それはさておき、このアルバムでのボブ・シーガーは、40代も半ばになり、円熟味が増したロッカーぶりを発揮している。そんな時にこの「ザ・ファイアー・インサイド(The Fire Inside)」のような曲が生まれるのだろう。さらりと流れるようなメロディの中でしっかりとビートが刻まれ、哀愁を漂わせつつ、リラックスして歌っているようでありながらも力の入れどころを心得たヴォーカルはみごとである。20代、30代とある意味で攻撃的で肩に力の入っている状態では、こういう曲は生まれにくい。年齢を重ねたロッカーならではの余裕というべきか。おまけにこの頃のボブ・シーガーには大物の貫録も備わり、ゲスト・ミュージシャンも豊富に加えることができている。この曲に関して言えば、ゲスト参加したスティーヴ・ルカサー(TOTOのギタリスト)のアコギ、そしてロイ・ビタン(E・ストリート・バンド)のピアノが効いている。
[収録アルバム]
Bob Seger and The Silver Bullet Band /The Fire Inside Bob Seger & The Silver Bullet Band / Greatest Hits (1994年)