五色幕
なぜ五色なのか?
それぞれの色は、物事をありのままに正しく見つめていく5つの智慧をあらわすそうです。青(成所作智:あらあゆるものを完成にみちびく)、白(平等智:すべてのものが平等であることを知る)、赤(法界体性智:物事の本質を明らかにする)、黄(大円鏡智:鏡のように、すべてを差別なく見ることができる)、緑(妙観察智:平等でもそれぞれ違うものであることを知る)だとか。 (資料1)
手許の仏教辞典を引くと、五色(五正色/五大色)とは、青・黄・赤・白・黒の基本色をいうそうです (資料2) 。黒が緑に置き換えられて五色幕になっているのでしょうか・・・。
また、「古代中国から伝わった陰陽五行説の五行配当色である。赤・白・黄・青・黒が基本色となっています。 ただし青と黒は現在使われる青色や黒色ではなく、伝統的表現の緑(翠)と青(群青)で表されます。」 (資料3)
北西側、稚児棟の鬼瓦

入母屋造の屋根の側面、切妻部分に見事な ​透かし彫り彫刻​ を遠望できます。また屋根の合掌部に 猪の目懸魚 が使われています。

西側から建物側面の前部分 眺めました 御影堂は南面 しています。東端に見えるのは経蔵(マゼンタ色の丸のところ)です。
南西側、稚児棟の鬼瓦

南西側、朱印所の近くからの眺め

大棟の鬼瓦(西端)と西側降棟の鬼瓦


向拝の前面には、 紫地に三葉葵(徳川)の紋を白抜きにした幕 が掛けられています。


御影堂の正面全景 です。
全景を撮るためにかなり距離をとっています。そのため、正面の階段前の仮フェンスは、よく見つめない限りそれほど気になりません。

御影堂は桁行(正面)11間、梁間(側面)9間、単層、入母屋造り、本瓦葺です。 (資料1)
現代風に言えば、正面(間口)45m、側面(奥行き)35m、高さ28mの建物です。

徳川家康が1603年(慶長8)に建立しましたが、火災にて焼失。1639年(寛永16)に三代将軍家光が再建しました。明治時代までに4回の大規模修理が行われてきたそうです。平成大修理は約100年ぶりのことだとか。 (資料4)

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御影堂の東側面を南から眺めた景色
石畳の先に大方丈を取り囲む築地塀に設けられた 唐門 が見えます。右側の大きな屋根が 大方丈 です。

御影堂の東側面

         屋根の側面、切妻部分に設けられた 透かし彫り彫刻
南東側の屋根

稚児棟の先端は鬼瓦の代わりに、 龍像が彫刻されています
鬼瓦の変種?それとも龍瓦?専門家はどういう識別をするのでしょうか。


南東隅の組物 。隅木の下に尾棰がにょきっと張り出し、広がりを見せています。

                          斗栱の構造 を見ているとそこに調和と均整の美、力強さを感じます。
風にはためく五色幕の背後下方に、 「忘れ傘はこの上」 と記した木札 が取り付けてあります。
左甚五郎の忘れ傘 と伝承される傘が、元の場所に戻されているということでしょう。

木札がどこに掛けてあるのか、この景色でわかりますね。
南東隅 で、 外縁下 を眺めてみました。
きっちりと金網が床下側面に張られています。
縁束は正方形の切石(礎石)の上に乗り、白い漆喰塗りの 亀腹 が今が一番美しい。

