音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年04月02日
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 ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)は、1917年生まれの米国のブルースマンで、2001年に83歳で亡くなっている。11人兄弟の末っ子として生まれ、幼い頃に父を亡くすが、その後に母が再婚した相手(つまりは義理の父になった人物)がブルース歌手で、そこからブルース人生が始まったらしい。第二次大戦が終わった後、1948年から本格的活動を開始し、1960年代にはバンドスタイルを確立しつつ、独特のブギーのスタイルを作り上げていった。

 このように、ジョン・リー・フッカーは、非常に長いキャリアを持つミュージシャンである。試しにウィキペディア(英語版)で「ジョン・リー・フッカー」の項を見て、そこに掲載されたアルバム数を数えてみたのだが、何と86枚にも及んでいた。アルバム間で重なる曲もあるのだろうが、いわゆるベスト盤の類を除いてこの数である。1948年から2001年まで50年以上の活動期間があるとはいえ、尋常な枚数ではない。

 ジャズ界では中山康樹氏の著書に『マイルスを聴け!』というのがある。海賊版やコンピものも含め200枚を超える程度(だったように思うが、曖昧な記憶なので違っていたら失礼)のマイルスのアルバムをひたすら紹介している解説・案内本である。そこまで大部にはならずとも、誰かが『ジョン・リーを聴け!』という本でも作るならば、これまた相当な分量になり得るのではないだろうか。とはいっても、筆者はジョン・リー・フッカーのマニアというわけではない。聴いたアルバムも10枚に及ばない程度である。しかし、聴いた経験のある少数のアルバムの中にもお気に入りがしっかりとあり、本盤はそうした1枚と理解していただきたい。

 本盤のリリース時点で、ジョン・リー・フッカーは74歳。前年(1990年)にはロックの殿堂入りも果たしており、既に超大御所として存在していた。1980年代半ばには新作リリースが滞っていたのだが、1989年に様々なゲストを招いての新録アルバム『ヒーラー』をリリースしてカムバックし、上記の殿堂入りを経て録音・リリースされたのが本作『ミスター・ラッキー』ということになる。

 こうした背景もあるためか、とにかくゲスト陣が多彩である。アルバート・コリンズ、ライ・クーダー、ロバート・クレイ、ジョン・ハモンド、ブッカー・T、ヴァン・モリソン、キース・リチャーズ、カルロス・サンタナ、ジョニー・ウィンター等々…実に贅沢なゲスト・ミュージシャンの顔ぶれである(ライ・クーダーとカルロス・サンタナはプロデュースにも関わっている)。よくまあ、10曲収録のアルバムでこれだけ多くのミュージシャンが参加できたと思うほど豪華なメンバーである。だからといって、本作がイベント企画的な単なるお祭り騒ぎに終わっているかと言うと、まったくもってそうではない。1曲1曲(曲はいずれもジョン・リー単独もしくは共作のオリジナル)の演奏の出来ばえは、上記メンバーから予想される通りの見事なものである。無論、豪華メンバーが集結したからといっていい作品に仕上がる保証はないわけだが、本作の場合、ゲスト陣は無理に個性を押し出すのではなく、ジョン・リー・フッカーのカラーにあわせて演奏している。この点が確かな演奏を生み出す大きな要因だったのだろう。

 実はここにいてもいいもう一人のゲストが存在し得た。しかし、残念ながらそれは実現しなかった(というよりも、運命のめぐりあわせによって、実現し得なかった)。クレジットを注意して見ると気づくのだが、「このアルバムをスティーヴィー・レイ・ヴォーンの思い出に捧げる」との記載がある。スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、ジョン・リーとは親子あるいはそれ以上に年の離れた新時代のブルースの担い手であったが、本作『ミスター・ラッキー』の前年に事故により35歳で死去していた。上記の一言には、ブルース界を案じ、ゲスト参加がかなわなかったスティーヴィーに対するジョン・リーの哀悼の念が込められていたのだろう。

 初期のジョン・リー・フッカーもいいのだが、最初はエレクトリックなバンド・スタイルのものから聴くのが断然とっつきやすいと思う。その点で本盤は初めて聴く人にも、またゲスト・ミュージシャンをきっかけに聴いてみるのにも適している。そして、何よりも、70歳を超えているにもかかわらず、元気全開のジョン・リーがカッコいい。きっとゲスト目当てに本アルバムを手にしても、気がついたらジョン・リーに聴き惚れていることになるだろう。ついでながら、赤いギターを大事そうに抱え、優しそうな表情で写りこんでいるジャケット写真もなかなか秀逸である。



[収録曲]


2. Mr. Lucky
3. Back Stabbers
4. This Is Hip
5. I Cover the Waterfront
6. Highway 13
7. Stripped Me Naked
8. Susie
9. Crawlin' King Snake
10. Father Was a Jockey

1991年リリース。





[枚数限定][限定盤]ミスター・ラッキー/ジョン・リー・フッカー[CD]【返品種別A】





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