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ウクライナではウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官を排除する動きがあるようだ。ヨーロッパ諸国の大使になるという条件でザルジニーは辞任を求められたが、拒否したという。内紛が勃発した理由は言うまでもなく、ウクライナ軍の敗北が決定的だからだ。 本ブログでも繰り返し書いていることだが、ザルジニーは11月1日付けエコノミスト誌に意見を掲載、イギリスの支配層がウォロディミル・ゼレンスキー大統領からザルジニー司令官へ乗り換えようとしているのではないかと噂された。ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと言われているが、同国の支配層は彼に見切りをつけたのかもしれない。現在、ゼレンスキーを支えているのはジョー・バイデン米大統領の周辺だと言われている。 イギリスのベン・ウォレス前英国防相は10月1日、戦場で戦うウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えているとテレグラフ紙に寄稿した記事の中で指摘した。平均年齢は42歳だと言われ、戦場では50歳代や60歳代のウクライナ兵が戦っている。ロシア軍の兵士によると、戦場で妊婦のウクライナ兵を見つけたという。 現在のウクライナは2014年2月にバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターで誕生した体制下にある。ネオ・ナチを使い、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのだが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデターに反発、抵抗を始めた。反クーデター軍は強く、アメリカ/NATOはクーデター体制の戦力増強に乗り出す。そのための時間稼ぎに使われたのがミンスク合意だ。 アメリカ/NATOは8年かけてクーデター体制の戦力を増強、ドンバス(ドネツクやルガンスク)周辺に要塞線を築いた。アゾフ大隊が拠点にしたマリウポリや岩塩の採掘場があるソレダル、その中間に位置するマリーインカには地下要塞がある。 昨年の初めからウクライナ軍がドンバスの周辺に集まり、2022年2月に入ると砲撃を激化させた。総攻撃が近いと少なからぬ人が推測していたが、そうした中、2月24日にロシア軍はドンバスで軍事作戦を開始した。 ロシア軍は航空兵力やミサイルの攻撃で終結していたウクライナ軍や軍事基地、生物兵器の研究開発施設などを攻撃、地上での戦闘はドンバスの現地軍、チェチェン軍、あるいは傭兵のワグナー・グループ。戦力を比較するとドンバス側はキエフ側の数分の1だったと言われているのだが、ウクライナ軍は劣勢。そこで2月の終わりには停戦交渉が始まっている。これをアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどが潰したのだ。この辺の事情は本ブログでも繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。 2023年にウクライナ軍はアメリカ/NATOの圧力で「反転攻勢」試みるが、「大惨事」に終わったのだが、その間、アメリカ軍がキエフの周辺に配備したパトリオット・システムやC-RAM(カウンターRAM)をロシア軍はミサイルやドローンで破壊、アメリカの防空システムは無力化されていると見られている。 シリアとヨルダンの国境近くにあるアメリカ軍のタワー22基地が1月28日に攻撃され、アメリカ兵3名が死亡、25名以上が負傷したと発表されている。損害の程度から攻撃に使われたのはドローでなくミサイルだと推測する人もいるが、ヨルダン政府はそうした攻撃があったことを否定している。アメリカ軍との関係が明らかになるとヨルダン政府が窮地に陥る可能性があり、否定したのかもしれない。 この攻撃でアメリカ軍の防空システムが作動していないことに注目、ウクライナでロシア軍がアメリカ/NATOの防空システムを無力化することに成功していることと関連づける人もいる。アメリカやイスラエルが戦争を中東全域に広げた場合、無惨なことになると警告したのではないかというのだ。
2024.01.31
イスラエル人を殺害した後にガザへ突入したイスラエル軍は住民を虐殺している。すでに2万6000名以上が死亡したとされているが、瓦礫の下にも相当数の遺体が残されていると言われている。その約4割は子ども、女性を加えると7割になるという。 南アフリカの訴えを受け、ICJ(国際司法裁判所)は公開審理を経て1月26日に暫定判決を出した。停戦命令は出さなかったものの、ガザでの虐殺を阻止するため、できる限りの措置を講じるよう命じた。1948年に制定された国連虐殺条約に該当する可能性のある行為を阻止するため、あらゆる手段を講じろということだ。 イスラエル軍がガザで行なっていることは断片的に世界へ伝えられ、各地で抗議活動が展開されている。虐殺の当事者であるイスラエル政府だけでなく、虐殺を支援しているアメリカやイギリスも厳しく批判されている。 こうした批判の高まりはあるものの、アラブ諸国を含む大半の国は行動していない。そうした中、例外的な存在がイエメンのフーシ派(アンサール・アラー)だ。イスラエルへ向かう船舶に対する攻撃を開始、イスラエル経済に影響を及ぼしている。 そこでアメリカとイギリスは1月12日からオーストラリア、バーレーン、カナダ、そしてオランダを引き連れ、イエメンを攻撃したのだが、怯む様子はない。1月29日にはアメリカ海軍の遠征移送ドック「ルイス・B・プラー」を攻撃したと伝えられている。 1月28日にはシリアとヨルダンの国境近くにあるアメリカ軍の基地が攻撃され、アメリカ兵3名が死亡したという。ヨルダン政府はそうした攻撃があったことを否定している。アメリカ軍はシリアへ地上部隊を侵入させ、20以上の基地を建設しているが、そのひとつのアル・タンフである可能性が高い。 バグダッドとダマスカスを結ぶ幹線を断ち切る形でアメリカ軍が占領しているのがアル・タンフで、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の戦闘員が訓練を受けている。イギリス軍の特殊部隊も駐留、戦闘員を訓練して油断地帯のデリゾールなどへ送り込んでいると言われている。油田地帯で盗掘された石油はイスラエルへ運ばれているという。アラブ諸国の支配層は腰が引けているものの、一般の人びとは怒っている。 それに対し、アメリカのナンシー・ペロシ元下院議長はガザでの虐殺に抗議する人びとを批判、停戦を求める行為はロシアのウラジミル・プーチン大統領のメッセージを広めることになると主張、FBIはデモ参加者の資金源を捜査するべきだとも語っている。 ペロシはガザでの殺戮を続けさせたいようだが、こうした言動は今回が初めてではない。ウクライナではドンバスを攻撃しようとしていたウクライナ軍をロシア軍が機先を制して攻撃、その1週間後には停戦交渉が始まった。交渉が合意に達した3月5日、ウクライナの治安機関SBUはキエフの路上でウォロディミル・ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。 4月9日にはイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令、4月30日にはアメリカのペロシが下院議員団を率いてウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。その年の8月2日、ペロシは「ひとつの中国」という米中の合意を揺さぶるために台湾を訪問している。ペロシもアメリカの政界に徘徊する魔女のひとりだと言われても仕方がない。
2024.01.30
ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相はギリシャ軍が保有するソ連製兵器をウクライナへ譲渡するように指示したと伝えられている。その前にアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官がミツォタキス首相に対し、2億ドルの援助と引き換えに兵器の譲渡・売却を提案していたという。それだけウクライナ軍は兵器が不足しているということだ。 アメリカ政府の圧力で日本はアメリカへ迎撃ミサイル「PAC3」を輸出する。そのため、岸田文雄政権は12月22日、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定した。「ライセンス生産」した完成品をライセンス元の国へ輸出することもできるようにしたのだ。これはウクライナへ防空システムを供給するためだろう。韓国はウクライナへ155ミリ砲弾などを供給している。 昨年中からウクライナの武器弾薬不足は深刻になっていた。ロシア軍がウクライナの兵器庫を爆撃していることもあるが、アメリカ/NATOの生産力はロシアの数分の1にすぎず、アメリカを含むNATO諸国も兵器が枯渇している。 性能の面でもアメリカ/NATOの兵器はロシアより数十年遅れていると言われている。ソ連の消滅で戦争の相手は航空兵力を持たない弱小国だけになったと思い込んだのか、高性能兵器ではなく高額兵器をアメリカは作るようになったようだ。その象徴が「空飛ぶダンプカー」と呼ばれているF-35戦闘機だ。戦闘機だけでなくミサイルでもロシアはアメリカを圧倒している。「ロシアがアメリカとの技術格差を埋めた」というような状態ではないのだ。 イギリスのベン・ウォレス前英国防相は10月1日、戦場で戦うウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えているとテレグラフ紙に寄稿した記事の中で指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。平均年齢は42歳だと言われ、戦場では50歳代や60歳代のウクライナ兵が戦っている。ロシア軍の兵士によると、戦場で妊婦のウクライナ兵を見つけたという。 ロシア軍は1月16日にウクライナのハリコフを攻撃、ウクライナの軍事施設のほか、情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊したが、その旧ホテルには200人い外国人傭兵が滞在していたと言われている。戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたという。西側の武器を扱えるようにウクライナ兵を訓練する余裕はなく、そうした兵器を扱えるオペレーター、パイロット、整備士などを派遣する必要もある。旧ハリコフ・パレス・ホテルで死亡した傭兵はそうした人びとだろう。 ウクライナ軍は戦える状態ではない。そこで大統領をウォロディミル・ゼレンスキーからバレリー・ザルジニー最高司令官へ交代させ、戦闘を終結させようとする動きがある。そうした中、ロシア軍のIL-76輸送機がフランス製のSAMP-T対空ミサイル2機によって撃墜され、捕虜交換に向かうウクライナ兵65名、乗員6名、ロシア軍の付添兵3名が死亡している。
2024.01.29
アメリカはロシアや中国の周辺にミサイルを配備、いつでも攻撃できる態勢を整えてきた。本ブログでは繰り返し書いてきたが、自衛隊はアメリカの戦略に基づき、すでに南西諸島でミサイル発射基地を建設している。 2016年には与那国島でミサイル発射施設を建設、17年4月には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。このシステムをアメリカが持ち込んだ理由は中国を攻撃する能力を高めることにあるとみられている。 しかし、2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していた。それにもかかわらずミサイル・システムを搬入できたのは朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたからだ。 2013年にはNIS(国家情報院)の大統領選挙介入疑惑を捜査、16年に尹錫烈が検事として朴大統領を捜査する特別検察官チームのトップと就任した。その疑惑とは、NISが2012年の大統領選挙で朴大統領を勝たせるため、インターネットの書き込みを利用したというもの。検事だった尹は朴槿恵政権の正当性を攻撃している。 2016年末に韓国の放送局JTBCは朴大統領の友人だった崔順実(崔瑞源)が国家機密情報を受け取っていたと報道、証拠としてタブレット端末を示し、検察はJTBCの報道を「事実」として認め、崔と安鍾範前大統領府政策調整首席秘書官らが職権乱用や公務上機密漏洩などの容疑で2016年11月に起訴され、朴大統領も共犯だとされた。 結局、朴槿恵は失脚したが、JTBCは青瓦台関係者のタブレットPCを入手し、検察と協力し、あたかも民間人が大統領から様々な機密を持ち出したかのように見せかけたのだと主張する人がいる。報道も捜査もでっち上げだというのだ。 尹錫烈は文在寅政権でソウル中央地検の検事正になり、李明博元大統領や梁承泰元最高裁長官を含む保守派の主要人物を逮捕、文大統領の信頼を得て検事総長になった。その後、尹は次期大統領候補と目されていた趙国法務部長官(当時)に対する捜査を開始、尹が大統領に就任した後、彼の指揮で検察は民主党の李在明党首を収賄容疑で捜査している。 大統領に就任した尹錫烈はアメリカの命令に従って行動、日本と軍事的な同盟関係を結び、逆に中国やロシアを罵り始める。朝鮮半島だけでなく台湾問題にも首を突っ込み、東アジアにおける軍事的な緊張を高め始めた。それだけでなく、武器弾薬が枯渇したアメリカ/NATOに代わり、日本と同じように韓国も武器弾薬を供給する姿勢を見せている。 THAADの後、2019年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成した。ミサイルが配備されることになるのだが、この計画はアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書に記載されている。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するというのだ。 その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 ところが2022年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。自力開発が難しいのか、事態の進展が予想外に早いのだろう。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして昨年2月、浜田靖一防衛大臣は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。 こうした計画のベースにはイギリスの支配層が19世紀に始めた長期戦略がある。ロシア制圧を目指し、南コーカサスや中央アジア戦争を始め、その後、海軍力を生かしてユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げるというものだ。 この戦略を可能にしたのは1869年のスエズ運河完成、75年にはイギリスが経営権を手に入れた。運河を買収した人物はベンジャミン・ディズレーリだが、買収資金を提供したのはライオネル・ド・ロスチャイルドである。イギリスは1882年に運河地帯を占領し、軍事基地化している。世界戦略上、スエズ運河はそれだけ重要だった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) スエズ運河へ入る紅海に面した場所にサウジアラビア、運河のそばにイスラエルをイギリスは作り上げた。サウジアラビアを作るために利用されたのがワッハーブ派、イスラエルを作るために利用されたのがシオニストだ。そこから支配地域はインド、東南アジア諸国、朝鮮半島、そして日本につながる。 日本は「明治維新」で徳川体制が倒されたが、その黒幕はイギリスの私的権力だった。長州と薩摩を中心に作られた明治体制は琉球併合、台湾派兵、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争へと進む。その背後にはイギリスやアメリカが存在していた。 日露戦争で日本に戦費を用立てたのは、ロスチャイルド系金融機関のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。戦争の調停に乗り出したセオドア・ルーズベルト米大統領はハーバード大学出身だが、その先輩にあたる金子堅太郎と親しかった。ちなみに、関東大震災以降、日本に大きな影響力を及ぼすことになった金融機関は親ファシズムのJPモルガンだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びついた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) アラスカ、ハワイ、フィリピンを手に入れ、東アジア侵略を視野に入れていたアメリカにとって日本の韓国併合は願ってもないことだった。アメリカが最も欲しがっていた場所はカリフォルニアのはるか西にある「新たな西部」、つまり中国東北部だった。その場所に日本は「満州国」を建国している。 明治体制は琉球を併合した後、台湾へ派兵した。その台湾で今年1月13日、相当選挙が実施された。その選挙で勝利した民主進歩党の頼清徳は昨年8月12日にニューヨークを訪問、15日にパラグアイで開かれた大統領就任式に出席した後、16日にサンフランシスコを訪れている。 その直後の8月18日、韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相がジョー・バイデン大統領の招きでキャンプ・デイビッドを訪問した。アメリカは中国やロシアとの戦争を想定、日米韓の三国軍事同盟を築きつつあるが、そこに台湾も引き込むつもりだろう。 アメリカは東アジアで中国と戦うため、オーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を、またオーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」という軍事同盟を組織、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているのだが、中国と戦わされるのは日本と韓国だ。 中国が「ひとつの中国」にこだわるのは、台湾の「独立」がアメリカへの従属につながり、軍事侵略の拠点になる可能性があるからだろう。「ひとつの中国」という合意を2022年8月2日、アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾を訪問して壊しにかかったのだ。ペロシはウクライナへも乗り込み、ロシアと停戦協定を結ぼうという動きを潰している。 アメリカが東アジアでの軍事的な緊張を高める中、昨年7月25日にセルゲイ・ショイグ国防相に率いられたロシアの軍事代表団が朝鮮を訪問し、中国の代表団と合流して朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席している。 また、9月10日から13日に開催されたEEF(東方経済フォーラム)に出席するため、朝鮮の金正恩労働党委員長は9月12日から17日にかけてウラジオストックを訪問。その際、金委員長はプーチン大統領と会談したほか、さまざまなロシア側の要人と会い、さらにSu-35を含むロシアの新鋭戦闘機を生産するユーリ・ガガーリン航空工場を含む工場、あるいは研究所を訪れた。戦闘機の胴体を組み立てる工場では、Su-57などの第5世代戦闘機に関する技術的な特徴について詳しく質問していたと伝えられている。またセルゲイ・ショイグ露国防相と太平洋艦隊のフリゲート艦「マーシャル・シャポシニコフ」も訪れた。 日米韓の軍事同盟に対抗するため、ロシアと中国は朝鮮との関係を強化している。朝鮮の崔善姫外相は1月14日に代表団を率いてロシアを訪問、16日にはセルゲイ・ラブロフ外相に続いてウラジミル・プーチン大統領とも会い、両国の関係と協力を促進することについて話し合ったという。 アメリカは容易に動けない状況だが、中国やロシアを征服するというのは妄想を捨てないだろう。目先の動きに振り回されてはならない。
2024.01.28
日本ではいまだに接種が推進されている「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」は遺伝子導入剤であり、有害物質が含まれているだけでなく、その仕組み自体が人体に有害だということが明確になっている。WHO(世界保健機関)、各国政府、医薬品メーカーなどは重要な情報を隠そうとしてきたが、隠しきれなかった。 そうした中、この危険な薬剤の接種を強引に進めているのが日本にほかならない。役人にしろ医療団体にしろ、「上からの命令」に従うだけであり、マスコミはそうしたシステムに組み込まれた「権威」の宣伝機関にすぎない。政治家は官僚の言いなり。 そこで、なぜ厚生労働省の官僚はこうした無謀なことを進めているのかという疑問が生じるわけだが、製薬業界で25年以上にわたってデータ分析、臨床試験、技術に携わってきたサーシャ・ラティポワは情報公開法で入手した資料の分析に基づき、COVID-19騒動をアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だとしている。日本の厚生労働省はアメリカの国防総省からの命令に従っているのだろう。 この遺伝子導入剤にはいくつもの問題が指摘されている。例えば、mRNAを人間の細胞内へ送り込むために使われているLNP(脂質ナノ粒子)は人体に有害で、肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、薬剤の中に「酸化グラフェン」が存在していることを電子顕微鏡などで発見したと発表、11月には周波数の分析で酸化グラフェンが含まれていることを確認したとした。カンプラの論文を読んだドイツの化学者アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 これらにとどまらず、この薬剤は仕組み自体が問題だ。人間の免疫システムを狂わせて自己免疫疾患を引き起こすのだが、それを抑えるために免疫力を弱める必要がある。人体の方でも免疫を抑制するIgG4抗体が誘導される。 しかし、免疫力が低下すると、通常なら問題にならない微生物が原因で病気になってしまう。いわばAIDS(後天性免疫不全症候群)状態になるわけだ。VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。 AIDSの原因は「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」だとされているのだが、証明はされていない。実際、この仮説に疑問を投げかけた専門家もいる。そのひとりがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査法を開発して1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリス。AIDSの診断にもPCRが利用されていたのだが、PCRを病気の診断に使うべきでないとマリスは主張していた。 HIVを発見し、2008年にノーベル生理学医学賞を受賞したパスツール研究所のリュック・モンタニエは1990年6月、サンフランシスコで開かれたAIDSに関する国際会議で「HIVは無害かもしれない」と語ったという。バクテリアのような微生物、例えばマイコプラズマが同じ場所にいる時、はじめて危険な存在になると彼は考えていたようだ。(Robert F. Kennedy Jr., “The Real Anthony Fauci,” Skyhorse Publishing, 2021) AIDSでもPCR「陽性者」を「感染者」とみなし、一般的に「AZT(アジドチミジン)」と呼ばれている「ZDV(ジドブジン)」を投与している。これは1964年にバローズ・ウェルカム(現在のグラクソスミスクライン)が抗癌剤として開発した医薬品だが、副作用が問題になっていた。HIVで死亡したとされている人の大半はAZTが本当の死因だとする人もいる。(前掲書) AIDSの集団感染が発生したとCDC(疾病予防管理センター)が報告したのは1981年6月のこと。そこからAIDS騒動は始まる。1984年11月にはアンソニー・ファウチがNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長に就任した。 その前、1970年代には伝染病で死亡する人が世界的に少なくなっていた。監督官庁、例えばアメリカのNIH(国立衛生研究所)、その下部機関であるNIAID、CDCは存在意義が問われるような状態になっていたのだ。医薬品業界にとって好ましくない状況だ。 その前からアメリカの国防総省は免疫を兵器として利用する研究を進めていた。1969年9月にはアメリカ下院の歳出委員会で、国防総省国防研究技術局の副局長だったドナルド・マッカーサーがこの問題に触れているのだ。 伝染病からの感染を防ぐ免疫や治癒のプロセスが対応できない「エージェント」が5年から10年の間に出現する語っている。その予測が正しいなら、1974年から79年の間にそうした病原体、あるいは化学物質が開発されたはずだ。その予測通り、免疫システムを無力化する病気が広がり始めたのだ。 アメリカの情報機関も免疫システムに興味を持ち、イラン・コントラ事件が表面化する前、その事件に関わっていた情報機関員が免疫について調査、日本の企業や研究者、あるいは犯罪組織のメンバーに接触しているとする情報が伝えられていた。 AIDSの原因は本当にHIVなのかという疑問は今も消えていない。
