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ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官によると、ドナルド・トランプ米大統領は1月29日、ウラジミル・プーチン露大統領に対して2月1日までキエフへの攻撃を控えるように要請、ロシア側は同意したというが、ハリコフ、ドネプロペトロフスク、スームィ、そしてオデッサなどへの攻撃は続いている。 1月29日に実施されたロシア軍による攻撃ではオデッサ周辺にあったウクライナ軍とNATO軍が秘密裏に設置していた通信センターを、またミサイルで偵察衛星の施設オビディオポイ2を破壊した。偵察衛星センターへの攻撃後に大きな爆発があり、ウクライナの軍人30名とNATOの軍人18名が死亡した。殺されたNATOの軍人はフランス人とカナダ人が多いとされている。その際、オデッサの南部地域で放射線レベルの急上昇したともいう。そこで「汚い爆弾」の一部が施設へ運び込まれていた可能性も指摘されている。 トランプ政権は自分たちが主導してウクライナでの戦争を終結へ向かわせているかのように宣伝、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は「ウクライナの問題では領土以外が全て合意済み」だと主張しているが、ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官はまだ多くの問題が残っているとしている。トランプ政権の「合意」にはロシア政府との意見一致が含まれていないようだ。自分たちの提案、あるいは願望を決定事項かのように主張するのがトランプ政権のようである。 トランプ大統領はイラン政府を屈服させるとも叫んでいる。イランを脅すため、アメリカ海軍の空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群を中東地域へ派遣、威嚇している。脅せばイランは屈服するとトランプ米大統領は信じているのかもしれないが、イラン政府にそうした様子は見られない。 実際、イスラエル軍は昨年6月13日未明にイランの軍事施設や核施設を奇襲空爆、その際にイラン軍のモハメド・バゲリ参謀総長やイラン革命防衛隊(IRGC)のホセイン・サラミ司令官やゴラム・アリ・ラシド中央司令部司令官を含む軍幹部、核科学者のモハンマド・メフディ・テランチやフェレイドゥーン・アッバシなど6名以上の核科学者を殺害している。この攻撃ではアメリカ中央軍のマイケル・E・クリラ司令官が重要な役割を果たしたとも推測されている。 イスラエル軍のエフィー・デフリン報道官によると、イスラエル軍は200機の戦闘機を用いて100以上の標的を攻撃したというが、要人の殺害にはテヘラン周辺に作られた秘密の基地から飛び立ったドローンが使われたという。 それに対し、イランは6月13日夜、イスラエルに対する報復攻撃を実施、テル・アビブやハイファに大きなダメージを与えた。モサドの司令部や軍情報部アマンの施設、イスラエルの核開発計画でも中心的な役割を果たしてきたワイツマン研究所も破壊されたている。 アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月22日、イスラエルの要請に基づき、7機のB-2爆撃機でイランの核施設へ合計14発のGBU-57爆弾を投下した。大統領はイランの核開発を止めたと主張したのだが、アメリカのDIA(国防情報局)は計画を数カ月遅らせたに過ぎないと評価、その情報を有力メディアが伝えた。その情報漏洩に怒ったトランプ大統領はDIAの局長を務めていたジェフリー・クルーズ中将を8月22日に解任したが、DIAの分析は正しいと見られている。 また、6月23日にイラン軍はカタールのアル・ウデイド基地をミサイルで攻撃した。ここはアメリカ空軍の司令部として機能、中東におけるアメリカ軍の中心的な存在。1万人以上のアメリカ兵が駐留している。 その後、イランが攻撃を続けたならイスラエルやアメリカは対応できず、敗北したと見られているのだが、イランは攻撃を続けなかった。宗教的な理由からだとされている。もしアメリカ軍が再びイランを攻撃した場合、次は手加減はしないとテヘラン政府は宣言している。 通常兵器での戦いになった場合、アメリカ軍がイラン軍に勝てる見込みは低い。前回のようにイランへ潜入して攻撃を仕掛けるのも前回より難しいはず。ベネズエラの大統領を誘拐した際と同様、特殊部隊を投入する可能性もある。 この誘拐ではベネズエラ軍の幹部を買収していたようだが、指向性エネルギー兵器を使って敵兵士の方向感覚を失わせ、混乱させたとも言われている。その上で警護と担当していたキューバ兵は皆殺しになったという。アメリカはウクライナでもそうした兵器をテストしていた疑いがある。 ベネズエラでの報道によると、大統領の邸宅にいた警備担当者は吐き気、頭が割れるような音、皮膚の激しい熱感、鼻血、嘔吐に襲われたほか、暗闇の中にいるように感じ、時間や方向の感覚を失ったと言われている。また金属や回路を破壊し、布地やガソリンなどの有機物は攻撃しない高出力マイクロ波兵器(HPM)が使われた可能性もある。こうした兵器をイランに対しても使う可能性があるだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.31

台湾はアメリカと協力してJFCC(統合火力調整センター)を設立するのだという。中国人民解放軍(PLA)に対抗するための精密攻撃の計画と調整を改善することが目的で、JFCCにはアメリカ軍関係者が参加するとも言われている。事実上、アメリカ軍の関係者が台湾軍を指揮することになる可能性が高い。 日本では陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として統合作戦司令部が昨年3月に編成された。敵基地攻撃能力を一元的に指揮することが目的だとされているが、司令部編成の理由として「台湾有事」を挙げる人もいるようだ。この組織再編によって自衛隊は台湾軍と同じようにアメリカ軍の指揮下に入るのだろう。 高市早苗首相は昨年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言している。これを「失言」で片付けようとする人もいるが、質疑の流れから考えても確信犯であり、台湾での動きと連動しているだろう。つまり背後にはアメリカ政府が存在している。 アメリカ軍が沖縄を軍事基地化した理由はソ連に対する先制核攻撃計画のためであり、日本列島や台湾を彼らは「航空母艦」と認識しているはずだ。 中曽根康弘は総理大臣に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をとっているが、その際に彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道された。 中曽根はそれをすぐに記事の内容を否定するが、インタビューは録音されていた。そこで、「不沈空母」ではなくロシア機を阻止する「大きな空母」だと言い換えたが、このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。 中曽根は首脳会談で日本周辺の「4海峡を完全にコントロールし、有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」、また「ソ連のバックファイアー(爆撃機)の日本列島浸透を許さない」と発言した。「シーレーン確保」も口にしたが、要するに制海権の確保だ。 当時、アメリカとソ連との間で軍事的な緊張が高まっていた。例えば1983年4月から5月にかけてアメリカ軍はカムチャツカから千島列島の沖で大規模な艦隊演習を実施、アメリカ海軍の3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加している。この演習を日本のマスコミが無視したことを揶揄する国外のメディアもあった。 この演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返し、米ソ両軍は一触即発の状態になったのだ。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年) その年の8月31日から9月1日にかけて、アンカレッジを飛び立った大韓航空007便が航路を大幅に逸脱、ソ連領空へ侵入した。この航空機はNORAD(北米防空司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切り、ソ連領空を侵犯したが、NORADからもFAAからも警告されていない。 007便はソ連軍の重要基地の上を飛行した末に、サハリン沖で撃墜されたと言われている。そこで撃墜されずに飛行を続けた場合、公海へ出るわけだが、その延長線上には重要な海軍基地の都市、ウラジオストクがある。 2カ月後の11月にはNATOがヨーロッパで軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、核攻撃のシミュレーションも行われることになっていた。これをソ連の情報機関KGBはそれを「偽装演習」だと疑い、全面核戦争を仕掛けてくるのではないかと警戒、戦争の準備を始めた。 そして昨年末、ドナルド・トランプ政権は台湾に対し、111億ドルを上回る規模の兵器パッケージを承認した。その中にはM142 HIMARSシステム82基、M57 ATACMSミサイル420基、精密誘導ロケット1200発以上が含まれている。M57ミサイルの一部は最大射程距離が約500キロメートルと推定される最新型のミサイルだ。アメリカは東アジアでウクライナと同じことをしていると言えるだろう。 そうした中、ウクライナで敗北、窮地に陥ったイギリスの首相が北京を訪れて関係を修復しようとしているは、日本の首相は中国に喧嘩を売り、「中国が攻めてくる」という雰囲気が作られている。日本が中国やロシアと戦争する準備をしていることは明白で、中国政府はそれに備えているはずだ。今回の日本における選挙は東アジアの将来に大きな影響を及ぼす可能性が高い。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.30
AFCENT(アメリカ中央空軍司令部)は1月25日、数日にわたる即応演習を実施するとに発表した。USSエイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が中東地域へ到着するタイミングに合わせての演習だ。この艦隊で脅せばイランは屈服するとドナルド・トランプ米大統領は信じているのだろうか? アメリカ政府の恫喝にイランが屈するようには見えない。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は1月27日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と電話会談した際に「アメリカの脅迫と心理作戦はこの地域の安全保障を混乱させることを目的としており、不安定化をもたらすだけだ」と述べたという。 イランにとって隣国は友好国だが、もし彼らの領土、空、あるいは海がイランに対して利用されるならば敵対国とみなされるとIRGC(イラン革命防衛隊)海軍のモハメド・アクバルザーデ副司令官は語ったが、SPA(国営サウジ通信社)によると、ムハンマド皇太子は電話会談でペゼシュキアン大統領に対し、アメリカ軍がテヘランを攻撃するために自国の領空や領土を利用することを容認しないと電話会談で伝えたと報じた。 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で見た攻撃予定国のリストを見たという。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。(ココやココ)イランの現体制を転覆させ、欧米諸国やイスラエルにとって都合の良い新体制を築く計画は当時からできていたのである。 アメリカ政府は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させたうえで経済を混乱させ、反政府デモを誘発した。経済状況に抗議していたデモに潜入していたアメリカやイスラエルを含む国々の情報機関のメンバー、あるいはその協力者はデモを暴力的なものへ変化させ、銃撃を始めている。 2017年1月から18年4月までCIA長官を、また18年4月から21年1月まで国務長官を務めたマイク・ポンペオは今年1月3日、X(Twitter)に「街頭に立つすべてのイラン国民に、そして彼らの傍らを歩くすべてのモサド工作員に、新年おめでとうございます」と書き込んでいた。 トランプ政府はイランの政権を転覆させるために編成したグループに対し、約5万台のスターリンク端末をイランに密輸するための資金を提供、スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関から治安部隊の動きを知らされ、指示を受けていた。 そのシステムが機能しているときは社会の不安定化にある程度は成功したものの、デモの暴力化は一般のデモ参加者を離反させ、スターリンクが遮断された後に投入された治安部隊がデモを沈静化することに成功した。トランプ政権が目論んだような不安定化は起こらなかった。その際、サウジアラビア、カタール、トルコはアメリカに領空を通過する許可を与えなかったとも言われている。 昨年6月13日から24日にかけてイランとイスラエルが行った「12日間戦争」についてペゼシュキアン大統領はビン・サルマン皇太子との電話会談で、「我々はアメリカと協議中だった」と語り、アメリカ政府が信頼できない相手であることを強調した。アメリカやイギリスをはじめとする欧米諸国が信頼できないことは昔から指摘されていることだが、ロシアにしろイランにしろ、ある時点までは相手を信じ、手痛い目に遭っている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.29
中国の国防省によると、中央軍事委員会(CMC)の副主席で、中国共産党政治局員でもある張又俠に対する調査を開始したという。軍の内部で張は習近平国家主席より多くの人脈を持つと言われ、アメリカの支配層との結びつきも強い。中国政府は軍への影響力を強め、国内の結束を強めようとしているのかもしれない。 1月24日に発表された声明では、「重大な規律違反および法律違反」の疑いがあるとされていたが、詳細は明らかにされていない。昇進させる代償として賄賂を受け取っていた容疑がかけられていると言われているが、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は1月25日、張又俠が中国の核兵器開発計画に関する情報をアメリカへ漏らした疑いがあると報じている。 こうした情報が正しいのかどうかは不明だが、ウクライナでロシアに敗北したアメリカはベネズエラ大統領を拉致したのに続き、イランを攻撃する姿勢を見せ、東アジアでは日本を使って軍事的な緊張を高めている。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本の軍事力増強は1992年2月にアメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)の草案に基づいている。この指針は当時、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれているものだ。 このドクトリンの前提は1991年12月のソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったということ。ネオコンはそのように確信、世界制覇戦争を始めようとしたのだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるというように理解できる。 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 こうしたアメリカの独善的な計画が危険だということを日本の政治家も理解していたようで、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗するが、94年4月にこの政権は崩壊。1994年6月から自民党、社会党、さきがけの連立政権で戦ったものの、押し切られている。 日本側の動きを潰したのはネオコン人脈だ。マイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に日本の動きを危険だと報告、1995年2月になるとジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。そのレポートには10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。 沖縄ではこの報告に対する人びとの怒りのエネルギーが高まるが、そうした中、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件が引き起こされ、怒りは爆発する。日米政府はこの怒りを鎮めようと必死になったようだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。 1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンへ急ピッチで組み込まれていく。 アメリカでジョージ・W・ブッシュ政権が登場した2001年の4月に小泉純一郎が総理大臣に就任、その年の9月11日にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、アメリカはネオコンの予定通り、世界征服戦争を開始、日本も従うことになる。 自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、それに続いて2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 こうした軍事施設を建設した理由をアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」は2022年4月に発表した報告書で説明している。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するというアメリカ軍の計画に基づいているのだ。中国を軍事攻撃する準備にほかならない。 この報告書が作成された当時、アメリカは日本が掲げる専守防衛の建前、そして憲法第9条の制約を尊重していた。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にするとしていたのだが、2022年10月になると「日本政府がアメリカ製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」と報道されている。核弾頭を搭載でき、亜音速で飛行、最大射程距離2500キロメートルの巡航ミサイルを日本政府は購入するというのだ。中国に対する戦争を準備していると見られても仕方がない。 日本では陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として昨年3月、敵基地攻撃能力を一元的に指揮する統合作戦司令部が編成された。これは2015年5月から18年5月までアメリカ太平洋軍の司令官を務めたハリー・ハリス海軍大将の提案に基づくという。 ハリスが太平洋軍司令官から退いた2018年5月、アメリカ軍は太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更しているが、そのインド太平洋軍司令部と調整することが自衛隊で統合作戦司令部が編成された理由だという。自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入るということだろう。 統合作戦司令部が編成された理由として「台湾有事」を挙げる人もいるようだが、高市早苗首相は昨年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているようなので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。干渉戦争だ。 また、高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けている。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、アメリカのCIAやNSAの分析官は日本が核兵器を開発していると確信、監視してきた。 高市首相の台湾有事に関する発言を単純な「舌禍事件」だと理解するべきではない。その背後にはアメリカの対中国戦略があり、その戦略に従う日本の動きがある。日本で中国を敵視する雰囲気が作られているのも戦争の準備だろう。そうした東アジアの状況に張又俠は対応できないと習近平国家主席は考えたのかもしれない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.28

