《櫻井ジャーナル》

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2012.03.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 21世紀に入り、中東/北アフリカでは殺戮と破壊が激しくなっている。そうした中、イスラエルはイラン国内を不安定化するために「ムジャヒディン・ハルク(MEKまたはMKO)」、「ジュンダラー(アラーの兵士)」、あるいはクルド系の分離独立派を使って破壊工作を続け、最近は アゼルバイジャンに軍事的な拠点

 グルジアにイスラエルが食い込み、南オセチアに対する奇襲攻撃でもイスラエルが重要な役割を果たした可能性が高いことは本ブログで何度か書いた通りだが、グルジアだけでなくイランの北部と接しているアゼルバイジャンも影響下においたと言えるだろう。

 アゼルバイジャンにはバクー油田がある。2006年にバクー油田からグルジアのトビリシを経由してトルコのジェイハンにつながるパイプライン(BTC)が本格的に稼働しているのだが、そのライバルが出現した。2011年5月、 イランの石油や天然ガスをイラク、シリア、レバノン、そして地中海を経由してヨーロッパへ運ぶパイプラインを建設することで合意 したとイランのメディアは報道(一般的には7月に報道)しているのだ。

 つまり、石油や天然ガスの取り引きに関し、アゼルバイジャン/グルジア/トルコとイラン/イラク/シリア/レバノンはライバル関係にあるということになる。この2グループのうちアゼルバイジャン/グルジア/トルコにイスラエルが加わっているわけだ。

イランの天然ガスをパキスタンやインドへ運ぶパイプラインも計画 されている。一般にIPIと呼ばれ、2013年に完成する予定。このパイプラインが完成すればホルムズ海峡からタンカーで運び出す必要なくなり、イギリスが支配する保険でインドなどを脅すことも難しくなる。

 ところで、アメリカのライバルとして急成長しているのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)。このグループはエネルギー面でも強い。石油生産量をみると、ロシアは第1位、中国は第5位、ブラジルは第9位。第17位のリビアは体制を転覆させられたが、BRICSと友好的な関係にあるイランは第4位、ベネズエラは第11位、そしてイラクは第12位だ。



 かつて、イランはイギリスに支配されていたのだが、第2次世界大戦後、1951年にムハマド・モサデクを首相とする民族主義政権がイランに誕生、アングロ・イラニアン石油(AIOC)の施設を国有化する方向に動き出した。

 石油利権を支配するためにイギリスの支配層が設立したAIOCを失うことは彼らにとって大きなダメージ。そこで、イギリスの情報機関MI6はアメリカのCIAと手を組み、クーデターでモサデク政権を潰してパーレビ独裁体制を復活させた。1953年のことだ。

 ところで、イギリスがイランを「保護国」にしたのは1919年、その2年後にイラン陸軍の将校が首都のテヘランを占領し、「レザー・シャー・パーレビ」を名乗っている。「パーレビ朝」の始まりである。その前の「カージャール朝」と同じように、イギリスの傀儡体制だという点で、新王朝はカージャール朝と基本的に同じだ。

 イランを保護国にする2年前、イギリスはイスラエル建国への道を開く「バルフォア宣言」を出している。イギリスのアーサー・バルフォア外相がロスチャイルド卿に出した書簡(実際に書いたのはアルフレッド・ミルナー)だ。イギリスの中東支配戦略の中でイスラエル建国は重要な意味を持っていると見るべきだろう。

 現在のイスラエルはロシアからの亡命者/移民が大きな影響を及ぼしている。ボリス・エリツィン大統領はロシアに新自由主義経済を持ち込み、規制緩和と私有化を促進したのだが、その結果、国民の財産を格安の値段で手にして大富豪が誕生、国民の大多数は貧困化した。エリツィン体制が終焉するころになると、庶民の怒りは爆発寸前だった。

 エリツィンの次に大統領となったウラジミール・プーチンは大富豪たちの支配力を奪い始める。クレムリンの管理下に入ることを拒否した富豪はロシアを脱出し、イギリスやイスラエルへ逃げ込んだ。亡命先で彼らは自分たちの資金力を使い、大きな影響力を発揮し始めた。

 そうした背景はともかく、イスラエルや親イスラエル派は1992年に武力を使った世界支配の戦略を打ち出している。国防計画指針(DPG)だ。新たなライバルの出現を防ぐと同時に、アメリカ的な価値を促進することが指針の柱で、単独行動も辞さないとしていた。潜在的ライバルと考えられていたのは西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、西南アジア。日本も例外ではない。

 この指針はメディアにリークされ、書き直されたことになっているが、このDPGに基づいく報告書「米国国防再構築」を2000年にネオコンのPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)が公表している。

 この報告書を作ったグループはブッシュ・ジュニア政権を動かすようになるのだが、この連中が2001年9月11日からほどなくして作り上げた 攻撃リストには、イラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていた 。2001年末にはイラク、イランのほか、ロシア、中国、朝鮮を先制攻撃のターゲットにしていたという情報もある。

 現在、イランが核兵器を開発していると主張している人たちは天野之弥IAEA事務局長を頼るしかない。何しろ、 CIAもモサドもイランが核兵器の開発を再び始めた可能性は小さいと見ている

 実際のところ、イスラエルもアメリカの親イスラエル派もイランが核兵器を開発しているとは考えていないだろう。イランを攻撃したい理由は別にあるということである。





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最終更新日  2012.03.31 12:24:19


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