2024.01.27
ウクライナに近いロシアのベルゴロド上空でロシア軍のIL-76輸送機がフランス製のSAMP-T対空ミサイル2機によって撃墜された。ロシア領でウクライナ軍がロシア軍機を撃墜したことになる。 航空機には捕虜交換に向かうウクライナ兵65名、乗員6名、ロシア軍の付添兵3名が乗っていたが、全員が死亡したという。事前に飛行計画はウクライナ側に知らされていたはずで、意図的な撃墜だと考えるべきだ。この攻撃を受け、ロシア軍はウクライナ軍の第31機械化旅団と第26砲兵旅団の弾薬庫、そしてSAMP-T対空ミサイル・システムを破壊したと伝えられている。 1月16日にロシア軍はウクライナのハリコフを攻撃、軍事施設のほか情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊した。旧ホテルには200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われ、その大半はフランス人傭兵だったと言われている。その攻撃で60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたという。 この日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領は40発のスカルプ巡航ミサイルと「数百発の爆弾」をキエフに送ると約束しているが、ウクライナ軍はすでに壊滅状態で、防空システムや戦闘機を供給しただけでは動かない。 そこで、兵器を扱えるオペレーター、パイロット、整備士などを送り込む必要がある。死傷したフランス人戦闘員はそうした人びとだったと見られている。ウクライナ人捕虜を乗せていたIL-76輸送機を撃墜したミサイルの発射にも、そうした外国人が関係した可能性が高い。ウクライナ政府はそうした外国人戦闘員にウクライナ国籍を与えているだろうが、実態に変化はない。 ウクライナを戦場とする戦闘はロシアを疲弊させるためにアメリカのネオコンが2014年にネオ・ナチを使ったクーデターから始まった。バラク・オバマ政権は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのだ。クーデター直後、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは反クーデター軍が編成され、内戦が始まった。 ところが、当初、西側を後ろ盾とするクーデター軍は劣勢。そこで8年掛りでアメリカ/NATOはキエフ政権の戦力を増強した。そのための時間稼ぎに使われたのが「ミンスク合意」にほかならない。 そして2022年初頭、ウクライナ軍がドンバスの周辺に集結、砲撃を激化させる。近いうちに軍事侵攻があると少なからぬ人が推測していたが、その前にロシア軍が動いた。集結していたウクライナ軍をミサイルなどで殲滅する。キエフ側の軍や親衛隊はマリウポリ、ソレダル、あるいはマリーインカの地下要塞を利用した要塞線でロシア軍と戦ったものの、ウクライナ軍は壊滅状態だ。 そうした中、イギリスの有力誌エコノミストは11月1日付けでウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の意見を掲載した。現大統領のウォロディミル・ゼレンスキー大統領はイギリスの情報機関MI-6のエージェントだと考えられているが、そのイギリスがゼレンスキーに見切りをつけたと言われている。 ゼレンスキーはアメリカのジョー・バイデン政権にすり寄るしかない状況だが、戦争を推進しているバイデン大統領の周辺はアメリカの政界で孤立しつつある。ウクライナを利用してロシアを疲弊させ、最終的には征服するというネオコンの計画は崩れ始めているわけだ。 そうした状況を一変させようと足掻いている勢力がロシア軍のIL-76輸送機をロシア領で撃墜した可能性はある。
2024.01.26
アメリカとイギリスは1月12日からオーストラリア、バーレーン、カナダ、そしてオランダを引き連れてイエメンを攻撃している。イスラエル軍はガザで2万5000人以上をすでに殺害、そのうち4割は子ども、女性を含めると7割に達するとされている。そうした虐殺を止めるべく、イエメンのフーシ派(アンサール・アラー)はイスラエルへ向かう船舶に対する攻撃を始めた。それに対する報復、つまりガザでの虐殺支援がジョー・バイデン政権の目的だと見なされている。フーシ派の攻撃に米英が反応した理由は、イエメンの攻撃がそれだけイスラエル経済に対して大きなダメージを与えているからだろう。 イエメンはアラビア半島の南西端にあり、アデン湾を挟んでソマリアと、ジブチと紅海への入り口を構成、エチオピアとも面している。紅海を進んで行けばスエズ運河だ。ジブチにフランス、アメリカ、ドイツ、イタリア、スペイン、中国、日本が軍事拠点にしている理由もそこにある。 ソマリア、ジブチ、エチオピア、エリトリアを含むアフリカ大陸の東端にある突き出た部分は「アフリカの角」とも呼ばれている。アメリカなど欧米諸国はこの地域を支配するため、さまざまな工作を行なってきた。 エチオピアでは2020年11月にTPLF(ティグレ人民解放戦線)が政府に対して反乱を開始するが、TPLFの背後にはアメリカ政府が存在していた。アメリカはTPLFにエチオピアを支配させたようとしたのだ。30年間にわたってアメリカはTPLFへ年間約10億ドルの援助を注ぎ込み、「ワシントンの警察官」としての役割を果たさせようとした。 ところが、2018年にTPLFは民衆の反乱で倒され、オロモ民主党の元党員であるアビイ・アーメド氏が権力の座に就く。エチオピアの隣国であるエリトリアは1993年にエチオピアから分離独立した国で、アメリカのAFRICOM(米アフリカ軍)の存在に抵抗している。 エリトリアではEPLF(エリトリア人民解放戦線)が1991年5月に臨時政府の樹立を宣言、93年5月に独立した。その当時からエリトリアは世界銀行とIMFからの融資を拒否、社会主義体制の下で経済的自立を進めた。つまり、アメリカの思い通りにならない国だ。アメリカは2000年代半ばから「制裁」を課している。 エチオピアのTPLFはアメリカにとって重要な手先だが、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長はその幹部だったと言われている。2013年から15年にかけてTPLFの治安部門に所属し、殺人や拷問に関係していたと批判されている。
2024.01.25
厚生労働省は1月23日、昨年11月分の「人口動態統計速報」を発表した。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種者数は減少しているものの、死亡者数は13万3823人と水準は高いままである。
2024.01.25
2月16日午後7時から「としま区民センター」7階会議室で「崩れる『無敵国家米国』神話」というテーマで話します。興味のある方は東京琉球館までEメールで連絡してください。定員40名、参加費1800円です。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp 日本に限らないでしょうが、アメリカは無敵だと信じている人が少なくありませんでした。1991年12月にソ連が消滅して以降、そうした信仰は強まったようですが、その神話が崩れ始め、アメリカの求心力は弱まっています。アメリカを中心とする支配システムが崩壊し始めたということです。 ソ連消滅後、ネオコンと呼ばれるシオニストの好戦派は世界制覇計画を作成して侵略戦争を開始、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されると、そうした動きは加速しました。その結果、ロシア軍部隊がアメリカ支配層の手先として利用している武装勢力と衝突する事態が生じ、ロシア軍の強さを明確にしたのです。 ソ連の消滅の結果、ロシア文化の影響下にない国々はソ連圏から米英圏へ移動していきました。軍事的に見るとロシアの防衛システムが弱体化したと言えますが、経済的に見るとソ連圏の国々を「養う」必要がなくなったという側面もあります。ロシアは自分たちの稼ぎを自分たちのために使うことができるようになり、早いペースで国力を回復させたと言えるでしょう。 旧ソ連圏のうち、東ドイツはナチスが台頭してからソ連を攻撃する中核になった国の一部であり、チェコの半分は1939年にナチスドイツに吸収され、スロバキアの半分はドイツの同盟国でした。ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアも同様です。 カトリック国のポーランドは歴史的に反ロシア感情が強いことで知られています。16世紀から18世紀にかけて同国はリトアニアと「ポーランド・リトアニア連邦」を構成、その領土が最も広かった1600年当時の復活を夢見みる人びとがいました。そうした人びとを率いていたひとりがユゼフ・ピウスツキで、1904年に来日、彼の運動に協力するよう日本側を説得しています。 1917年に帝政ロシアが崩壊すると、再興されたポーランドは現在のウクライナとベラルーシへ軍事侵攻しました。ロシアの革命政権は反発して反撃、1920年夏までにポーランド軍を押し出してワルシャワ近くまで攻め込みました。ピウスツキは1925年に「プロメテウス同盟」という地下組織を作っています。 ポーランドは1934年1月、ナチス体制下のドイツと不可侵条約を締結しました。1938年にポーランドはチェコスロバキアの一部を占領しますが、この年、イギリスとフランスはチェコスロバキアに対し、ズデーテン(スデーティ)地方をドイツへ引き渡すように強い圧力を加えています。 1938年9月に英仏伊独はミュンヘンで首脳会談を開催、ズデーテンの帰属を巡って討議、ドイツへの割譲が認められました。そして1938年10月1日からドイツ軍はズデーテンを占領し始め、ポーランド軍はチェシン・シレジアへ軍事侵攻しています。この時期、ポーランドとドイツとの関係は悪くなかったのです。 そのドイツは第1次世界大戦の敗北で領土を削られ、ドイツ本国と東プロイセンの間にポーランド領(ポーランド回廊)ができ、東プロイセンは飛び地になっていました。 この問題でドイツはポーランドに対し、住民投票を実施してドイツへ回廊を返還する意見が多ければ返還、その際にドイツはポーランドに鉄道やバルト海へ通じる高速道路を渡すと提案、その条件で交渉はほぼ合意に達します。 その調印のため、1939年3月21日にポーランドのジョセフ・ベック外相がドイツの首都ベルリンを訪問することになったのですが、姿を現しませんでした。ロンドンへ向かったのです。その日、ロンドンではアドルフ・ヒトラーをどうするか決めるため、西側各国の指導者が集まっていました。そして26日、ポーランドはドイツに対し、回廊をドイツに返還しないと通告、軍事的な緊張は一気に高まります。 ドイツの動きを警戒していたソ連に対し、イギリスはこの年の7月23日に交渉を申し入れますが、話し合いが始まったのは8月11日。しかもイギリスは文書に署名できる立場の人間を送り込んでいません。 この時、ソ連軍の代表だったクリメント・ボロシロフ国防相(国防人民委員)とボリス・シャポシニコフ参謀総長はポーランドの反対が解決されれば、ドイツを封じ込めるために軍隊をドイツとの国境へ派遣する用意があるとイギリスやフランスの代表に提案しました。 イギリスのテレグラフ紙によると、部隊の規模は120歩兵師団と16騎兵師団。それに対してイギリスの代表だったレジナルド・ドラクス提督は交渉する権限がないという理由から回答を拒否しています。ソ連がドイツを不可侵条約を結んだのはその直後、1939年8月23日のことです。(Nick Holdsworth, “Stalin ‘planned to send a million troops to stop Hitler if Britain and France agreed pact’, the Telegraph, 18 October 2008) イギリスのウィンストン・チャーチル政権はシティを後ろ盾とする帝国主義者として知られ、ソ連征服を目指していました。そのチャーチルと同じように、ソ連を敵視、ルーズベルト政権の打倒を目指していたのがウォール街、つまりアメリカの巨大金融機関でした。この辺の事情は本ブログでも繰り返し書いていますので、ここでは割愛します。 そしてドイツ軍は1939年9月1日にポーランドへ軍事侵攻、9月3日にイギリスとフランスはドイツに宣戦布告しますが、しばらくは目立った戦闘がありません。「奇妙な戦争」です。戦局が動き始めるのは半年ほど後です。 その当時、ポーランドの反ロシア運動で大きな影響力を持っていたウラジスラフ・シコルスキーはパリへ脱出、1939年9月30日に亡命政権を作り、翌年6月19日にチャーチル首相と会談、ポーランドがイギリスと一緒に戦うことを約束します。そして亡命政権はロンドンへ移動しました。 ドイツ軍は1941年6月にソ連に対する奇襲攻撃「バルバロッサ作戦」を開始します。西側に約90万人だけを残し、東側に310万人を投入するという非常識なもので、まるで西側から攻撃してこないことを知っていたかのようです。 大きな軍事作戦では準備のためにそれなりの期間が必要です。バルパロッサ作戦を始める直前、1940年9月から41年5月までの期間、ドイツ軍はイギリスを空爆していました。ドイツは本気でイギリスへ軍事侵攻する意思はなかったと見る人もいます。つまり陽動作戦。 ドイツ軍は1941年7月にレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達しました。ヒトラーはソ連軍が敗北したと確信、再び立ち上がることはないと10月3日にベルリンで語り、英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは、3週間以内にモスクワは陥落すると推測しながら傍観していました。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) しかし、ソ連軍の抵抗でこうした予想通りにことは進まず、ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入します。ここでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏しました。この段階でドイツの敗北は決定的。ここからアメリカやイギリスは慌てて動き始めたわけで、ナチスに勝ったのはソ連です。 アメリカはその事実を消し去り、自分たちが勝ったのだというイメージを広めるため、ハリウッド映画を利用しました。ソ連とドイツが不可侵条約を結んだ際に登場する地図の「解釈」もイメージ戦略のひとつだと言えるでしょう。ポーランドを「可哀想な犠牲者」として描くことも同じです。ドイツに占領されていた当時、ポーランドでもユダヤ人をはじめとする少数民族が虐殺されていますが、偶然ではないのです。責任の全てをドイツに押し付けることは正しくありません。 つまり、かつてソ連圏に含まれていた東ヨーロッパ諸国の相当部分はナチズムを受け入れ、協力関係にあったと言えます。ナチスを米英金融資本が金融支援していたことも知られてきました。こうした国々がロシアから離れたことでロシアは復活できたと言えるでしょう。 その一方、アメリカではニューディール派が消えました。大きな節目になったのは1945年4月12日のフランクリン・ルーズベルト大統領急死と、63年11月22日のジョン・F・ケネディ大統領暗殺でしょう。その後、体制の腐敗が進み、アメリカは金融資本を後ろ盾とするネオコンに支配されるようになります。そして1990年代から侵略戦争を本格化させました。 その腐敗した体制を維持するため、ネオコンを含むアメリカの支配層は自国が「無敵」だとするイメージを世界に人びとに植え付けたのですが、侵略戦争の中でロシア軍と戦う場面が生じ、アメリカは無敵でないということが知られてしまいました。軍事力を行使すればするほど支配システムの崩壊は速まっています。
2024.01.24
アメリカの私的権力は世界を支配するため、自国を「無敵の超大国」だと世界の人びとに信じさせてきたのだが、その幻影が消え掛かっている。その私的権力が拠点にしている場所はシティとウォール街、つまり彼らは金融資本だ。この構図が出来上がったのは19世紀である。この拠点から広がっているオフショア市場のネットワークを利用して私的権力は世界をコントロールしているのだ。 1991年12月にソ連が消滅した直後の翌年2月、好戦派であるネオコンはアメリカが「唯一の超大国」と思い込み、DPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。アメリカは他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できると考えたのだ。「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれるこの計画では、旧ソ連圏を制圧するだけでなくドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐと謳っている。そして1995年、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。 この世界制覇計画を始動させたのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃。「9/11」だ。外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとされている。 ところが、こうした見通しは間違いだった。2008年8月7日にジョージアが北京での夏季オリンピック開催に合わせて南オセチアを奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃でジョージア軍は惨敗する。この奇襲攻撃の背後にはイスラエルとアメリカが存在していた。 イスラエルの会社は2001年からロシアとの戦争に備えてジョージアへ武器を提供、それと同時に軍事訓練を行っていた。アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供をされている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) 当時のジョージア政府にヘブライ語を話す閣僚がいたことも注目された。奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリと、南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。 アメリカもジョージアの戦力強化に参加していた。例えば傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣し、訓練している。攻撃の約1カ月前、7月10日にはアメリカの国務長官だったコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問、8月15日にもライスはジョージアを訪問、ミヘイル・サーカシビリ大統領と会談している。 南オセチアに対する奇襲攻撃はイスラエルとアメリカの軍事作戦であり、アメリカが目論む対ロシア戦争の序章だと見る人もいた。そこでアメリカは躓いたのだ。リーバーとプレスの論文とは違い、通常兵器による同じ規模の部隊による戦闘ならアメリカやイスラエルはロシアに勝てないことが明確になったのだが、ネオコンはその現実を受け入れられなかった。そしてシリアやウクライナで醜態を晒すことになり、今、イエメンを相手に無様なことを続けている。 9/11当時、フランスの学者エマニュエル・トッドはアメリカの弱さを指摘していた。相手にできるのは軍事的小国だけだというのだが、これは正しかった。そこで朝鮮、キューバ、イラクのような国に対して威嚇して見せ、西側の有力メディアがアメリカは強いと大袈裟に宣伝するわけだ。ロシアや中国を相手にした時、その芝居は機能しなくなる。 追い詰められたアメリカは台湾の民進党を利用して東アジアで軍事的な緊張を高め、日本と韓国を手先として中国やロシアと戦争する構えを見せている。
2024.01.23