厚生労働省は1月23日、昨年11月分の「人口動態統計速報」を発表した。死亡者数は13万4598人で、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動が始まる前年の2019年の同じ月に比べて1万15136名増えている。COVID-19対策として「COVID-19ワクチン」を大々的に接種し始めてから死亡者数が増えているが、沈静化しそうにない。 本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、この「ワクチン」は人間の細胞内へLNP(脂質ナノ粒子)に包まれたmRNAを送り込み、ウイルスのスパイク・タンパクを作らせるという仕組みで、遺伝子操作薬と呼ぶべきだろう。 そこで、人間の免疫システムはスパイク・タンパクを病原体だと判断し、細胞を攻撃することになり、自己免疫疾患を引き起こす。そこでこの薬物には免疫を下げる仕掛けがあるのだが、それだけでなく人体も免疫抑制能力があるIgG4抗体を誘導して対応する。つまりAIDS状態になるわけだ。その結果、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。しかもLNPは人体に有害であり、DNAやグラフェン誘導体の混入も深刻な影響を及ぼす可能性が高い。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、その遺伝子操作薬に関する情報を医薬品会社や監督官庁は隠蔽しようとしてきた。例えば、そうした医薬品を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は当初75年の間、封印しようとした。 それに対し、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟が起こされ、迅速な公開が命令された。その文書を分析した専門家のサーシャ・ラティポワは2022年初頭、COVID-19騒動を軍事作戦だということを明らかにしている。 2020年2月にアメリカの保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしたと彼女は指摘した。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用することを許可している。もうひとつがPREP法の宣言で、EUAに基づいて使用する対抗手段によって生じる可能性がある付随的損害について、誰も法的責任を負わないことを保証する。要するに免責だ。 1990年にアメリカで成立した「1989年生物兵器対テロ法」を起草したイリノイ大学のフランシス・ボイル教授も2020年1月にCOVID-19の生物兵器としての性質について警告。彼はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と「mRNAワクチン」の接種はアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が資金提供した攻撃的な生物兵器プログラムだったと主張。ウイルスのスパイクタンパク質そのものが兵器であり、LNPは血液脳関門を通過するように設計されていると説明していた。なお、ボイルは昨年1月30日、ビル・ゲイツを含むCOVID-19騒動の主要人物に対する証言に同意した直後に死亡した。 日本の官僚や政治家は「mRNAワクチン」の接種を強行してきたが、その背後にはアメリカの国防総省が存在、そして同省を動かしている勢力が存在していると考えるべきだ。そうした実態に目を向けたくない人は厚生労働省で立ち止まるのだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.27
アメリカ、ロシア、ウクライナの代表団が1月23日と24日にアラブ首長国連邦のアブダビで会談した。アメリカ政府の中東担当特使を務めるスティーブ・ウィトコフはその会談について「非常に建設的」だったと表現したが、彼は戦場でロシア軍が主導権を握っていることを認めている。 ロシア政府は戦争を終結させる条件として、ウクライナを非軍事化すると同時に非ナチ化し、中立化を実現、さらに西側諸国が凍結したロシア資産の返還し、領土の「現実」を認めることを求めている。これらをNATO諸国やキエフ体制が認めない限り、ロシアは攻撃を継続するだろう。それに対し、アメリカ政府はいかに自分たちの利権を維持するかを模索しているが、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国は戦争を継続させようと必死だ。 短期間にロシアを屈服させ、その利権を手にできるという前提で戦争を始めたヨーロッパ諸国としては、負けるわけにいかない。戦争を始める段階でロシアの安価な天然ガスを放棄、多額の資金を投入しているわけで、ロシアの勝利が確定するとEUは破滅する可能性が高い。しかも各国の経済は破綻状態で、これまで以上の混乱になることは不可避だ。 戦争を継続するためには自国民にロシアが負けていると信じさせる必要がある。それは虚構の物語になるわけだが、それを庶民に信じ込ませることが西側の大手メディアの役割にほかならない。1月21日にシーモア・ハーシュがブログに書いた「プーチンの長い戦争」はそうした種類の物語だ。 ウィトコフに言われるまでもなく、ウクライナの戦闘でNATO軍がロシア軍に圧倒されていることは明白。ロシア軍は1月22日に巡航ミサイルのKH-22でニコラエフにあるアルミナの工場を攻撃したが、そこではイギリスのSAS(特殊空挺部隊)が戦闘員の訓練キャンプを設置していた。その拠点を破壊したのだ。 KH-22は旧型のミサイルではあるが、最高速度マッハ4.6、最大射程距離600kmで、西側諸国の防空システムでは対応できない。アブダビでの会談が終わってからキエフのエネルギー施設などをこのミサイルを含む兵器で攻撃、街は光と熱を失った。こうした状況に陥っているのはNATO軍がロシア軍に負けているからだが、それでもあからさまな嘘を大手メディアは拡散している。 そうした偽情報を流布する目的のひとつは支配層が自分たちの政策を国民に受け入れさせ、従わせること。さらに自己意識を破壊して敵社会の文明的基盤を壊すことも目的だとする人がいる。それは心の戦争であり、変えられた心は修復できないという。心の戦争は新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画のほか教育が柱になる。消した手段を使い、支配層にとって都合の良い世界のイメージを国民に刷り込むわけだ。陰陽師の手法に似ているかもしれない。 アメリカは第2次世界大戦後、CIAを利用して世界の自立した政治指導者を暗殺し、イラン、グアテマラ、チリなどで少なからぬ独立国の政権をクーデター倒して傀儡体制を樹立、ベトナムへは軍事侵略、帝国主義国のイメージが出来上がっていた。 それを反省したのか、ロナルド・レーガン政権の時にCIAはイメージ戦争を始めた。民主的に選ばれた政権でも欧米の巨大資本にとって都合が悪ければ「独裁体制」というタグをつけ、犯罪者であろうとナチズムの信奉者であろうとカルトの信者であろうと、欧米の巨大資本にとって都合が良ければ「自由」や「民主主義」というタグが付けられる。それが「プロジェクト・デモクラシー」や「プロジェクト・トゥルース」にほかならない。 1983年1月にレーガン大統領はNSDD(国家安全保障決定指示)77に署名、プロジェクトの中枢機関としてNSCの内部にSPG(特別計画グループ)を設置。ここが心の戦争を推進する中核になった。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004) こうした心の戦争が有効だったことを現実が示しているものの、ネオコンが作り出した幻影は現実との乖離が大きくなりすぎ、消え掛かっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.26
世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)の年次総会が1月19日から23日にかけて、スイスのダボス・クロスタースで開かれた。その中でドナルド・トランプ米大統領は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」について口にした。トランプ政権が「ワクチン開発」を含むCOVID-19対策として2020年5月から21年2月にかけて推進した「オペレーション・ワープ・スピード」について、「史上最大の軍事的偉業」だと語ったのだ。 この「ワクチン」を製造した会社のひとつ、ファイザーの関連文書をアメリカの監督官庁であるFDA(食品医薬品局)は75年間封印しようとしたのだが、アメリカの裁判所は文書の迅速な公開を命令、その内容を分析したサーシャ・ラティポワは2022年初頭、COVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦だと発表している。トランプの発言はラティポワの主張を裏付けているようにも聞こえる。 彼女によると、アメリカの保健福祉長官は2020年2月4日にCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、もうひとつはCBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 つまり医薬品会社は国防総省の契約企業であり、情報開示の義務はない。しかも「COVID-19ワクチン」の接種は軍事作戦であり、何が引き起こされても免責ということになる。 COVID-19の原因だとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)も人工的に作られた可能性が高いと主張する人も少なくない。ジム・ハスラムによると、北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) ハスラムはアメリカの施設でウイルスが作られた可能性があることを示唆しているのだが、トランプ大統領は「COVID」が「ダスト」の散布によって引き起こされたと言っていることをシャラポワは指摘している。トランプは隠されてきたことを口にしてしまったのだろうか?**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.25
ウラジミル・プーチン露大統領は1月22日にモスクワでスティーブ・ウィトコフ米大統領特使やジャレッド・クシュナーと約4時間にわたって会談した。ユーリ・ウシャコフ露大統領補佐官によると、会談は「非常に実質的で建設的なもの」であり、「極めて率直で信頼に基づいたものだった」としている。意見交換は白熱、議論は厳しいものだったと理解されている。 それでも1月23日にアブダビで開催することでは合意。元CIA分析官のラリー・ジョンソンは、その会談に出席するロシア側の交渉団を率いる人物がGRU(軍参謀本部情報総局)のイーゴリ・オレゴビチ・コスチュコフ局長だということに注目している。この会合の焦点は安全保障と情報活動にあり、アメリカやウクライナへ明確なメッセージを伝えるためだという。 ロシア政府は戦争を終結させる条件として、ウクライナを非軍事化すると同時に非ナチ化し、中立化を実現、さらに西側諸国が凍結したロシア資産の返還し、領土の「現実」を認めることを提示している。 ソ連時代にウクライナへ割譲された地域をロシアへ返還しろということであり、こうした条件が政治的/外交的に達成されないなら、ロシアは特別軍事作戦を継続する、つまり戦場で決着をつけるつもりだ。 ロシア軍は1月22日、巡航ミサイルのKH-22でニコラエフにあるアルミナの工場を攻撃したが、そこにはイギリスのSAS(特殊空挺部隊)が戦闘員訓練キャンプを設置していた。その拠点を破壊したのだ。最近、ロシア軍はNATOの将校がいる軍事拠点を容赦なく攻撃しているが、今回もそういうことになる。 現在、NATOはアメリカとヨーロッパ加盟国との間に亀裂が入っているが、ウクライナでの戦闘でもアメリカ政府はヨーロッパ諸国を無視してロシア政府と協議するのだろうか?**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.24
雄大な自然が人びとを惹きつけるアルゼンチンのパタゴニアで大規模な山火事が発生して約3万2000ヘクタールがすでに消失、3000人以上の観光客が避難する事態になったようだ。当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張、知事は根拠を示すことなく、先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているのだが、現地では退役したイスラエル軍兵士が火をつけたと主張する人が少なくない。 グリーンピース・アルゼンチンのエルナン・ジャルディーニは火災が広がった原因として、パタゴニア・アンデスにある森林の約30%を管理する国立公園局の人員をハビエル・ミレイ大統領が削減したことを挙げた。 ジャーナリストのセバスチャン・サルガドもミレイ大統領が消防予算を削減していることが山火事を大きくしている一因だとしているが、それだけでなく、同大統領は外国人に対し、山火事で焼失した土地を買い占めるよう奨励しているとしている。シオニストは19世紀からパタゴニアに目をつけているとサルガドは説明、今回の火事で土地の値段は下がりし、安売り状態だ。 このミレイは熱烈なシオニストで、イスラエル人が放火したと語る人を批判しているが、現在のアルゼンチンは彼を含む熱心なイスラエル支持者によって統治されている。パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるともいう。第2次世界大戦後、アルゼンチンへはナチの高官や協力者が逃げ込んでいたが、今はシオニストの戦争犯罪人の逃亡先になっていると伝えられている。 アメリカ陸軍の特殊部隊グリーン・ベレーによって自国の大統領ニコラス・マドゥロを誘拐されたベネズエラのデルシー・ロドリゲス大統領代行はその誘拐に「シオニスト的な色合い」があると語っているが、ラテン・アメリカにおけるイスラエルの活動が激しくなっていることは事実のようだ。 ガザでの虐殺などでイスラエルを批判する声が世界的に高まっているが、その中心にラテン・アメリカがあると考えていると言われている。そのラテン・アメリカで親イスラエルの中心的な存在がアルゼンチンのミレイ大統領がいる。今回のパタゴニアにおける火災には政治的なきな臭さがある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.23
1991年12月に「唯一の超大国」になったと言われたアメリカは窮地に陥っている。それ以上に厳しい状況になっているのは、そのアメリカに従属していたNATO諸国であり、その後を日本が追いかけている。 そうした中、ドナルド・トランプ米大統領は自国の特殊部隊を使ってベネズエラの大統領を拉致したものの、体制を転覆させることには失敗し、グリーンランドを欲しがってEU諸国を脅したが、反発を受けている。またイランの体制転覆を目指し、イラン国内で反体制デモを仕掛けたが、イラン政府がスターリンクを遮断したことでデモは沈静化、軍事攻撃は中止したようだ。 トランプ大統領は中国に対して経済戦争を仕掛けたが、レアアースの輸出停止という逆襲にあい、和解した。その後、日本の高市早苗首相も中国に喧嘩を売り、同じように逆襲されたが、和解する気配はない。このまま進めば日本の製造業は壊滅的なダメージを受ける。 日米欧は混乱状態だが、そういう状況をもたらした原因はウクライナにおけるロシアの勝利だろう。ロシアが戦っている相手は表面上、ウクライナなのだが、戦争の原因になった2014年2月のクーデターを仕掛けたのはアメリカのバラク・オバマ政権であり、2022年2月にロシアがウクライナを軍事攻撃し始めてからNATOとの戦いという色彩が強まり、現在、戦場ではNATO軍が敗走していると言える。ここにきてロシア軍はNATO軍将校を容赦なく攻撃しているようだ。 アメリカやヨーロッパ諸国は話し合いできる相手でない、つまり約束を守る相手ではないと気づいたロシアは問題を戦場で解決することにした。 シーモア・ハーシュによると、ロシアのウラジミル・プーチン大統領がウクライナとの戦争終結を検討しようとしないと怒っている人がアメリカの情報機関内にはいるようだが、戦争終結の条件をロシア政府はすでに公表している。勝者であるロシアが妥協することはありえない。 ハーシュの記事を読むと、CIAの内部には今でもロシア経済が壊滅的な状況にあると主張している人がいるようで、それに基づいてハーシュは書いている。アメリカがロシアと戦争を始めた当時、そうしたシナリオを作成していたのだろうが、そうした展開にならなかった。これは早い段階から判明している。 西側諸国による「制裁」がロシア社会に変化をもたらさずビジネスは好調であり、店舗の閉鎖も見られない。ロシアは鎖国していないので西側から少なからぬ人が訪れているが、ロシア経済が壊滅的な状況にあることを示す情報は出てこない。勿論、携帯電話やインターネットは利用できている。プーチン大統領の支持率が85%という高率であるのも経済が好調だからだ 2024年2月にタッカー・カールソンはモスクワでプーチン大統領をインタビューしたが、その際、モスクワ市内を紹介している。当時、少なからぬアメリカ人がロシアでの生活をレポートしていたが、いずれも商品が溢れ、多くの人が行交う様子を報告していた。 生産力の向上は軍事部門を見てもわかる。ロシア軍による攻撃は激しさを増し、最新鋭のミサイルやドローンも投入されている。砲弾、ミサイル、ドローンが枯渇する兆候は見られない。ロシアの製造力や技術力はNATO諸国を圧倒している。現実が自分たちのシナリオ通りに進まないことにCIAは焦りを感じ、苛立っているのだろう。 ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は12月下旬から自国軍が昨年、334の集落と6400平方キロメートル以上を解放したと報告、軍がウクライナ/NATO軍の防衛線深くまで進軍していると述べている。他の情報源と照らし合わせてもゲラシモフ参謀総長の主張は事実で、ロシア軍はオデッサを含む南部地域を制圧すると推測する人が少なくない。ロシアに戦争を仕掛けた西側諸国の勢力は敗北の確定を先へ伸ばし、その間に何とかしようとしているのかもしれないが、状況は悪くなるばかりだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.22

イギリスをはじめとする一部のヨーロッパ諸国はロシアとの戦争継続に執着しているが、ウクライナ軍は壊滅状態。NATO諸国は将校や情報機関員だけでなく一般の兵士もウクライナへ送り込んでいるようだが、戦況を変えられる状態ではない。 ロシア軍はドンバスでの戦闘へ投入した第1軍に続き、オデッサを含む南部を制圧するための第2軍をすでに投入しているようだが、さらにNATO軍との全面戦争に備えるため、第3軍を編成していると言われている。それに対し、NATO諸国ではCIAやMI6がテロ攻撃を続けているが、戦況を逆転させられるとは思えない。 戦争の流れは昨年12月28日から29日にかけてのロシア大統領公邸に対する91機のドローンによる攻撃で変化したようだ。西側諸国はウクライナ軍が大統領公邸を攻撃していないと主張したが、GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)のイゴール・コスチュコフ長官はドローンの残骸からマイクロチップを回収、大統領公邸をターゲットにしていたことを突き止めた。そのチップをロシア政府はモスクワ駐在アメリカ大使館の武官へ引き渡している。その後、アメリカ政府からマイクロチップに関するコメントはなく、ロシア側の主張が正しかったと推測できる。 ドローンを飛ばしたのはウクライナ軍かもしれないが、その計画を作成したのはCIAやMI6である可能性が高く、ウラジミル・プーチン露大統領の暗殺をドナルド・トランプ米大統領が承認したと見られても仕方がなく、アメリカ政府はロシア政府と話し合う姿勢を見せていたが、それはロシアを騙すための演出だったということになる。 イスラエルは昨年6月10日にアメリカから空対地ミサイルのヘルファイアを約300機受け取ったが、その3日後にイランを攻撃した。イラン領内からドローンやミサイルを発射したと言われているが、その際、8時間から10時間にわたって防空システムが麻痺、軍の幹部や核科学者らが殺害された。イランに対するサイバー攻撃があったともいう。攻撃の前、イラン政府はイスラエルからの攻撃を警戒していたとは思えない。 昨年9月9日、アメリカ政府が提案した新たな停戦案について協議するためにカタールへ入ったハリル・アルハヤ議長率いるハマスの代表団をイスラエル軍は爆撃しているが、これはトランプ政権とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権が連携して行われた可能性が高い。要するに騙し討ちだった。 アメリカと問題を話し合いで解決することはできないとロシア政府が考えるのは当然。戦場で決着をつけるしかないということだ。実際、その後ロシア軍の攻撃は激しくなり、NATO軍の司令部が狙われているとも言われている。EUの内部からロシア政府と話し合う必要があるとする声が聞こえるようになったのは、そのためだろう。 その前にNATO諸国はウクライナでロシアを騙している。アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてキエフでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を排除しているが、シナリオ通りに事態は進まなかった。 歴史的にロシアとの関係が深くヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の住民はクーデターを拒否したのだ。南部のクリミアはいち早くロシアと一体化、東部のドンバスでは武装抵抗が始まり、キエフのクーデター政権は劣勢になる。 そこで欧米諸国はキエフ政権の軍事力を増強する必要が生じ、時間稼ぎのため、ロシアに停戦を持ちかけた。それが2014年9月のミンスク1と15年2月のミンスク2だ。このふたつの停戦合意がキエフ政権の戦力を回復させるための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 オバマ政権のネオコンは2014年のクーデターでロシアとEUを分断、ロシアとEUを結びつけていたロシア産天然ガスを止めようとした。ロシアからEUという巨大なマーケットを奪い、EUからロシアという安価な天然ガス供給源を奪うことでロシアとEUを弱体化させられると考えたと言われている。 その当時、EU諸国はロシアを簡単に屈服させられると考え、ロシアの利権を手に入れられると信じていたのだろうが、EU諸国の経済は壊滅的なダメージを受け、社会は崩壊、EUは近い将来、消滅すると言われる状況になった。そのEUと同じ道を驀進しているのが日本だ。日本は中国だけでなくロシアを敵にし、軍事力を増強、戦争の準備をしている。かつての日本と同じように、中国へ攻め込んで財宝を奪うつもりなのだろうか?**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.21
アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが26年間利用してきたシチズンズ・バンクの銀行口座が閉鎖され、預金が消えたという。同銀行が彼との取り引きを終了させた結果だ。口座を閉鎖する合理的な理由はないことはリッターが利用していた支店も認めているという。 ジェージ・W・ブッシュ政権は2003年3月、統合参謀本部の反対意見を押し切ってイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を破壊、フセインは2006年12月に処刑された。その攻撃を正当化するため、ブッシュ政権は「大量破壊兵器」の保有を主張していたが、後にその主張は嘘だということが判明している。 リッターは1991年からUNSCOMの主任査察官を務めてが、98年に辞任している。辞任した際、CIAのニューヨーク支局長は、FBIが私の残りの人生を「クソくらえ」にすると告げたという。 その年の9月に彼はアメリカ上院の軍事委員会と外交委員会で証言、国連安全保障理事会とアメリカがイラクの武装解除を目的とした決議を履行していないことに不満を感じて辞任したと語った。ブッシュ政権がイラクを攻撃しようとしていた2002年、リッターはイラクが大量の大量破壊兵器の備蓄あるいは製造能力を保有しているという政権の主張を否定している。その2002年にFBIのマイケル・テンプルトン特別捜査官はリッターの妻にポリグラフ検査をしているが、その際、虚偽の自白を強要したとリッターは語っている。 最近ではウクライナを舞台にした戦争ではアメリカ政府にとって都合の悪い情報や分析をリッターは公表、弾圧の対象になってきた。2024年6月3日にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で彼は国境警備隊員にパスポートを押収され、8月7日には彼の自宅がFBIと州警察の捜査官に家宅捜索されている。 アメリカ政府の政策、つまり1992年2月に国防総省のDPG草案として作成された世界制覇プロジェクト、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンにとって都合の悪い事実を世界に発信するジャーナリストもリッターと同じように、弾圧されている。 例えば、ウクライナのドンバスではドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレット、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者らが取材を続けていたが、ドイツ人ジャーナリストのパトリック・バーブは職を失い、アリナ・リップは銀行口座を閉鎖されている。ウクライナの治安機関に逮捕され、獄中で拷問の末に死亡したゴンサロ・リラもそうしたジャーナリストに含まれる。 現在、日本でもデジタル通貨に向かって進んでいるようだが、それが実現すると資金の流れを容易に断ち切れることになる。2022年10月13日、岸田文雄内閣は「マイナンバーカード」と健康保険証を一体化させる計画の概要を発表、それまで使われてきた健康保険証を2024年の秋に廃止すると宣言した。 発表時、デジタル大臣だった河野太郎は「デジタル社会を新しく作っていくための、マイナンバーカードはいわばパスポートのような役割を果たすことになる」と述べ、「日本は国民皆保険制度であり、保険証と一体化するということは、ほぼすべての国民にマイナンバーカードが行き渡るということで、格段に普及が進む。」と寺田稔総務大臣は主張した。「語るに落ちる」とはこのことだが、この政策は現実を無視したもので、現場は混乱している。 しかし、庶民を監視、管理するため、世界の支配層はデジタル化を放棄することはないだろう。エレクトロニクス技術が進歩し、データのデジタル化が進んだ結果、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データを収集、分析できるようになった。どのような本を買い、図書館で借りているのかということを調べれば思想が推測できる。IC乗車カード、監視カメラ、GPSの組み込まれたスマートフォンなどで人びとの行動も監視できる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.20

日本の企業は中国とのビジネスで維持、さらにロシアの安価な天然ガスを手に入れることで状況を好転させようとしているのだが、こうした政策はアメリカ政府にとって好ましくない。1992年2月、ネオコンは潜在的なライバルを潰し、アメリカが世界を支配するというプロジェクトを作成したが、それに反するのだ。日本が中国やロシアに接近することをアメリカは許さない。 そうした流れの中、総理大臣に選ばれた高市早苗は就任早々、中国との関係を断絶させる動きに出た。11月7日に衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するということになる。 高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けた。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、アメリカのCIAやNSAの分析官は日本が核兵器を開発していると確信、監視してきた。 第2次世界大戦後、日本を原子力を日本へ導入したのは中曽根康弘である。彼は内務省を辞め、1947年4月の衆議院議員選挙に出馬して当選し、河野一郎の配下に入り、児玉誉士夫と知り合った。 中曽根が権力の階段を登り始めるのは、1950年6月にスイスで開かれたMRA(道徳再武装運動)の世界大会へ出席してからだ。MRAはCIAとの関係が深い疑似宗教団体で、岸信介や三井高維も参加していた。そこで中曽根はヘンリー・キッシンジャーを含むCFR(外交問題評議会)のメンバーと知り合っている。 中曽根は1953年、キッシンジャーが責任者を務めていた「ハーバード国際セミナー」というサマー・スクールに参加しているが、このセミナーのスポンサーはロックフェラー財団やフォード財団で、CIAともつながっていた。 中曽根が国会に原子力予算を提出したのは1954年3月。修正を経て予算案は4月に可決された。その背景には、1953年12月にドワイト・アイゼンハワー米大統領が国連総会で行った「原子力の平和利用」という宣言がある。 その中曽根は1983年1月に総理大臣としてアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙の編集者や記者たちと朝食をともにした。その際、彼はソ連のバックファイア爆撃機の侵入を防ぐため、日本は「不沈空母」になるべきだと語ったと報道されている。 中曽根は発言を否定したものの、インタビューが録音されていたことを知ると、「不沈空母」ではなくロシア機を阻止する「大きな空母」だと言い換えるが、このふたつの表現に本質的な差はない。日本列島はアメリカ軍がロシア軍を攻撃するための軍事拠点だと中曽根は認めたのである。 また、中曽根は首脳会談で日本周辺の「4海峡を完全にコントロールし、有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」、「ソ連のバックファイアー(爆撃機)の日本列島浸透を許さない」と発言、「シーレーン確保」も口にした。ソ連と戦争状態に入ると言っているに等しい。 その前、1976年にアメリカ大統領となったジミー・カーターは78年に核拡散防止法を議会で可決させた。この法律はウランとプルトニウムの輸送すべてに議会の承認を得るように義務付け、日本からの多くの機密性の高い核技術の輸入を阻止するものだ。 当時、アメリカのエネルギー省では増殖炉計画が注目されていたが、カーター大統領はその流れにブレーキをかけた。その方針に反発したひとりが原子力規制委員会のリチャード・T・ケネディにほかならない。そのケネディを助けたアメリカ海軍大佐のジェームズ・アウアーは後にバンダービルト大学の終身教授に就任、同大学の米日研究協力センター所長にもなっている。 しかし、1980年にロナルド・レーガンが大統領に就任すると状況は一変し、ケネディたちを喜ばせることになる。そのケネディをレーガン大統領は核問題担当の右腕に据え、ケネディはカーター政権の政策の解体させていく。そして始められたのがクリンチリバー増殖炉計画だ。エネルギー省は1980年から87年にかけてこのプロジェクトに160億ドルを投入するが、議会は突如、計画を中止する。日本とアメリカの増殖炉計画を結びつける役割を果たした人物がリチャード・ケネディである。 この計画に資金を提供することになった日本の電力業界の関係者は核兵器に関する技術を求め、兵器用プルトニウムを大量生産していたプルトニウム分離装置をリストに載せた。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術である遠心分離機が運び込まれている。 アメリカは日本へ技術を提供するだけでなく、日本へ限りなく核物質を輸出し、それを制限なくプルトニウムに再処理し、他国へ再移転する権利が与えられていた。またイギリスやフランスの再処理業者が日本へ返却するプルトニウムも核兵器に使用できるほど純度が高い。 1995年は日本がアメリカの戦争マシーンとして動き始めた年でもある。この年の2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、アメリカの政策に従うように命令したのだ。 このレポートはネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に日本が独自の道を歩もうとしていると報告した結果だとされているが、そうした流れと並行して日本ではテロ攻撃があった。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載され、自衛隊の責任が強く示唆されていた。 日本では中国やロシアを意識した戦争の準備が進む。例えば、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、それに続いて2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。こうした施設建設の理由をアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書で説明している。こうした設備の建設はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するというアメリカ軍の計画に基づいているのだ。 昨年11月23日に小泉進次郎防衛相は与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島へのミサイル配備はアメリカ国防総省のプランに従っている。そうした琉球諸島の先にある島が台湾だ。 RANDコーポレーションの報告書が作成された当時、アメリカは日本が掲げる専守防衛の建前、そして憲法第9条の制約を尊重していた。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にするとしていたのだが、2022年10月になると「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」と報道された。 こうしたアメリカの計画は1992年2月にアメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)の草案に基づいている。この指針は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 1991年12月のソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようというわけだが、そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 また、旧ソ連の領土内であろうとなかろうと、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルが再び出現するのを防ぐことが彼らの目的だともしている。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを仕掛けたが、これもウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいているのだろう。 このクーデターでオバマ政権はビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功。ウクライナをNATOの支配下におくと同時に、ロシアから天然ガスの大きなマーケットを奪い、ヨーロッパから安価な天然ガスの供給を断つことでロシアとEUを弱体化させられると考えてのことだ。 こうしたアメリカ政府の計画をヨーロッパ諸国が呑んだのはロシアを倒せると信じたからだろうが、そうした展開にはならなかった。ロシアの勝利は決定的であり、EUは崩壊の危機にある。アメリカ経済も厳しい状況だ。高市首相の言動によって日本はEUと同じように破滅へと向かいつつある。EUはロシアと戦争して勝利し、ロシアの利権を手に入れるつもりだったようだが、日本は中国との戦争で勝利し、富を奪うつもりなのだろうか。高市政権は戦争へ突入する準備として選挙を強行するようにも見える。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.19
アメリカのドナルド・トランプ政権はアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースを使い、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を誘拐したとされている。マドゥロをベネズエラ国内にとどめおくことは勿論、殉教者にしたくなかったのかもしれない。 マドゥロを誘拐するため、デルタフォールはヘリコプターで送り込まれたようだが、その際ベネズエラ側の防空システムは機能しなかった。そこで、誘拐事件の直後から3つの可能性が指摘されている。ベネズエラ軍が無能なのか、ベネズエラの政府や軍の中枢に裏切り者がいるのか、交渉するとしてアメリカ政府がカラカスへ送り込んだグループが交渉団ではなく特殊部隊だったのではないか、というものだ。裏切り者がいた可能性が高い。 マドゥロ大統領が誘拐された後、デルシー・ロドリゲス副大統領が暫定大統領に就任、この暫定大統領はベネズエラの情報機関と大統領儀仗隊を率いていたハビエル・マルカーノ・タバタ少将を暫定大統領は反逆罪で逮捕するように命じた。 マドゥロ大統領に忠誠を誓っていたタバタ少将はベネズエラの議事堂内で逮捕されたが、その際に銃撃戦があったとされている。ロドリゲスがトランプの脅しに屈したという見方もある。 タバタが大統領を守れなかったことは事実だが、アメリカ政府と交渉していたのはタバタでなくロドリゲスだとアメリカのメディアは報じている。また大統領が誘拐された後、ロドリゲスはアメリカのマルコ・ルビオ国務長官に電話をかけ、作戦の進捗状況を尋ねたとも伝えられている。彼女が国民に向かって演説したのは電話の後だという。また、事件後、数百人の政治犯の釈放が発表された。 マドゥロはニューヨークで麻薬テロとアメリカへのコカイン密輸の罪で起訴されたが、南アメリカから北アメリカへコカインを密輸してきたのはCIAにほかならない。このことはアメリカのネットワーク局も伝えていた事実だ。 ノーベル平和賞を受賞したマリア・コロナ・マチャドは西側世界で誉めそやされているものの、ベネズエラで全く人気のない人物で、マドゥロ政権が崩壊しても彼女が大統領になることはできない。 ネオコンに属すキューバ系のマルコ・ルビオ国務長官もマドゥロ政権の崩壊を望んでいたひとり。彼の姉が結婚した相手のオーランド・セシリアは1987年に麻薬取引の容疑で逮捕されている。セシリアは1983年にペット・ショップで働き始め、マルコもそこで雑用を任されていた。ルビオも働いていたそのペット・ショップは麻薬業者のフロント企業で、セシリアは1989年に懲役35年の判決を受けているが、ルビオは問題にされなかった。そのルビオは現在、キューバの体制転覆を目指している。 ルビオと同じネオコンのエリオット・エイブラムズはオットー・ライヒやジョン・ネグロポンテと同様、ベネズエラの体制転覆を目論んでいた。ベネズエラで1998年に実施された選挙で勝利したウゴ・チャベスはアメリカが支配する仕組みを壊した。その時代に副大統領だったのがニコラス・マドゥロにほかならない。 そこでジョージ・W・ブッシュ政権はチャベス政権を倒すための秘密工作を開始、その中心にはイラン・コントラ事件に登場したエイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたライヒ、そして1981年から85年までのホンジュラス駐在大使を務め、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてイラク大使を務めたネグロポンテがいたわけだ。その人脈にルビオも含まれている。 デルタフォースはマドゥロを誘拐する際、警護を担当していたキューバ人のチームを皆殺しにしている。DEW(指向性エネルギー兵器)が利用されたとも言われている。電磁波エネルギーか音波エネルギーが使われ、警護兵の体の自由を奪った上で射殺したとも言われている。西側諸国では、こうした兵器を国内の反乱を鎮圧するために開発してきたのだが、NATOはウクライナで戦闘用の兵器として実験している。 マドゥロ大統領は石油インフラを破壊したまま放置し、再建しようとしなかったと批判されてきた。アメリカが仕掛けた経済戦争のため、インフレ率は高く、国民の生活は厳しいのだが、マドゥロが適切な対策を講じなかったとも言われている。チャベスの理想からマドゥロは乖離、チャベスを支持していたグループとの関係は悪化していたと言われている。チャベス支持者のひとりがデルシー・ロドリゲスにほかならない。 マドゥロ誘拐はいくつかの勢力による策略が交錯しているようにも見える。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.18

