音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年04月22日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ




 『アビイ・ロード(Abbey Road)』と言えば、ビートルズの事実上のラスト・アルバムにして不朽の名盤。これがリリースされたのは1969年9月末(英国)および10月初め(米国)のことだった。それからわずか1ヶ月後、そこに収められた楽曲の過半を取り上げ、レコーディングしている人物がいた。そのレコーディングの成果がこのジョージ・ベンソン(George Benson)のアルバムである。

 このようなアルバムが、それも早いタイミングで吹き込まれたことは、ビートルズの影響力の大きさゆえと言えばそれまでなのかもしれない。けれども、少し穿った見方をすれば、ジャズ側・CTI側からの便乗企画という捉え方もできる。真意はともかく、本盤はさして有名盤として後世に記憶されなかった。けれども、内容自体は、これまであまた出されたビートルズのカバー・アルバム類の中では、特段によくできた作品の一つだと思う。

 演奏者ジョージ・ベンソンは1943年生まれ。というわけだから、ビートルズとほぼ同世代(細かく言えば4人のうち最年少のジョージと同い年)である。60年代半ばからジャズ・ミュージシャンとして頭角を現し、70年代以降はフュージョン、さらにはいくつかのアルバムでシンガーとしても成功している。

 上で触れたように、おそらく企画としては、セールスを狙った“二番煎じ”だったのかもしれない。“二番煎じ”というのは二重の意味で、一つは、ビートルズ人気にあやかろうということ。さらに、もう一つは、ウェス・モンゴメリーの『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』(1967年)の成功の二番煎じでもあったのではないかと考えられる。ウェスの同アルバムは、ジャズ・ギタリストがイージーリスニング路線をとり、ビートルズやその他ポップスの楽曲を演奏して成功した。しかしウェスは翌68年に死去しており、ジョージ・ベンソンはジャズ出身のギタリストとしてその後継者的な見方もされた。この“二番煎じ”は、二重の意味で、そしていい意味で、本盤で裏切られたと思う。

 まず、ビートルズの『アビイ・ロード』のうちカバーされているのは10曲。しかし、本盤のトラック数は全部で5つ。つまるところ、この盤の大きな特徴は、元のアルバムの曲構成をそのまま引きずるのではなく、曲をピックアップした後に組み合わせを再構成している点と言える。有名曲を単発的に取り上げたウェスのアルバムとは異なり、トータルに考えたのである。しかもその組み合わせ方にセンスが感じられる。例えば、「ビコーズ」の後に元のビートルズ盤では1曲目の「カム・トゥゲザー」が来ていたり、G・ハリスンの「サムシング」の続きにR・スターの「オクトパスズ・ガーデン」が出てきたりする。

 もう一つの“裏切り”は、本盤でのジョージ・ベンソンがギター演奏だけに終わらなかった点である。複数の曲でヴォーカル部分にもチャレンジし、色気のある歌声を披露している。後々、シンガーとして成功していく大きな契機ともなったわけである。結果、ビートルズのカバー盤としては出色の出来のアルバムになった。細かな注文をつけるならば、日本盤ではタイトルが単に『アビイ・ロード』だけになっているが、やはり原題通り、その“裏面”とか“別の一面”というのを表に出す工夫が欲しかった。あと、ついでながら言うと、ジャケット写真は一応“アビイ・ロード”っぽいショットだが、何ともお粗末な写真…。そんなわけで、見た目や印象の問題はあるものの、ビートルズのカバー盤として素晴らしい盤であることは確かなので、この点はあらためて強調しておきたい。



[収録曲]

1. Golden Slumbers

2. Because
Come Together
3. Oh! Darling
4. Here Comes The Sun
I Want You (She's So Heavy)
5. Something
Octopus's Garden
The End


[録音・パーソネル]

George Benson (g, v)
Herbie Hancock, Ernie Hayes, Bob James (p, org, harpsichord)

Idris Muhammad, Ed Shaughnessy (ds)
Ray Barretto, Andy Gonzalez (per)
Wayne Andre (tb, euphonium)
Don Ashworth (bs, bcl)
Sonny Fortune (as)

Mel Davis, Bernie Glow, Freddie Hubbard (tp, flh)
Marvin Stamm (tp)
Phil Bodner(fl, oboe)
Hubert Laws (fl)
Raoul Poliakin, Max Pollikoff (vln)
George Ricci (cello)
Emanuel Vardi (viola)

1969年10月22~23日、11月4~5日録音。






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