ドキュメンタリー映画『イスラエル主義』 昨年アメリカで公開されたドキュメンタリー映画『イスラエル主義』が話題になっている。エリン・アクセルマンとサム・エイラーセンが監督を務めた作品で、イスラエルのパレスチナ人弾圧を正当化するためにアメリカのイスラエル・ロビーが行なっている「教育」を批判している。この映画の上映会を中止させるため、内容が「反ユダヤ主義」だと非難するキャンペーンが繰り広げられたものの、そのキャンペーンを批判する声が上がり、上映は再開されたという。 アメリカにおいて「親イスラエル教育」を推進しているシオニスト勢力の中心に存在しているAIPAC、いわゆる「イスラエル・ロビー」はアメリカの外交政策に大きな影響力を持っていることでも知られている。 シオニストがアメリカでロビー活動を始めたのは1939年のことで、そのために創設された団体がAZEC(米シオニスト緊急会議)。1949年にAZC(米シオニスト会議)へ改称した。 この団体に対し、ジョン・F・ケネディ大統領とロバート・ケネディ司法長官は1963年、外国のエージェントとして登録するように強く求め、公的な立場の人びとへカネを配ることができなくなった。そこで創設されたのがAIPACだ。 そのケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺され、副大統領から昇格したリンドン・ジョンソンは議会における親シオニスト派のリーダー格だったことからイスラエルに対する政府の圧力は消えた。なお、ロバート・ケネディは1968年6月5日に暗殺されている。第3次中東戦争 ロバートが殺される前年の6月にイスラエルがエジプト、シリア、ヨルダンに奇襲攻撃をかけて「第3次中東戦争」が勃発した。その直前、5月30日にイスラエルの情報機関モサドのメイール・アミート長官がアメリカを訪問している。 戦争の最中、6月8日にアメリカ政府は情報収集船の「リバティ」を地中海の東部、イスラエルの沖へ派遣した。この時点でイスラエル軍はエジプト軍を粉砕し、モシェ・ダヤン国防相はゴラン高原の占領を決めている。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) リバティがイスラエル沖に現れた午前6時、イスラエル軍は偵察機を飛ばすなどしてリバティがアメリかの艦船だということを確認したうえで午後2時5分、3機のミラージュ戦闘機でリバティへの攻撃を開始、ロケット弾やナパーム弾を発射した。ナパーム弾を使ったことから乗員を皆殺しにするつまりだったと推測されている。その後、イスラエル軍は艦船への攻撃を繰り返した。 リバティの通信兵は寄せ集めの装置とアンテナで2時10分にアメリカ海軍の第6艦隊へ遭難信号を発信することに成功、それに気づいたイスラエル軍はジャミングで通信を妨害してきた。 遭難信号を受信した第6艦隊の空母サラトガは訓練中で、甲板にはすぐ離陸できる4機のA1スカイホークがあったことから艦長は船首を風上に向けさせて戦闘機を離陸させている。 艦長は艦隊の司令官に連絡、司令官は戦闘機の派遣を承認し、もう1隻の空母アメリカにもリバティを守るために戦闘機を向かわせるように命じるのだが、空母アメリカの艦長がすぐに動くことはなかった。 リバティが攻撃されたことはジョンソン大統領へすぐに報告されのだが、ロバート・マクナマラ国防長官は第6艦隊に対して戦闘機をすぐに引き返させるようにと叫んでいる。 その後、ホワイトハウス内でどのようなことが話し合われたかは不明だが、3時5分にリバティへ戦闘機と艦船を派遣するという至急電を打っている。この時、リバティは攻撃で大きなダメージを受け、メッセージを受信できない状況だった。 3時16分に第6艦隊の第60任務部隊は空母サラトガと空母アメリカに対して8機をリバティ救援のためへ派遣し、攻撃者を破壊するか追い払うように命令。3時39分に艦隊司令官はホワイトハウスに対し、戦闘機は4時前後に現場へ到着すると報告、その数分後にイスラエルの魚雷艇は最後の攻撃を実行している。そして4時14分、イスラエル軍はアメリカ側に対し、アメリカの艦船を誤爆したと伝えて謝罪、アメリカ政府はその謝罪を受け入れた。アメリカの電子情報機関NSAは交信記録を大量に廃棄、隠蔽工作がすぐに始まる。その責任者に選ばれたのがアメリカ海軍太平洋艦隊の司令官だったジョン・マケイン・ジュニア、つまりジョン・マケイン3世の父親だ。 リバティ攻撃はジョンソン政権の意向だという疑惑がある。この政権で秘密工作を統括していた「303委員会」において、1967年4月に「フロントレット615」という計画が説明されたという。リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもので、実際、後にリバティや潜水艦は派遣されていた。 この計画の中に含まれる「サイアナイド作戦」はリバティを沈没させて責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという推測がある。これが事実なら、ジョンソン政権はトンキン湾事件の再現を狙ったということになるだろう。 リバティの近くにいたアメリカの潜水艦アンバージャックが潜望鏡を使って見ていたとする証言もある。リバティの乗組員も潜望鏡を見たとしている。ただ、記録したはずのデータは見つからない。存在していたとしても破棄されてしまっただろう。ネオコンの台頭 第3次中東戦争の後、アメリカではシオニストの「ネオコン」が台頭してくる。その後ろ盾になったのが「聖書根本主義者」とも呼ばれるキリスト教シオニストだ。彼らの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていた。 聖書根本主義者はアメリカ軍を「神の軍隊」だと位置づけていた。ところがベトナム戦争で勝てない。欲求不満の状態になった彼らを惹きつけたのが第3次中東戦争で圧勝したイスラエル軍だった。 フォルウエルを政治の世界へと導いたのはエド・マクティールだ。彼はフォルウエルをロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ上院議員、そしてジョージ・W・ブッシュ政権で司法長官を務めたジョン・アシュクロフトに引き合わせている。(Ken Silverstein & Michael Scherer, "Born-Aain Zionist", Mother Jones, September/October, 2002) ベトナム戦争の敗北はアメリカで戦争反対の気運を高め、1972年の大統領選挙には戦争反対を明確にしていたジョージ・マクガバン上院議員が民主党の候補として選ばれた。これは民主党の支配層にとっても衝撃的な出来事で、党の内部ではヘンリー・ジャクソン上院議員を中心にして、反マクガバンのグループが出来上がる。CDM(民主党多数派連合)だ。 ジャクソン議員のオフィスにはリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムズ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなど後にネオコンの中核グループを形成する人々が在籍していた。 こうした工作もあり、マクガバンは共和党のリチャード・ニクソンに敗れる。ニクソンはアレン・ダレスに近く、平和的な人物とは言えないのだが、それでもデタント(緊張緩和)を主張する。そこで好戦派は送るのだが、その中にはネオコンも含まれていた。 そのニクソンは1974年8月にウォーターゲート事件で失脚、副大統領だったジェラルド・フォードが昇格、この政権でネオコンは台頭してくる。デタント派がパージされ、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニーなどネオコンがホワイトハウスの主導権を握ったのだ。ポール・ウォルフォウィッツがCIAで反ソ連プロパガンダを行なっていたグループ「チームB」に入ったのもこの時だ。こうした人びとはロナルド・レーガン政権で要職に就く。 チームBの活動には国防総省内のシンクタンクであるONA(ネット評価室)が協力したと言われているが、その室長だったアンドリュー・マーシャルはネオコンに戦略を提供してきた人物。ラムズフェルドはこの人物に心酔していた。またマーシャルの師と言われている人物がバーナード・ルイス。ルイスはサミュエル・ハンチントンと同じように「文明の衝突」を主張、シオニストを支持している。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) ラムズフェルドはマーシャルだけでなく、フリッツ・クレーマーなる人物の影響も受けていた。クレーマーはジミー・カーター政権に政府を離れたが、その自宅へ少なからぬ人が出入りしている。例えばCIAのバーノン・ウォルタース、国務長官になるアレキサンダー・ヘイグ、上院議員のヘンリー・ジャクソン、ネオコンのリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツ、そしてラムズフェルド。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009)パレスチナへ向かわなかったユダヤ人 イスラエルを「ユダヤ人の国」だと主張する人がいるが、パレスチナでイスラエルの「建国」が宣言されたのは1948年5月のことだ。この建国を実現するため、シオニストは1933年8月、ドイツのナチス政権とユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意している。「ハーバラ合意」だ。 ナチスはユダヤ人弾圧で六芒星を利用している。六芒星は装飾的なモチーフとして使われていたようだ。ボヘミア王カール4世は1354年、プラハのユダヤ人が六芒星の赤旗を立てることを承認したというが、ユダヤ教やユダヤ人を示すシンボルとして採用されるようになったのは19世紀から。キリスト教における十字架のようなシンボルが必要だと考えたようだ。1897年の第1回シオニスト会議でシンボルとして選ばれた。 シオニズムという語句を最初に使ったのはナータン・ビルンバウムなる人物で、1893年のこと。その3年後に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルが近代シオニズムの創設者とされているのだが、この人物も「旗」を欲しがっていた。「ダビデの星」がユダヤ教やユダヤ教徒の象徴になるのはその後だ。 ドイツからパレスチナへの移住が推進されたものの、ドイツに住んでいる大半のユダヤ系住民はパレスチナへ移住したくない。ナチスの「ユダヤ人弾圧」でドイツに住めなくなっても逃げた先はオーストラリアやアメリカが中心だった。 シオニストは1946年夏までに7万3000人以上のユダヤ人をパレスチナへ運んでいるが、パレスチナへの移住を望むユダヤ人が少なかったため、イラクに住むユダヤ人に対するテロを実行する。「反ユダヤ」感情を演出してパレスチナへ移住されたという。 イスラエルを「建国」するためには「国民」だけでなく、「国土」も必要だが、パレスチナにはアラブ系の人が生活している。その住民を追い出すため、シオニストは1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動された。 後にイスラエル軍の中核になるハガナの下、テロ組織のイルグンとスターン・ギャングは4月9日未明にデイル・ヤシン村を襲う。マシンガンの銃撃を合図に攻撃は開始され、家から出てきた住民は壁の前に立たされて銃殺された。家の中に隠れていると惨殺され、女性は殺される前にレイプされている。 襲撃の直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、254名が殺されていた。そのうち145名が女性で、35名は妊婦だ。イギリスの高等弁務官、アラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を見て多くのアラブ系住民は恐怖のために逃げ出し、約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザやトランスヨルダン(現在のヨルダン)へ避難、その後1年間で難民は71万から73万人に膨れ上がったと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人にすぎない。いわゆる「ナクバ」だ。現在、イスラエルはガザやヨルダン川西岸で同じことを行おうとしているのだろう。新国家の最大の後ろ盾になった国はエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドが住むフランスだった。国際連合は1948年12月に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。アメリカのユダヤ人 ナチ体制から逃れたユダヤ人の多くはパレスチナではなくオーストラリアやアメリカへ逃げた。つまり、アメリカではパレスチナに思い入れのあるユダヤ人は多くなかったはずだ。実際、パレスチナを支持するユダヤ系アメリカ人の比率はアメリカ人全体における比率より高いと言われている。 イスラエル・ロビーがユダヤ系アメリカ人の子どもに「イスラエル主義」、つまりシオニズムを叩き込んでいるのはそのためだろう。明治体制が天皇を絶対視させるカルト教育を学校で行なったことを思い出させる。その基盤が「教育勅語」だ。皇国史観は一種の優生論で、アジア蔑視を子どもたちに叩き込んだ。ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現しているが、似ている。 日本人の間にアジア蔑視の感情は今も残っている。中国の体制転覆を狙っているアメリカは日本に韓国や台湾と軍事同盟を結ばせたので表面的には反韓国の言動は制限されているようだが、蔑視感情は消えていない。かつてのように学校で叩き込むということはないだろうが、マスコミを通し、イメージは広げられている。
2024.01.22
パレスチナ人虐殺を容認する英労働党の党首 イギリスのリシ・スナク内閣はイスラエルのパレスチナ人虐殺を支援しているが、野党の労働党も同じだ。その労働党を率いているキア・スターマーが党首になったのは2020年4月4日。党首に就任した直後から彼はイスラエルへ接近、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピール、今回のイスラエルによるガザの住民虐殺についてスターマーは沈黙している。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだという。 スターマーの前任者で2015年9月から党首を務めていたジェレミー・コービンやその支持者はイスラエルによるパレスチナ人弾圧を非難、その姿勢は政敵だけでなく有力メディアから「反ユダヤ主義者」だと攻撃された。労働党の内部では親イスラエル派のイアン・マクニコルがコービン派の党員をパージしていたと伝えられている。こうしたキャンペーンが2017年や19年の総選挙で労働とが負ける一因になった。 コービンに対する攻撃には偽情報も使われたが、その重要な発信源のひとつが2015年に創設されたインテグリティ・イニシアチブ。イギリス外務省が資金を出している。「偽情報から民主主義を守る」としているが、実態は偽情報を発信するプロパガンダ機関だ。 歴史的にイギリスの労働党はイスラエルと関係が深かったが、イスラエルがパレスチナで破壊と殺戮を繰り替えすことで雰囲気は変化していく。決定的だったのは1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラで引き起こされた虐殺事件だ。 この虐殺はベイルートのキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーが実行したのだが、その黒幕はイスラエルだった。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。 イギリス労働党の内部ではイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなるが、それだけでなく、イスラエルを支えているアメリカへも批判の目は向けられて両国の関係に暗雲が垂れ込めた。 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが目的だが、その特徴のひとつは少なからぬメディアの記者や編集者が参加していたことにある。 そうした中、トニー・ブレアはイスラエルに接近していく。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。アメリカだけでなく、イギリスにもイスラエル・ロビーが存在するのである。 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。 レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。例えば、2007年6月にブレアは首相の座から降りるが、その間、偽文書を作成してアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権のイラク侵略を支援している。 ブレアはジェイコブ・ロスチャイルドやエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドと親しいが、首相を辞めた後、JPモルガンやチューリッヒ・インターナショナルから報酬を得るようになる。それだけ富豪たちにとってブレアの功績は大きかったのだろう。 こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年に労働党の党首となったのがコービン。彼の政策はブレアのスポンサーたちにとって好ましいものでなく、アメリカやイギリスの情報機関もコービンを引きずり下ろそうと必死になった。 彼に対する攻撃には偽情報も使われたが、その重要な発信源のひとつが2015年に創設されたインテグリティ・イニシアチブ。イギリス外務省が資金を出している。「偽情報から民主主義を守る」としているが、実態は偽情報を発信するプロパガンダ機関だ。検察庁長官として情報統制に加担した労働党党首 スターマーは情報統制でも重要な役割を果たしてきた。彼は政治の世界へ入る前、2008年から2013年まで検察局の長官を務めている。内部告発を支援する活動をしていたウィキリークスのジュリアン・アッサンジをスウェーデンへ引き渡すかどうかが問題になっていた時期だ。 アッサンジは2010年8月、スウェーデンでベッド上のトラブルで逮捕状が出され、その事実をスウェーデン警察がタブロイド紙にリーク、そのタブロイド紙がセンセーショナルに伝えたのだが、その翌日、主任検事は事件性がないと判断して令状を取り消している。その決定を検事局長が翻して捜査を再開を決めることになったのだ。アメリカの当局はすでにアッサンジを秘密裏に起訴していた。 それに対し、ウィキリークスは2010年11月、世界最大手の新聞社と提携して米国の機密外交公電の発行を開始している。こうした動きがあることをアメリカの情報機関は同年8月の時点でつかんでいただろう。 スウェーデン当局は2017年、アッサンジの件は冤罪だと認め、捜査を打ち切ったのだが、ロンドン警視庁は2019年4月11日、ロンドンにあるエクアドル大使館の中でアッサンジを逮捕、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられた。 アメリカの当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴、懲役175年が言い渡される可能性がある。ハッキング容疑はでっち上げだということが判明、「1917年スパイ活動法」もオーストラリア人でヨーロッパを活動に舞台にしていたアッサンジを起訴する法的な根拠があるとは言えない。 情報統制を強めていたアメリカの支配層にとって内部告発は防がねばならない。ウィキリークスのような活動は許せなかった。ウィキリークス潰しにはイギリスも協力している。 その時期にスターマーは検察庁長官を務めていたが、彼は2009年、11年、12年、13年にアメリカを訪問している。歴代長官の中でも多いという。そのうち3度はアッサンジの件が問題になっていた時期。その件についてスターマーがアメリカ側と話し合わなかったとは思えないのだが、イギリスの検察庁は彼のアメリカ訪問に関する記録を全て廃棄してしまった。 日本の東京地検特捜部はアメリカ支配層の意向に沿う形でに動くと考える人は少なくないが、韓国の尹錫悦大統領も検察時代、政治的に動いていた。スターマーも検察庁長官として政治的に動いたようだ。(了)
2024.01.21
ガザでの虐殺を支援する英政府 昨年10月7日から24日間にアメリカ軍の大型輸送機がイスラエルへ20機、そしてイスラエルと各国がリースした民間輸送機が約50機、アメリカやヨーロッパの基地などからイスラエルへ物資を輸送したとイスラエルのハーレツ紙は10月31日に伝えた。 同日朝の時点で、ヨルダンのムワファク・サルティ・ヨルダン空軍基地へ25機以上のアメリカ軍輸送機が到着し、アメリカ空軍のF-15E飛行隊イギリスからヨルダンの基地へ飛来、フロリダ州エグリン基地の特殊部隊も配備されたという。 こうした中、キプロスにあるイギリス軍のデケリア基地とアクロティリ基地。いずれもイギリスの「海外領土」で、軍事作戦や電子情報活動の拠点として使われている。10月7日以降、アクロティリ基地に離発着する航空機が増えていると住民は証言している。 イギリスの国防省は輸送の内容やアメリカの活動の公表を拒否しているが、兵器や兵員などを運ぶため、アメリカは40機以上の輸送機、イギリスは20機以上の輸送機と7機の大型輸送ヘリコプターをアクロティリ基地へ派遣した。アクロティリ基地からテルアビブまで航空機で約40分。しかも同基地にはる数千人のアメリカ兵が駐留しているようだ。 アメリカとイギリスの電子情報機関はUKUSA(ユクザ)という連合体を組織、地球規模で電子的な情報収集活動を行なっている。この名称は文字通りUK(イギリス)とUSA(アメリカ)を意味し、1946年3月に締結された協定に基づいて誕生した。収集する情報の中には当然、軍事的なものも含まれる。イギリスとアメリカのほか、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを加えたアングロ・サクソン系5カ国は「ファイブ・アイズ」とも呼ばれる。アクロティリとデケリアでもUKUSAは活動、ガザでの偵察飛行も繰り返している。イギリスが収集したガザに関する情報はイスラエルへ提供されているはずだが、内容は秘密だ。 イギリスやアメリカはガザでイスラエル軍が行なっている虐殺に協力している。カナダ、ドイツ、スペイン、オランダ、イタリアなどもそうした輸送に参加、やはり共犯関係にある。(つづく)
2024.01.21
1月16日にウクライナのハリコフを攻撃したとロシア国防省は17日に発表した。ウクライナの軍事施設のほか、情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルが破壊されたという。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はフランスのピエール・レビ駐ロシア大使を呼び出した。 旧ホテルには200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われ、相当数の死傷者が出ている。戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。この日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領は40発のスカルプ巡航ミサイルと「数百発の爆弾」をキエフに送ると約束している。 地元警察の署長は「民間住宅の建物」が標的だったと主張、負傷者は民間人だともしているが、ガザで伝えられているような映像は示されていない。これまでと同じように、偽情報だと考えるべきだろう。 アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒した後、新体制を支えるためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだ。そのほか傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加したと伝えられていた。また2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたともいう。 クーデター後、ネオ・ナチ体制に反発した軍や治安機関のメンバーが相次いで離脱、その割合は約7割に達したとも言われ、その一部はドンバスの反クーデター軍に合流したと言われている。 そこでウクライナの内務省にネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集め、年少者に対する軍事訓練を開始、要塞線も作り始めた。そうした準備のために8年間が必要だったのだろう。「ミンスク合意」はそのための時間稼ぎだったとアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領は認めている。 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノによると、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加していた。フランス軍も兵士を送り込んでいる疑いがある。 ロシア軍は2023年3月9日、マッハ12という極超音速ミサイルのキンジャールを含む約80機のミサイルでリボフを攻撃、地下80メートル、あるいは120メートルの場所に設置されていたNATOの戦略司令部を破壊したと報道されている。勿論、どの国であろうと、キンジャールを迎撃することは不可能だ。 そこには300名以上のスタッフが常駐、その一部はイギリスやポーランドをはじめとするNATO諸国軍の将校で、アメリカ軍の将校もいたという。司令部は土砂で埋まり、死体の数は確認されていないようだが、相当数にのぼり、「影の参謀」とも言われているNATOの将校数十人が含まれているとも言われている。
2024.01.20