ドナルド・トランプ政権はイランに対する体制転覆攻撃を先送りにしたようだ。西側諸国はイランに対する経済戦争を続けてきたが、アメリカ政府は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させ、経済を混乱させ、反政府デモを誘発させた。2017年1月から18年4月までCIA長官を、また18年4月から21年1月まで国務長官を務めたマイク・ポンペオは1月3日、X(Twitter)に「街頭に立つすべてのイラン国民に、そして彼らの傍らを歩くすべてのモサド工作員に、新年おめでとうございます」と書き込んでいる。 12月28日に始まったイランの反政府デモは、厳しい経済的に対する国民の不満を利用してCIAとモサドが仕掛けたと考える人が少なくないが、ポンペオも同じように考えているようだ。 この反政府デモを煽り、イラン国内を不安定化させた上で軍事力を行使、短期間でイランを征服するつもりだったのだろう。西側の大手メディアはアメリカがイランに楽勝すると宣伝、攻撃しやすい環境を作ろうとしていたが、ウクライナの場合と同じように、それは「御伽話」に過ぎないことを人びとに知らせることになった。 しかし、アメリカやイスラエルの情報機関が指令を伝えたり、イラン側の動きを活動家に伝えるために使っていたスターリンクをイラン政府が遮断、また反政府デモを操っていたグループの銃撃を含む暴力行為に一般のデモ参加者は反発。さらに治安部隊の投入もあり、トランプ政権が目論んだような不安定化は起こらなかった。トランプ政権がイランに対する軍事攻撃を先送りにしたのはそのためだと見られている。サウジアラビア、カタール、トルコはアメリカに領空を通過する許可を与えず、イランを空爆することができなかったとも言われている。 世界征服プロジェクトを1992年2月に作成したネオコンだが、ウクライナでNATOはロシアに敗北、またベネズエラではニコラス・マドゥロ大統領を誘拐することに成功したものの、政権転覆には失敗し、簡単には軍事侵攻できない状況だ。そしてイランでの失敗。侵略戦争に積極的なリンジー・グラハム上院議員の落胆ぶりが話題になっている。 ところで、スターリンクの遮断にはロシアと中国が協力したと見られているが、この両国は防空システムなどでも支援しているだろう。イランの上空から航空機が姿を消したが、そうした中、中国の輸送機がイランに到着したとも伝えられている。イランが中露の支援を受け入れていれば、アメリカやイスラエルにとって困難度は高まる。 しかし、ネオコンは世界征服プロジェクトを放棄していない。欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で見た攻撃予定国のリストを見たという。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。(ココやココ)イランに対する攻撃を彼らが放棄するとも思えない。実際、アメリカ海軍の空母打撃群は依然としてペルシャ湾へ向かっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.17
クリスマス休暇の時期とは言うものの、ウラジミル・プーチン露大統領が12月下旬から数週間にわたって姿を見せなかったと話題になっている。12月28日から29日にかけての夜、モスクワ北西部のノブゴロド州にある大統領公邸に向けて91機のドローンが発射されたことを受け、ロシア政府の内部で重大な政策の変更が議論されたのではないかと推測する人もいるようだ。その後、ロシア軍の攻撃は激しくなり、NATO軍の司令部が狙われているとする噂もある。EUの内部からは、ロシア政府と話し合う必要があるとする主張も流れて来始めた。 12月29日に撃墜されたドローンの航法装置をロシア軍は調査、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功、その最終目的地がロシア大統領官邸内の施設の一つであったことを突き止め、そのデータをアメリカ大使館の武官へ渡されたという。この攻撃はCIAがウクライナの手先を利用して行った可能性が高く、プーチン大統領の暗殺をドナルド・トランプ米大統領が承認したとするならば、ロシア政府とアメリカ政府の話し合いは難しくなるかもしれない。 ロシア軍は1月8日、ウクライナ西部、ポーランドとの国境に近いリビウを攻撃した。ここはNATOの兵站線における要衝だが、そこにある地下ガス貯蔵施設を破壊したようだ。その貯蔵容量は170億5000万立方メートルで、ウクライナで貯蔵されている全容量の50%以上に相当、ウクライナのエネルギー事情を一気に悪化させる。 西側諸国は現在でもウォロディミル・ゼレンスキーを大統領として扱っているが、大統領としていの任期は切れている。国民にも支持されていない。イギリスの対外情報機関MI6のエージェントで、MI6長官を務めていたリチャード・ムーアがハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)だったとされているが、ムーアは昨年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリが引き継いでいる。 ゼレンスキーの側近と言われているキリロ・ブダノフは2020年8月5日から今年1月2日までGUR(国防省情報総局)の局長を務め、現在はウクライナ大統領府長官だ。GURはSBU(ウクライナ安全保障局)と同じように、2014年2月のクーデター以降、CIAの下部組織として機能している。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ブダノフはGURに所属する2245部隊(第10独立特殊任務支隊)のメンバーとしてCIAの訓練を受けている。こうした経歴から、彼はCIAの指揮下にあると考えられている。 また、イギリスがゼレンスキーの後釜と考えているバレリー・ザルジニー駐英大使はゼレンスキーに対し、1月初旬に辞任する意向を伝えていたという。この人物はブダノフと同じように、ネオ・ナチと緊密な関係にある。 CIAの前身であるOSSはMI6を教官役として誕生した。いずれの組織とも背後には金融資本が存在している。アメリカ、イギリス、そしてイスラエルの情報機関は連携して活動しているが、ウクライナでも互いに協力し合っているだろう。 第2次世界大戦中、OSSとMI6は西部戦線でドイツと戦っていたレジスタンスを危険視していた。コミュニストの影響を受けていたからだ。レジスタンスに参加していたシャルル・ド・ゴールが大戦後、米英情報機関のネットワークに狙われたのもそのためだ。 レジスタンスに対抗するため、OSSはイギリスのSOE(特殊作戦執行部)と共同で、レジスタンスを抑え込むためにゲリラ戦部隊のジェドバラを1944年に編成、大戦後にはそのメンバーがアメリカの破壊工作組織OPC(のちにCIAの秘密工作部門)や軍の特殊部隊になった。 また、NATOの内部に破壊工作部隊が作られ、これらの部隊を基盤にして秘密部隊のネットワークが組織される。そのネットワークの中で最も活発に活動したグラディオはレジスタンスの人気が高かったイタリアの組織。NATOが誕生するとネットワークはその中へ入り込み、1951年からCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。1957年にはCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設された。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) アメリカのCIAと特殊部隊はベトナム戦争でも活動しているが、正規軍とは別の指揮系統で戦っていた。ベトナム戦争が泥沼化した1967年にリンドン・ジョンソン大統領、ディーン・ラスク国務長官、ロバート・マクナマラ国防長官、ジョージ・クリスチャン報道官、ウオルト・ロストウ国家安全保障補佐官、そしてNSC(国家安全保障会議)に所属していたCIAのロバート・コマーが話し合い、軍とは別の戦闘システムを作り上げた。 1967年5月にコマーがDEPCORDSとしてサイゴン入りし、6月にはMACV(南ベトナム軍事援助司令部)とCIAが共同で極秘プログラム「ICEX(情報の調整と利用)」が始動。名称はすぐに「フェニックス・プログラム」へ変更されている。 このプログラムの目的は、反米色が濃いと見なされた地域の農民を皆殺しにして、好ましい人たちと入れ替える作戦である。海軍の特殊部隊SEALsの隊員だったマイク・ビーモンによると、フェニックスは「ベトコンの村システムの基盤を崩壊させるため、注意深く計画されたプログラム」だ。(Douglas Valentine, "The Phoenix Program," William Morrow, 1990) おそらくウクライナでもCIAと特殊部隊は独自の判断で動いている。ロシア軍がウクライナで軍事作戦を始めた直後からNATO諸国から情報機関員や軍人が入っていたが、CIAや特殊部隊は通常の戦闘ではなく、テロ攻撃が主体になる。そのテロ攻撃に対し、ロシア軍は正規軍で圧倒するつもろだろう。ポーランドとの国境に近いリビウを攻撃したのは、いつでもNATO諸国を攻撃できるという警告だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.16

西側諸国が仕掛けた経済戦争によってイラン経済は厳しい状況で、生活が厳しい人びとの不満は募っていた。12月28日から始まったデモを生み出したのはそうした不満のエネルギーだが、途中から一部のグループがショットガンを持ち出して警官隊や市民を銃撃し始める。その結果、暴力集団と治安部隊との間で銃撃戦が始まり、火炎瓶が飛び交い、少なからぬモスクが襲撃されているのだが、すでに反政府暴動は沈静化している。 そうした暴力的な行為と結びつけられているのは、クルド人やCIAやモサドと関係の深いバルーチ人だと言う人もいる。西側で伝えられているイランの状況は、CIAの工作資金を動かしているNED(全米民主主義基金)から資金を受け取っているNGOのアブドルラフマン・ボロマンド・イラン人権センターとイラン人権活動家協会の情報に基づく。 ロナルド・レーガン政権でCIA長官を務めたウィリアム・ケーシーは1983年、ホワイトハウスの顧問だったエドウィン・ミースに対して手紙を送り、体制転覆を実現するために「民主化」や「人権」を看板に掲げた民間を装った組織を創設するべきだと書いている。そして創設されたのがNEDにほかならない。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) アメリカ国務省のUSAIDを含む政府機関からNEDへ資金が流れ込むが、その実態はCIAの工作資金。NEDからNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどへ流れている。こうした資金を流す仕組みは「プロジェクト・デモクラシー」と深く結びついている。 イランの反体制デモに参加した人びとによる暴力行為を撮影した映像が世界に発信されているものの、西側の大手メディアや「人権団体」はそうした事実を伏せている。リビア、シリア、ウクライナ、香港における「カラー革命」工作と似た展開になっている。イスラエルの情報機関であるモサドはイラン国民に対し、「街頭へ出よう。時が来た」と呼びかけていた。 年明け後、マシュハド市では反政府グループは消防署に放火して消防士を焼き殺し、バスにも放火、市職員を襲撃して地下鉄の駅を破壊するなどしている。イラン西部のケルマーンシャーでは反政府グループが3歳の少女を射殺している。少女は父親と薬局に向かう途中だった。その際、襲撃者は警官に向かって自動小銃を発砲していた。イラン中部でもバスが襲撃され、火を放たれている。テヘランではアバザール・モスクが彼らに放火された。 こうした工作ではアメリカやイギリスの情報機関は衛星で治安部隊の動きなどをデモのリーダーに知らせ、作戦も指示していたと言われているが、今回も同じことが行われている。その通信手段がスターリンク。イラン政府はスターリンクを遮断した。 イランの現体制を転覆させる工作に加わっているクロシュ・レザ・パーレビの父親、モハマド・レザ・パーレビは1979年までシャーを名乗り、腐敗、政治弾圧、拷問で悪名が高かった。モハマド時代のイランはイスラエルの影響下にあったが、クロシュは2023年にイスラエルを公式訪問している。この人物は「民主化運動家」でも「人権活動家」でもない。 こうしたイランの反政府デモと並行して、カタールのアル・ウデイド空軍基地を含むペルシャ湾のアメリカ軍基地へアメリカ軍の輸送機が盛んに飛来している。 アル・ウデイド基地にはアメリカ中央軍(CENTCOM)、アメリカ空軍中央軍(AFCENT)、そして統合航空作戦センター(CAOC)の前線部隊の司令部がある。また、アメリカ中央特殊作戦軍や、イギリス空軍(RAF)第83遠征航空群などの同盟国部隊も駐留している。こうした基地を拠点にしてイランのミサイル基地を破壊するつもりだとも推測されている。ベネズエラ大統領を誘拐する際、アメリカの特殊部隊は電磁兵器を使ったと言われているが、イランに対してはサイバー攻撃を仕掛けるだろう。 それに対し、アメリカの防空システムがどこにあるかを知っているイランは、アメリカ軍の基地をドローンや旧式のミサイルで攻撃して防空システムのミサイルを枯渇させた後、新型ミサイルで攻撃することになると見られている。ロシアや中国の防空システムをイランが受け入れているなら、アメリカにとって厳しい展開になる。 NATO諸国はウクライナでロシアに敗北、ベネズエラでは期待したような成果は得られなかった。そしてイランに戦争を仕掛けようとしているが、成功するようには思えない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.15

日本の政策は富を一部の人びとに集中させることを是とする「新自由主義」に基づいて決められてきた。このシステムが存在している以上、貨幣供給量を変えても意味はなく、「緊縮財政」と「積極財政」を対立させる議論は新自由主義を継続させるための三文芝居にすぎない。 日本政府はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動を利用して多額の資金を医療分野へ流し込んだが、それで景気が良くなったわけではない。軍事力の行使に積極的な高市早苗首相は軍事分野へ資金を投入したいのだろうが、それはアメリカ政府の意向でもある。そうしたことに国民が気づかないうちに高市政権は選挙を実施したいかもしれない。 1990年代から日本の景気は低迷しているが、これを失政のせいにするのは正しくないだろう。1991年12月にソ連が消滅した直後、アメリカの外交や軍事をコントロールしていたネオコンは自国が唯一の超大国になったと認識、他国に気兼ねすることなく、好き勝手に行動できる時代になったと考えた。 そして1992年2月、アメリカの国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界征服計画を作成している。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれてきた。 その中で、アメリカが目指すべき第一の目標は、かつてソ連がもたらした脅威と同程度の脅威をもたらす新たなライバルの出現を阻止することにあり、世界規模の力を生み出すのに十分な資源を有する地域を敵対勢力が支配することを防がなくてならないとしている。そうした地域には旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、そして南西アジアが含まれている。ソ連消滅後、ネオコンは日本も潜在的なライバルだと認識したはずだ。 その一方、日本はドイツと同様、アメリカが動かす戦争マシーンにおいて重要な役割を果たすと考えているだろう。DPGでは、日独両国がアメリカ主導の集団安全保障体制に統合されたとしている。1992年2月にネオコンは世界征服プロジェクトの開始を決めたが、必然的に日本もそのプロジェクトに加担させられることになった。日本がネオコンに屈服し、その戦略に従うことを決めたのは1995年だったはずだ。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州のアーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、それを利用してアメリカ政府はウォルフォウィッツ・ドクトリンを指導させた。国内の刑務所化を推進すると同時に、国外で侵略戦争を始めたのだ。2003年3月のイラクに対する先制攻撃もそうした流れの中での出来事だ。 しかし、ソ連消滅後に欧米の属国と化していたロシアが21世紀に入って再独立の成功して状況は大きく変化する。ネオコンがウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行した2014年、香港では佔領行動(雨傘運動)と呼ばれる反中国運動が引き起こされた。それ以降、中国はアメリカから離れてロシアへ接近、アメリカにとって日本の軍事的な意味は再び大きくなった。 緊縮財政なのか積極財政なのかという通貨カルト的な議論はアメリカの世界征服プロジェクト、そして日本をそのプロジェクトを動かす歯車のひとつにしようとする勢力の思惑を隠す役割を果たしている。経済問題を議論するなら、不公正な仕組みを壊し、富の偏在を防ぐための経済システムをどのように築くかをテーマにすべきだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.14

西側の大手メディアはイランの状況について「自由と民主主義を求める人民が決起した」と宣伝しているが、その背後ではCIAやモサドが暗躍していた可能性が高い。西側諸国による経済攻撃によってイランの経済状況は厳しく、人びとの怒りや不満は高まっていて、そうした怒りや不満を利用して引き起こされたと言うべきだろう。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とドナルド・トランプ米大統領がアメリカのフロリダ州にある「マール・ア・ラーゴ」で会談したタイミングでデモが始まったのだが、これを偶然で片付けることはできない。 数百人から数千人の死傷者が出ていると伝えられているが、デモ参加者がショットガンを上空に向けて発砲、あるいは治安部隊の隊員を殴り殺したり焼き殺したりする様子を撮影したという映像も流され、体制を支持する大規模なデモの情景も伝えられている。治安部隊の隊員や市民がデモ隊に殺される状況になったことから政府側の反撃は厳しくなり、暴力的な抗議活動の首謀者とされる者たちを公開処刑すると当局は発表した。 アメリカのCIA、イギリスのMI6、あるいはイスラエルのモサドのような情報機関はさまざまな国の労働組合や政治団体にエージェントを潜り込ませて乗っ取り、操ってきた。1950年代にCIAはイランやグアテマラの政権をクーデターで倒し、巨大資本のカネ儲けに協力したが、その時もそうした組織を利用して反政府でもを仕掛けている。いずれも政府が暴力的な衝突を避けようとしたことからクーデターは成功、両国の状況は悲惨なことになった。2014年のウクライナも似たような展開で、内戦になり、その後NATOとロシアの戦いになった。 1961年4月にアメリカ軍やCIAの好戦派は亡命キューバ人を利用し、キューバへの軍事侵攻を試みた。「ピッグス湾(プラヤ・ギロン)上陸作戦」だ。アレン・ダレスたち軍事侵攻を計画したグループは、作戦が成功する可能性が小さいと考えていた。そこでアメリカ軍を「救援」の名目でキューバへ軍事侵攻させようと目論んでいたようだ。(Lucien S. Vandenbroucke, "The 'Confessions' of Allen Dulles: New Evidence on the Bay of Pigs," Fall 1984) 侵攻部隊の敗北が明らかになると、チャールズ・キャベルCIA副長官は航空母艦からアメリカ軍の戦闘機を出撃させようと大統領に進言したが、アメリカ軍が前面に出た侵攻作戦の要求は却下された。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Citadel Press, 1996) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授(経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子)によると、ピッグス湾上陸作戦に失敗した直後の1961年7月、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長、SAC(戦略空軍)のカーティス・ルメイ司令官、あるいはアレン・ダレスCIA長官などは、大統領に就任して半年のジョン・F・ケネディ大統領に対してロシアに対する先制核攻撃計画について説明している。 この好戦的なグループは1963年の後半にソ連を先制核攻撃しようと計画していた。その頃になれば、アメリカはソ連を先制攻撃するために必要なICBMを準備でき、ソ連はICBMを準備できていないと信じていたからだ。その計画を承認しなかったケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。 イランでもトランプ政権はイランの反体制派を支援するという口実で軍事介入すると考えている人もいるが、イラン周辺にあるアメリカ軍の基地で防衛態勢を強化したり、撤退する動きが見られないことから、トランプ大統領に軍事介入をする意思は今のところないようだ。 現在のイスラム体制が崩壊した場合、自分が受け皿になると主張しているクロシュ・レザ・パーレビは1979年までシャーを名乗り、腐敗、政治弾圧、拷問で悪名高いモハマド・レザ・パーレビの息子。モハマド時代のイランはイスラエルの影響下にあったが、クロシュは2023年にイスラエルを公式訪問、イスラエルとの関係は深い。この人物は「民主化運動家」でも「人権活動家」でもなく、アメリカ、イギリス、そしてイスラエルの手先にすぎない。 このクロシュ・レザ・パーレビを売り出すためだけでなく、イランを不安定化させるため、数十の偽アカウントを利用し、AIによって生成されたコンテンツを拡散した。「ハメネイに死を」や「独裁者に死を」と叫ぶようにも呼びかけているのだが、これらのアカウントはイスラエル政府またはその代理業者によって運営されている可能性が高いという。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.13