東側からの眺め

 五色幕はこの落慶記念に新調されたものです。


正面の向拝前に立ち、 頭貫上の蟇股を眺めましょう

中央の蟇股 は股の枠に龍が体を巻き付けるような形で、 龍像 が丸彫りされています。
龍の東隣り
東端の蟇股


龍の西隣り
西端の蟇股
西側の木鼻

御影堂落慶に関連した新聞報道によりますと、
*今回の大修理で、内天井を飾る天蓋が、御影堂の再建された寛永年間(1624~1644)に製作されたものであることが判明したと言います。「天蓋は本体が約3メートル四方、高さ約1.5メートル。木製で、メッキと彫金が施された銅板で装飾されている。」 (資料5)
*宗祖法然像を納める「宮殿 (くうでん) 」や内陣の柱など堂内装飾に10平方センチの金箔が約10万枚使用されたそうです。 (資料4)
*天井からつり下げるヒノキ製の仏具「幢幡 (どうばん) 」1対は新たに造り替えられました。長さ約6.2m、重さ約400kgで、世界最大級だそうです。 (資料4)

それでは、御影堂の周辺を東側から巡って行きましょう。

集会堂に繋がる渡り廊下の東側に位置する 唐門 は、1641年(寛永18)に建立された勅使門です。大方丈の玄関前にあり、入母屋造、檜皮葺、前後に唐破風をかけた四脚門で重要文化財です。建築細部の彫刻などに桃山時代の様式の名残をとどめていると言います。 (資料1,6)


唐門から東方向に目を転じると、少し 急な石段が東の斜面に 延びています。境内案内図に黄色の丸を付けたところです。

石段入口の少し先、北側に 法然上人の銅像 が建立されています。
この石段は 法然廟・勢至堂と総墓地に至る参道 です。

     石段参道の途中に、桜の木が満開から散り始めというところでした。


御影堂の南東方向に 「経蔵」 (マゼンタ色の丸をつけた所)があります。
1621年(元和7)に三門と同時期に建造されたお堂です。方三間、単層、裳階付き、宝形造り、本瓦葺です。裳階の外側に柱を並べて吹き放しの形にしてあります。この方式は珍しいもののようです。経蔵も重要文化財。残念なことに、内部は非公開です。『宋版一切経』を安置する八角輪蔵が備えられていて、堂内は狩野派の絵師により荘厳されているそうです。 (資料1,7)

経蔵の鬼瓦


          池に架かる反り橋を経蔵側から眺めた景色

橋の傍の桜が散り始めていますが、まだ見頃でした。


​経蔵の​ 南東方向に 「納骨堂」 (紫色の丸を付けた所)があります。
納骨堂へは池に架かる橋を渡って、石段を上ることになります。

池の畔から三門に向かいます。左(南)に宝仏殿(空色の丸を付けたところ)、右(北)に御影堂を眺めつつ、境内を西方向に横切ります。

阿弥陀堂と手前の手水舎の間の桜を少し遠目に見ながら、朱印所の南側を通り過ぎます。
それでは、三門に向かいましょう。知恩院の桜では見所のエリアです。

つづく

参照資料
1) ​ 仏具 五色幕 ​ :「寶樹山萬福寺」
2) 『新・佛教辞典 増補』 中村元監修 誠信書房
3) ​ 五色幕 ​  :「滝本仏光堂」
4) ​ 金箔10万枚、国宝の御影堂ピカピカに 京都・知恩院、約10年の修復工事ほぼ完了 ​:「京都新聞」
5)​ 知恩院「御影堂」の天蓋は再建時の製作 修理で判明 ​ :「日本経済新聞」
6) ​ 唐門 ​  :「知恩院」
7) ​ 経蔵 ​  :「知恩院」

補遺
浄土宗総本山 知恩院 ​ ホームページ
国宝御影堂の大修理終了 知恩院、4月に落慶法要 ​  :YouTube
知恩院本堂を報道公開 8年の修理終える 京都 ​   :YouTube
国宝御影堂の大修理終了 知恩院、4月に落慶法要 ​  :「産経フォト」
知恩院の国宝・御影堂、大修理完了! ​ :「京都いいとこブログ」

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

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その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
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観照&探訪 京都・東山 知恩院 -1 瓜生石・黒門・大庫裏・集会堂・阿弥陀堂前の桜 へ
観照&探訪 京都・東山 知恩院 -3  鎮守八幡社・真葛庵・三門・小鍛治井 へ


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Last updated  2020.04.12 17:45:24
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