朝鮮の崔善姫外相が1月14日、代表団を率いてロシアを訪問した。16日にはセルゲイ・ラブロフ外相に続いてウラジミル・プーチン大統領とも会い、両国の関係と協力を促進することについて話し合ったという。尹錫烈政権になってロシアや中国との関係を悪化させ、アメリカへ擦り寄っている韓国と対照的だ。 尹政権の前、ハンナラ党の朴槿恵政権も民主党の文在寅政権も共に中国やロシアとの関係を重視していた。経済的に有利だからだが、その朴と文を尹が率いる検察が潰した。その尹は2022年5月から大統領を務めている。 アメリカのジョー・バイデン大統領は8月18日に韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相をキャンプ・デイビッドへ呼び寄せ、軍事問題について話し合った。 その直後にアメリカ軍は自衛隊とオーストラリア軍を引き連れて南シナ海で洋上演習を、また韓国軍と乙支フリーダム・シールドをそれぞれ実施、8月29日にはアメリカ、日本、韓国は朝鮮半島沖で合同ミサイル防衛訓練を行なっている。東アジアでもバイデン政権は恫喝外交を繰り広げたわけだ。 アメリカの戦争マシーンが東アジアでも動き始めたわけだが、日本が1995年にこのマシーンへ組み込まれたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。その一環として、自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも完成させた。 アメリカ国防総省のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしている。 しかし、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。 状況が切迫してきたのか、日本政府は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと昨年2月、浜田靖一防衛大臣は語った。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。「反撃能力」が強調されているが、それは先制攻撃能力にほかならない。 ところが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。そのようにアメリカで命令されたわけだ。当初の計画では2026年度から最新型を400機だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。 与那国島にミサイル発射施設が建設された翌年、2017年の4月に韓国ではTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。このシステムをアメリカが持ち込んだ理由は中国を攻撃する能力を高めることにあるとみられるが、2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵はTHAADの配備に難色を示していた。それにもかかわらずTHAADを搬入できたのは朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたからだ。 一方、昨年7月25日にセルゲイ・ショイグ国防相に率いられたロシアの軍事代表団が朝鮮を訪問、中国の代表団と合流して朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席している。9月10日から13日に開催されたEEF(東方経済フォーラム)に出席するため、朝鮮の金正恩労働党委員長は9月12日から17日にかけてウラジオストックを訪問した。 その際、金委員長はプーチン大統領と会談したほか、さまざまなロシア側の要人と会い、さらにSu-35を含むロシアの新鋭戦闘機を生産するユーリ・ガガーリン航空工場を含む工場、あるいは研究所を訪れた。戦闘機の胴体を組み立てる工場では、Su-57などの第5世代戦闘機に関する技術的な特徴について詳しく質問していたと伝えられている。またセルゲイ・ショイグ露国防相と太平洋艦隊のフリゲート艦「マーシャル・シャポシニコフ」も訪れている。この時にプーチン大統領と金委員長との間で合意した事項が履行されていると、ラブロフ外相は崔外相と会談した際に語った。 日本や韓国の政府はロシアがこれほど速いペースで自分たちから離れていくとは考えていなかったかもしれない。尹錫烈大統領や岸田文雄はアメリカ政府に従うだけだろうが、日韓の経済界にとっては死活問題である。
2024.01.19
イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)は1月15日、イラクのクルド人支配地域にあるイスラエルの基地とシリアのイドリブにあるダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の訓練キャンプ、後方支援ネットワーク、医療施設を攻撃したと伝えられている。イランのケルマンやラスクにおけるテロ攻撃やダマスカスにおけるIRGC司令官の暗殺に対する報復だという。クルドはシリアで盗掘した石油をイスラエルへ供給しているが、その取り引きにおける中心人物のひとり、ペシュラウ・ディザイが今回の攻撃で死亡したとされている。 イスラエルがガザやヨルダン川西岸で繰り広げているパレスチナ人虐殺に対し、イラクのカタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アル・アルハク、バドルなどのシーア派の戦闘集団がイスラエルやアメリカに対する攻撃を始めつつあり、レバノンのヒズボラはイスラエルを攻撃、イエメンのフーシ派はイスラエルへ向かう船舶を攻撃している。これまでイランは静かにしていたのだが、1月15日に動いたというわけだ。 12月にラスクで自爆テロがあり、イランの警察官11人が死亡、1月3日にはケルマーンでも爆破事件があり、約100人が死亡している。ケルマーンではカセム・ソレイマーニーの追悼集会が行われていた。 ソレイマーニーはIRGCの特殊部隊と言われるコッズ軍の司令官だった人物で、2020年1月3日、PMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官と共に、イスラエルの協力を得たアメリカ軍の攻撃で暗殺されている。その時、ソレイマーニーはサウジアラビア宛の返書を携えていたという。イランとサウジアラビアは関係修復に向かい、動き始めていた。 ケルマーンで爆弾テロを実行したダーイッシュはイラクからシリアにかけての地域で活動していたアル・カイダ系武装集団から生まれたとされ、チェチェンや中国の新疆ウイルグル自治区などからも戦闘員は集められ、サダム・フセイン体制の軍人や情報機関員も参加、資金はカタールやトルコが提供していたともいう。 アメリカ軍はアブ・グレイブ刑務所での虐待や拷問が発覚した後、イラク南部に建設したキャンプ・ブッカへ囚人を移動させた。ここでの虐待も広く知られている。ダーイッシュの少なからぬ指導者がこの刑務所に拘束されていた。ダーイッシュの関係者によると、そこでアメリカ軍は囚人にテロ組織に加わることを誓約させていたという。アメリカの情報法機関は支配地域をダーイッシュの戦闘員が移動することを許していた。 ダーイッシュの戦闘員はトルコ、ヨルダン、リビアの軍事基地でアメリカの特殊部隊やCIA、そしてイスラエルのモサドから訓練を受けたと中東では伝えられている。2011年7月から14年7月までトルコ駐在アメリカ大使を務めていたフランシス・リチャールドーネがダーイッシュの軍事作戦を調整していたとされている。(F. William Engdahl, “Whom The Gods Would Destroy,” mine.Books, 2016) ダーイッシュは首を切り落とすといった映像を流して残虐性を誇示、そのイメージを利用してアメリカのバラク・オバマ政権はシリアへの軍事侵略を正当化しようとしていたが、そのダーイッシュはイスラエルを攻撃しない。その背景を見れば、当然だ。 シリアをアメリカ/NATO軍を直接侵略させるための準備として、オバマ大統領は「アル・カイダ」系武装集団への支援は危険だと警告していたDIA(国防情報局)のマイケル・フリン中将を2014年8月に退役させ、15年には2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、また9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ替えた。慎重派から好戦派への交代だ。 デンプシーが退任した直後の9月30日にロシアはシリア政府の要請を受けて軍事介入、ダーイッシュや「アル・カイダ」系武装勢力を敗走させ、アメリカは軍事介入するタイミングを逸した。それでもアメリカ軍をシリア領内へ侵入させ、基地を建設、敗走したダーイッシュに替わってクルドを手先として使い始めた。 ダーイッシュはアメリカが編成した傭兵集団であり、その名称はタグにすぎない。アメリカが存在している限り、戦闘員がいなくなっても消滅しない。ここにきてジョー・バイデン政権はイランを攻撃するため、ダーイッシュを復活させたようだ。
2024.01.18
WEF(世界経済フォーラム)の年次総会が2024年1月15日から19日にかけて開かれ、17日には「疾病Xに備える」というセッションが予定されている。「COVID-19以上のパンデミックを演出」し、支配システムの「リセット」を実現したいということだろう。新たな遺伝子操作薬を接種させたいのかもしれない。 COVID-19騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかった発表されたところから始まる。2020年1月30日にWHO(世界保健機関)緊急事態を宣言した。翌2020年2月4日には、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が現れる。メディアが危機感を煽る中、3月11日にWHOはパンデミックを宣言したのである。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、COVID-19でSARSのような重症の肺炎患者は局所的に現れるだけ。全体を見渡すと、せいぜいインフルエンザ並みの患者が大半だった。当時、ドイツではCOVID-19の原因とされたSARS-CoV-2の危険性が通常のレベルを超えていないと指摘する内務省の報告書がリークされていた。戒厳令的な政策を推進したことは間違いだというのだ。この報告書は内務省のKM4というチームが作成したとものだという。 また、WHOがパンデミックを宣言する直前の2020年2月28日、3名の研究者がCOVID-19の致死率は1%未満、つまり季節性インフルエンザ並みだと報告している。しかも執筆者のひとりはNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長にほかならない。 死亡者が続出しているわけでもなく、世界的な感染爆発とは言えない状態だった。それにもかかわらずパンデミックを宣言できたのは定義の変更があったからである。定義が変更されたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られたのだ。 COVID-19騒動の中心に存在しているのはWHO。その2020年から21年にかけての上位寄付者を見ると、第1位はドイツ、第2位はアメリカ、第3位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第4位はイギリス、そして第5位はGaviだ。 Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団も「パンデミック」で人びとを脅し、「ワクチン」の接種を推進してきた。 ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団は2017年、製薬業の支援を受け、ノルウェー、日本、ドイツの政府、ウェルカム・トラストなどと共同し、WEFでCEPI(感染症対策イノベーション連合)を創設した。前年のWEFで「ワクチン」が政治経済の戦略として提案され、それに基づいてのことだ。 2015年7月に「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」が掲載したジェレミー・ファラーとスタンリー・プロトキンの論文「世界的なワクチン開発基金の確立」にCEPIの概念は書かれている。ファラーはウェルカム・トラストの理事長を務めていたが、2023年、WHOの主任科学者に就任した。 COVID-19騒動はこうしたネットワークによって演出され、「ワクチン」というタグをつけた遺伝子導入剤が世界規模で接種され、深刻な副作用が現れているだけでなく、人類の存続自体を危うくしている。この点は本ブログでも繰り返し書いてきた。 製薬業界で25年以上にわたり、データ分析、臨床試験、技術などに携わってきたサーシャ・ラティポワはCOVID-19騒動をアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だとしている。 そうした背景があるため、問題の「ワクチン」は製造品質、検査、有効性、安全性、医療製品の表示を定めたアメリカの法律に準拠する必要がないという。アメリカの支配下にある日本の法律にも拘束されないのだろう。FDA(食品医薬品局)やCDC(疾病予防管理センター)はカモフラージュだともいう。 アメリカの国防総省がウクライナで生物兵器の研究開発をしてきたことをロシア国防省は発表している。ロシア軍は2022年2月24日にウクライナに対する攻撃を開始、ドンバス周辺の要塞線に沿って集結していたウクライナ軍を壊滅させたが、その際、軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を破壊、機密文書を回収している。 それから間もない3月7日、ロシア軍のイゴール・キリロフ中将はウクライナに生物兵器の研究施設が30カ所あると発表、DTRA(国防脅威削減局)から資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で研究開発は進められたと主張した。これはアメリカのウクライナ大使館が公開していた情報とも符合する。こうした研究の一環としてコロナウイルスが調べられていたとも言われている。 その後、ロシア議会の委員会は文書の分析を進め、昨年4月にはアメリカ国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究開発していたと発表している。万能生物兵器とは「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器で、敵兵、つまり人間だけでなく、動物や農作物にダメージを与えることができる生物兵器だという。 そして1月15日、ロシア国防省はアメリカが天然痘ウイルスを使った実験を行っていたことを明らかにしている。サル痘ウイルスが生物兵器として可能かどうかを評価するためであり、それ以外のオルソポックスウイルスも研究しているという。
2024.01.17
ドイツはNATO軍とロシア軍との戦争を戦争を想定し、準備を進めていると同国のタブロイド紙「ビルト」は伝えた。「秘密の連邦軍文書」からの引用だとしているが、これはオラフ・シュルツ政権が自分たちの失政から国民の目を逸らすことが目的だと見られている。 シュルツ内閣で外務大臣を務めるアンナレーナ・ベアボックは2022年8月31日に「フォーラム2000」で「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、23年1月24日に「われわれはロシアと戦争している」とPACE(総州評議会議会)で口にした。ウクライナに対する軍事支援に積極的、つまりロシアと敵対する政策を推進しているが、これはシュルツ政権の特徴だと言えるだろう。 シュルツやベアボックの言動はアメリカ政府の政策に沿うもので、ロシアとの戦争へと向かっている。ドイツとロシアの対立はイギリスが19世紀から仕掛けて、アメリカが引き継いだ戦略だ。 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒してネオ・ナチ体制を樹立した。その目的のひとつはロシアの喉元に短刀を突きつけることにあったが、もうひとつはロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインを断ち切ることでロシアとヨーロッパ、双方を弱体化させることにあった。 しかし、ロシアの天然ガスを入手したいドイツはロシアと共同で、ウクライナを迂回してバルト海を経由する2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」を建設した。 NS1は2010年4月に建設が始まり、11年11月から天然ガスの供給が始められる。ウクライナの体制がクーデターで変わった後の2015年6月にガスプロムとロイヤル・ダッチ・シェルは共同でNS2の建設を開始、18年1月にドイツはNS2の建設を承認、21年9月にパイプラインは完成している。 アメリカやポーランドはNS1やNS2の建設や稼働に強く反対し、ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。 そして2022年9月26日から27日にかけての間にNS1とNS2は爆破される。パイプラインが爆破された1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。携帯電話がハッキングされたようだ。 その当時、イギリスの閣僚が使っていた電話がハッキングされていたことを疑わせるできごとがあった。イギリスのベン・ウォレス国防相は10月18日、アメリカの国務省や情報機関の高官と会うために同国を秘密裏に訪問しているのだ。電話を使わなかった。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。ロシアがウクライナを攻撃する前だ。 この作戦をシュルツ首相は事前に知らされていたという話も伝えられている。真偽は不明だが、少なくとも爆破後にシュルツが事件を調べようとせず、有耶無耶なまま終わらせようとしているとは言える。 アメリカに従属するというシュルツの政策は低コストのエネルギー資源を入手する道を断ち切ったことでドイツは深刻な不況に突入、製造業は大きなダメージを受け、消費は減少し、産業空洞化が問題になっている。ドイツ国民の7割から8割がシュルツ政権を支持していないとも言われているが、当然だろう。アメリカ/NATOは簡単にロシアに勝ているという妄想の結果だ。 ビルト紙はNATO軍とロシア軍との戦争が2025年夏に始まるかもしれないとしている。2023年1月27日にアメリカ空軍航空機動軍団のマイク・ミニハン司令官は2025年にアメリカと中国が軍事衝突する可能性があるとしていたことを思い出させる。 ウクライナがロシアに敗れたことをアメリカ/NATOは隠しきれなくなっている。昨年、アメリカ/NATOが仕掛けた「反転攻勢」が大失敗に終わったことは西側も認めざるをえない状況で、ビルト紙は今年6月までにキエフ軍は撤退に追い込まれるとしている。 ウクライナの敗北を西側も認めざるをえなくなると、西側の人びともウクライナでの戦闘について考え始め、「大本営発表」に気づくことになるだろうが、そうしたことをアメリカの支配層は望んでいないはずだ。NATO諸国で軍事的な活動が活発化している理由もその辺にあるのかもしれない。ジョー・バイデン政権は今年の大統領選挙に合わせ、新たな軍事衝突を演出する可能性がある。ドイツのシュルツ政権も国民の自分たちに対する批判を和らげるため、「ロシアの脅威」を煽りたいだろう。
2024.01.16
蔡英文や頼清徳の対中国政策は台湾を中国との戦争へと導くことになる。民進党がいう「独立」とは台湾をアメリカの「不沈空母」にすることにほかならない。 アメリカとイギリスはアングロ・サクソン国の中心的な存在で、イギリスには19世紀から世界をアングロ・サクソンが支配しなければならないと信じているグループが存在している。 この勢力はその目標を今でも放棄していない。ロシアを破壊するためにウクライナでクーデターを実行、中国を破壊するために東アジアで軍事的な緊張を高めているのだ。 民進党は台湾を中国から独立させると主張しているが、実際にはアメリカに従属する道を進み、台湾はアメリカの「不沈空母」にならざるをえない。 アメリカ空軍航空機動軍団のマイク・ミニハン司令官は2023年1月27日、アメリカと中国が2025年に軍事衝突する可能性があるとする見通しを描いたメモを将校へ送り、2020年10月16日には国家安全保障補佐官だったロバート・オブライエンは台湾は要塞化するべきだと語った。 ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したアメリカ大統領はバラク・オバマ。2014年2月のことである。その時点における戦力は反クーデター勢力がクーデター政権を上回っていたことからアメリカ/NATOはクーデター体制に武器弾薬を供給、若者を軍事訓練し始め、同時にドンバスを要塞線で囲んだ。アゾフ大隊が拠点にしたマリウポリ、岩塩の採掘場があるソレダル、その中間にあるマリーインカには地下要塞が建設されている。日本でも地下要塞になりそうな建造物が作られている。
2024.01.15
台湾では1月13日に総統選挙が実施され、蔡英文の政策を継承していると宣言している民主進歩党の頼清徳が40%を獲得して勝利した。中国国民党の侯友宜は33%、台湾民衆党の柯文哲は26%だ。頼清徳はハーバード大学を卒業した元医師で、2017年に蔡英文の下で行政院長(首相)に就任している。 蔡英文や頼清徳は中国からの独立を主張しているが、実際にはアメリカに従属する道を進むことになる。台湾から琉球諸島を経て日本列島につながる弧状列島はアメリカにとってユーラシア大陸の東岸を侵略する拠点であり、韓国は橋頭堡だ。民進党がいう「独立」とはアメリカの「不沈空母」になることを意味する。 ドナルド・トランプもジョー・バイデンもこうした政策を支援、政府高官を台湾へ派遣したり、中国に対する軍事的な恫喝を繰り返した。そして2022年8月2日、アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾を訪問する。 1972年2月、アメリカの大統領だったリチャード・ニクソンは中国を訪問して米中の国交を正常化させた。その際、アメリカは中国を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明する。「ひとつの中国」だ。台湾をアメリカの軍事基地にしないという表明でもあった。ペロシはそうした方針を壊すための使者だと言えるだろう。 同じ年の9月、総理大臣だった田中角栄が北京で日中共同声明に調印するが、その際、尖閣諸島の領土問題は「棚上げ」にすることにしている。日本の実効支配を認め、中国は実力で実効支配の変更を求めないというものだ。そして1978年8月に日中平和友好条約が結ばれ、漁業協定につながる。 この構図を壊したのは菅直人政権だった。この政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定する。そして2010年9月、石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まり、日本と中国との関係は悪化し始めた。 こうした行為は田中角栄と周恩来が決めた尖閣諸島の領土問題を棚上げにするという取り決めを壊すものでもあるが、2010年10月に前原誠司外務大臣は衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と発言している。この主張は嘘だ。 こうした政策の背後にはアメリカの好戦的な勢力が存在しているはずだが、その勢力は日本と中国との友好関係を壊すだけでなく、アメリカと中国との関係も壊し始めた。こうした政策は日本や台湾の経済界にダメージを与えたが、それはアメリカ支配層の目的のひとつでもあった。ウクライナでクーデターを仕掛け、EUを弱体化させたのと同じだ。 頼清徳が何を考えているか不明だが、アメリカの支配層は中国と台湾だけでなく、日本や韓国も共倒れにしようと目論んでいる。これは彼らアングロ・サクソンの歴史的な戦術だが、台湾にはこうしたアメリカの計画を拒否する勢力も存在、韓国では尹錫悦の検察人脈を使い、強引に軍事的な緊張を高めているが、綱渡りだ。 中国も台湾も戦争は望んでいないだろうが、アメリカは違う。ウクライナやガザで暴力的な政策が失敗して窮地に陥っているバイデン政権としては、東アジアへ「転進」したいだろう。東アジアに火がつけば、潜在的なライバルを全滅させることも可能だ。日本政府は戦争熱に浮かされ始めている。
2024.01.15