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は12月29日、フロリダ州の「マール・ア・ラーゴ」でドナルド・トランプ米大統領と会談した。ガザでの大量虐殺の後始末についても話し合ったかもしれないが、昨年6月に失敗したイランへの攻撃についても議論しただろう。 その会談に合わせるかのようにイランでは反政府活動が始まった。アメリカをはじめとする西側諸国の経済戦争のダメージが大きいが、それだけでなくマスード・ペゼシュキアン大統領の失政で人びとの生活は苦しくなり、不満が高まったことが大きい。その不満を利用して欧米諸国は反政府活動を仕掛けたということだ。最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師はアメリカが混乱を煽っていると非難しているが、そうした状況だ。 デモでは、クルド人のほかCIAやモサドと関係の深いバルーチ人が重要な役割を果たしていると言う人もいる。この抗議活動だけで体制が転覆するとは思えないが、トランプ政権にはそれを利用し、アメリカ軍に攻撃させようという動きもある。世界の報道を見ると、火炎瓶がモスクにも投げ込まれ、デモ参加者がショットガンを発射する状況になった。デモ参加者と警察官、双方に死者が出ているが、デモが激しくなり、いくつかの都市で政府の建物を放火、一般の建物を破壊するようになると参加者は減少しているようだ。 こうした流れは2013年11月から14年2月にかけてのキエフにおけるネオコン主導のクーデター、14年9月から12月にかけての香港における「佔領行動(雨傘運動)」と呼ばれた反中国運動と似ている。香港の反政府行動は背後にアメリカのCIAやイギリスのMI6がいて、方励之、柴玲、吾爾開希を含む行動のリーダーたちは抗議活動が沈静化した後、米英情報機関が作ったイエローバード(黄雀行動)と呼ばれる逃走作戦によって国外へ脱出している。 イランで行われている反政府デモはイスラエルによるイランの体制転覆計画と結びついている可能性が高い。昨年6月13日にイスラエル軍はイランをミサイルとドローンで攻撃した際、イランの防空システムが作動せず、イランのモハンマド・バゲリ参謀総長やIRGC(革命防衛隊)のホセイン・サラミ司令官を含む軍幹部、さらに少なからぬ核科学者が殺害された。サイバー攻撃があったとも言われている。 攻撃開始から8時間から10時間でイランの防空システムは回復、反撃が始まり、イスラエルの都市がドローンやミサイルで破壊された。イスラエルはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツといった国々から兵器を供給され、情報を提供されていたが、イランを屈服させることはできなかった。 イスラエルはイランの体制を転覆させられなかっただけでなく、自国が大きなダメージを受けた。イスラエルの情報機関モサドの司令部や軍情報部アマンの施設、イスラエルの核開発計画でも中心的な役割を果たしてきたワイツマン研究所も破壊されている。 イスラエルやアメリカなどのミサイル保有数から考え、イランが攻撃を続けたならイスラエルやアメリカは対応できず、敗北したと見られていたが、イランは攻撃を続けなかった。イスラエルやアメリカが攻撃をやめたからだ。イスラムの教えに従ったと言われている。 しかも、イランはこの6カ月の間に弾道ミサイルの生産を増強し、ロシアや中国との軍事・情報協力の強化によって戦争の準備を進めてきたと言われている。トランプ大統領の甘言も通用しないだろう。 かつてイギリスはイランを支配、石油が生み出す富を盗んで帝国を維持していた。フランクリン・ルーズベルト大統領は1941年8月、アメリカが参戦する条件として「植民地の主権回復」をウィンストン・チャーチルに認めさせている。ドイツが降伏する前月にルーズベルトは急死するが、大戦後にそれが問題になる。 1951年にイランでは首相に選ばれたモハンマド・モサデグはイギリスの石油会社AIOC(アングロ・イラニアン石油)の国有化へ向かう。筆頭株主がイギリス政府であるAIOCはイギリスを支えていた会社に他ならない。1950年だけでこの会社が計上した利益は1億7000万ポンドに達していたが、そのうち1億ポンドをイギリスがとっていた。1945年から50年にかけて2億5000万ドルの利益を石油は生み出しているが、その大半をイギリスの巨大資本と王族が独占していた。(Daniel Yergin, "The Prize", Simon & Schuster1991) イギリスの圧力で1952年7月にモサデグは辞任、アーマド・カバム・サルタネーが首相になるのだが、庶民の怒りを買うことになり、5日間で職を辞してしまい、再びモサデグが首相になった。 AIOCには独自の情報機関CIBがあったのだが、そのCIBは親イギリス派だけでなくツデー党(コミュニスト)も支援してモサデグ政権を揺さぶるのだが、その一方でアメリカがイランの利権を手に入れようと暗躍していた。モサデグ政権を独力で倒す力がないイギリスもアメリカのアレン・ダレスに接近する。ダレスは当時「民間人」だったが、アメリカの情報機関を動かしていた。アメリカの情報機関でこの件を担当したのはカーミット・ルーズベルト(シオドア・ルーズベルト第26代米国大統領の孫)だ。 1953年1月にアメリカ大統領となったドワイト・アイゼンハワーはイランでの工作を承認する。アレン・ダレスはこの年の2月からCIA長官を務めるが、その兄であるジョン・フォスター・ダレスは国務長官に就任した。ふたりともウォール街の弁護士だった。そしてアメリカとイギリスは共同で秘密工作をスタートさせ、モサデグ派と見られていたイランの主要な将軍は殺害、反政府勢力を摘発していた警察庁長官のマームード・アフシャルタス将軍が1953年4月に拉致され、数日後に酷い損傷を受けた死体となってテヘランの道端で発見された。 そして同年6月、ジョン・フォスター・ダレス国務長官はモサデグ政権を転覆させる準備の許可を弟のアレン、そしてCIAで中東地域の工作を指揮していたカーミット・ルーズベルトに出している。モサデクを倒す目的で「エイジャクス(アイアース:トロイ戦争の英雄)作戦」が練り上げられたのはこの頃だ。7月にカーミット・ルーズベルトは「ジェームズ・ロックリッジ」の名前でイラクからイランへ入り、山間部の隠れ家から作戦を指揮しはじめる。 イランでモサデグを支持するデモが始まると、アメリカのロイ・ヘンダーソン大使が抗議、デモは中止させられた。その間、反モサデグ派は街に出てモサデグ支持の新聞社や政党、政府施設などを襲撃し、CIAのエージェントがテヘラン・ラジオを制圧して偽情報を流した。結局、最後はモサデグがクーデターの鎮圧を放棄してアメリカとイギリスはイランを植民地化することに成功した。 モサデグ政権を倒してイギリスは石油利権を守ることに成功したものの、その代償としてアメリカの巨大石油企業をイランへ引き込むことになった。AIOCはクーデターの翌年、1954年に社名をBPへ変更、カーミット・ルーズベルトは1958年にCIAを離れ、ガルフ石油の社長に就任している。 このクーデター以降、アメリカとイギリスはイランの石油で大儲けするのだが、そのシステムは1979年2月にイスラム革命で終わった。その革命で誕生した現在の体制をアメリカとイスラエルは倒そうとしているわけだが、ロシアと中国は現体制を守ろうとするだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.12

ベネズエラの確認石油埋蔵量は世界最大だが、生産量は多くない。ウゴ・チャベスの死後、ニコラス・マドゥロ政権は石油関連のインフラを整備せず、スクラップとして処分されてしまった。熟練労働者が国外へ流出したことも大きいとされている。もしアメリカがイランを軍事攻撃し、イランがホルムズ海峡を封鎖して石油の供給量が激減した場合、ベネズエラの石油で代替できるということはない。 生産量を増やすためには労働者を育て、生産に必要なインフラを建設しなければならないが、そのためには多額の資金が必要だ。1日当たり100万バレルの増産するためには約1000億ドルを要するとも試算されている。アメリカの企業が資金を負担できるとしても、建設にはそれなりの時間を要する。 ドナルド・トランプを信奉する人の中には、ベネズエラの石油をアメリカが押さえることで中国がダメージを受けるという人もいるが、そうしたことにはなりそうもない。少なからぬ人がそう考えているようだ。中国は石油を戦略的に備蓄している。 しかもマドゥロ大統領が誘拐された後もベネズエラ国内は平静を保っている。トランプ米大統領がベネズエラを「経営」することはできそうになく、石油の利権を奪うことは難しそうだ。アメリカ軍がベネズエラへ軍事侵攻した場合、戦争は泥沼化し、アメリカ自体が崩壊する可能性もある。 アメリカ政府に対し、ベネズエラへの軍事侵攻するように求めていたノーベル平和賞受賞者のマリア・コロナ・マチャドやマルコ・ルビオ国務長官はマドゥロ誘拐後、落胆していたようだ。マドゥロ政権がそのまま崩壊し、トランプがマチャドをベネズエラの大統領に据えるとでも思っていたのかもしれない。 トランプ米大統領はマドゥロ大統領を麻薬取引の元締めであるかの如く宣伝していたが、その根拠は示されていない。ベネズエラはラテン・アメリカの中で麻薬取引と関係の少ない国だ。コカインの密輸ルートのひとつは、コロンビアからホンジュラスなどを経由するもので、ホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス元大統領は巨大な麻薬組織の中心的な存在だとされ、アメリカで懲役45年の判決を受けて服役していた。トランプ大統領はそのエルナンデスを昨年12月に恩赦、すでに釈放されている。 ラテン・アメリカで生産されるコカインのアメリカへの密輸が急増するのは、CIAがニカラグアで反革命ゲリラ「コントラ」を支援するようになってからだが、その前にはベトナム戦争における秘密工作に絡み、東南アジア(黄金の三角地帯)でケシを栽培、ヘロインを生産していた。アフガン戦争の際にはパキスタンからアフガニスタンにかけての地域でケシが栽培され、ヘロインが生産されていた。タリバーンの統治が始まるとアフガニスタン地域におけるヘロインの生産が急減した。 ニカラグアのソモサ体制をサンディニスタが倒したのは1979年。その後にコカインの流通量が急増したのだが、イギリスのオブザーバー紙によると、チリの独裁者オーグスト・ピノチェトの側近たちも関係していた。ヘンリー・キッシンジャーの指示に従い、ピノチェトは1973年9月11日にサルバドール・アジェンデ政権を軍事クーデターで倒し、新自由主義を導入している。 CIAとコントラが麻薬取引に関係しているとする話を最初に伝えたのはAPの記者だったロバート・パリーとブライアン・バーガー。ふたりは取材を通じ、マイアミのエビ輸入会社「オーシャン・ハンター」がコカイン取引に関係している疑いを持つ。コスタリカの姉妹会社「プンタレナス冷凍」から運ばれてくる冷凍エビの中にコカインが隠されているという噂を耳にしたのだ。この噂が事実だということは、後にアメリカ上院外交委員会の調査で明らかにされた。 その後、サンノゼ・マーキュリー紙のゲーリー・ウェッブ記者の書いたコカインとコントラを明らかにする連載記事『闇の同盟』が1996年8月に掲載された。 当初、有力メディアはこの記事を無視していたが、公民権運動の指導者やカリフォルニア州選出の議員はCIA長官だったジョン・ドッチに調査を要求し始めると状況は一変。ウェッブを誹謗中傷しはじめた。 コカインが蔓延していたロサンゼルスではジャーナリストや研究者だけでなく、警察官もCIAと麻薬との関係を疑っていた。1980年代になるとロサンゼルス市警は麻薬取引の中心人物を逮捕するために特捜隊を編成、87年に解散した。その直後からアメリカの司法省は麻薬業者ではなく警察官を調べはじめ、その警察官は1990年頃、税務スキャンダルで警察を追放されてしまう。CIAの存在に気づいていた特捜隊の隊員は目障りだったのだろう。 CIAとコカイン取引の関係を疑う声は広がり、ドッチ長官は内部調査の実施を約束せざるをえなくなる。そして1998年1月と10月、2度に分けて公表された。CIA監察室長による報告書、いわゆる『IGレポート』である。内部調査だという限界はあるが、10月に出た『第2巻』では、CIA自身がコントラとコカインとの関係を認めた。 APの記事はアメリカの議会を動かすことになり、上院外交委員会の『テロリズム・麻薬・国際的工作小委員会(ジョン・ケリー委員長)』が1986年4月、麻薬取引に関する調査を開始。1989年12月に公表された同委員会の報告書でもコントラと麻薬業者との深い関係が明確に指摘されていた。 要するに、トランプ政権がマドゥロ大統領を誘拐する口実にした「麻薬取引」の話はナンセンスだ。しかもマルコ・ルビオと麻薬取引の話も指摘されている。 マルコの姉が結婚した相手のオーランド・セシリアは1983年にペット・ショップで働き始め、マルコもそこで雑用を任されたが、1987年に麻薬取引の容疑で逮捕された。ルビオが16歳の時の出来事だ。そのペット・ショップは麻薬業者のフロント企業で、セシリアは1989年に懲役35年の判決を受けている。コカインの売買はCIAのキューバ侵攻作戦に参加していた亡命キューバ人が中心になっていた。 その侵攻作戦は1961年4月にアメリカのB爆撃機がキューバの航空機部隊を空爆するところから始まる。その2日後に1543名の部隊がピッグス湾(プラヤ・ギロン)への上陸を試みた。この部隊の主力はグアテマラの秘密基地でCIAの訓練を受けた亡命キューバ人で、戦車、大砲、対戦車砲、自動小銃数千丁などとともに5隻の商船に乗り込んでグアテマラを出航、途中でニカラグアから来たCIAの改造上陸艦2隻と合流している。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Citadel Press, 1996) しかし、この作戦に関する情報は事前に漏れていた。ルシアン・バンデンブロックがプリンストン大学で発見した記録によると、アレン・ダレスは作戦が成功する可能性が小さいことを理解、アメリカ軍をキューバへ軍事侵攻させようと目論んでいた。(Lucien S. Vandenbroucke, "The 'Confessions' of Allen Dulles: New Evidence on the Bay of Pigs," Fall 1984) 侵攻部隊の敗北が明らかになると、チャールズ・キャベルCIA副長官は航空母艦からアメリカ軍の戦闘機を出撃させようと大統領に進言したが、アメリカ軍が前面に出た侵攻作戦の要求は却下された。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Citadel Press, 1996) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授(経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子)によると、1961年7月、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長、SAC(戦略空軍)のカーティス・ルメイ司令官、あるいはアレン・ダレスCIA長官などは大統領に就任して半年のケネディ大統領に対し、先制核攻撃計画について説明している。1963年の後半にはソ連を先制核攻撃する計画になっていたという。その頃になれば、先制攻撃に必要なICBMを準備できると信じていたのだが、ケネディは承認しない。そのケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.11

ロシア軍は1月8日から9日にかけて、マッハ10を超えるスピードで飛行するウクライナを中距離弾道ミサイル「オレシニク」でウクライナの西部にあるリビウの地下ガス貯蔵施設を攻撃したようだ。その貯蔵容量は170億5000万立方メートルで、ウクライナで貯蔵されている全容量の50%以上に相当するという。12月28日から29日にかけてウクライナ軍が91機のドローンでノブゴロド州にあるロシア大統領の公邸を攻撃したことに対する報復だとされている。 西側諸国ではウクライナ軍によるロシア大統領公邸に対する攻撃を否定、捏造だとする声もあがっていたが、GRU(ロシア軍参謀本部情報総局)のイゴール・コスチュコフ長官はドローンの残骸から回収したマイクロチップをモスクワ駐在アメリカ大使館の武官へ引き渡している。その後、アメリカ政府からマイクロチップに関するコメントがなく、本物だったと推測できる。NATO/ウクライナ軍がロシア大統領の公邸を狙ったことは間違いないだろう。 オレシュニクが初めて使われたのは2024年11月21日。ドニプロにあるロケットや人工衛星を製造するユージュマシュ工場を攻撃したが、その後は使用されていなかったようだ。NATOとの全面戦争を想定、保有数を増やしているとも言われていた。2024年11月の攻撃は、その2日前にNATO/ウクライナ軍がアメリカ製ATACMSでロシア深奥部を攻撃したことへの報復だとも言われた。 ロシア軍は1月6日、ドニェプロペトロフスクにあるアメリカン・バンジ社のオレイナ石油採掘工場、トランスカルパチアにあるフレックスの工場、オデッサの海洋ターミナルに対する攻撃を実施した。パトリオット防空システムで守られたターミナルの爆発は協力で、巨大なキノコ雲が発生したとされている。NATO兵器が保管されていた可能性が高い。 そして1月7日、アメリカの沿岸警備隊の巡視船はスコットランド北西の公海上でロシア船籍のタンカー「マリネラ(ベラ1)」を拿捕した。このタンカーの乗組員はロシア人2名、ウクライナ人17名、ジョージア人3名、インド人3名。その攻撃に対してロシア外務省は深刻な懸念を表明したが、ロシア外務省によると、アメリカ政府はロシア人2名を解放した。これはロシア政府の要請に応えてのことだという。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウクライナの戦況は日々ロシア軍が優勢になっている。戦争を継続しようと必死なEU諸国のエリートはアメリカを引き込み、ロシアと戦わせようとしているが、そうなってもロシアを通常の戦闘で打ち負かすことはできそうにない。そこで始められたのがテロ攻撃だ。 アメリカSO(OSSの一部門)とイギリスSOEは1944年にレジスタンスを抑え込むためにゲリラ戦部隊のジェドバラを編成、大戦後にはそれを核にしてアメリカやNATOの内部に破壊工作部隊を作った。大戦後、この部隊を基盤にして秘密部隊のネットワークが組織される。そのネットワークの中で最も活発に活動したグラディオはレジスタンス人気が高かったイタリアの組織。NATOが誕生するとネットワークはその中へ入り込み、1951年からCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。1957年にはCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設された。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) グラディオは1960年代から80年代にかけての時期、極左集団を装って爆弾テロを繰り返し、社会的な緊張を高めて治安体制を強化した。いわゆる「緊張戦略」だ。このテロ攻撃には西側の情報機関が協力している。人びとは恐怖から軍事予算の増大を容認するようになり、治安システムの強化も受けれるようになった。「安全と安心」の代償として主権は放棄され、福祉はなおざりにされる。結果として社会的な弱者は基本的権利を奪われ、集会、結社、言論の自由は保障されなくなった。 NATOの秘密部隊ネットワークは極秘にされていたが、1972年2月に子どもがイタリア北東部の森に設置していた兵器庫を偶然発見する。それから1週間後にはイタリアの準軍事警察であるカラビニエッリの捜査官が近くで別の複数の武器や弾薬の保管庫を発見、その中にはC4と呼ばれるプラスチック爆弾も含まれていた。 武器庫が発見された翌月、不審な自動車をカラビニエッリの捜査官が調べはじめたところ爆発して3名が死亡、その2日後に匿名の電話が警察にあり、「赤い旅団の犯行だ」と告げる。その主張が正しいかどうか不明だったが、多くの人はこの情報を信じた。1978年3月にアルド・モロ元首相が誘拐されるが、その犯人とされたのがトレント大学の学生が組織した左翼グループ、赤い旅団だ。 誘拐される日、モロは「歴史的妥協案」に関する書類をスーツケースに入れて国会へ向かった。コミュニストの入閣を決意していたという。その途中、モロのリムジンが交差点に近づいた時に外交官ナンバーをつけたフィアットが進路を妨害、リムジンは急停車を強いられる。 フィアットから降りた2名と道路で待ちかまえていたアリタリア航空のパイロットの制服を着た4名が銃撃を開始、5名の護衛を殺害した。襲撃グループは合計91発の銃弾を発射しているのに対し、護衛側は2発を撃ち返すのがやっとだった。その際、モロは無傷だ。モロの死体が発見されたのはその2カ月後のことである。(Daniele Ganser, "NATO's Secret Armies, Frank Cass, 2005) 学生のグループにできることではなく、しかも赤い旅団を創設したリーダーであるレナト・クルチオやアルベルト・フランチェスキーニは1974年9月に逮捕されて刑務所の中だった。(Philip Willan, "Puppetmasters", Constable, 1991)CIAとグラディオの連絡役だったオズワルド・ル・ウィンターによると、赤い旅団は西側の情報機関に深く潜入されていたという。 1972年2月にペテアノ近くの森で兵器庫が発見されたものの、途中で捜査は中断する。それを知ったフェリチェ・カッソン判事が捜査の再開を決めたのは1984年のこと。そしてジュリオ・アンドレオッチ首相はグラディオの存在を否定できなくなり、1990年10月に「いわゆる『パラレルSID』グラディオ事件」というタイトルの報告書を公表した。 アンドレオッティ内閣の報告書によると、グラディオが正式な組織に昇格したのは1956年。幹部はイギリスの情報機関で訓練を受け、軍事行動に必要な武器弾薬は139カ所の保管場所に隠されていた。そのひとつが偶然、見つかってしまったわけだ。秘密工作を実行するのは独立した部隊で、それらを統括していたのはサルディニア島のCIA。 イタリアで報告書が公表された月にギリシャのアンドレア・パパンドレウ元首相もNATOの秘密部隊が自国にも存在したことを確認、ドイツでは秘密部隊にナチスの親衛隊に所属していた人間が参加していることも判明した。そのほかの国でも秘密部隊の存在が認められている。 この秘密部隊のネットワークはヨーロッパでコミュニスト、あるいはコミュニストを容認する勢力が拡大することを防ぐために活動してきたが、その中にはナチの人脈が含まれている。このネットワークがクーデター後のウクライナをコントロールしてきたとも言える。 もしソ連が侵攻してきた場合はゲリラ戦を展開することになっていたようだが、現在、ウクライナで行われている戦争でロシアの勝利が確定したなら、テロ活動を展開することになるだろう。すでにCIAやMI6はそうした活動を始めている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.10
