音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年07月11日
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テーマ: 洋楽(3318)




 1961年、ザ・ビーチ・ボーイズの中心メンバーとして音楽シーンに登場したブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)。最近も新作を出すなど第一線で活躍中だが、今回はこの人の苦悩と、そこからの復帰を振り返ってみたい。

 ブライアン・ウィルソンは、ビーチ・ボーイズというグループの中で突出した才能と芸術性を発揮し、ビートルズの刺激を受けながら1966年には名作 『ペット・サウンズ』 を世に送り出す。けれども、同作は、時代の先を行き過ぎていたのか、その当時のシーンでは十分に受け入れられなかった。ブライアンは、続く大作『スマイル』の制作にも取り掛かるが、結局、暗礁に乗り上げてしまう。

 行き詰った理由は、ブライアンが一人で抱え込んでしまったからであった。要するに、ビーチ・ボーイズ全体がそういう進歩的な方向を向いてはおらず、その志向性がグループのものでなくて彼個人のものだったということになるだろうか。わかりよい比較で言うならば、ビートルズが4人の知恵と才能、中心メンバーとしてのジョンとポールのせめぎ合い(コラボや共作、対立や対抗心などプラスマイナスどちらの要素も含め)に依拠して音楽的な深みを獲得していったのと違い、ビーチ・ボーイズではその重荷をブライアンがすべて抱え込んでしまったという図式だったと言える。

 そもそも、『ペット・サウンズ』や『スマイル』の制作と並行する1964年以降、ブライアンは通常のバンド活動からは離れており、やがてLSDやドラッグの依存が進む。結局、ブライアンは精神に異常をきたし、20年近くの長い低迷期を過ごすことになる。スタジオに放火したり、レコード会社の重役夫人に暴言を吐いたり、ポール・マッカートニーが彼の自宅を訪れた時にはロッカーに隠れていたりと奇行譚は枚挙にいとまがない。

 けれども、周囲の人たちの努力もあったのだろう。70年代には単発的にステージに上がることがあったものの、ようやく80年代後半以降、本格的に復帰を果たすことになる。その第1弾のフル・アルバム(ブライアン個人名義としては初めてのアルバムとなる作品)がセルフ・タイトルの本作『ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)』であった。決して大きくヒットしたアルバムというわけではなかったが、シーンでは好意的に受け入れられた。それは、長らくの引き篭もった状態からの復帰というだけでなく、何よりもこの『ブライアン・ウィルソン』が、名盤『ペット・サウンズ』、あるいは未完に終わっていた『スマイル』の作者としてのアーティスティックな側面のちゃんと反映された出来のいいアルバムだったからだと思う。

 収録曲は全曲ブライアンのオリジナル曲(複数の共作を含む)で、プロデュースは彼自身のほか、ラス・タイトルマン(6曲参加、 S・ウィンウッド の「ハイヤー・ラヴ」やE・クラプトンの複数アルバムなどのプロデュースで知られる)やジェフ・リン(1曲参加、 ELO トラベリング・ウィルベリーズ で活躍)らも参加している。全体として統一感があり、何よりもブライアン得意の美しい旋律と精緻な作りが全編にわたって続く。一言でまとめると、60年代の全盛期当時の続きが、20年数年分のポップ音楽の進化も加味されているといったところ。

後編 へ続く)


1998年リリース(収録曲一覧は 後編 に掲載)





Brian Wilson ブライアンウィルソン (ビーチボーイズ) / Brian Wilson 輸入盤 【CD】







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Last updated  2012年07月13日 02時56分25秒 コメントを書く


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