ウクライナに住みながら同国のクーデター体制を取材していたチリ系アメリカ人のゴンサロ・リラが収監されていたウクライナの刑務所で死亡した。殺されたと言うべきかもしれない。彼は2010年にウクライナに移住、地元の女性と結婚し、ロシア国境にほど近いハリコフで住んでいた。 そのリラは2022年にも逮捕されたが、釈放されている。そして2023年5月にウクライナの治安機関(SBU)は彼を逮捕された。収監中に拷問を受けていたと言われているが、10月中旬に左右の肺が肺炎を起こし、気胸、そして重度の浮腫を患ったのだが、刑務所は適切な治療を施さなかった。 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、その際、手先としてネオ・ナチを使っている。 ウクライナのネオ・ナチとは、1941年にOUN-Bを組織したステファン・バンデラを信奉するグループ。MI6(イギリスの対外情報機関)とゲシュタポ(ナチスの政治警察)のハイブリッドだとも言われている。当時、そうしたグループが東ヨーロッパや中央ヨーロッパに存在していた。 第2次世界大戦後、そうしたグループのメンバーはアメリカの情報機関によって脱出、保護されると同時に訓練を受けている。そうした人びとがソ連消滅後、東ヨーロッパや中央ヨーロッパへ戻っている。ウクライナでは2007年、ドミトロ・ヤロシュを中心にNATOの秘密部隊が組織されたが、その当時のアメリカNATO大使はビクトリア・ヌランドにほかならない。ヤロシュはアンドリー・ビレツキーと「右派セクター」を2013年11月に組織、14年のクーデターで中心的な役割を果たした。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2020年10月14日にイギリスを訪問したが、その際にMI-6のリチャード・ムーア長官からゼレンスキーの周辺にロシアのスパイがいて情報が漏れていると警告され、その後、ゼレンスキーの身辺警護はすべてイギリスに引き継がれたと伝えられている。同時に、ゼレンスキー政権に批判的なすべての報道機関はイギリスの命令で検閲されるようになった。ゼレンスキー大統領は自分に批判的な政党の活動を禁止、暗殺された政治家も少なくない。 このネオ・ナチ体制をゴンサロ・リラは批判していたが、取材は可能だった。そのリラが逮捕されたのは彼がジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領を批判した直後だ。アメリカ政府はジャーナリストの逮捕、そして拷問を容認していた。当然、バイデン政権はリラに救いの手を差し伸べなかった。 内部告発を支援する活動をしてきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジの場合、2019年4月11日にロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕され、現在、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられている。 2007年1月から17年5月までエクアドルの大統領を務めたラファエル・コレアは12年8月にアッサンジの亡命を認めていたが、イギリス当局がアッサンジを逮捕しようとしていたため、大使館から出られなくなっていた。この時点でアメリカの司法当局はすでにアッサンジを秘密起訴していたと見られている。 エクアドルの大統領がコレアからレニン・モレノに交代した2017年5月にスウェーデン検察はアッサンジに対するレイプ捜査を終え、逮捕令状を取り消すと発表した。捏ち上げだったので当然だが、モレノを排除できたので、スウェーデンの役割は終わったということだろう。イギリスとスウェーデン両当局の間でやりとりされていた電子メールは消去された。 モレノはアッサンジの亡命を取り消し、ロンドン警視庁の捜査官を大使館へ「招待」、その1カ月前、2019年3月11日にIMFはエクアドルに対して42億ドルの融資を実施すると発表している。この融資は亡命取り消しの交換条件のひとつだったとみられている。 アッサンジのアメリカへの引き渡しを認められた場合、懲役175年が言い渡される可能性がある。アッサンジへの弾圧が正当だと認められたなら、アメリカの権力犯罪を明らかにしたジャーナリストは国籍や活動拠点に関係なくアメリカの私的権力が報復できることになる。
2024.01.14
南アフリカはイスラエル軍によるガザにおける住民虐殺を止めさせるため、ICJ(国際司法裁判所)に訴えた。その訴訟に関する公開審理が1月11日と12日に開かれ、そこで南アフリカの政府関係者と弁護士はガザでイスラエル軍が行っていることは「ジェノサイド(大量虐殺)」であり、1948年のジェノサイド条約に違反していると主張している。10月7日から3カ月で2万数千人が殺害され、その4割は子ども、女性を加えると7割になるという。 この住民虐殺こそがイスラエル政府の目的だということは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相自身が口にしている。10月7日にハマスの戦闘部隊がイスラエルへ攻め込んだ直後、ネタニヤフは「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化しているのだ。 聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人」を彼は持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用した。この「アマレク人」をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せたのだ。「アマレク人」を家畜ともども殺した後、イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。 そしてサムエル記上15章3節の話を彼は持ち出す。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子どもも乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。 ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」であり、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。 また、ギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。 イスラエルの神憑った人びとはナイル川とユーフラテス川に挟まれた地域、つまりパレスチナのほかレバノン、ヨルダン、クウェート、シリア、さらにイラクの大半、エジプトやサウジアラビアの一部を「約束の地」だと主張している。「大イスラエル構想」とも呼ばれている。 アメリカやイスラエルの「建国」は神憑っている。アメリカの場合、1617年にマサチューセッツ湾へ到達したジョン・ウィンスロップは自分たちを「神から選ばれた民」だと主張、神との契約に基づいてマサチューセッツ植民地を建設すると語っている。 BRICSの構成国である南アフリカの主張に賛成する人は少なくないだろう。その主張をICJが認めるようなことはアメリカにとっても好ましくない。すでにアメリカやイギリスはイスラエルと一蓮托生だ。 そのアメリカとイギリスは1月11日夜から12日未明にかけて、オーストラリア、バーレーン、カナダ、そしてオランダを引き連れ、イエメン全土を航空機、艦船、潜水艦で攻撃した。トマホーク巡航ミサイルを含む100発以上の精密誘導弾を発射したという。ICJの公開審理に合わせての攻撃だ。軍事的には意味のない攻撃だが、ICJに対する恫喝という意味はあるかもしれない。 こうした攻撃の背後で暗躍していると言われているUANI(反核兵器イラン連合)は2008年に設立された。勿論「反核団体」ではない。ネオコンが主導する一方、アメリカやイスラエルの情報機関と関係が深いと言われている。資金源は明確でないが、シオニストの富豪、例えばシェルドン・アデルソンの一族やトーマス・カプランが含まれているようだ。そのほかペルシャ湾岸の産油国も資金を提供しているという。 現在のCEOはアメリカの国連大使を務めた経験のあるマーク・ウォレスだが、そのほかアメリカのジョー・リーバーマン元上院議員、ジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官、元政策企画本部長のデニス・ロス、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、イスラエルの情報機関モサドの長官を務めたタミール・パルド、やはりモサドのゾハール・パルティ、イギリスのチャールズ・ガスリー元国防参謀総長、ドイツの情報機関BNDの長官を務めたオーガスト・ハニングなども役員として名を連ねている。 ジョー・バイデン政権はイランの壊滅、さらに世界制覇を妄想している勢力によって動かされているのだが、それによってアメリカの立場は弱くなっている。
2024.01.14
イスラエル軍はパレスチナで住民を虐殺している。ガザで殺された住民や2万数千人以上、そのうち4割は子ども、女性を含めると7割に達するという。世界的に虐殺を非難する声が高まっているが、アメリカやギリスの支援を受けたイスラエルは虐殺を止めそうにない。民族浄化でパレスチナ全域をイスラエル領にしようとしているのだろう。 そうした中、イエメンのフーシ派はイスラエルへ向かう船舶に対する軍事行動を始めた。イスラエルによるガザでの大量虐殺を阻止、罰するというジェノサイド条約の第1条を実行に移したのだ。 それに対し、アメリカとイギリスは1月12日未明、イエメンの港湾都市アルフダイダとサヌアを含む同国全土に対する空爆、艦船攻撃、潜水艦攻撃を開始した。トマホーク巡航ミサイルを含む100発以上の精密誘導弾を発射したという。アメリカ空軍のアレクサス・グリンケウィッチ中将によると、アメリカ主導軍が11日夜、イエメン北部にあるフーシ派の拠点16カ所、60以上の標的を攻撃した。 攻撃には米英のほか、オーストラリア、バーレーン、カナダ、そしてオランダも参加したというが、昨年12月下旬にアメリカが編成したイエメン対策の軍事連合にはアメリカとイギリスのほか、オーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダ、フランス、イタリア、ノルウェー、セイシェル、スペイン、ギリシャが参加していた。6カ国が脱落している。 しかし、こうした攻撃は軍事的に意味がないと言われている。ひとつの理由は、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官がトルコ、ギリシャ、ヨルダン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビアの指導者たちに攻撃計画を説明しているため。情報がフーシ派へ伝えられた可能性は高いということだ。事前に避難することができたと見られているからである。 アメリカとイギリスがイエメンを攻撃したことで、米英両国の船舶は攻撃目標になると推測する人は少なくない。実際、イエメンは米英への報復を誓い、状況によっては地域全体の軍事基地を攻撃の標的にするとしている。 イエメンが2週間以上攻撃を続けるような事態になった場合、アメリカ主導軍の艦船はミサイルなどを補充するため、紅海を離れなければならなくなるというが、アメリカはウクライナでの戦闘で兵器は枯渇している。 ガザでの虐殺を止めようとする世界の動きを妨害してきたアメリカやイギリスがイエメンを攻撃、この両国が虐殺に関してイスラエルと同罪だということを世界へ示し、「ルールに基づく秩序」の本質を示すことになった。そのルールは帝国主義体制を維持することが目的なのだ。 今後、ヒズボラがペルシャ湾を封鎖する可能性も高まってきた。そのヒズボラはすでにレバノンでイスラエルへの攻撃を始めている。バイデン政権はヒズボラとの戦闘からイラン攻撃へと進むつもりかもしれない。
2024.01.13
中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まったCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動は、「COVID-19ワクチン」スキャンダルになっている。この「ワクチン」は遺伝子導入剤であり、これまで使われたことのない新薬。その効果を調べる生体実験が行われているのだ。その生体実験ですでに深刻な副作用が現れ、少なからぬ人が死亡している。今後、人類は生殖能力を喪失する可能性も出てきた。 こうした状況を見て、副作用を調べることで未知の生体メカニズムがわかるかもしれないと考える人もいるようだが、「COVID-19ワクチン」の接種を企画した人びとは最初からそれを目的のひとつにしていた可能性がある。研究者の好奇心を制御することは難しい。 COVID-19騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だとサーシャ・ラティポワは主張している。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 ロシア軍は2022年2月24日にウクライナを攻撃しはじめ、ドンバス周辺の要塞線に沿って集結していたウクライナ軍を壊滅させ、軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を破壊、その際に機密文書を回収した。 それから間もない3月7日、ロシア軍のイゴール・キリロフ中将はウクライナに生物兵器の研究施設が30カ所あると発表、DTRA(国防脅威削減局)から資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で研究開発は進められたと主張した。これはアメリカのウクライナ大使館が公開していた情報とも符合する。こうした研究の一環としてコロナウイルスが調べられていたとも言われているが、キリロフの発表から間もなく、世界各国は「COVID-19ワクチン」の接種をやめた。日本は例外だ。 その後、ロシア議会の委員会は文書の分析を進め、昨年4月にはアメリカ国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究開発していたと発表している。万能生物兵器とは「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器で、敵兵、つまり人間だけでなく、動物や農作物にダメージを与えることができる生物兵器だという。 こうした病原体を拡散させることによって、ターゲット国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることができる。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているようだ。 ロシア議会の委員会が言うところの万能生物兵器と似た特徴を持っているのが「レプリコン・ワクチン」にほかならない。それが日本では承認された。承認せざるをえなかったのかもしれない。COVID-19の接種プロジェクトをアメリカの国防総省が作成したとするならば、日本の政治家、官僚、「専門家」、マスコミなどは逆らえないだろう。そうした状況が日本の研究者を刺激している可能性もある。 日本では1933年に軍医学校が東京帝国大学や京都帝国大学の医学部と共同で生物化学兵器の研究開発を開始、正確なデータを得るため、生体実験が組織的に実施されている。犠牲になったのは主に中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んだ。 生体実験を実施するため、軍の内部に特別な部隊が占領地である中国で編成される。当初は加茂部隊や東郷部隊と呼ばれたが、1941年からは第731部隊と呼ばれている。第731部隊の隊長は1936年から42年、そして45年3月から敗戦までが石井四郎、その間、42年から45年2月までを北野政次が務めた。 1945年8月には関東軍司令官の山田乙三大将の名前で部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺される。事態に気づいて食事をとならなかった捕虜は射殺され、死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められたという。 石井たち第731部隊の幹部は大半が日本へ逃げ帰るが、日本の生物化学兵器に関する情報はアメリカ軍も入手していた。1946年に入ると石井たちアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けることになるが、厳しいものではなく、資料はアメリカ側へ引き渡された。 尋問の過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と石井は親しくなり、隊の幹部たちはアメリカの保護を受けるようになる。日本が提供した資料や研究員はドイツから提供された知識と同じように、アメリカにおける生物化学兵器開発の基盤になった。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議した。アメリカ側は事実無根だと主張したが、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官は議会証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。 朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」が設立されたが、北野政次が顧問に就任するなど、この会社は第731部隊と深い関係がある。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、「薬害エイズ」を引き起こすことになる。現在は田辺三菱製薬の一部だ。 第731部隊を含む日本の生物化学兵器人脈は「伝染病対策」の中枢を形成することになる。その拠点として1947年には国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になる。1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名された。 アメリカでも1930年代から生物化学兵器の研究が始まっている。例えばロックフェラー財団の「衛生委員会」チームの一員としてプエルトリコのサンフアンにある病院で数カ月間勤務したロックフェラー医学研究所のコーネリアス・ローズなる人物は1931年、プエルトリコの被験者に意図的にガン細胞を人体へ注入し、そのうち13人を死亡させたと言われている。彼はプエルトリコ人を軽蔑、絶滅を妄想していた。 ローズは第2次世界大戦中にアメリカ陸軍の大佐となって化学兵器部門の医学部長を務め、ユタ州、メリーランド州、パナマに化学兵器研究所を設立、プエルトリコ人に対する秘密実験にも参加。1943年末までに化学兵器関連の新しい医学研究所がマサチューセッツ州のキャンプ・デトリック、ユタ州のダグウェイ実験場、アラバマ州のキャンプ・シベルトに設立された。1944年1月、化学兵器局は生物兵器に関するすべてのプロジェクトを担当することになった。 キャンプ・デトリックは1955年からフォート・デトリックに格上げされるが、ここは今でもアメリカ軍の生物化学兵器開発の中心的な存在である。日本やドイツによる生物化学兵器の研究開発結果は第2次世界大戦後、フォート・デトリックへ運ばれた。
2024.01.13
アメリカのジョー・バイデン政権はウクライナの敗戦処理ができないままパレスチナでイスラエル軍による住民虐殺を支援、そして東アジアで軍事的な緊張を高めている。そうした中、アメリカの軍事部門を統括する国防総省のトップ、ロイド・オースチン長官が12月22日から姿を消し、問題になっている。 メディアの報道によると、オースチンは12月22日にアメリカ陸軍のウォルター・リード病院で前立腺癌の外科手術を受けている。その際、キャスリーン・ヒックス国防副長官に権限の一部を移譲したものの、バイデン大統領へ手術について報告していない。 その翌日にオースチンは退院して1月1日まで自宅で仕事を始めたが、激痛のため救急車で病院に運ばれ、集中治療室に入院。それでもホワイトハウスに状況を知らせなかったという。軍医の助言に従って長官が下級補佐官を病院に呼び寄せ、プエルトリコで休暇中だったヒックスへ作戦上の責任の一部を再び移したのは1月2日のことだが、彼女は長官の再入院について知らされていない。 その日、オースチンは上級将官、文民参謀長、文民広報部長を含む4人のスタッフに入院が続いていることを伝えたが、そのスタッフは誰もホワイトハウスに伝えなかったという。チャールズ・ブラウン統合参謀本部議長は長官の病状について知らされたが、彼も沈黙していた。 そして1月4日、アメリカ軍の戦闘爆撃機がバグダッドの軍事目標を爆撃している。ヒックスがオースチンの入院を知らされたのはその後で、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問らにも報告された。長官が入院していることが記者たちに知らされたのはその翌日。そして1月6日、オースチンは謝罪するが、バイデン大統領はこの件についてコメントしていない。 しかし、ウエスト・ポイント(陸軍士官学校)出身で、バラク・オバマ大統領が2013年から2016年までCENTCOM(米中央軍)の司令官に据え、退役後にはミサイルの製造メーカーとして有名なレイセオンの重役に就任したような人物が、自らの入院をホワイトハウスに知らせないという基本的な間違いを犯すのは奇妙だと考える人もいる。また長官は「国防情報局からブリーフィングを受けた後、統合参謀本部へ行ってブリーフィングを受ける」などスケジュールはタイトなため、ひとりでコーヒーを飲むこともできないという。
2024.01.12
極超音速ミサイル、防空システム、ECM(電子対抗手段)、戦闘機などの分野でアメリカはロシアに遅れを取り、技術水準は数十年の差ができたと言われている。 それに対し、アメリカはウクライナの戦場でAI(人工知能)の有効性を実験していると伝えられている。アメリカの国防総省はAIを重視、研究開発を続けているようだが、ウクライナでアメリカ/NATOはロシアに敗北、AIで戦況は変化しなかった。 アメリカとイギリスはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロ・サクソン系国、そしてイスラエルと一種の帝国を形成している。その中心はシティとウォール街だ。 これらの国々のつながりは電子情報機関の連携に表れている。イギリスのGCHQとアメリカのNSAを中心とする連合体で、UKUSAと呼ばれている。イスラエルの8200部隊は米英の機関と同格だが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国は「第2当事国」と呼ばれ、米英両国より格は下、つまり下部機関だ。これはアングロ・サクソン帝国の構造と基本的に同じだと言えるだろう。 イスラエルもAIを重視、ガザに対する攻撃ではAIを搭載した兵器を投入していると言われている。すでに空中を飛行、水中を航行するロボット兵器、つまりドローンは実用化されているが、さらに進化させたものだ。その先には「超人兵士」の構想もあるという。 将来的には装具で兵士の戦闘能力を高めるだけでなく、遺伝子操作を利用して「超人」を作り出すということも考えているようだ。AIをナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術、認知科学と融合、自然の摂理を否定し、「トランスヒューマニズム」の世界を築こうとしているとも言える。 この発想はWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブも口にしている。彼は2016年1月、スイスのテレビ番組マイクロチップ化されたデジタルIDについて話しているのだ。最終的には脳内にマイクロチップを埋め込んで外部の巨大コンピュータと連結、つまり人間をコンピュータの端末にするとしている。 また、シュワブの顧問を務めているユバル・ノア・ハラリはAIによって「不要な人間」が生み出されると見通している。兵士もAIロボットにすげ替えらるつもりなのだろう。 アメリカはウクライナで生物兵器の研究開発を続けていた。その研究施設を2022年2月にロシア軍はミサイルで破壊、機密文書を回収し、1年かけて分析、その内容をロシア議会の委員会は昨年4月に公表した。その報告書の中で、アメリカの国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究開発していたと書いている。 敵兵、つまり人間だけでなく動物や農作物にダメージを与えることができるため、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることができるというのだ。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているようだ。