アメリカの沿岸警備隊に所属する巡視船は1月7日、スコットランド北西の公海上でロシア船籍のタンカー「マリネラ(ベラ1)」を拿捕した。イギリスの協力を受けていたとされている。ドナルド・トランプ政権が行なっているベネズエラ制圧作戦の一環であり、ウラジミル・プーチン政権への挑発にほかならない。 1991年12月にソ連が消滅、ボリス・エリツィンが西側支配層の代理人としてロシアを支配していた時代に米英を中心とする西側諸国はロシアを食い物にし、ロシア国民の大半は貧困化した。その当時、石油をはじめとする資源や穀倉地帯を奪おうとしている。 エリツィン政権を支える顧問のひとりに就任したミハイル・ホドルコフスキーは1995年にユーコスという石油会社を買収した上で中小の石油会社を呑み込む一方、モスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしたものの、プーチン露大統領に阻止された。2003年10月、ホドルコフスキーはノボシビルスクの空港で横領と税金詐欺の容疑で逮捕されている。プーチンの動きが遅れれば、ロシアのエネルギー資源は米英の巨大資本に奪われ、同国は彼らの植民地になっていたことだろう。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015) そのホドルコフスキーが2024年5月22日、ユーコスの「保護者」はイギリスの富豪、ジェイコブ・ロスチャイルドだったと語っている。「保護者」とは、誰かが旧所有者に圧力をかけていると思われる場合、支配権を新たな所有者に譲渡する決定を下す人物だという。そのロスチャイルドは2024年2月26日に死亡、息子のナットが引き継いだ。 ところで、2004年の大統領選挙では11月の投票でビクトル・ヤヌコビッチが勝利したのだが、その結果を嫌った西側諸国が介入、再選挙を強制した。そのために西側諸国は「オレンジ革命」を仕掛け、銀行出身でIMF(国際通貨基金)と関係の強いビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。 しかし、ユシチェンコが進めた新自由主義的な政策は外国資本や一部のウクライナ人を富ませる一方、大半の国民を貧困化させ、貧富の差は拡大。彼の人気は急速に低下、2010年の選挙ではヤヌコビッチが勝利した。そこでバラク・オバマ政権は2013年11月から14年4月にかけてヤヌコビッチを排除するため、ネオ・ナチを使ったクーデターを実行、東部のドンバスでは反クーデター軍が編成され、内戦が始まった。 その内戦は反クーデター軍が優勢で、アメリカをはじめとする西側諸国は「停戦」を提案、ロシア政府は受け入れた。2014年9月のミンスク1と15年2月のミンスク2だ。この「停戦」はキエフ政権の戦力を増強するための時間稼ぎだったとアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 NATOを後ろ盾とするキエフ軍は2022年に入ると反クーデター派の住民が住む地域に対する砲撃を激化させるが、その後回収された文書から、ドンバスに対する大規模な軍事攻勢を計画していたことが判明している。その攻勢が始まる直前の2月、ロシア軍はウクライナに対するミサイル攻撃を開始した。 当初、ロシア軍の兵力はウクライナ軍よりも少なかったが、戦況は一貫してロシアが優勢。その後、NATOの介入が強まるものの、ロシア軍の戦力増強はNATOを圧倒している。欧米諸国はロシアやウクライナの資源を奪うどころか軍事的に敗北、ヨーロッパ経済は崩壊している。しかもアメリカはウクライナの戦争から離れ始めた。中東ではイスラエルがイランの体制を転覆させることに失敗、単独でイランと戦えば敗北必至。中東の石油をイスラエルが支配するという「大イスラエル構想」を実現することが難しくなっている。 ロシアや中東のエネルギー資源を奪うことが難しくなった西側諸国がベネズエラに目を向けても不思議ではない。ウゴ・チャベス後のベネズエラは石油関連のインフラを整備せず、社会制度の改善も進めず、アメリカの脅威に対する軍事的な備えもできていない。そうした状況を作り出したのがニコラス・マドゥロ政権だということは否定できない。 アメリカやイギリスは海賊行為を働いたわけだが、アングロ・サクソンは海賊行為で富を築いた。15世紀から17世紀にかけての「大航海」時代、スペインやポルトガルはアメリカ大陸を侵略している。1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼした。 莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、ヨーロッパの侵略者は先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。 奪った富を運ぶスペインやポルトガルの船を海賊に襲わせていたのがイギリスにほかならない。エリザベス1世の時代、海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていたが、名の知られた海賊にはジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーなどがいる。 ホーキンスは西アフリカでポルトガル船を襲って金や象牙などを盗む一方、人身売買のために拘束されていた黒人を拉致、その商品や黒人を西インド諸島で売り、金、真珠、エメラルドなどを手に入れている。こうした海賊行為をエリザベス1世は評価、ナイトの爵位をホーキンスに与えている。 ドレイクは中央アメリカからスペインへ向かう交易船を襲撃して財宝を奪い、イギリスへ戻るが、ホーキンスと同じように英雄として扱われた。女王はそのドレイクをアイルランドへ派遣して占領を助けさせているが、その際、ラスラン島で住民を虐殺したことが知られている。その後も海賊行為を働いたドレイクもナイトになっている。 ローリーはアイルランドの住民が侵略者に対して立ち上がったデスモンドの反乱を鎮圧するため、アイルランドにも派遣された。ローリーも後にナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) エリザベス1世の次にイングランド王となったジェームズ1世(スコットランド王ジェームズ6世)はアングロ・サクソンをユダヤ人の「失われた十支族」の後継者だと信じ、自分はイスラエルの王だと信じていたと言われている。 その息子であるチャールズ1世が処刑されたピューリタン革命を率いた人物はオリバー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーもジェームズ1世と同じように考え、1649年に作成されたパンフレット『王国の権利』の中でイギリス人はイスラエルの失われた部族のひとつであり、ユダヤ人と同族であると主張している。 クロムウェルと同じように考えていたようで、彼の聖書解釈によると世界に散ったユダヤ人はパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建することになっていた。 この解釈に基づいて彼は政権を樹立し、1656年のユダヤ人のイングランド定住禁止令を解除、パレスチナにイスラエル国家を建国することを宣言した。海賊の国だったイングランドでビジネスを育てるためだったともいう。 これがシオニズムの始まりだが、ピューリタン体制が倒されるとシオニズムは放棄され、クロムウェルを支持する人びとの一部はアメリカへ亡命、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンらはその後継者だと主張したという。その北アメリカで先住民は「民族浄化」された。同じことをイギリスは中東で始めた。そのために中東で建国させたのがサウジアラビアとイスラエルだ。 アングロ・サクソン系のイギリスとアメリカはここにきて海賊としての本性を現している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.09

現在のヨーロッパはロシアとの戦争に執着している人に率いられている。その代表的な存在が欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエンや元エストニア首相のカヤ・カラス外務安全保障政策上級代表(外相)だが、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相や元外相のアンナレーナ・ベアボック国連総会議長もロシア嫌いとして知られている。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)のパンデミック騒動の際、フォン・デア・ライエンはファイザー社のアルバート・ブーラCEOと個人的に書簡を交わし、EU向けの350億ユーロという「COVID-19ワクチン」の供給契約締結に繋げているが、その契約に不正があると追及されたのだが、逃げることに成功している。強力な防御システムが機能したようだ。この薬物は2027年まで購入される予定だったが、パンデミック騒動が終了した後に需要がなくなり、期限切れのワクチンが数十万回分廃棄されている。 フォン・デア・ライエンの一族は貴族の家系で、ヒトラーの第三帝国との緊密な協力関係から工業的富の多くを獲得したと言われている。彼女の父エルンスト・アルブレヒトは1930年生まれで、78年から90年までドイツのニーダーザクセン州で首相を務めている。その際、ナチズムの信奉者を政権に迎え入れ、左翼赤軍派の信用を失墜させることを目的とした黒旗テロ作戦を実行した。 エルンストは選挙戦略のため、ネオ・ナチのDRP(ドイツ帝国党)をCDU(キリスト教民主同盟)に取り込み、ハンス・プフォーゲルを法務大臣に据えるのだが、この人物は1934年にナチ党の突撃隊に入隊していた。 フォン・デア・ライエンの一族はナチだけでなく奴隷売買でも富を築いたが、こうした富や人脈が彼女の出世を支えている。アンゲラ・メルケル首相は2005年に教育家族高齢者女性青少年大臣に、また09年には労働社会大臣に据えた。そして2013年には国防大臣となり、好戦的な政策を推し進める。欧州委員会の委員長に就任したのは2019年のことだ。 カヤ・カラスは1977年、ソ連時代のエストニアで裕福な家庭に生まれた。彼女の父であるシーム・カラスは大学院を終えるとすぐにエストニア財務省の一般職員として採用され、4年でソ連貯蓄銀行のエストニア支店長に就任した。かなり優遇されている。生活の恐ろしさについて嘆くような生活ではなかった。 カラスの祖父は1920年代から30年代にかけての時期、エストニア警察と民族主義の民兵組織を創設した指導者のひとりで、コミュニストに対する弾圧を行っていた。カヤ・カラスの母親は1949年、両親と共にクラスノヤルスへ送られているが、父親はエストニアにおけるナチスの軍事組織「オマカイツェ」のメンバーだったという。 また、メルツは巨大金融機関ブラックロックの元監査役で、彼の祖父はナチの突撃隊員。バーボックの祖父はドイツ軍の将校で、1944年には第三帝国最高位の軍事勲章のひとつとされる剣付戦功十字章を授与されている。ビルト紙によると、軍歴記録には、彼が「無条件の国家社会主義者」であり、アドルフ・ヒトラーの著書『我が闘争』を読み、「完全に国家社会主義に根ざした」人物であるされている。 また、昨年10月からイギリスの対外情報機関SIS(MI6)の長官を務めているブレイズ・メトレウェリの場合、彼女の父方の祖父にあたるコンスタンチン・ドブロボルスキーはソ連の赤軍から脱走、ドイツ占領下のウクライナでナチス親衛隊の戦車部隊へ入っている。その後、コンスタンチンは憲兵隊へ入るが、その際、反ナチスの抵抗運動に参加していた数百人のウクライナ人を処刑したと自慢、「虐殺者」と呼ばれていたと伝えられている。 ヨーロッパのエリート層にはナチス人脈があることがわかる。ウォール街人脈やローマ教皇庁はナチの高官や協力者を南北アメリカへ逃すラットラインを組織、1945年から59年にかけてドイツから科学者や技術者をアメリカで雇う「ペーパークリップ作戦」、1948年からはアメリカの国務省が「ブラッドストーン作戦」を始めている。 欧米のエリートは突如ナチを支援し始めたわけではない。ナチの戦争犯罪を研究しているアメリカン大学のクリストファー・シンプソンによると、1920年代後半にアメリカからドイツへ融資という形で多額の資金が流れている。 アメリカ商務省の統計を見ても、アドルフ・ヒトラーが権力を握ってからアメリカの対ドイツ投資額が急増。ヨーロッパ大陸全域でアメリカの投資額が激減している中、1929年から40年の間に約48.5%増えている。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995) アメリカからドイツへ資金を送る上で中心的な役割を果たした金融機関にはディロン・リードとブラウン・ブラザーズ・ハリマンがある。ディロン・リードの融資先はドイツ銀行、ジーメンス、そしてフリードリヒ・フリックなどに集中していた。 ジョージ・H・W・ブッシュの父親であるプレスコット・ブッシュやW・アベレル・ハリマンが経営していたユニオン・バンキングはナチへ資金を送るための金融機関で、その背後にはハリマン一族のほかジョージ・ハーバート・ウォーカーがいた。当時からプレスコットはアレン・ダレスと親しかったとされている。 ウォーカーの娘であるドロシーとプレスコットは1921年に結婚、24年にウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任している。ユニオン・バンキングが創設されたのも1924年だ。なお、プレスコットは1931年にブラウン・ブラザース・ハリマンの共同経営者になっている。 ドイツの鉄鋼トラスト、合同製鋼の会長を務めた実業家で、ナチ党を支援していたものの、1930年代後半からナチを批判するようになったフリッツ・ティッセンは1941年、『私はヒトラーに支払った』という本を表している。 それによると、ヒトラーの祖母はウィーンの家族に召使として雇われていたのだが、その際に妊娠、故国へ戻ってヒトラーの父親を産んだという。祖母が働いていたのはロスチャイルド男爵の家にほかならないとされている。 この記述が正確なのかどうかは不明だが、西側の「民主主義体制」にはナチズムのネットワークが張り巡らされているとは言えるだろう。それた「価値観」だ。ウクライナをネオ・ナチが動かしている必然性がここにある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.08

世界有数の富豪、ナット・ロスチャイルドは1月3日にベネズエラでの出来事について、「よくやった、ドナルド・J・トランプ」とX(Twitterから名称変更)に書き込んだ。 この日、アメリカ軍の特殊部隊デルタ・フォースがベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を誘拐したのだが、政権が崩壊してマリア・コロナ・マチャドが大統領に就任するようには見えない。 マチャドは昨年11月、マイアミで開かれたアメリカ・ビジネス・フォーラムのイベントにリモートで登場、ベネズエラからマドゥロ大統領を排除すれば、1兆7000億ドルの投資機会がアメリカの巨大企業へもたらされると主張していたが、現状では同国の石油をアメリカが支配できそうにない。 アメリカを含むNATO諸国は2013年11月から14年2月にかけてキエフでのクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功したものの、その結果としてヨーロッパ諸国は安価な天然ガスの供給源、そして製品を売るマーケットを失い、経済は破綻した。短期間のうちにロシアとの戦争で勝利し、同国の石油利権を奪うという皮算用をしていたのだろうが、ウクライナでの戦争で彼らはロシアに敗れた。そうした状況の欧米諸国にとってベネズエラの石油は魅力的なはずだ。 アメリカ政府が11月16日に空母ジェラルド・R・フォードを含む艦船をカリブ海へ派遣し、閉鎖されていたプエルトリコの海軍基地を修復して使えるようにした当時はベネズエラの石油を奪おうとしていたのかもしれないが、艦隊がカリブ海へ入る前、10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラに飛来、ベネズエラ沖にロシアの艦船が配置されて状況は変わった。 11月上旬にはアメリカ軍は2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行させたが、この時、爆撃機は陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ引き返している。ベネズエラは中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備したとされている。アメリカ軍は身動きが取れない状況になったが、1月3日にアメリカ軍が誘拐作戦を実行した際、こうした防空システムは機能しなかった。 また、マドゥロ大統領は1月2日遅くに中国のラテン・アメリカ担当特別代表の邱小琪と会談、中国とベネズエラの戦略的関係を再確認していたとされているが、マリオットホテルに泊まっていたCNP(中国石油天然気集団)幹部のリー・ウェイをその前にベネズエラの情報機関が拘束し、連行したとする未確認情報があるが、あくまでも未確認であり、事実でない可能性もある。 その一方、マドゥロは元CIA工作員だとする情報も流れている。1月3日の作戦は彼を救出することが目的だったというのだ。マドゥロはベネズエラをアメリカから独立させたウゴ・チャベスが大統領だった時代の副大統領ではあるが、少なくとも途中から「同志」とは言えなかったと言われている。つまり、今でもベネズエラの多数派であるチャベス支持者とマドゥロとの関係は微妙だった。 本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、世界の麻薬取引を仕切っているのはCIAであり、コカインはラテン・アメリカから北アメリカやヨーロッパへ流れている。おそらくフリードリヒ・メルツ独首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、そしてハンター・バイデンも顧客だが、ベネズエラは主な流通ルートには含まれていない。「ロス・ソレスカルテル」などは存在しない。大半はコロンビアから中央アメリカを経由してマーケットへ運ばれる。 マドゥロ大統領の下、ベネズエラでは石油インフラが再建されず、物価の上昇は深刻で、食料の確保も困難な状態になっていた。しかも彼は経済の私有化を進めて経済格差を拡大させ、カジノを設立している。その結果、チャベス支持者との関係は悪化していく。そのチャベス支持者は革命指導者ホルヘ・アントニオ・ロドリゲスの娘、デルシー・ロドリゲスを支持しているようだ。彼女はチャベスに信頼されていたという。 真相は不明だが、1月3日の誘拐事件は奇妙な印象を拭えない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.07
