音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年09月30日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ




 CTIというレーベルは洒落たジャケットも多いのだが、本盤は例外。もさいおっさん二人(失礼!もちろん二人とはアート・ファーマーとジム・ホール)がにらめっこしている写真が中央から下部にかけて1枚配置され、あとはアルバム名などの文字情報のみ。アルバムから出てくる音がこんなに美しいとは普通思わないような雰囲気のジャケットである。

 さて、アート・ファーマー(Art Farmer)は1928年生まれのトランペット奏者で、以前紹介したソニー・クラークの超有名盤 『クール・ストラッティン』(1958年)にも参加している。1960年頃からはトランペットに加えてフリューゲルホルンの演奏も重視し始め、1990年代にはフランペット(トランペットとフリューゲルホルンをミックスした楽器)を主に演奏した。 他方、1930年生まれのジム・ホール(Jim Hall)は、職人肌のギター奏者で、以前には『アランフェス協奏曲』(1975年)で紹介した人物。 これら二人が中心となって1978年に録音されたのが本作『ビッグ・ブルース(Big Blues)』である。

 ジム・ホールのギタープレイもさることながら、"美しい音"という表題の観点からすると、本盤の最大の聴き所は、アート・ファーマーのフリューゲルホルンである。筆者は楽器の知識はさっぱりだが、この管楽器はコルネットに似たもので、トランペットやコルネットに比べてより太く豊かで甘美な音が特徴であり、高音域の演奏がより難しいとされるらしい。とにかくそんなアート・ファーマーのフリューゲルホルンが官能的な音を紡ぎだし、ジム・ホールのギターが控えめながらその背後をしっかりと支えている(もちろんジム・ホールもソロを取る)。さらに、本作の"音の美しさ"を支えている重要な人物がもう一人いることを見逃してはならない。ヴィブラフォンを演奏しているマイク・マイニエリなる人物である。ヴィブラフォンといえば、ミルト・ジャクソンが有名だけれど、ミルトとはまったく違ったスタイルで独自の世界を見せてくれる。

 比較的長めの4曲が収録されているが、先程から述べている"音の美しさ"という意味では、1.「ウィスパー・ノット」と4.「なき王女のためのパヴァーヌ」が特に美しい。前者はベニー・ゴルソンの作で、もともとアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズのために書かれた曲。後者は、「ボレロ」や「展覧会の絵」で知られるフランスの作曲家ラヴェル(1875年生、1937年没)の楽曲で、本盤では10分を超える演奏であるにもかかわらず、演奏終了後の「まだ終わらないでほしい」感がたまらない。アルバムであれ、楽曲単位であれ、演奏が終わったあとに「もう少し聴いていたい」と思わせることは、名曲や名盤の条件の一つで、そうしょっちゅう感じる現象ではない。4.「なき王女のためのパヴァーヌ」はそんな思いを強く抱かせてくれる名演奏である。


[収録曲]
1. Whisper Not
2. A Child Is Born
3. Big Blues


Art Farmer (flh)
Jim Hall (g)
Mike Moore (b)
Steve Gadd (ds)
Mike Mainieri (vib)

録音:1978年2月





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Last updated  2010年05月20日 09時06分30秒 コメントを書く


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