音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年04月08日
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テーマ: 酒と音楽(1)




 夜のバー、酒の香りとタバコの臭い。そこに現れるエンターテイナーといえば、この男の他にいない。トム・ウェイツ(Tom Waits)の第3作(1975年)はまさにそんなイメージそのままのライヴ作で、個人的には頻繁に聴く(と言っても夜にばかり聴くのだけれど)アルバムだったりする。

 CDでは1枚収録になっているが、元のLPでは2枚組。1.~6.がA面、7.~9.がB面、10.~14.がC面、15.~18.がD面となっていた。トラック数は多いけれども、多くの場合、「イントロ」が1トラックに数えられており、実際の収録曲は10曲ほどなので、2枚組でこの曲数は決して多くはない。

 表題の“Nighthawks”というのは、エドワード・ホッパーというアーティストが1942年に描いた、食堂(Diner)で夜に食事を摂る人たちを描いた絵画(その表題が“Nighthawks”)にヒントを得たものと言う。元々ホークスというのは“タカ”や“ハヤブサ”などの鳥を指すが、ナイトホークス(夜のホークス)とういうのは、アメリカヨタカという取りを指すと同時に“夜更かしをする人”と言う意味もあるらしい。早い話、舞台はやっぱり夜の人たちの世界なわけである。

 本盤を聴いていてよくわかることの一つは、トム・ウェイツが客と“対話”しているという点だ。彼の喋っている英語が全部わかるわけではないので、いい加減なところもあるけれども、彼は聴衆と会話のキャッチボールをしつつ、ライヴを進めていく(客の側も敏感に反応している)。そして詞の内容は“言葉に溢れている”(この部分もまた、もうちょっと英語力があれ場、という気にさせられる)。

 とまあ、英語のMCや詞をわからないと十分楽しめないのかもしれないが、筆者なりにこれほど演じてとの距離感(臨場感)が感じられるアルバムもそんじょそこらにはないと思う。要は、“酔いどれ詩人”トム・ウェイツを目の前に感じられる作品ということ。今さら叶わぬ願望ながら、70年代の段階でアメリカに行くことができ、英語がある程度分かり、その場に居合わせたとしたら、どんなに充実した夜を過ごせたことだろうかと思う。無論、その臨場感はあり程度このアルバムで追体験できる。もし聴いたことがないならば、“酒飲み”にはぜひ一度は試してもらいたいと思う作品だったりする。



[収録曲]

1. Opening Intro
2. Emotional Weather Report

4. On a Foggy Night
5. (Intro)
6. Eggs and Sausage (In a Cadillac with Susan Michelson)
7. (Intro)
8. Better Off Without a Wife
9. Nighthawk Postcards (From Easy Street)
10. (Intro)
11. Warm Beer and Cold Women
12. (Intro)
13. Putnam County
14. Spare Parts I (A Nocturnal Emission)

16. (Intro)
17. Big Joe and Phantom 309
18. Spare Parts II and Closing

1975年リリース。






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Last updated  2015年04月08日 21時07分53秒 コメントを書く
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