漫画家・写真家玉地俊雄紫煙のゆらぎ

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2008.05.05

６０　もんすたぁーヴィヴァ最終日なりきりレゴンダンサァー。僕はテイルタサリのメンバァーだった

カテゴリ：紫煙のゆらぎ

　　　　　　全員ナリキリのつもりでおおはしゃぎ、携帯フラッシュの嵐
　　　　　　　（このお二人には口頭で掲載の許可を貰っています）

　　　　　紫煙のゆらぎ・もんすたぁーヴィヴァ最終日ナリキリレゴンダサァー

ポーズをきめる人、怖い顔で緊張しいてる人、にやける人。

レゴン・ラッサムで被られるかんむり、ランケサリ姫のゲルンガンと
チョンドンの首周りを飾る綺麗なバドゥンを持ち込んだ。

アトリエにはまだ、魔女ランダもいらっしゃられるが、今回は辞退していただく事とした。

人間には３つの夢があると、僕の師、手塚治虫先生がおっしやられていた。

動物と会話できるようになれる事。
変身できる事。

漫画の世界では当たり前の事である。

大盛況でいつ果てるとも無くにやけたポーズと携帯フラッシュの嵐あらし嵐。
１００人は下らないだろう。

ナリキリは変身願望の顕著な症例。
コスプレ大会の狂気とは違った、美しいものと、見た事も無いレゴンダンスへのナリキリ。

めったに無いチャンスに大勢が集まった。

宴会芸や観光地の首穴絵看板など、ついつい引き込まれるのであるが、
今回は本当の本物、僕がバリ島スカワッティ村の舞台衣装専門製造工房から
買い求めたもの達の一部。

２日目から僕の個展会場と化した在大阪インドネシア共和国領事館のブースは、
まるで僕の治外法権状態になって狂人がおおはしゃぎしている。

イカンだなあいかんは魚だなぁ。

日本では、インドネシアの事をこう言う。

「人は（オラン）し飯は（ナシ）、魚は食うたら（イカン）国」

テイルタサリのバレル～ン劇場公演ＤＶＤを見たい、と言う人が居たのでその映像を流した。

すると、突然のこと、僕はいつものプリアタン、バレル～ン劇場中央席１番に
座っている錯覚に襲われ、スティックを長めに持って構える。

最初の前奏曲、スカール・ゲンドットが流れ始めると気が狂ってしまった。

僕は今、ティルタ・サリの２列目左端で名器スマル・プグリンガンを叩いている。
体がゆらぐ。
テンポが急激にかわって走り出すと歯をくいしばってこの流れを追いかける。

音は当然遅れてずれて間違っているがともかく叩きつづける。

流れにみをまかせゆらぎたわめきつつ、目はテイルタ・サリの
スティックの動きと速さを追い続け、ゲストも見えず、会場のざわめきも何も聞こえない。

最後の音がゆっくりとしずかにきえていってはじめてわれにかえった。

今見た白昼夢はまぼろしだったが、僕は何も出来ないはずなのに、テイルタ・サリの
２列目左端に確かに座っていたはずだ。

次のプスカ・マカァールは冷静に、僕は会場で間違った音を叩いているとはっきり認識して、しかし、ゲストを無視して自分の遊びを楽しんでいた。

レゴン・ラッサムはビダニを見たとたん
スティックが止まり叩くのもゲストも無視無視で見入っていた。

オカダラムのクビャール・トロンポンでは、
見よう見まねの現地衣装に扇を持ってふざける僕をギャラリィが遠巻きに見ている。

僕はウブドの狂人だ。

無料奉仕の勝手連はとても面白い。
手塚治虫先生の劇場用アニメのお手伝いや、学園祭の雰囲気が楽しいうえに、
個展まがいの展示会をやっている。

ええんかいな？宴会やからこの３日間。

ほたるの光が流れ始めるとドカンと疲れが襲ってきた。
最後の抽選会に並ぶ人の列と、
撤収に掛かる各ブースの人々の間をぬって設営解体業者も入ってくる。

何だったんだろう、この３日間は。
開始前日の夜、在大阪インドネシア共和国領事館情報部と、
この長くてかきにくい処の情報部女史から突然の電話があった事。

「明日から始まる、大阪インテックスのイベントで、
玉地さんの作品を２点、展示させてもらっていいですか」

それだけでは解からないので当日会場へ出かけたのが発狂の元凶となった。

畢竟

一番良く理解されたのが、名器ガムラン・スマル・プグリンガンの
ナマの音をムチャクチャではあるが、みんなで思いっくそ叩きまわした事。

次が映像美の威力と驚嘆のまなざし。

僕の思い込みの強烈な写真作品は、バリ島ウブドに興味のある人には
馬鹿受けするが一部の人に留まっている事。

これがはっきりとわかった。大豊作であった。

在大阪インドネシア共和国領事館の皆様、数々多くのゲストの皆々様方。

おありがとうござぁ～い。

ウブドの狂人　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　玉地俊雄

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