2024.01.12
自衛隊がアメリカの戦争マシーンに組み込まれたのは1995年のことである。その自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも完成させた。 アメリカ国防総省のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしている。 しかし、配備できそうな国は日本だけ。しかも日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。 しかし、状況が切迫してきたのか、日本政府は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと昨年2月、浜田靖一防衛大臣は語った。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。「反撃能力」が強調されているが、それは先制攻撃能力にほかならない。 ところが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。そのようにアメリカで命令されたわけだ。当初の計画では2026年度から最新型を400機だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。 日本は高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、エンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)を開発、2026年には九州や北海道の島々へ配備しようとしている。 高性能兵器の開発ではロシアがアメリカを数十年リードしていると言われているが、科学技術の分野で劣るアメリカは日本を頼みにしているのかもしれない。もっとも、その日本も科学技術のレベルが低下している。 それに対し、すでにロシアは射程距離1万8000キロメートル以上のサルマト、核エネルギーで推進するミサイルや核魚雷、大陸間をマッハ20で滑空するミサイル、あるいは2000キロメートルをマッハ10で飛行する極超音速ミサイル「キンジャール」を開発している。 ロシア軍はキンジャールをウクライナの軍事施設や軍需工場を攻撃するために使用している。ロシアが攻撃を軍事関連の施設に限定していることからガザとは違い、住宅地は破壊されず、住民に多くの死傷者が出る事態にはなっていない。それを利用し、ウクライナ政府は極超音速ミサイルを撃ち落としたと宣伝しているが、勿論、そうしたことは不可能である。 与那国島にミサイル発射施設が建設された翌年、2017年の4月に韓国ではTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。このシステムをアメリカが持ち込んだ理由は中国を攻撃する能力を高めることにあるとみられるが、2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵はTHAADの配備に難色を示していた。それにもかかわらずTHAADを搬入できたのは朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたからだ。 2013年にはNIS(国家情報院)の大統領選挙介入疑惑を捜査、16年に尹錫烈が検事として朴大統領を捜査する特別検察官チームのトップと就任した。その疑惑とは、NISが2012年の大統領選挙で朴大統領を勝たせるため、インターネットの書き込みを利用したというもの。検事だった尹は朴槿恵政権の正当性を攻撃している。 2016年末に韓国の放送局JTBCは朴大統領の友人だった崔順実(崔瑞源)が国家機密情報を受け取っていたと報道、証拠としてタブレット端末を示し、検察はJTBCの報道を「事実」として認め、崔と安鍾範前大統領府政策調整首席秘書官らが職権乱用や公務上機密漏洩などの容疑で2016年11月に起訴され、朴大統領も共犯だとされた。 結局、朴槿恵は失脚したが、JTBCは青瓦台関係者のタブレットPCを入手し、検察と協力し、あたかも民間人が大統領から様々な機密を持ち出したかのように見せかけたのだと主張する人がいる。報道も捜査もでっち上げだというのだ。 尹錫烈は文在寅政権でソウル中央地検の検事正になり、李明博元大統領や梁承泰元最高裁長官を含む保守派の主要人物を逮捕、文大統領の信頼を得て検事総長になった。その後、尹は次期大統領候補と目されていた趙国法務部長官(当時)に対する捜査を開始、尹が大統領に就任した後、彼の指揮で検察は民主党の李在明党首を収賄容疑で捜査している。 大統領に就任した尹錫烈はアメリカの命令に従って行動、日本と軍事的な同盟関係を結び、逆に中国やロシアを罵り始める。朝鮮半島だけでなく台湾問題にも首を突っ込み、東アジアにおける軍事的な緊張を高め始めた。それだけでなく、武器弾薬が枯渇したアメリカ/NATOに代わり、日本と同じように韓国も武器弾薬を供給する姿勢を見せている。 善と悪、右と左というような二元論で尹錫烈を理解してはならない。彼は新たな朝鮮戦争を避けたいという韓国の共通認識を壊し、東アジアの軍事的な緊張を高めようとしたのだが、これはアメリカ支配層の意向に沿うものだ。 言うまでもなく、日本や韓国が中国やロシアをミサイルで攻撃した場合、強烈な反撃があるはずだ。
2024.01.11
膠原病は基本的に自己免疫疾患で、結合組織疾患やリウマチ性疾患と表現されることもあるという。免疫システムには自己と非自己を区別する能力があり、自己とは反応しない仕組みになっているのだが、何らかの原因で自己に対する免疫反応が起こることがある。これが自己免疫。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」もその原因だ。2021年春にはこの「ワクチン」が自己免疫疾患を引き起こしている可能性があると指摘されている。 この「ワクチン」は古典的な意味のワクチンでなく、遺伝子導入剤と呼ぶべき薬剤だ。mRNAを細胞の内部へ送り込み、細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させ、抗体を作るという仕組みになっているが、抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させる可能性があるという。 免疫システムが自分の細胞を病気の原因だと認識して攻撃すると炎症が引き起こされる。それを放置すると死に至るため、「ワクチン」には免疫を抑える薬剤が含まれ、また免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導されるのだが、免疫能力の低下は感染を防ぐ能力の下げることになる。いわばAIDS状態になるわけで、「COVID-19ワクチン」はAIDS誘発薬だとも言える。VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。
2024.01.10
2014年11月から17年12月にかけてUSAREUR(米国欧州アフリカ陸軍)の司令官を務めたベン・ホッジスがウクライナの敗北を認めたと話題になっている。ロシア軍が空と陸からの攻撃を拡大している一方、ウクライナ軍は防空ミサイルや弾薬が不足していると語っている。 昨年末の段階でもホッジスはウクライナ軍がアメリカの支援を受けて部隊を再編、砲弾や兵器を増産、電子戦でロシアに対抗する能力を獲得し、夏までにはF16戦闘機でロシア軍の戦闘機に対抗できるようになると主張していた。アメリカ/NATOの生産能力はロシアの数分の一に過ぎないにもかかわらず、ホッジスはロシアの兵站体制が脆弱だともしていた。これが妄想にすぎなかったことを認めたわけだ。 ウクライナの敗北は2022年2月24日にロシア軍がドンバス周辺に集結していたウクライナ軍部隊をミサイルで壊滅させ、ロシア軍はウクライナの航空基地、レーダー施設、あるいはアメリカ国防総省が生物兵器を研究開発していた施設を破壊した頃から言われていた。 そこでウクライナ政府はイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットを仲介役としてロシア政府と停戦交渉を開始、双方とも妥協して停戦は実現する寸前まで行った。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛び、プーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつける。その足で彼はドイツへ向かい、オラフ・ショルツ首相と会うのだが、その日、ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺している。現在のSBUはCIAの下部機関だ。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と昨年6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。 停戦交渉の進展でロシア軍はウクライナ政府との約束通りにキエフ周辺から撤退を開始、3月30日にはブチャから撤退を完了する。31日にはブチャのアナトリー・フェドルク市長がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていない。 ロシア軍が撤退した後、ウクライナの親衛隊が現地に入るが、その後に西側の有力メディアはロシア軍が住民を虐殺したとする宣伝を始めて停戦交渉を壊した。 その間、4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込んで停戦交渉の中止と戦争の継続を命令、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と国民を脅し、4月30日になるとナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。 そこからアメリカ/NATOは武器弾薬の供給や兵士の訓練といった軍事的な支援を強化するのだが、彼らの思惑通りには進まない。そこで武器弾薬は枯渇、兵士の死傷者は膨らみ、ベン・ウォレス前英国防相は昨年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると語っている。 そうした状況のため、十分な訓練をしないまま前線に投入せざるを得なくなり、アメリカ/NATOはウクライナ兵に「バンザイ突撃」を繰り返させて死傷者を増やした。それでもウクライナ軍はロシア軍に勝つと言い張っていたホッジスだが、ついに「ウクライナの悪夢のシナリオが現実になりつつある」と言わざるをえなくなったわけである。 そうした中、昨年10月7日にハマスをはじめとする武装勢力がイスラエルを攻撃した。この攻撃をイスラエル政府やアメリカ政府は事前に知っていたと言われているが、イスラエル側はパニックになっている。 ハマスがイスラエルに攻め込んだ直後、イスラエル軍は自国民を殺傷している。この事実はイスラエル国内でも大きな問題になっている。イスラエル軍はガザへ攻め込んで建造物を破壊、人びとを殺傷してきた。すでに殺されたガザの住民は2万数千人に達した。そのうち約4割は子ども、女性を加えると7割以上に達すると言われている。現地で取材しているジャーナリストも攻撃の目標になっているが、その一方でハマスは崩壊していない。イスラエル政府は戦乱を拡大させようとしているとも言われているのだが、そうなるとバイデン政権はさらに厳しい状況に陥る。 アメリカ政府はエネルギー資源を支配し、ロシアや中国を破壊しようとしてきた。この戦略は1991年12月にソ連が消滅した直後、ネオコンによって作成されている。1992年2月に書き上げられたDPG(国防計画指針)草案だ。 その当時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。草案はウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。ジョージ・W・ブッシュ政権以降、アメリカの世界戦略はこれに基づいて決められてきた。 このドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止すること。さらに、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐとも謳っている。 アメリカは東アジアで中国と戦うため、オーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を、またオーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」という軍事同盟を組織した。 AUKUSは中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だとも言われているが、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。 現在、東アジアにおけるアメリカの軍事的な手先は日本と韓国だ。日本が1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれたことは本ブログで繰り返し書いてきた。韓国の場合、2017年4月、「ロッテスカイヒル星州カントリークラブ」へTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。 このシステムをアメリカが持ち込んだ理由は中国を攻撃する能力を高めることにあるとみられ、韓国政府はTHAADの配備に難色を示していた。そうした韓国側の抵抗を突破したいアメリカにとって好都合な事件がその頃、浮上する。 韓国では2013年2月、朴槿恵が大統領に就任したが、その直後に安倍晋三内閣の閣僚が靖国神社を参拝、中国や韓国の反発を招いた。韓国政府は「深い憂慮と遺憾の意」を表明し、尹炳世外相の訪日を取りやめている。こうした事態はアメリカにとって都合が悪い。 政治的な立場によらず、韓国の歴代政府は朝鮮半島で軍事的な緊張が高まる政策を避けてきた。朝鮮半島では1950年6月から53年7月にかけて戦争があり、破壊と殺戮の場となった記憶があるからだろう。 この戦争でアメリカ軍は大規模な空爆を実施、SAC(戦略空軍総司令部)の司令官だったカーチス・ルメイによると、朝鮮の人口の20%を殺している。実際はそれ以上だろう。この戦争で投下された爆弾は約63万5000トンだと言われているが、第2次世界大戦中に日本へ投下された量は約16万トンだ。 朴槿恵の父親、朴正煕は1961年5月にクーデターで実権を握った独裁者だが、1970年代の後半にはソ連に接近していたと言われている。そして1979年10月26日、朴正煕は暗殺された。 中央情報部長だった金載圭が大統領と車智澈警護室長を射殺したとされているが、金載圭が持っていた銃に装填できる弾丸の数より発射された弾丸の数が多いと言われている。この暗殺はアメリカが主導したクーデターで、それを全斗煥がひっくり返したとも言われている。当時、韓国では軍事政権に反対する民主化運動があったがそれを利用したと推測する人もいる。 ところで、朴槿恵の失脚には尹錫烈が深く関与している。2013年にはNIS(国家情報院)の大統領選挙介入疑惑を捜査、16年に朴大統領を捜査する特別検察官チームのトップとなった。 2013年の疑惑とは、NISが2012年の大統領選挙で朴大統領を勝たせるため、インターネットの書き込みを利用したというもの。検事だった尹は朴槿恵政権の正当性を攻撃している。 2016年末に韓国の放送局JTBCは朴大統領の友人だった崔順実(崔瑞源)が国家機密情報を受け取っていたと報道、証拠としてタブレット端末を示した。JTBCはこのタブレット端末を検察に提出し、検察はJTBCの報道を「事実」として認める。韓国の当局は崔と安鍾範前大統領府政策調整首席秘書官らを職権乱用や公務上機密漏洩などの容疑で2016年11月に起訴、朴大統領も共犯だとされた。なお、崔順実の父親、崔太敏は朴正煕大統領と関係のあったカルト教団の教祖だという。 しかし、JTBCは青瓦台関係者のタブレットPCを入手し、検察と協力し、あたかも民間人が大統領から様々な機密を持ち出したかのように見せかけたのだと主張する人がいる。報道も捜査もでっち上げだというのだ。 結局、朴槿恵は失脚したが、その直前、国軍機務司令部が戒厳令を計画、合同参謀本部議長の命令ではなく陸軍参謀総長の指示で陸軍を動かそうとしていたとも伝えられている。権限を持たない国軍機務司令部が戒厳令を計画したとする話が事実なら、これはクーデター計画にほかならない。 尹錫烈は文在寅政権でソウル中央地検の検事正になり、李明博元大統領や梁承泰元最高裁長官を含む保守派の主要人物を逮捕、文大統領の信頼を得て検事総長になった。その後、尹は次期大統領候補と目されていた趙国法務部長官(当時)に対する捜査を開始、尹が大統領に就任した後、彼の指揮で検察は民主党の李在明党首を収賄容疑で捜査している。 大統領に就任した尹錫烈はアメリカの命令に従って行動、日本と軍事的な同盟関係を結び、逆に中国やロシアを罵り始める。朝鮮半島だけでなく台湾問題にも首を突っ込み、東アジアにおける軍事的な緊張を高め始めた。それだけでなく、武器弾薬が枯渇したアメリカ/NATOに代わり、日本と同じように韓国も武器弾薬を供給する姿勢を見せている。 尹錫烈はアメリカの支配層にとって目障りなふたつの勢力を潰し、ネオコンにとって都合の良い政策を推進している。
2024.01.10
ハマスのオサマ・ハムダンによると、イスラエル軍はガザ北部から撤退したという。10月7日にハマスをはじめとする武装勢力がイスラエルを攻撃、イスラエル軍は自国民を殺傷した後、ガザへ攻め込んで建造物を破壊、人びとを殺傷してきた。 殺されたガザの住民は2万数千人、そのうち約4割は子ども、女性を加えると7割以上に達すると言われている。現地で取材しているジャーナリストも攻撃の目標になっているが、その一方でハマスは崩壊していない。 当初からガザでイスラエル軍は苦戦していると推測されていたが、ハマスのイズ・アドディン・アル・カッサム旅団は1月5日、ガザ北部のアル・カリム地区に集まったイスラエル軍に対する迫撃砲による攻撃を映した映像を公開、パレスチナ・イスラム聖戦のアル・クッズ旅団は同日、ガザ北部のトゥファとダルジのガザ市地区でイスラエル軍の戦車に対するロケット弾による攻撃を撮影した映像を公開している。 イスラエル軍はガザやヨルダン川西岸で住民を虐殺、イスラム国だけでなく世界から批判されている。イラクではカタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アル・アルハク、バドルなどのシーア派の戦闘集団がイスラエルやアメリカに対する攻撃を始めつつあり、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派もイスラエルやアメリカに対する攻撃を始めている。 それでもイスラエルを支援しているのがアメリカ政府。ジョー・バイデン大統領はハマスがイスラエルへ攻め込んだ後ベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、「シオニストであるためにユダヤ人である必要はない」と断言、自らがシオニストだと訴えた。上院議員だった1986年6月、ハイデンはイスラエルがアメリカの利権を守る上で重要な存在だと議会で主張している。 イスラエルはガザやヨルダン川西岸で「民族浄化」作戦を展開、アメリカはそうした行為を擁護している。こうしたアメリカの姿勢を「ダブル・スタンダード」だと批判する人もいるが、ダブル・スタンダードこそが西側で共有されている「価値観」であり、日本もそうした「ルールに基づく国際秩序」を目指しているのだろう。「ルールに基づく国際秩序」のルールとは「帝国主義のルール」にほかならない。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、帝国主義の本拠地はシティやウォール街である。そこを拠点にしている米英金融資本は19世紀から中国を侵略する手先として日本を支援してきた。「脱亜入欧」とは帝国主義の手先になることを意味する。彼らが明治維新を仕掛けたのはそのためだ。 その新体制は安藤昌益を産んだ徳川体制を倒し、自由民権運動を捻り潰し、民主主義を主張する人を弾圧することになる。そのために築かれたのが天皇制官僚体制だが、そのシステムは第2次世界大戦後も維持されている。日本人は戦争に敗れた後も天皇制を温存したのだ。 大戦後に定められた日本国憲法の第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と書かれている。そこから第8条まで天皇に関する規定が続く。ちなみに昭和天皇(裕仁)は大戦後、戦争責任を問われていないが、その理由は戦前も天皇が「象徴」にすぎなかったからだとされている。 敗戦後も「天皇制官僚国家」という構造に変化はなく、「国体」は護持されたと言えるだろう。「戦後民主主義」はその枠の中で作り出されたイメージだ。
2024.01.09
日本では「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」が昨年11月28日に承認された。製薬会社は今年の秋、または冬に接種する予定だという。「COVIDワクチン」とは遺伝子導入剤で、古典的なワクチンではない。しかも「レプリコン・ワクチン」は一種の人工ウイルスにほかならず、動物の種を超えるだけでなく、植物と動物との間でも感染する可能性があると指摘されている。これだけ危険な薬剤の接種を日本政府はなぜ強行しようとしているのだろうか? 承認申請したメーカーはMeiji Seikaファルマで、同社は武田薬品系のアルカリスと共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設福島県南相馬市に建設、そこでアルカリスが開発した遺伝子導入剤「ARCT-154」を作る計画だ。 アルカリスはアークトゥルスとアクセリードが共同で設立したmRNA医薬品CDMO(医薬品受託製造)会社であり、アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフして誕生した。 ロシア議会の委員会は昨年4月、アメリカの国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究開発していたと発表している。敵兵、つまり人間だけでなく動物や農作物にダメージを与えることができるため、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることができる。「レプリコン・ワクチン」と特徴が似ている。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているようだ。 ロシア軍は2022年2月24日にウクライナを攻撃しはじめ、機密文書を回収、その文書を1年がかりで分析した上での結論だ。万能生物兵器とは「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器だとされている。 万能生物兵器と似た特徴を持つ「レプリコン・ワクチン」を承認した国は日本だけだという。生態系を破壊する可能性がある危険な薬剤を承認しないのは当然で、日本政府が正気だとは思えない。 日本の政治家、官僚、「専門家」、マスコミなどを狂わせているのは製薬会社のカネだと考える人は少なくないが、それ以上に強力な要因がある。アメリカ国防総省の計画だ。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワは情報公開法で入手した文書を分析、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動は国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だとしている。 ロシア軍が回収した文書の分析を指揮したイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、そこで生物兵器の研究開発を行っていた。研究テーマのひとつが万能生物兵器だ。 日本政府は人類の存続を危うくしかねない薬剤を人びとに接種、すでに深刻な副作用が現れている。日本以外の国では2022年の春、つまりロシア軍がウクライナで生物兵器に関する機密文書を回収した直後から遺伝子導入剤の接種を止めているのだが、日本政府は「レプリコン・ワクチン」の接種を強行するつもりだ。正気の沙汰ではない。 アメリカの国務省は歴史的にファシストの巣窟だが、1970年代にネオコンが台頭すると、その影響を受けるようになる。1990年頃になると国防総省もネオコンに支配されるようになった。ネオコンはシオニストであり、シティやウォール街、つまり米英金融資本の影響下にある。ネオコンが1995年に日本をアメリカの戦争マシーンに組み込んだことは本ブログで繰り返し書いてきた。
