《櫻井ジャーナル》

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2013.08.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 島根県松江市の教育委員会は『はだしのゲン』を子どもが自由に見られないようにするため、市内の小学校と中学校に対して閉架図書にさせたという。東京都や神奈川県の教育委員会では公立高校に対し、事実上、使用する日本史教科書を強制する動きもある。庶民の子どもの思考回路を支配層にとって都合の良く改造する作業を本格化させているように見える。

 松江市教育委員会が問題にした『はだしのゲン』はもともと子ども向けに描かれた漫画であり、「残虐」と言えるような描写はない。「戦争や原爆の悲惨さや痛みがわかっていない」のではなく、戦争の悲惨さを子どもに知らせたくないのだろう。

 昨年8月、「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」という陳情が市議会に対して「市民」からあったというが、「蛮行」はあったのである。実際にあったことをなかったと日本の子どもに教えても、侵略された国はその「蛮行」を決して忘れない。

 この3委員会が目指している方向は同じようだ。そう遠くない将来、「少国民」を再び作り出す先鞭をつけたと語られるようになるかもしれないので、各教育委員会のメンバーを挙げておく。

【松江市教育委員会】
委  員  長:内藤富夫
委     員:間田浩彬
委     員:櫻井照久
委     員:布野由美


【東京都教育委員会】
委  員  長 :木村孟
委員長職務代理者:内館牧子
委員長職務代理者:竹花 豊
委      員:乙武洋匡
委      員:山口香
教  育  長 :比留間英人

【神奈川県教育委員会】
委   員   長 :具志堅幸司
第一委員長職務代理者:宮崎緑
第二委員長職務代理者:高橋勝

委        員:河野真理子
委   員(教育長):藤井良一

 こうした人びとは戦争の実態を子どもに知られたくないと考えているとしか考えられない。かつて、日本軍の兵士として戦場へ行った「ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場でやっているんですよ。中国戦線では兵士に女性を強●することも許し、南京では虐殺もした。」これが実態。(むのたけじ著『戦争絶滅へ、人間復活へ』岩波新書、2008年)

 そうした状況を生む一因は兵士の心理状態。「戦場にいる男にとっては、セックスだけが『生きている』という実感になる。しかも、ものを奪う、火をつける、盗む、だます、●姦する・・・ということが、戦場における特権として、これまでずっと黙認されてきました。」(前掲書)

 南京を制圧した際の状況について書き残されたものを見ると:



 「23日前捕虜せし支那兵の一部5000名を、揚子江の沿岸に連れ出し機関銃を以て射殺す。」(黒須忠信上等兵の陣中日記/1937年12月26日)

 「南京に於ける我軍の暴状を詳細し来る。略奪、強●目もあてられぬ惨状とある。」(石射猪太郎外務省東亜局長の日記/1938年1月6日)

 「1943年1月、私は支那派遣軍参謀に補せられ、南京の総司令部に赴任しました。そして1年間在勤しましたが、その間に私は日本軍の残虐行為を知らされました。(三笠宮崇仁著『古代オリエント史と私』学生社、1984年)

 「先遣の宮崎周一参謀、中支那派遣軍特務部原田少将、杭州特務機関萩原中佐から聴取したところを総合すれば次のとおりであった。
 一 南京攻略時、数万の市民に対する略奪●姦等の大暴行があったのは事実である。
 一 第一線部隊は給養困難を名として俘虜を殺してしまう弊がある。」(岡村寧次大将資料)

 南京攻略時、近くで諜報活動に特務機関員として従事していた中島辰次郎も虐殺があったことは間違いないと語っていた。

 戦後、この時の責任を取らされる形で松井石根が処刑されている。形式上、中支那方面軍の司令官だった松井が南京攻略戦の最高責任者だが、実際は「皇族」の朝香宮鳩彦上海派遣軍司令官がトップだった。言うまでもなく、朝香は昭和天皇の叔父にあたる。戦後、責任は問われていない。

 前線で戦う部隊では略奪、放火、●姦、殺人といったことを「ほとんどの男」が行ったというが、勿論、行わない将兵もいた。少数派とは言いながら、総数は少なくない。そうした人びとの多くが健在だった時期に「日本軍の蛮行」を否定することは難しかっただろう。そこで『「南京大虐殺」のまぼろし』、つまり「南京大虐殺」に関する情報の中には「まぼろし」があると表現せざるをえなかった。『「南京大虐殺」はまぼろし』と書くことができなかったのである。

 日本が降伏してから68年。当時、20歳代だった人なら80歳代から90歳代になる。日本軍の将兵が何をしたのかを直接知る人が少なくなり、荒唐無稽な話をしても通用すると錯覚しているのかもしれないが、そもそも、戦争とは悲惨なもの。アフガニスタンやイラクを先制攻撃したアメリカ軍の「蛮行」もすさまじい。リビアやシリアへはアル・カイダなどの傭兵を使って侵略しているが、そこでも破壊、略奪、虐殺が繰り返されている。

 2001年10月にアフガニスタンで戦争を始める際、アメリカ軍は報道をコントロールするための仕組みを作り上げ、事実を隠そうとした。他国へ攻め込んだ軍隊が行うことは似ているようで、アメリカ軍も残虐なことを行っている。違いは「程度」の問題。そうした実態を知らせる目的で 映像 や外交文書をWikiLeaksを介して公表したブラドリー・マニング特技兵に対し、アメリカ支配層が厳しく対応している。それも事実が知られることを恐れてのこと。日本の支配層が歴史を捏造しようとしているのと同じことだ。

(●は楽天の規制のため)





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最終更新日  2013.08.18 03:32:38


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