アメリカ軍の特殊部隊デルタフォースが1月3日にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を誘拐した。夫妻を警護していたキューバの治安関係者32名が殺害されたとされているが、作戦にしようされたヘリコプターは自由に飛行している。ベネズエラ側の防空システムが機能していない。2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した際、CIAはイラクの将軍たちに賄賂を贈り、操っていたと言われているが、今回も似たようなことをしたのか、あるいはイランが攻撃された時のようにサイバー攻撃があったのか、別の理由があったのかは不明だ。 今回のアメリカ政府による誘拐作戦は、合法的に選ばれた正当な大統領に対するものであり、「自由、民主主義、法の支配」を否定し、「国際法と国連憲章の原則」を愚弄する行為だ。この作戦を非難できない人物は誘拐作戦の犯人と同じ「価値観」の持ち主、つまり「自由、民主主義、法の支配」を否定し、「国際法と国連憲章の原則」を愚弄する人物だということを意味する。そうした人物は犯人と協議、連携し、情勢を「注視」するしかないのだろう。 クーデターが試みられたという見方もあるが、ロドリゲス副大統領が大統領代理に就任、とりあえずカラカスは安定している。マドゥロ政権の閣僚は健在で、クーデター政権が誕生するという事態にはなっていない。 そうした中、1月5日に「スコット・ルーカス・ファン」というAIで映像が作成されていると思われるチャンネルがYouTubeに登場、注目されている。内容の真偽は不明なのだが、内容が興味深い。 マドゥロ大統領は1月2日遅くに中国のラテン・アメリカ担当特別代表の邱小琪と会談、中国とベネズエラの戦略的関係を再確認していたとされているのだが、その前にマリオットホテルに泊まっていたCNP(中国石油天然気集団)幹部のリー・ウェイをベネズエラの情報機関が拘束、連行したという。その際、彼のノートパソコンも押収、リー・ウェイを警護していた元中国軍将校はテーザー中で撃たれ、拘束されたようだ。中国政府はこれを誘拐と呼び、最後通牒を突きつけたともされている。 デルタフォールによる大統領夫妻の誘拐にイスラエルが関与しているとする見方もある。アメリカのマージョリー・テイラー・グリーン下院議員はドナルド・トランプ大統領のベネズエラに対する軍事的な恫喝とイスラエルの関係を指摘、またベネズエラへの軍事侵攻を求めている反体制活動家でノーベル平和賞を受賞した、つまりアメリカ政府の手先であるマリア・コロナ・マチャドはイスラエルのハマスに対する姿勢を支持している。 マドゥロの前任者であるウゴ・チャベスはガザにおけるイスラエルのパレスチナ人虐殺を批判、2009年1月にはイスラエルとの外交関係を断絶している。チャベス大統領はイスラエルの行為を「ホロコースト」と呼び、「国際法の明白な違反」だと主張していた。 その当時、外務大臣を務めていたマドゥロはカラカスでパレスチナ自治政府の代表者と会談し、ベネズエラは2009年4月27日にパレスチナ国家の存在を正式に承認している。それから間もなくしてチャベスは癌に侵され、2013年3月5日に58歳で死亡した。 生前、チャベスはアメリカ政府が南アメリカの指導者を癌にしているのではないかと発言している。ブラジルのジルマ・ルセフ大統領、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ元大統領、そしてパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が相次いで癌になっていた。癌を誘発する物質やウイルスはあるので、不可能ではない。 マチャドは昨年11月5日から6日にかけてマイアミで開かれたアメリカ・ビジネス・フォーラムのイベントにリモートで登場、ベネズエラからニコラス・マドゥロ大統領を排除すれば、1兆7000億ドルの投資機会がアメリカの巨大企業へもたらされると主張していたが、現状から考えるとアメリカがベネズエラの石油を支配することは難しい。 ベネズエラの石油を支配できなければ、イランがホルムズ海峡を封鎖した場合、対処できない。アメリカがイランを攻撃することも難しいということだ。トランプ大統領はアメリカが「唯一の超大国」だというイメージを広め、主権国家として振る振舞わないようにと警告したつもりかもしれないが、醜態を晒しただけだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.07
ドナルド・トランプ大統領によると、今後、彼がベネズエラを経営し、アメリカ企業がベネズエラの石油を販売するのだという。アメリカ政府はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を誘拐したが、国自体を乗っ取ることには成功していないわけで、トランプの目論見が実現する可能性は大きくない。 アメリカ政府は自分たちが支配者だとラテン・アメリカの指導者たちに知らしめることが目的だったとする意見もあるが、トランプ政権のマドゥロ夫妻誘拐がベネズエラの石油や希土類元素を奪うことにあると考えている人は少なくない。確認石油埋蔵量が世界最大だというベネズエラを支配できれば、アメリカの支配層はそれを戦略的に使うことが可能。イスラエルや親イスラエル派がベネズエラへの軍事侵攻を支持している理由もそこにあるとする推測ある。 ノーベル平和賞受賞者のマリア・コロナ・マチャドはベネズエラへの軍事侵攻を求めると同時に、イスラエルのハマスを支持している。マージョリー・テイラー・グリーン下院議員も今回のベネズエラに対する軍事作戦とイスラエルの関係を指摘していた。 1月3日にアメリカ軍はベネズエラの首都カラカス周辺にある軍事基地や民間人の居住地域を空爆、特殊部隊がマドゥロ大統領夫妻を誘拐したとされている。その際、防空システムは機能していないようだ。その理由についてさまざまな推測が語られているが、イスラエルが昨年6月13日にイランを攻撃した際にもサイバー攻撃で10時間ほど防空システムが麻痺していた。 警護チームは何をしていたのかと言う人もいるが、ウラジミール・パドリノ・ロペス国防相によると、アメリカ軍が大統領を警護していた部隊の主要部分を殺害したとしている。ベネズエラの警察と軍の大半はアメリカの軍事介入に反対、トランプがベネズエラを経営することは困難だろう。 もしアメリカがベネズエラの石油を支配できれば、アメリカとイスラエルがイランを攻撃、ペルシャ湾からの石油供給が途絶えてもアメリカは対処できる。それに対して中国などはダメージを受けることになるだろう。 マドゥロ夫妻が誘拐された時、イランでは反政府デモが繰り広げられていた。2025年12月28日に通貨危機に対する商人による抗議活動として始まり、本格的な政治蜂起へと変化している。 その蜂起で逮捕された人の携帯電話には逮捕された際にどうするべきかを指示する動画が保存されていたのだが、その動画は「物価高騰に抗議し、政府に私たちの声を届けるために来た」と強調するようにアドバイス、外国人を強く侮辱するように指示している。外国とは無関係だと主張し、携帯電話の壁紙を革命防衛隊の特殊部隊を率いていたガーセム・ソレイマーニーか最高指導者のアリー・ハメネイの写真にするように指示している。 このデモはMEK(モジャヘディン・ハルク)が扇動したと言われている。この組織は1965年に設立され、79年のイスラム革命までコミュニストとみなされていたが、その後、カルト集団になり、アメリカやイスラエルの手先として活動するようになる。1981年に設立されたNCRI(イラン国民抵抗評議会)と緊密な関係にある。 2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権がイラクへ軍事侵攻した後にアメリカ政府はMEKをイラン攻撃の手先にすることを決め、2012年にはテロ組織の指定が取り消された。MEKを支持するアメリカ政界の有力者には、ネオコンのジョン・ボルトンも含まれている。 ソ連が総滅した際、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと確信、1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案として世界征服計画を作成した。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げ、西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないと宣言している。 21世紀に入るとロシアが再独立に成功するのだが、それでもネオコンはアメリカの支配者として、誰に配慮することもなく、好き勝手なことができると考えたようだ。 ジョージ・W・ブッシュはイラクを軍事侵略し、拷問を承認。刑事法制や捕虜の待遇に関する条約を無視するため、「敵戦闘員」なる用語を使い始め、バラク・オバマ政権は傭兵を使った軍事侵略を進めるだけでなく、国外にいるアメリカ人を殺害している。ジョー・バイデン政権はオバマの政策を引き継いだ。そしてトランプは公海上の漁船を空爆して乗っている人を殺害、そしてベネズエラを軍事攻撃し、その国の大統領夫妻を誘拐したのだ。 状況の変化に対応できず、ソ連の消滅で唯一の超大国になったアメリカは好き勝手に行動できるという思い込みからネオコンは抜け出せなくなっている。 アメリカがベネズエラの石油を支配できたなら、アメリカとイスラエルがイランを攻撃できる。ペルシャ湾からの石油供給が途絶えてもアメリカは対処できるからだが、その前提になるベネズエラの資源を支配することが難しい。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.06
アメリカの国務省は12月29日、ロシアへの渡航を避けると同時に、ロシア在住のアメリカ市民は直ちに出国するように勧告した。理由のひとつとしてテロ攻撃の危険性を上げている。アメリカの影響下にある武装集団によるテロ攻撃を予告しているのではないかと感じている人もいるようだ。 この勧告を見て2024年3月22日にモスクワのクロッカス・シティ・ホールで引き起こされた襲撃事件を思い出した人も少なくないだろう。この襲撃では、3月7日にアメリカの駐露大使館がモスクワでテロの可能性があるので、大きな集まりに参加しないようにとすると勧告していた。 140名以上が殺されたこの襲撃を実行したのはダーイッシュ-ホラサン(IS-KP、ISIS-K)だとされているが、アメリカやその同盟国によって使われている傭兵の集まりであり、イスラムとは無関係な武装集団だった。 アメリカの元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ロシア当局は襲撃現場で実行犯の携帯電話を回収、そこに記録されていたデータを利用して追跡した。ウクライナで実行グループと連絡を取り合い、逃走を支援していた共犯者も特定したという。 実行犯に居住場所や移動手段を提供していたモスクワの支援網関係で11名、今回のテロ事件のためにトルコで戦闘員を募集、訓練、兵站を準備するなどしていた40名も逮捕されたとされ、SBU(ウクライナ安全保障庁)のバシーリー・マリューク長官に関しても逮捕令状を発行できるだけの証拠があるとされている。SBUやGUR(国防情報総局)はアメリカのCIAやイギリスのMI6(SIS)の影響下にある組織。コンサート・ホールの襲撃は、こうした西側の情報機関が協力しなければ実行できなかった。 ウクライナ/NATOが置かれた状況は2024年3月当時より悪化、ロシア軍の進撃スピードは速まっている。欧州アフリカ米陸軍の司令官を務めた経験のあるベン・ホッジス退役中将はドイツのビルト紙に対し、ロシアが戦争に勝てないと思うまで戦争を続けると語っている。この軍人は有力メディアに登場し、ウクライナが勝っていると宣伝してきた。 ウクライナでロシアとの戦争を推進しているのはステパン・バンデラの信奉者。ナチズムの影響を受け、その象徴を利用していることからネオ・ナチとも呼ばれている。 ホッジスはロシアに勝てるという妄想から抜け出せなくなっているようだが、戦場でロシア軍に勝つことはできない。膠着状態にすることもできない。そこでミサイルやドローンを使い、民間施設を攻撃してきた。CIAは破壊活動や麻薬取引の手先としてサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主体とした傭兵、少数民族、犯罪組織、ネオ・ナチなどを利用してきた。 第2次世界大戦中、ウクライナにもナチと連携していた集団が存在していた。OUN(ウクライナ民族主義者機構)だ。指導者のイェブヘーン・コノバーレツィが1938年5月暗殺された後、アンドレイ・メルニクが引き継ぐのだが、新指導者は穏健すぎると反発するメンバーが向かった先にはステパン・バンデラがいた。そして誕生したのがOUN-Bだ。バンデラはイギリスの対外情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーがソ連情報を得るために雇う。 ドイツの敗北が決定的になっていた1943年春、OUN-BはUPA(ウクライナ反乱軍)として活動を開始、その年の11月には「反ボルシェビキ戦線」を設立した。摘発の対象になっていたはずのOUNやUPAの幹部だが、その半数近くがウクライナの地方警察やナチスの親衛隊、あるいはドイツを後ろ盾とする機関に雇われていたと考えられている。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 第2次世界大戦が勃発する直前、ウクライナにはヨーロッパで最大級のユダヤ人共同体が存在、その人数は約270万人に達していたと言われているのだが、1941年にドイツ軍がキエフを占領すると、ユダヤ人やロマを含む「望まざる者たち」約3万4000人がバビ・ヤール渓谷へ連行され、銃殺されている。大戦中、そこで殺された人数は最大10万人。この虐殺に現地のウクライナ人が協力したとも言われている。 その間、UPAは「民族浄化」に乗り出し、ユダヤ人やポーランド人の殺戮を始める。その方法は残虐で、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことさえしていたという。1943年から45年の間にOUN-BとUPAが殺したポーランド人は7万人から10万人と言われている(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 大戦後の1946年4月に反ボルシェビキ戦線はABN(反ボルシェビキ国家連合)になり、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)と一体化してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)の母体になった。 この頃、MI6は反ソ連組織の勢力拡大を図る。1947年7月にインテルマリウム(中央ヨーロッパにカトリック帝国を建国しようとしていた)とABNを連合させ、9月にはポーランドのプロメテウス同盟も合流させた。翌年の後半、新装ABNはステツコを中心として活動を開始する。 APACLは1954年に韓国で創設されたが、その際に中心的な役割を果たしたのは台湾の蒋介石や韓国の李承晩。日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加、日本支部を設置する際には岸信介が推進役になった。同じ頃、「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」なる団体も韓国で設立された。後に「世界平和統一家庭連合」と名乗ることになる。 ウクライナのネオ・ナチにはこうした背景があり、アドルフ・ヒトラー時代のナチと同様、ロシア/ソ連を軍事攻撃しているわけだ。ウクライナでも特にナチズムの影響を受けている西部のリビウでは1月1日、バンデラの記念碑に隣接する広場で集会が開かれ、たいまつ行進が行われた。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.05
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻をアメリカ政府がニューヨークへ連れ去り、拘束していることは確かなようだ。マドゥロ大統領は居住地を頻繁に変えていたと言われているが、その動きをアメリカ側は把握していた可能性が高い。ベネズエラ政権の中枢にアメリカの手先がいるのだろう。 映像を見ると拉致にはヘリコプターが利用されたようだが、ベネズエラ軍はS-300防空システムやスホーイ30戦闘機を保有しているはずで、侵略部隊に反撃しなかったことに疑問を持つ人が少なくない。低空飛行するヘリコプターが相手なら、一般兵士でもMANPADS(携帯式地対空ミサイル)で撃墜できたはずだと考えられている。そこで、今回の大統領夫妻拉致作戦は一種のクーデターだったのかもしれない。 大統領は拉致されたものの、まだ「マドゥロ政権」は存続している。ベネズエラでは、今でもウゴ・チャベスチャベスの制作を支持する人が試合的だ。軍の内部にアメリカ政府の手先になっているグループが存在しているとしても、かつてラテン・アメリカで繰り返された軍事クーデターのようなことはできないのだろう。 第2次世界大戦後でも、アメリカやイギリスは選挙で合法的に選ばれた政権を暴力的に倒してきた。西側世界ではこうした行為に「民主化」というタグをつけている。 現在、ロシア軍とNATO軍がウクライナで戦っているが、その発端はバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して行ったクーデターだ。2013年11月にオバマ政権のヤヌコビッチ政権転覆を目指す工作がキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まり、2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。 当初はカーニバル的な雰囲気の集会だったが、年明け後、広場ではネオ・ナチのメンバーが登場して暴力行為をエスカレートさせ、状況が一変する。2月18日頃から棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始めた。その頃、2500丁以上の銃をネオ・ナチは広場へ持ち込んでいたとも言われている。 しかし、ヤヌコビッチを排除してもクーデター体制を拒否する国民が多く、南部のクリミアではロシアと一体化、東部のドンバスでは武装抵抗が始まった。クーデター後に軍や治安機関の約7割が組織から離脱、その一部は反クーデター軍に合流したと言われているが、そうしたこともあり、クーデター政権は劣勢だった。 そこで、クーデターを支援している欧米諸国は新体制の戦力を増強する時間が必要になった。そこでロシアに停戦を持ちかける。2014年9月のミンスク1と15年2月のミンスク2だ。この停戦合意がクーデター体制の戦力を増強するための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 トランプ政権はベネズエラを制圧し、石油をはじめとする資源を奪おうとしているが、前途多難だ。アメリカ政府がベネズエラ軍をどの程度掌握しているか不明だが、資源を奪うシステムを構築することは簡単でないだろう。 すでにロシアは欧米諸国が約束を守らないことを理解しているはずだが、今回のケースはその認識を強めるだろう。元ロシア大統領のドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は今回のケースを受け、国の確実な防衛を保証する最大の強化策は核兵器しかない」と発言している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.04