2024.01.08
アメリカのNSC(国家安全保障会議)で戦略広報調整官を務めるジョン・カービーはロシアが朝鮮からミサイルを入手、イランからも調達する計画だと主張した。「重大かつ懸念すべきエスカレーション」なのだという。 西側はロシアが「ミサイルを使い果たす」と宣伝してきたが、兵器が枯渇しているのはアメリカ/NATO、そしてウクライナである。ロシアは高性能ミサイルでウクライナの軍事施設を破壊し続けてきた。朝鮮やイランからミサイルを調達しなければならない状況にはない。 ウクライナでアメリカ/NATOはすでに敗北、しかもロシアは西側を信用せず、話し合いで戦闘を停止することが困難な状況であり、停戦を利用して「勝った」と宣伝することが難しい。 ウクライナ側は兵器が枯渇しているだけでなく兵士もいなくなり、戦場で戦うウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えているとベン・ウォレス前英国防相は10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中で指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。国外へ脱出したウクライナの若者を送り返そうという主張もある。 ジョー・バイデンはアメリカ大統領に就任して間もなく、ルビコンを渡った。ロシアに対する戦争を始めたのだが、その際、彼らは簡単に勝てると信じていたようだ。 ロシア軍はウクライナ軍との戦闘で多大な損失を被り、士気が極度に低下してミサイル、砲弾、燃料などが不足、国内経済は破綻、人びとの不満が爆発して内部崩壊するというシナリオだったようだが、そうした展開にはならなかった。国内経済は安定、現在、ロシアの兵器生産力は西側の数倍だと見られている。兵器が枯渇して苦しんでいるのはアメリカ/NATOだ。 アメリカがロシアに戦争を仕掛けたのはバイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権時代。2013年11月にウクライナでクーデターを開始、2月22日にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功している。そのクーデターでオバマはネオ・ナチを手先として利用した。 そうした動きを見て中国はアメリカとの関係を見直し、ロシアとの関係を強化してきた。経済的な結びつきだけでなく、軍事的な協力関係も強めている。アメリカはロシアと中国、2カ国を相手にせざるを得なくなった。しかも、ここにきてパレスチナで戦争が始まった。 イスラエルが創設に深く関与しているハマスがイスラエルへ攻め込んだのだが、事前にアメリカやイスラエルは攻撃があるとする情報を入手していた。アメリカの艦隊は攻撃を予測していたとしか思えないほど迅速に動いている。 ハマスが攻め込んだ際、イスラエル軍がイスラエル人を殺害していることも判明、イスラエル国内で問題になっている。しかもガザでの住民虐殺に対する怒りは世界に広がった。 しかも、当初から指摘されていたが、ガザでイスラエル軍は苦戦しているようだ。ヒズボラ、イラクの武装グループ、イエメンのフーシ派もイスラエルやアメリカに対する攻撃を始めている。 ハマスのイズ・アドディン・アル・カッサム旅団は1月5日、ガザ北部のアル・カリム地区に集まったイスラエル軍に対する迫撃砲による攻撃を映した映像を公開、パレスチナ・イスラム聖戦のアル・クッズ旅団は同日、ガザ北部のトゥファとダルジのガザ市地区でイスラエル軍の戦車に対するロケット弾による攻撃を撮影した映像を公開した。イスラエル軍はガザを制圧できていない。米英など西側の有力メディアはハマスを悪魔化して描く「報道」を繰り返しているが、嘘だけで戦争に勝つことはできないのだ。
2024.01.07
アメリカはシティやウォール街を拠点とする強大な私的権力にコントロールされている。1970年代から急速に進んだ新自由主義化の結果、私的権力はすでに国家を凌ぐ力を持っているが、現在、私的権力は国というシステムを経由せず、自分たちが直接統治する体制を築こうとしている。 彼らが推進しようとしていたTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)、最近ではパンデミック条約やIHR(国際保健規則)改定案も主権国家を否定する試みの一環だ。 私的権力が民主主義国家そのものより強くなると民主主義国家の自由は危うくなり、その本質はファシズムだとフランクリン・ルーズベルト大統領は1938年4月29日に主張した。すでにアメリカはファシズム体制に入っているということであり、新自由主義はファシズムの別名だとも言える。 1991年12月にソ連は消滅するが、その年の1月にアメリカ主導軍はイラクを攻撃したが、その際、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領はサダム・フセイン体制を倒さなかった。ブッシュや彼の仲間はフセイン体制をペルシャ湾岸の産油国をイランから守る防波堤だと認識していたからだ。 それに対し、ネオコンはフセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立し、シリアとイランを分断した上で両国を個別撃破しようと考えていた。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、湾岸戦争でブッシュ大統領がフセイン体制を倒さなかったことにネオコンは怒ったが、その際、中東でアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと理解した。その年の5月にクラークは国防総省を訪問、そこで会った国防次官のポールはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていたという。 シオニストであると同時に私的権力の代理人でもあるネオコンはソ連が消滅した直後、1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇プロジェクトを作成した。その当時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツだ。 DPG草案はウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。ブッシュ・ジュニア以降、アメリカの世界戦略はこれに基づいて決められてきた。 このドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止することだとしている。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだ。さらに、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐとも謳っている。 ここからネオコンの世界制覇プロジェクトは始まり、1999年3月から6月にかけての期間、ユーゴスラビアを空爆した。例によって偽情報を流して攻撃の正当化を試みたが、単なる侵略だということはまもなく明らかにされた。その間、4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンをベースにしてネオコン系シンクタンクPNACは2000年に「アメリカ国防の再構築」を発表、それに基づいてジョージ・W・ブッシュ政権は軍事政策を作成した。その政策を実行する口実になる出来事が引き起こされたのは2001年9月11日。その日、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだ。 その攻撃から6週間ほど後、国防長官の周辺で攻撃予定国のリストが作成されていたことを統合参謀本部でクラークは知らされている。そのリストに載っていた国はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイラン。イラクが攻撃されたのは2003年3月だ。 これもウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づく計画だろうが、アメリカやイスラエルには「脅せば屈する」という信仰がある。例えば、何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けるとリチャード・ニクソンは考え、イスラエルは狂犬のようにならなければならないと同国のモシェ・ダヤン将軍は語っている。ネオコンも同じで、この戦術はロシアや中国にも通用すると考えていた。 米英支配層と深い関係にある外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとされていた。簡単にロシアや中国に勝てるということだ。 それに対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は問題を外交的に解決しようとしてきたが、ネオコンはそれを「弱さ」だと考えた。そのプーチンは2017年10月、ソチ開かれたバルダイ国際討論クラブの会議で「西側との関係で我々が犯した最も深刻な間違いは信用しすぎたということだ」と記者に対して語っている。その判断は正しいが、それでも2020年代に入っても外交的に問題を解決しようとしていた。プーチンがアメリカとの話し合いに見切りをつけたのは2023年の秋頃だ。
2024.01.06
ジョー・バイデン政権はロシアとの関係を悪化させ、軍事的な緊張を高める政策を進めてきた。ウクライナのネオ・ナチを利用してロシアを疲弊させ、東アジアにおける軍事的な緊張を高め、中国を崩壊させようとしている。簡単にロシアと中国を倒せると考えたのだろうが、その思惑は外れ、アメリカやその従属国であるEUや日本は窮地に陥った。 バイデンが大統領に就任したのは2021年1月のことだが、その当時、彼はロシアや中国を屈服させてアメリカが世界の覇者になることは容易だと信じていたようだ。その年の3月16日、バイデンはABCニュースの番組に登場、ジョージ・ステファノプロスからウラジミル・プーチン露大統領は人殺しだと考えるかと問われ、「その通り」と答えている。しかも軍事的にロシアを挑発し、緊張を高める政策を進め始めた。バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権の対ロシア政策を継承したとも言える。 ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてバイデンはネオコンに担がれた政権であり、ドナルド・トランプ政権もネオコンの影響下にあった。つまりロシアと中国を屈服させ、シティやウォール街を拠点とする私的権力が世界を支配する体制を築こうとしたのだ。 このプロジェクトはソ連が消滅した1991年12月の直後から始まる。その当時、アメリカの外交や軍事はネオコンが主導権を握っていたが、そのネオコンはソ連消滅の段階でアメリカが唯一の超大国になったと認識、1992年2月にはDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇プロジェクトを作成している。 その当時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。DPG草案はウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。ブッシュ・ジュニア以降、アメリカの世界戦略はこのドクトリンに基づいて決められてきた。 その時の国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツだ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから、DPGは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 そのドクトリンは第1の目的を「新たなライバル」の出現を阻止することだとしている。旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、東南アジアにアメリカを敵視する勢力が現れることを許さないというわけだが、それだけでなく、ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐと謳っている 第2次世界大戦でドイツはソ連へ軍事侵攻、日本は大戦の前から中国を侵略していた。ドイツとの戦争でソ連は勝利したものの、2000万人とも3000万人とも言われる国民が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊された。惨憺たる状態で、結局、ソ連消滅まで回復できなかったようだ。中国も約2000万人が殺され、「惨勝」と言われる状態だ。バイデン政権は同じようにロシアを疲弊させ、中国を潰そうとしたと見られている。 しかし、ロシアはアメリカ/NATOが「新バルバロッサ作戦」を始める直前、つまりウクライナ全域を制圧する前に反撃を開始、西側がロシアから撤退したことからロシア企業の生産力が高まって経済は発展、しかも中国と戦略的な同盟関係を結ぶことになった。アメリカの政策で経済がダメージを受けたのは欧米、特にEUだ。アメリカ/NATOが軍事力でロシアに劣ることも明らかになってしまった。 そうした中、アメリカ国防総省は「万能生物兵器」を開発している。敵兵、つまり人間だけでなく、動物や農作物にダメージを与えることができ、「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器だとされている。 これによって、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えようとしているという。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているという。この特徴が「レプリコン・ワクチン」と似ていることは本ブログでも書いてきた。日本で万能生物兵器を製造する可能性がある。
2024.01.05
石川県の能登半島で震度7の地震があり、志賀原子力発電所や柏崎刈羽原発の状況を懸念する声がある。政府や電力会社は安全上の問題は起きていないと発表、マスコミはその話を「報道」しているが、裏をとれているとは思えない。政府や電力会社の状況に関する「評価」を垂れ流しているだけだろう。 2011年3月11日に福島県沖で起こった地震により、東京電力福島第1原発で炉心が溶融する事故が引き起こされた際、政府、電力会社、マスコミは事実を隠蔽し、結果として被害を拡大させた。 医療法人の徳洲会を創設した徳田虎雄の息子で衆議院議員だった徳田毅は事故の翌月、2011年4月17日に自身の「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いていた: 「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」 メルトダウンで内部が破壊されると温度と圧力は急上昇、放射性物質は環境中へ放出されはじめた。12日の午後2時半頃にベント(排気)したとされているが、双葉町ではベント前に放射線量が上昇していたと伝えられている。そして午後3時36分に爆発した。 徳田は12日の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたとする情報を明らかにしているが、アメリカのNRC(原子力規制委員会)もそうした破片が存在していると認識していた。 NRC新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は2011年7月28日に開かれた会合で、発見された破片は炉心にあった燃料棒のものだとする推測を明らかにしている。マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出していた。 また、双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。事故の直後に相当数の人が放射性物質が原因で死んでいる可能性が高い。 当官房長官を務めていた枝野幸男によると、3月15日未明に東電の社長だった清水正孝から全員撤退を打診する電話があったという。実際、現場ではそうした動きがあったようだが、それを非難することはできない。「死」を意識しなければならない状況だったのだ。 東電の内部にもプラント制御に必要な人員を残すという意見があり、結局、全員撤退ということにはならなかったようだが、その代償を現場の人びとは払わされることになったはずだ。その際、マスコミの記者は素早く撤退したと言われている。 しかし、そうした状況であるにもかかわらず、政府は安全宣伝を繰り返していた。枝野官房長官は「直ちに影響はない」という表現を繰り返している。 例えば3月16日の記者会で、住民に屋内退避を要請している20キロ近辺での放射線数値について、直ちに人体へ影響を及ぼす数値でない、短時間、外で活動しても、数日単位で滞在しても、人体に及ぼす 数値でないと述べている。 また、3月23日の記者会見で、福島県産の野菜について、放射線量の「最大値の野菜を10日間食べたと仮定しても、1年間の放射線量の2分の1にとどまる。ただちに健康被害が出ることはないし、将来にわたって健康に被害を与える放射線量を受けることはない」と主張していた。 2019年12月に中国湖北省の武漢で始まったCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動では各国政府、医薬品メーカー、有力メディアだけでなくWHO(世界保健機関)も非科学的な偽情報を撒き散らし、恐怖を煽り、危険な遺伝子導入剤(COVID-19ワクチン)を人びとに接種させようとしてきた。大多数の国はその危険性を認識、接種にブレーキをかけたが、例外的に接種し続けているのが日本に他ならない。 能登半島の地震、そして原発への影響は明らかでない。それをまず認識しなければならないのだが、マスコミはこのケースでも政府や巨大企業の主張を垂れ流している。この人びとは何も反省していない。
2024.01.04
日本の厚生労働大臣が昨年11月28日に世界で初めて製造販売を承認した「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」は自己増殖する人工ウイルスで、動物の種を超えるだけでなく、植物との間でも感染する可能性が指摘されている。危険性が高いため、この薬剤を承認する国は、少なくとも今のところ、島国で国を封鎖しやすい日本だけである。 承認申請したメーカーはMeiji Seikaファルマで、同社は武田薬品系のアルカリスと共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設福島県南相馬市に建設、そこでアルカリスが開発した遺伝子導入剤「ARCT-154」を作る計画だ。 アルカリスはアークトゥルスとアクセリードが共同で設立したmRNA医薬品CDMO(医薬品受託製造)会社であり、アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフして誕生した。 武田薬品には興味深い人物が関係してきた。例えば山田忠孝はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を経て同社へ入った人物で、父親の山田忠義は渋沢敬三の秘書などを経て1952年に八幡製鉄へ入社している。 戦争中の1940年代の前半、ヨーロッパから日本へ上海経由で神戸に辿り着いたユダヤ系の若者、ショール・アイゼンベルグを忠義は世話している。神戸へ着いた時、アイゼンベルグは19歳か20歳だった。その若者をなぜ日本の財界が面倒を見たのかは謎だ。 財界の大物たちに守られたユダヤ人難民のアイゼンベルグは大戦後、アメリカ第8軍のロバート・アイケルバーガー司令官に可愛がられる。そのコネクションを活かし、アイゼンベルグはペニシリンの販売で大儲けしたという。 その後、アイゼンベルグは日本から追い出されるが、イスラエルの情報機関モサドの幹部としてさまざまな秘密工作に関わり、イスラエルと中国を結びつけたと言われている。似た境遇にあったジョージ・ソロスと緊密な関係にあったことでも知られている。 山田忠孝と同じようにビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を経由して武田薬品に入ったラジーブ・ベンカヤも興味深い人物だ。財団ではグローバル・ヘルス・プログラムのワクチン・デリバリー・ディレクターを務め、武田薬品ではグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットを率いた。 財団に入る前、ジョージ・W・ブッシュが大統領だった2002年から03年にかけての時期にホワイトハウス・フェローを務め、さらにバイオ防衛担当ディレクターを経て大統領特別補佐官およびバイオ防衛担当シニアディレクターとして活動、バイオ・テロリズム研究グループを率いている。 ホワイトハウス時代、ベンカヤはフランシス・タウンゼント国土安全保障担当補佐官の直属で、その時、ロックダウンを考え出したという。その一方、Gavi(ワクチンアライアンス)の理事を務め、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバー。CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。なお、今年3月からアエイウム・セラピューティックのCEOに就任している。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワによると、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 本ブログでは以前にも書いたことだが、レプリコン・ワクチンと似た特徴を持つ「万能生物兵器」をアメリカの国防総省がウクライナで研究開発していたとロシア議会の委員会は昨年4月に発表している。「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器だとされている。 ロシア軍が収集したデータによると、その万能生物兵器は敵の兵士だけでなく、動物や農作物にダメージを与えることができる。これによって、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えようとしているという。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているという。 分析に利用した文書は2022年2月24日にロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めた直後に回収された。ロシア軍はドンバスの周辺に集結していたウクライナ軍の部隊や軍事施設を攻撃、その際にウクライナ側の機密文書を回収、その中に生物化学兵器に関する文書が含まれていたのだ。 ロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ロシア国防省が発表した事実をアメリカを含む各国は否定せず、報告書の信憑性に疑いを持たなかったという。