音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年09月21日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 チック・コリアは1941年生まれのジャズ・ピアニスト。マイルス・デイヴィスのグループの活動などを経て1972年に発表したのがこの『リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return To Forever)』で、彼の代表作として紹介されることも多い。

 彼個人の名義で発売されたものの、実質としては、スタンリー・クラーク(ベース)らとともに結成したグループの作品という方がいい(実際、その後は“リターン・トゥ・フォーエヴァー”をバンド名として活動することになる)。大きなセールスを獲得するとともに、従来のジャズ愛好者からは賛否両論が巻き起こったアルバムである。

 1970年代初頭のこの段階で、ジャズが大きく転換していたことは確かであろう。一般に本盤は“フュージョン時代の先駆け”などと言われるが、60年代までのジャズの“伝統”を踏まえて、その上での新たな一歩だったというのは確かにそうなのだろう。つまるところ、いきなり聴きやすい音楽をやった、というわけではなく、フリー・ジャズの時代を経て“美しさ”への探求の結果、チック・コリアがたどり着いた一つの境地がこれだった。

 上記の“美しさ”と並んで大きな特徴としては、“夜の音楽”としてのジャズがすっかり変容し、本盤の楽曲と演奏は“昼間”のカラーに溢れているという点であろう。朝や日中を思わせる明るさや爽やかさが全体としては支配的である。形式から解き放たれ、予定調和ではない展開を試み、ある種のジャズ・ルネサンスだったという人もいる(個人的にはルネサンスという表現は違うと思うけれど)。

 全体を通して聴くことが一義なのだろうけれど、聴き逃せないのは“永遠回帰”を意味する表題曲の1.「リターン・トゥ・フォーエヴァー」。美しさと同時にどこを彷徨うのかわからない感覚の虜にされてしまう。それから外せないのは、4.「サムシング・アゴー~ラ・フィエスタ」。20分越えの長尺だけれど、リラックス感と美しさの調和、そしてこのメドレーを通しての演奏の展開が実に魅力的で、特に後半の「ラ・フィエスタ」は曲調も素晴らしい。

 正直、個人的にはフュージョンやクロスオーバーといった括り方をされる音楽は得意ではない。それでもなお、チック・コリアのこの盤はジャンルとしての好き嫌いと関係なく名盤だと思う。スウィングしない、形式を外れたこんなジャズがあってもいい。たまにしか聴かないけれど、その“たま”の時間が案外至福の一時だったりするといった具合なのである。




[収録曲]

1. Return to Forever

3. What Game Shall We Play Today
4. Sometime Ago - La Fiesta


[パーソネル・録音]

Flora Purim (v, perc)
Joe Farrell (ss, fl)
Chick Corea (el-p, Fender Rhodes)
Stanley Clarke (b, el-b)
Airto Moreira (ds, perc)

1972年2月2~3日録音。







【RCP】[枚数限定][限定盤]リターン・トゥ・フォーエヴァー/チック・コリア[CD]【返品種別A】






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Last updated  2015年09月21日 08時53分10秒 コメント(4) | コメントを書く


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