音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年08月11日
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テーマ: Jazz(1967)
カテゴリ: ジャズ




 ギル・メレ(Gil Mellé)は、カリフォルニア出身の芸術家で音楽家。2004年に72歳で亡くなっている。バリトン・サックスおよびテナー・サックス奏者として、さらには作編曲家としてジャズの分野では50年代に主に活躍し、ブルーノート、プレスティッジに主要な録音を残した。

 そもそもこの人は“総合的なアーティスト”だった。50年代、ニューヨークの画廊で彫刻や絵画作品を展示し、そうした芸術性は他のジャズ・ミュージシャンのジャケット・デザイン(例えばセロニアス・モンクの これ なんかが有名)も手掛けている。ブルーノート・レーベルのアルフレッド・ライオンとその録音を長く取り仕切ったルディ・ヴァン・ゲルダーを最初に引き合わせたのも、何とこの人物だった。そもそも、ヴァン・ゲルダーが手掛けたギル・メレの録音に、アルフレッド・ライオンがいたく感激したところからこの関係が始まったという。

 彼の作り出す音楽は“幾何学ジャズ”とか“建築学ジャズ”とか呼ばれたりもする。幾何学というと、小難しいどころか本当に難解そうで、最初っから聴き手が後ずさりしてしまいそうだが、要するに、上のような“総合的アーティスト”ならではの芸術性といった方がよい。つまり、“音楽的”というよりも“芸術表現的”。よって、曲やアレンジも、また音の組み立ても、“空間的”もしくは“立体的”というものだ。

 そのようなわけで、本盤の第一の特徴は“立体性”、つまりは、音の深みにある。けれどもただそれだけでは芸術的に過ぎて音楽として(何よりジャズとして)なんにも面白くない。そこで出てくるのが、本盤の第二の特徴、リズムとスウィングである。2.「ウィアード・ヴァレー」と5.「ヴァーモントの月」という、ムードで聴かせる2曲の演奏を例外として、どの曲の演奏もわかりやすくスウィングしている。

 要するに、ここで披露されるギル・メレの音楽とは、スウィングしながら(時にじっくりのムードでも)聴ける楽しみをクリアした上で初めて、音の立体性とか奥行きとかという要素が特徴になっているわけだ。その基本条件がクリアされてこその“音楽の枠を超えた芸術性”なわけで、決して“純粋な音楽としてのよさ”をすっ飛ばしての芸術性ではない。というわけなので、“幾何学ジャズ”とかいう難しい部分抜きに、ただ聴いて楽しみたい人にもきっと楽しんでもらえる盤だと思う。



[収録曲]

1. The Set Break

3. Moonlight in Vermont
4. Long Ago (And Far Away)
5. The Arab Barber Blues
6. Nice Questions


[パーソネル・録音]

Gil Mellé (ts, bs)
Eddie Bert (tb)
Joe Cinderella (g)
Oscar Pettiford (b)
Ed Thigpen (ds)

1956年4月1日録音。







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Last updated  2012年08月11日 14時09分40秒 コメント(2) | コメントを書く


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