アメリカ軍は1月3日、ベネズエラを空爆した。首都カラカス周辺の軍事基地だけでなく民間人の居住地域などで爆発が報告されている。攻撃の最中、ドナルド・トランプ米大統領はベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拉致したと発表、デルシー・ロドリゲス副大統領は大統領夫妻の所在を把握していないと語っている。同副大統領は「マドゥーロ大統領とフローレス夫人の生存を証明する証拠を直ちに提示する」ように求めた。アメリカの大手メディアによると、拉致したのはアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースだという。 アメリカ政府は11月16日に空母ジェラルド・R・フォードを含む艦船をカリブ海へ派遣すると同時に、閉鎖されていたプエルトリコの海軍基地を修復して使えるようにしている。この基地へマドゥロ大統領夫妻を運んだとも言われているが、確かなことはわからない。 艦隊がカリブ海へ入る前、10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラに飛来していた。何らかの軍事物資や傭兵会社ワグナーの戦闘員を運び込んだと言われた。すぐにでもベネズエラへ軍事侵攻すると言われていたアメリカ軍の動きが急速に弱まったのはそのためだと推測する人もいた。 11月上旬には2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行したが、この時、B-52は陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ引き返した。ベネズエラはそのほか、中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備したとされている。 本ブログでも書いたことだが、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員はトランプ大統領のベネズエラに対する軍事的な恫喝とイスラエルの関係を指摘している。ベネズエラへの軍事侵攻を求めている反体制活動家でノーベル平和賞受賞者、つまりアメリカ政府の手先であるマリア・コロナ・マチャドはイスラエルのハマスに対する姿勢を支持しているが、これもそうした関係が反映されているのかもしれない。マチャドは12月中旬、ベネズエラに対するアメリカの戦略を全面的に支持するとCBSニュースに対して語っている。 トランプ政権の中でベネズエラ侵略を最も強く望んでいる人物は国務長官のマルコ・ルビオだと見られている。彼はネオコン、つまり親イスラエル派で、彼の両親は1956年にキューバからアメリカへ渡ってきた。ベネズエラの現体制を倒した後、キューバの体制も転覆させようとしている。 トランプ政権に限らず、アメリカ政府はベネズエラの体制転覆を目論んできた。その始まりは1998年。この年にベネズエラでは選挙が実施され、アメリカへの従属を拒否するウゴ・チャベスが勝利した。チャベスは1999年2月から大統領を務め、アメリカが支配する仕組みを壊してしまうが、その時代に副大統領を務めた人物がニコラス・マドゥロにほかならない。 2001年にアメリカ大統領となったジョージ・W・ブッシュは、その翌年からチャベス政権を倒すための秘密工作を開始。その中心にはイラン・コントラ事件に登場したエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そして1981年から85年までのホンジュラス駐在大使を務め、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてイラク大使を務めたジョン・ネグロポンテがいた。 ホンジュラス駐在大使時代、ネグロポンテはニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊(アメリカの巨大企業にとって都合の悪い人たちを暗殺する組織)にも関係している。クーデターが試みられた際、アメリカ海軍の艦船がベネズエラ沖に待機していた。ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画された。 アメリカの支配層はベネズエラの体制を転覆させるため、2007年に「2007年世代」を創設、09年には挑発的な反政府運動を行った。こうしたベネズエラの反政府組織に対し、NEDやUSAIDといったCIAの資金を流す組織は毎年40004万ドルから5000万ドルを提供していた。 その2年前、つまり2005年にアメリカの支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。そこにはCIAから資金の提供を受けているCANVASと呼ばれる組織が存在、そこで学生は体制転覆の訓練を受けている。このCANVASを生み出したのは1998年に組織されたオトポール!なる運動だ。 この運動の背後にはCIAの別働隊であるIRIが存在した。このIRIは20名ほどのリーダーをブダペストのヒルトン・ホテルへ集め、レクチャーする。講師の中心的な存在だったのは元DIA(国防情報局)分析官のロバート・ヘルビー大佐だ。 抗議活動はヒット・エンド・ラン方式が採用された。アメリカの政府機関がGPS衛星を使って対象国の治安部隊がどのように動いているかを監視、その情報を配下の活動家へ伝えている。このとき、アメリカは情報の収集や伝達などでIT技術を使う戦術をテスト、その後の「カラー革命」におけるSNSの利用にもつながった。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) 体制転覆の企てが成功しなかった理由のひとつはチャベスのカリスマ性にあったが、そのチャベスが2013年3月、58歳の若さで死亡する。その後継者が現大統領のニコラス・マドゥロだ。 ベネズエラの確認石油埋蔵量は世界最大だと言われている。その石油は自分のものだとトランプは主張しているが、ほかのアメリカ大統領も同じように考えていたのだろう。その石油を手に入れると同時に、自立の道を歩いていたラテン・アメリカ諸国を再び植民地化することもアメリカ政府の目的だと考えられている。 しかし、ベネズエラを空爆して大統領を拉致すればベネズエラの現体制は瓦解し、再植民地化するとアメリカ政府は考えているのかもしれないが、それほど容易ではないだろう。 ウクライナでNATO軍はロシア軍に圧倒されているが、戦乱を世界へ広げることで戦況を逆転できると考えているのかもしれない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.04

ロシア政府によると、モスクワ北西部のノブゴロド州にあるロシア大統領の公邸に向けて12月28日から29日にかけての夜、91機のドローンが発射された。その解読されたドローンの飛行データ、残骸から回収したマイクロチップをGRU(ロシア軍参謀本部情報総局)のイゴール・コスチュコフ長官がモスクワ駐在アメリカ大使館武官へ引き渡している。 12月28日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーはアメリカのドナルド・トランプ米大統領と会談していた。そのゼレンスキーはロシアの発表を典型的な嘘だと主張、ニューヨーク・タイムズ紙などネオコンの広報紙と化している「有力紙」もロシアは嘘をついているとしているとしているが、ウクライナから発射されたドローンがプーチン大統領の公邸を標的にした可能性は高い。 アメリカの有力紙はウクライナが狙った目標は大統領公邸の近くにある軍事目標だとしているので、実際にウクライナがロシアにある目標を攻撃したことを認めている。その目標が公邸に近い軍事施設だったとしても、公邸の近くにある軍事目標を狙ったことをCIAが知っていたのは奇妙だと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは指摘している。CIAに報告されていたか、CIAが計画した可能性が高いと疑われても仕方がないだろう。 ウクライナを舞台にした対ロシア戦争でCIAがイギリスのMI6と同じように重要な役割を果たしてきたと少なからぬ人が信じている。今回はロシア大統領の公邸が狙われた可能性が高いが、石油の精製施設やタンカー、そのほかの工場もドローンなどで攻撃されてきた。エネルギー資源の生産施設を標的とし、黒海などで民間のタンカーを攻撃してきたのだが、このような攻撃を実行するためには物理的な能力だけでなく、情報収集、監視・偵察などの能力も必要で、そうした能力を持っている国は限られる。ウクライナ単独では不可能だ。 CIAがロシアに対するテロ攻撃を展開してきたことは公然の秘密であるが、ネオコンの代弁者であるニューヨーク・タイムズ紙がこの時期に「報道」したことに意味を見出す人もいる。アメリカの政府機関がロシアを攻撃していることを明らかにすることでロシアを挑発、ロシアと交渉を進めているドナルド・トランプ大統領にダメージを与えようとしたのではないかというのだ。「ロシアゲート」なる作り話でトランプを攻撃したグループにはCIAも含まれていた。 CIAは第2次世界大戦に創設されたOSSの後身。OSSの教官役はイギリスのMI6とSOE(特殊作戦執行部)。その背後には米英の金融資本が存在していた。 ソ連に攻め込んだドイツ軍が敗北した後、1944年にOSSの秘密工作部門SOとSOEはレジスタンス対策としてゲリラ戦組織のジェドバラを編成した。大戦後、アメリカではそのメンバーが中心になり、極秘の破壊工作機関OPCが組織され、残りの一部は軍の特殊部隊ヘ流れている。1950年にOPCはCIAに吸収され、52年にはCIAの破壊工作部門の中核になった。ジェドバラ人脈はヨーロッパでNATOの秘密部隊を作る。このシステムはウクライナでネオ・ナチと繋がり、活動している。 CIAの破壊工作部門はベトナム戦争の際、正規軍とは違う指揮系統の下で戦争をしていた。NSC(国家安全保障会議)に所属していたロバート・コマーなる人物が1967年5月にDEPCORDSとしてサイゴン入りして6月にはMACV(南ベトナム軍事援助司令部)とCIAが共同で極秘プログラム「ICEX(情報の調整と利用)」を始動させた。名称はすぐに「フェニックス・プログラム」へ変更されている。 このプログラムの内容は1970年代に議会の調査などで明らかになった。ひとことで言うと、反米色が濃いと見なされた地域の農民を皆殺しにして好ましい人たちと入れ替える作戦である。海軍の特殊部隊SEALsの隊員だったマイク・ビーモンによると、フェニックスは「ベトコンの村システムの基盤を崩壊させるため、注意深く計画されたプログラム」だ。1968年3月にソンミ村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で農民が虐殺されているが、これもフェニックス・プログラムの一環だ。(Douglas Valentine, "The Phoenix Program," William Morrow, 1990) アメリカ陸軍の第23歩兵師団第11軽歩兵旅団バーカー機動部隊第20歩兵連隊第1大隊チャーリー中隊に所属するウィリアム・カリー大尉の率いる第1小隊の隊員に虐殺されたのだ。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。 この虐殺を止めたのは現場の上空にさしかかったアメリカ軍のヘリコプターに乗っていた兵士。ヘリコプターからヒュー・トンプソンという乗組員が農民を助けるために地上へ降りたのだ。その際、トンプソンは同僚に対し、カリーの部隊が住民を傷つけるようなことがあったら、銃撃するように命令していたと言われている。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) アメリカ軍には従軍記者や従軍カメラマンが同行、非戦闘員が虐殺された事実を知っていたのだが、報道していない。虐殺事件をアメリカの議員らに告発したアメリカ軍兵士もいたのだが、政治家も動かなかった。記事にしたのはフリーランスのジャーナリストだったシーモア・ハーシュ。 彼は虐殺に関する記事を書くが、ライフやルックといった有名な雑誌からは掲載を拒否され、ワシントンを拠点とするディスパッチ・ニュース・サービスという小さな通信社を通じて伝えることができた1969年11月のことだ。 虐殺があったことをハーシュに伝えたのはジェフリー・コーワンだということがわかっている。後に南カリフォルニア大学の教授になるが、その当時はユージン・マッカーシー上院議員の選挙キャンペーンに参加していた。マッカーシーはベトナム戦争に反対する立場で、1968年の大統領選挙で民主党の指名獲得を目指していたのだ。ハーシュもマッカーシー陣営に加わっていた。 報道を受け、陸軍参謀長に就任していたウエストモーランドは事件の調査をウィリアム・ピアーズ将軍に命令する。この軍人に白羽の矢が立ったのは、彼がCIAと緊密な関係にあったからだと推測する人も少なくない。ピアーズは第2次世界大戦中OSSに所属、1950年代の初頭にはCIA台湾支局長を務め、当然のことながら、その後もCIAとの関係は切れていない。 ウクライナでもCIAがアメリカ軍とは別に、MI6と連携してロシアと戦争を続けている可能性が高い。アメリカ大統領の指揮下にないかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.03

ウクライナの航空機型ドローン168機をロシア軍の防空システムが12月31日に撃墜したとロシア国防省は発表した。そのうち61機はブリャンスク州上空、25機はクラスノダール州上空、23機はトゥーラ州上空、16機はクリミア共和国上空、そして12機はモスクワ州上空で破壊されたという。 12月28日から29日にかけての夜にはモスクワ北西部のノブゴロド州にある大統領公邸に向けて91機のドローンが発射されている。12月29日に撃墜されたドローンの航法装置をロシア軍は調査、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功、その最終目的地がロシア大統領官邸内の施設の一つであったことを突き止めたという。そのデータはアメリカ側に提出されるとされている。 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は29日の大統領公邸に対する攻撃について「典型的なロシアの嘘」だと主張している。「偽旗作戦」だというのだが、その根拠は例によって示されていない。 「偽旗作戦」という用語が広く知られるようになる切っ掛けは、アメリカの軍や情報機関の好戦的な反ロシア派、つまりライマン・レムニッツァー統合参謀本部議長、カーティス・ルメイ空軍参謀長、エドワード・ウォーカー少将、ウィリアム・クレイグ准将、あるいはアレン・ダレスCIA長官らが計画したノースウッズ作戦が発覚してからだろう。 このグループはソ連に対する先制攻撃を国民に容認させる雰囲気を作るため、ソ連によるテロ活動を演出することにした。キューバのグアンタナモにあるアメリカ海軍の基地をキューバ側のエージェントを装って攻撃、グアンタナモ湾に浮かぶアメリカの艦船を爆破して責任をキューバに押しつけて非難、またマイアミを含むフロリダの都市やワシントンDCでの「テロ工作」も展開しようとしていた。 さらに、アメリカ人が操縦するミグ・タイプの航空機で民間機を威嚇して船舶を攻撃するほか、民間旅客機の撃墜も演出しようとしていた。フロリダ州にあるエグリン空軍基地においてCIAの管理下、民間機のコピー機を作り、その一方で本物の航空機は自動操縦できる細工、選ばれた人びとを乗せたコピー機を本物として離陸させ、途中で無人の本物と入れ替えてコピー機はエグリン基地へ帰還、無人機はフライト・プランに従って飛行、キューバ上空で救助信号を出し、キューバのミグ戦闘機に攻撃されていると報告、その途中で自爆するというシナリオになっていた。 この計画を実行するようにレムニッツァー議長はケネディ大統領を説得しようとした。その際、キューバへアメリカ軍が軍事侵攻してもソ連は動けないと主張しているが、大統領は拒否し、1962年10月にはレムニッツァー議長の再任を拒否、ダレスは解任された。 レムニッツァーのようなケースでは、通常、そのまま退役になるのだが、そうならなかった。その時にレムニッツァーへ欧州連合軍最高司令官にならないかと声をかけてきた人物がいるのだ。シチリア島上陸作戦以降、彼を出世街道へ乗せたイギリス軍のハロルド・アレグザンダー元帥が口添えした結果である。アレグザンダーはイギリスの貴族階級に属し、イギリス女王エリザベス2世の側近として知られている。 ソ連に対する先制核攻撃を計画していた好戦派はキューバへ軍事侵攻してソ連の反撃拠点を潰そうとするが、これは失敗に終わる。好戦派がキューバ侵攻に執着した理由として、核戦争を始めた際にキューバがソ連の反撃基地になる可能性があると懸念していた可能性がある。 戦略爆撃機やICBMで圧倒されていたソ連としては中距離ミサイルで対抗するしかなかった。中距離ミサイルでアメリカ本土を狙う最適地はキューバ。後にソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込んでいるが、アメリカ側はそれを予想して革命政権を潰しておきたかったのだろう。 こうした偽旗作戦をロシアが実行したとウクライナ側は主張したのだが、裏付ける根拠はない。CIAの元分析官であるラリー・ジョンソンは攻撃がウォロディミル・ゼレンスキーとドナルド・トランプが会談している最中に引き起こされたと指摘、話し合いでの解決を壊したい西側情報機関の支援を受けて実行されたと推測している。 アメリカの政府機構にはトランプの政策に反対しているネオコンのような勢力が存続している。CIAの少なくとも一部はそう考えているはずだ。最近の動きから判断すると、イギリスのMI6も関係していた可能性が高い。今のところウクライナの外をロシア軍が攻撃することはないだろうが、ウクライナ国内にいる西側諸国やNATOの顧問団を標的にする可能性は高いとされている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.02
2025年にヨーロッパ経済は急速に悪化、26年に状況が改善される可能性は小さい。ヨーロッパは2026年を乗り越えられないと考える人もいる。 悪化する経済の象徴的な存在はドイツの自動車産業だ。たとえばフォルクスワーゲンはドレスデン工場における生産を完全に停止すると発表している。2026年のEUはさらに厳しい状況に陥り、社会不安を招く可能性が高い。そうした状況を作り出した最大の原因はロシア産の安価な天然ガスの供給が止まったことにある。 そうした状況を作り出したのはアメリカのバラク・オバマ政権。同政権のネイコンは2013年11月から14年2月にかけてキエフでクーデターを仕掛け、ウクライナやEUとロシアの関係を悪化させたのだ。 NATO諸国はウクライナでロシアを相手に戦争している。おそらく簡単にロシアとの戦争に勝てると考えたのだろうが、戦況はロシアが圧倒的に優勢。ロシアの天然資源や耕作地帯を奪うことはできない状況で、投入した資金を回収できそうにない。そこでロシアの資産を奪おうとしているが、そうしたことをすると、西側の金融システムに対する信頼度が低下、システム自体が崩壊する可能性が大きい。 ヨーロッパ経済は安価なロシア産天然ガスで支えられていたのだが、その天然ガスを輸送するパイプラインをアメリカが止めてしまい、状況は大きく変化した。 しかも、ロシアからドイツへ天然ガスをバルト海経由で輸送するために建設されたパイプライン、「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が2022年9月26日から27日にかけての間に爆破されてしまった。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表している。 ジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申して実行されたという。 ロシア連邦保安庁(FSB)の元長官で、現在は大統領補佐官を務めているニコライ・パトルシェフは今年9月7日、NS1とNS2の爆破テロは高度に訓練されたNATO特殊部隊の関与のもとで計画、監督、実行された可能性が高く、実行犯は深海での作戦経験が豊富で、バルト海での活動にも精通していたとしている。こうした条件に合致する情報機関として彼はイギリスの特殊舟艇部隊(SBS)を挙げている。 本来なら、こうしたアメリカやイギリスに対し、ヨーロッパ諸国は抗議すべきなのだが、沈黙している。自分たちに対する攻撃を受け入れたのだ。ロシアが簡単に負けていれば、ヨーロッパ諸国にとって問題はなかったのだろうが、NATOはロシアに圧倒されている。 ドナルド・トランプ政権はそうした状況を見てロシアの要求を受け入れる方向へ動いているが、EUやイギリスはロシアとの戦争を継続することだけを考えているが、ウォロディミル・ゼレンスキーには見切りをつけているようだ。 ゼレンスキーはロシアとの関係改善を訴えて2019年の大統領選挙に当選したのだが、大統領に就任してからロシアとの戦争へ突き進む。アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターのドキュメンタリーによると、ウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントの可能性が高く、ハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官だったリチャード・ムーアだと推測されていた。そのムーアが今年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリへ引き継がれている。 オバマ政権がウクライナを属国化しようとした理由のベースにはイギリスが19世紀に始めた世界征服戦略がある。当時、イギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)が大きな影響力を持っていた。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。ビクトリア女王に対し、アヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。 この戦略をハルフォード・マッキンダーが1904年にまとめているが、それをアメリカが継承、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論がベースになっている。 ネオコンもマッキンダーの理論に基づいてウクライナを乗っ取ろうとしてクーデターを仕掛けたのだが、完全征服できなかった。しかもウクライナ国民はロシアを敵視するネオコンの政策を拒否、ロシアとの関係改善を訴えたゼレンスキーが当選したのだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.01.01
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