日本を含む各国政府は遅くとも昨年4月、その事実を知り、万能生物兵器とレプリコン・ワクチンと類似していると感じた人もいるだろう。当然、日本の政治家もレプリコン・ワクチンの危険性を認識したばずだが、その政治家は地検特捜部による捜査で混乱、日本人の存続どころの話ではなくなっているようだ。 アメリカの国防総省がロシアとの国境に近いウクライナ領内で生物化学兵器の研究開発を行っていることをロシア政府は前から知っていた。ウクライナでクーデターが始まった2013年、アメリカがウクライナで生物兵器の研究開発施設を建設するという話が流れている。アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれ、実際、建設された。 ジャーナリストのディリヤナ・ゲイタンジエワによると、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があるのだが、各研究所はハリコフより前の2010年から13年の間に建設されたという。 アメリカ国防総省はウクライナだけに研究施設を建設したわけではない。中東、東南アジア、アフリカ、そしてジョージアを含む旧ソ連諸国にもある。特に注目されているのはジョージアにあるルガー・センター(国立疾病管理公衆衛生センター)で、近くにアメリカ軍のバジアニ空軍基地がある。センターで軍事プログラムを担当しているのはアメリカ陸軍医療研究ユニット・グルジアの生物学者と民間業者で、CH2Mヒル、バテル、そしてメタバイオタが含まれる。 ルガー・センターの研究員には外交特権を与えられ、ジョージア政府の直接的な支配下に置かれることなく、外交特権のもとに米国政府のために仕事をすることができる。他の国でも同じ仕組みになっているようだ。その研究内容は生物兵器(炭疽病、野兎病)やウイルス性疾患(クリミア・コンゴ出血熱など)の研究、将来の実験のための生物試料の収集などだ。 2013年12月にアフリカ西部のギニアではエボラ出血熱が広がりはじめ、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、さらにアメリカやヨーロッパへ伝染、1万1323名が死亡(致死率:70から71%)、大きな騒動になった。 その際、生物兵器を研究している学者が数年にわたってギニア、リベリア、シエラレオネのあたりで活動していたと話題になる。その学者が所属していたのは生物化学兵器を研究開発しているアメリカ軍のフォート・デトリック、そしてテュレーン大学だ。 感染が問題になり始めた2014年7月、シエラレオネの健康公衆衛生省はテュレーン大学に対し、エボラに関する研究を止めるようにという声明を出している。その研究が予防や治療が目的でないと判断したのだろう。 2022年2月にロシア軍の攻撃が始まると、ウクライナの施設は破壊を免れても落ち着いて研究開発することは困難な状態になる。そこで、ケニア、コンゴ、シエラレオネ、カメルーン、ウガンダ、南アフリカ、ナイジェリアといったアフリカ諸国、あるいはシンガポールやタイに移転したとされている。 アメリカの軍や巨大企業はアフリカを生物化学兵器の実験場として利用してきた。キリロフによるとアフリカではDTRAのほか、電子情報機関のNSA(国家安全保障局)や国務省が主導、ナイジェリアではHIV/AIDSに関する研究が行われ、感染者とされる人の6割がギリアド・サイエンシズの抗ウイルス療法を受けているという。 アメリカ軍は生物化学兵器の研究開発を1930年代から始めている。例えば、ロックフェラー財団の「衛生委員会」チームの一員としてプエルトリコのサンフアンにある病院で数カ月間勤務したロックフェラー医学研究所のコーネリアス・ローズなる人物は1931年、プエルトリコの被験者に意図的にガン細胞を人体へ注入し、そのうち13人を死亡させたという。彼はプエルトリコ人を軽蔑、絶滅を妄想していた。 ローズは第2次世界大戦中にアメリカ陸軍の大佐となって化学兵器部門の医学部長を務め、ユタ州、メリーランド州、パナマに化学兵器研究所を設立、プエルトリコ人に対する秘密実験にも参加。1943年末までに化学兵器関連の新しい医学研究所がマサチューセッツ州のキャンプ・デトリック、ユタ州のダグウェイ実験場、アラバマ州のキャンプ・シベルトに設立された。1944年1月、化学兵器局は生物兵器に関するすべてのプロジェクトを担当することになった。 キャンプ・デトリックは1955年からフォート・デトリックに格上げされるが、ここは今でもアメリカ軍の生物化学兵器開発の中心的な存在である。日本やドイツによる生物化学兵器の研究開発結果は第2次世界大戦後、フォート・デトリックへ運ばれた。 日本の生物化学兵器の開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部が中心になって進められた。その一環として生体実験をおこなうため、中国で加茂部隊」が編成されている。その責任者が京都帝国大学医学部出身の石井四郎中将であり、その後ろ盾は小泉親彦軍医総監だったとされている。 その後、加茂部隊は「東郷部隊」へと名前を替え、1941年には「第七三一部隊」と呼ばれるようになり、捕虜として拘束していた中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人を使って生体実験する。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んでいた。この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めた人物が石井四郎。途中、1942年から45年2月までを東京帝国大学医学部出身の北野政次少将が務めている。 ソ連の参戦が迫っていた1945年8月、関東軍司令官の山田乙三大将の命令で第七三一部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。監獄に残っていた捕虜を皆殺しになる。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺されたが、食事をとろうとしない者は射殺された。死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められた。日本軍は監獄などを爆破した上で逃走している。(常石敬一著『消えた細菌戦部隊』海鳴社、1981年) 石井たち第731部隊の幹部は大半が日本へ逃げ帰るが、日本の生物化学兵器に関する情報はアメリカ軍も入手していた。1946年に入ると石井たちアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けることになるが、厳しいものではなく、資料はアメリカ側へ引き渡された。 尋問の過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と石井は親しくなり、隊の幹部たちはアメリカの保護を受けるようになる。日本が提供した資料や研究員はドイツから提供された知識と同じように、アメリカにおける生物化学兵器開発の基盤になった。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議した。アメリカ側は事実無根だと主張したが、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官は議会証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。 朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」が設立されたが、北野政次が顧問に就任するなど、この会社は第731部隊と深い関係がある。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、「薬害エイズ」を引き起こすことになる。現在は田辺三菱製薬の一部だ。 第731部隊を含む日本の生物化学兵器人脈は「伝染病対策」の中枢を形成することになる。その拠点として1947年には国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になる。1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名され、現在、「COVID-19対策」で中心的な役割を果たしている。 レプリコン・ワクチンは核兵器に匹敵する万能生物兵器だと考えるべきで、日本がその実験場に選ばれた。日本人はマルタだ。
2024.01.03
ウォロディミル・ゼレンスキー政権は12月30日、ロシアのベルゴロド中心部をロケット弾やドローンで攻撃、市民24名が殺され、108名が負傷したと発表された。 ウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官によると、その前日にロシア軍は150発以上のミサイルとドローンで「重要なインフラ、産業施設、軍事施設が攻撃された」としているが、別の情報源もロシア軍のミサイル攻撃が主に軍事企業や倉庫に向けられていたとしている。空爆の場所からも標的が倉庫や軍事企業だったことを示している。ただエネルギー施設は標的になっていないという。 ウクライナだけでなくアメリカ/NATOの兵器庫もすでに空で、その生産力はロシアの半分だとも言われている。ミンスク合意で騙されたロシアはアメリカ/NATOと停戦交渉を再開するとは思えず、アメリカ国内でもジョー・バイデン政権の戦争継続方針に反発する声が強まっている。 そこで、アメリカが日本に圧力を加え、迎撃ミサイル「PAC3」をアメリカへ輸出させる。そのため、岸田文雄政権は12月22日、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定、「ライセンス生産」した完成品をライセンス元の国へ輸出することもできるようにした。これはウクライナへ防空システムを供給するためだと信じられている。つまり日本はウクライナを舞台としたアメリカ/NATOとロシアの戦争に参加することを決めたのだ。その結果、日本の防空システムがロシアや中国に対して機能しないことが確認されるだろう。 ウクライナ軍による12月30日の攻撃に対し、ロシア軍はハリコフの意思決定センターを含む軍事目標を攻撃、「ベルゴロドでのテロ攻撃の計画と実行に直接関与していたウクライナ情報総局と軍隊の代表者」を排除したと発表された。ターゲットになった建造物のひとつには、ロシア領への攻撃を準備していた約200名の外国人傭兵がいたともされている。SBU(ウクライナの治安機関)の建物も破壊された。 そのほかウクライナ政府が偵察のために使用していた国家宇宙制御センターの支部が攻撃され、ハリコフとロシアのザポロージェ州にある燃料貯蔵所も破壊されたとされている。 ウクライナの内戦はバラク・オバマ政権が2013年11月に始めたクーデターから始まった。当初は「カーニバル」的な反政府イベントだったのだが、年明け後にはステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチが前面に出てきて、2月に入るとそのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出してきた。 ユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われる。西側ではこの狙撃はビクトル・ヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相は逆のことを報告している。バイデン政権を後ろ盾とするネオ・ナチが周辺国の兵士の協力を得て実行したというのだ。 ヤヌコビッチ政権は2月22日に倒され、大統領は国外へ脱出したが、有権者の7割以上がヤヌコビッチを支持していたウクライナの東部や南部では反クーデターの機運が高まり、クーデターから間もない3月16日にはクリミアでロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施された。投票率は80%を超え、95%以上が賛成している。 ドネツクとルガンスクでも2014年5月11日に住民投票が実施された。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われたのだが、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシアのウラジミル・プーチン政権は動かなかった。 こうして始まった内戦だが、アメリカ/NATOが支援するクーデター体制は反クーデター派住民に勝てない。そこで反クーデター派の手足を縛ったのがミンスク合意だ。その後、アメリカ/NATOは8年かけてクーデター政権の戦力を増強、2022年春にドンバスに対する大規模な攻勢を計画していた。その先手を打ち、ロシア軍はドンバス周辺に集結していたウクライナ軍の部隊や軍事施設、生物兵器の研究開発施設を破壊したのだ。その後、アメリカ/NATOはロシアに対する戦闘に深く関与するが、すでに敗北は決定的だ。 ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと考えられているが、イギリスはすでにゼレンスキーに見切りをつけ、ザルジニーへ交代させようとしてる。ゼレンスキーが現在、頼りにしているのはジョー・バイデン政権だ。そうした中、ゼレンスキーはベルゴロドに対する攻撃を命じたと伝えられている。
2024.01.02
ジョー・バイデンはアメリカ大統領に就任した直後、「ルビコン」を渡った。ロシアと中国を力づくで倒し、アメリカが世界の覇者として君臨しようとしたのだが、その計画が破綻、アメリカを中心とする支配システムが崩れ始めている。 バイデンの周辺にいたのはネオコンと呼ばれるシオニストの一派で、その背後にはシティやウォール街を拠点とする強大な金融資本、古典的な表現を使うならば帝国主義者が存在している。 ロシアや中国との戦いで簡単に勝てるとネオコンは信じていたようだが、そうした展開にはなっていない。作戦は全て裏目に出て、アメリカは窮地に陥った。ウクライナでロシアに敗北、ガザではパレスチナ人を「浄化」するどころか、手先のイスラエルは厳しい状況にある。西太平洋で戦争を準備、日本と韓国を利用して中国やロシアを新たな戦争へ引き摺り込もうとしているが、東アジアを破壊するだけで終わるだろう。ウクライナやパレスチナでは計算が狂い、東アジアでもバイデン政権の思惑通りには進みそうもない。 しかし、「ルビコン」を渡ったバイデン政権は後戻りできない。すでにバイデンを支えている勢力はアメリカ国内で強引なことを始めた。国際問題でも形勢を逆転するため、2024年にはギャンブルに出る可能性がある。 ウクライナの内戦はバイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権が始めた。ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すため、2013年11月から翌年2月にかけてクーデターを仕掛けたのだ。その工作を現地で指揮していたのが国務次官補だったビクトリア・ヌランド、ホワイトハウスで担当していたのがバイデン。当時、バイデン副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていた人物がジェイク・サリバン、現在の国家安全保障補佐官だ。 ヤヌコビッチ政権の打倒を目指すクーデターが始まるのは2013年11月のこと。首都キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でカーニバル的な集会が始められ、12月になると集会への参加者は50万人に達したと言われている。 年明け後、前面に出てきたネオ・ナチはチェーン、ナイフ、棍棒を手にしながら石や火炎瓶を投げ、ブルドーザーを持ち出す。さらにスナイパーを使って広場にいた警官や住民を射殺するのだが、西側の有力メディアはその責任をヤヌコビッチ政権になすりつけた。 そうした展開の中、EUは混乱を話し合いで解決しようとしたようだが、これに怒ったアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補はウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットに対し、電話で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。アメリカは暴力によって2014年2月22日にヤヌコビッチ政権を倒した。 こうした強引な方法でロシアとの戦争をネオコンは始めたのだが、その背景には、ソ連の消滅でアメリカが「唯一の超大国」になったという思い込みがあった。 そうした西側支配層の雰囲気を示す論文がある。米英支配層と深い関係にある外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとされている。簡単にロシアや中国に勝てるということだ。 実は、この分析が間違っていることは2008年8月に判明している。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京で夏季オリンピックが開かれていた期間を狙い、南オセチアを奇襲攻撃したのだが、完膚なきまで叩きのめされた。 イスラエルは2001年からジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめている。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。 当時のジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいたことも知られている。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。南オセチアへの奇襲攻撃はその翌月だ。アメリカ政府の承認を受けての奇襲攻撃だったのだろう。 アメリカはアル・カイダ系武装集団を使い、2011年春にリビアやシリアへ軍事侵攻、13年11月から14年2月にかけてウクライナではクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターでアメリカ政府はネオ・ナチを使っている。 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の住民はクーデターを拒否し、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは内戦が始まった。オデッサではクーデターに反対していた住民をネオ・ナチの集団が虐殺している。 内戦ではドンバス軍が優勢で、アメリカ/NATOはキエフ体制の軍事力を強化する時間が必要だった。そこで結ばれたのがミンスク合意。ドイツやフランスが仲介したのだが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。 その後、8年をかけてアメリカ/NATOはクーデター政権に兵器を供給、兵士を訓練、ドンバスの周辺に要塞線を築いた。アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリや岩塩の採掘場があるソレダルの要塞は特に有名だ。ここにはソ連時代、核戦争に備えて地下施設が建設されていたという。 アメリカ/NATOの支援を受けたウクライナ軍は昨年2月、ドンバスに対する軍事侵攻に備えて部隊をドンバス周辺に集結させていた。その部隊が動く直前にロシア軍は集結していたウクライナ軍や軍事施設、そして生物兵器の研究開発施設を攻撃、破壊した。 その段階でウクライナ軍の敗北は決定的だったのだが、すでにルビコンを渡っていたジョー・バイデン政権はウクライナで勝たなければならない。そこでウクライナ政府にロシア政府と停戦交渉をするなと命令して戦闘を継続させたが、欧米、特にEUが置かれた状況は厳しくなっている。 こうした状況を作り出したオバマやバイデンは民主党だが、共和党のジョージ・W・ブッシュ政権も世界制覇を目指していたという点は同じであり、政権を支えていたのはネオコンだった。 ブッシュ政権におけるネオコンの中心人物は副大統領だったリチャード・チェイニー。この人物は「1パーセントでも攻撃される危険性があれば、先制攻撃で相手をたたいてしまえ」と主張していた。 軍事侵略で世界を制圧するというのだが、この計画を始動させる出来事が2001年9月11日に引き起こされている。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだ。 この攻撃についてブッシュ大統領は詳しい調査をせず、「アル・カイダ」が実行したと断定、その「アル・カイダ」を指揮しているオサマ・ビン・ラディンを匿っているという口実でアフガニスタンへの攻撃を始めた。タリバーンはオサマ・ビン・ラディンが攻撃を命令した証拠があれば引き渡すとアメリカ政府に伝えたが、いまだに証拠は示されていない。 しかも、攻撃の直後、アメリカのネットワーク局CBSは、ビン・ラディンが世界貿易センターやペンタゴンに対するテロを実行していないと主張していると伝えた。 そもそも「アル・カイダ」なる組織は存在しない。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが2005年7月に明かしたように、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだ。アラビア語でアル・カイダはベースを意味、データベースの訳語としても使われる。 オサマ・ビン・ラディンはサウジアラビアの建設会社を経営する富豪一族に属し、サウジアラビア王室ともつながりが深く、同国の情報機関を動かしていたトゥルキ・ビン・ファイサル・アル・サウド王子の下で活動していた。 サウジアラビアの情報機関はジミー・カーター政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めていたズビグネフ・ブレジンスキーが始めたアフガニスタンにおける秘密工作に協力していた。イスラム同胞団やワッハーブ派の人間を戦闘員としてアフガニスタンへサウジアラビアが送り込み、CIAが軍事訓練していたのだ。アフガニスタンを不安定化させ、ソ連軍の介入を誘発してソ連本体を疲弊させようというプランだった。この当時、ブレジンスキーが作り上げた武装集団の戦闘員を「自由の戦士」と西側の有力メディアは呼んでいた。 戦闘員をアフガニスタンへ送り込む仕事をしていたひとりがオサマ・ビン・ラディンにほかならないのだが、この人物をジハード(聖戦)の世界へ引き込んだのはムスリム同胞団のアブドゥラ・アッザムだと言われている。1984年にアッザムとビン・ラディンはパキスタンにMAK(マクタブ・アル・ヒダマト/礼拝事務局)のオフィスを開設した。このMAKがアル・カイダの源流だと言われている。 1989年2月にソ連軍がアフガニスタンから撤退、91年にはオサマ・ビン・ラディンもアフガニスタンを離れ、サウジアラビアとパキスタンを経由してスーダンに入った。その際、ビン・ラディンをエスコートしたアリ・アブドゥル・サウド・モハメドはアメリカの特殊部隊と関係が深い。(Peter Dale Scott, “The American Deep State,” Rowman & Littlefield, 2015) 1992年12月にイエメンの首都でホテルが爆破され、2名が死亡しているが、その現場を調査したアメリカ国務省の外交治安局のスペシャル・エージェントだったスコット・スチュワートによると、CIAの訓練を受けた何者かによって実行されていたという。(Max Blumenthal, “The Management Of Savagery,” Verso, 2019) ビン・ラディンは1993年から94年にかけての時期、サラエボで目撃されている。当時、アメリカを含むNATO加盟国の情報機関はジハード傭兵をボスニア・ヘルツェゴビナへ送り込んでいた。セルビアと戦わせることが目的だ。つまり、オサマ・ビン・ラディンもウクライナのネオ・ナチと同じように、アメリカによる軍事侵略の手先だった。2024年を前にして、この構図が崩れ始めている。
2024.01.01
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