音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年11月17日
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テーマ: Jazz(1972)
カテゴリ: ジャズ




 "ブルーノート1500番台"といえば、ジャズを聴く多くの人にとって特別なものである。ブルーノートとは、ドイツ人のアルフレッド・ライオンが1939年に設立したレーベル。LPレコード時代の到来を経て同社がリリースした1501番から始まる番号のLPレコード盤は"ジャズの真髄"とすら評価される。そして、その"1500番台"最初の2枚(つまりは、1501番と1502番)が、『マイルス・デイヴィス・オール・スターズ(Vol. 1およびVol. 2)』と題されたものであった。ここでは、2枚目の『Vol. 2』を取り上げるが、別に『Vol. 1』と『Vol. 2』との優劣をつけているわけではなく、たまたま筆者にとって、『Vol. 2』の方がよく聴いていて、それゆえ、個人的により親しみがあり、話をしやすいというだけの理由である。

 これら2枚が高く評価される理由は、"ブルーノート1500番台"の冒頭を飾るというだけではない。しばしば見られる評価として、「初期マイルスの進化の過程を記録したドキュメント」、「ドラッグから立ち直っていくマイルスをとらえたドキュメント」とする見方がある。実際、マイルスにとって、この時期はドラッグから立ち直っていく時であった。そして、いったんはジャズ業界から見放されつつあったマイルスとの約束をアルフレッド・ライオンが律儀に守り、年に1度のレコーディングを重ねながらこれら2枚が出来上がった。このような経緯ゆえ、Vol. 1には1952年と53年、Vol. 2には1952年、53年、54年のものが収録されたわけで、"ドキュメンタリー"的な評価は頷ける。

 けれども、21世紀のいま現在、初めてそのCDを手にとって聴く人がいたとして、以上の話がどれだけリアルかというと疑問もある。初めて聴く側からすれば、そんな話など知らないという方が普通だろう(そんな話を知っていて当然と言うジャズ・ファンもいるだろうが、そうした押し付けは必須ではないと個人的には思う)。早い話、そうした聴き手にとって、目の前にあるのは、ただ単に"かの有名な"マイルス初期のアルバム、もしくは"かの有名な"1500番台の作品ということに過ぎない。

 では、そういう風に、よく言われる"ドキュメント性"を抜きにこれらのアルバムを聴いたならば、収録された演奏はどんなものに響くのであろうか。筆者としては、単に一人のトランペット奏者("1ラッパ吹き")としてのマイルスの魅力を存分に伝える盤だと思う。

 このような観点からすれば、ただただ素直にマイルスの演奏に耳を傾ければいいのだろう。というのも、本盤におけるマイルス・デイヴィスのトランペットは"凄い"の一言に尽きるからだ。ややこしい話は不要で、各曲でマイルスが吹いているトランペットの音色・フレーズに耳を傾けてみるとよい。ただただかっこよく、それゆえ"凄み"があるという表現しか出来ない。

 このような言い方をすると、「マイルスは音楽のクリエーターとしての優れた側面もあり、そのような一面的な評価は…」との不満も聴こえてきそうだが、もし何かの縁でこのアルバムを手に取った人がいれば、ややこしい批評などすっ飛ばしていいとすら思う。頭の中の雑念を払って、彼のトランペットの演奏に耳を傾ければ、その"凄み"はきっと伝わってくることだろう。しびれんばかりの凄さに参りましたとしか言えない。

 これを書いている今日の気分で(別の日になると若干変わるかもしれないのだが)、筆者が特に"しびれる"と感じる本盤の演奏ベスト3を挙げておくと、1位「ウェアード」(2.)、2位「ドナ」(6.)、3位は甲乙つけがたく「アイ・ウェイテッド・フォー・ユー」(4.)または「テンパス・フュージット」(10.)といったところだろうか。

 なお、現行(2001年)のリイシューでは、曲順・収録曲が大きく異なっている。1952年と54年の録音が『Vol. 1』としてまとめられ、1953年のものが『Vol. 2』として売られている。ここではそれ以前のものを用いたので、現行のヴァージョンを買う方はご注意いただきたい。





1. Take-Off
2. Weirdo
3. Would'n You
4. I Waited For You
5. Ray's Idea (別テイク)
6. Donna
7. Well You Needn't
8. The Leap
9. Lazy Susan
10. Tempus Fugit (別テイク)
11. It Never Entered My Mind




1952年5月9日(3., 6.):
 Miles Davis (tp)
 Jay Jay Johnson (tb)
 Jackie McLean (as)
 Gil Coggins (p)

 Kenny Clarke (ds)

1953年4月20日(4., 5., 10):
 Miles Davis (tp)
 Jay Jay Johnson (tb)
 Jimmy Heath (ts)
 Gil Coggins (p)
 Percy Heath (b)
 Art Blakey (ds)

1954年3月6日(1., 2., 7., 8., 9., 11.):
 Miles Davis (tp)
 Horace Silver (p)
 Percy Heath (b)
 Art Blakey (ds)





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Last updated  2010年05月20日 08時55分13秒 コメントを書く


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