《櫻井ジャーナル》

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2014.07.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカが「自由と民主主義の国」だという妄想を捨て去らない限り、地獄への道から抜け出すことはできない。秘密工作で体制を転覆させるだけでなく軍事侵攻を繰り返し、破壊と殺戮で人びとを苦しめてきた。集団的自衛権とは、自衛隊をそうした国の下請け武装集団にし、日本を侵略の手先に使う仕組みにほかならない。

 リビア、シリア、アフガニスタン、ユーゴスラビア、ウクライナではNATOという姿でアメリカは軍事力を行使、あるいは行使しようとしてきた。そのNATOが創設された目的のひとつは、アメリカがヨーロッパを支配するということ。これは本ブログで何度か指摘した。

 そして今、ウクライナではナチスの末裔、中東/北アフリカでは「アル・カイダ」がアメリカの手駒として動いている。こうした構図はリビアの体制転覆プロジェクトで明確になった。 ロビン・クック元英外相も主張していたように、アル・カイダとはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リスト にすぎず、現在はサウジアラビアが主な雇用主になっている。ウクライナのネオ・ナチや中東のアル・カイダに引きずられてアメリカが戦争へ突入した場合、集団的自衛権が存在すると、日本も参戦することになる。

 ネオ・ナチやアル・カイダは非武装の住民を攻撃、住居を破壊し、故意に残虐な殺し方をしている。ウクライナではロシア語を話す住民を虐殺してロシアを挑発しているが、ロシアが出てくればNATOが応戦するというシナリオになっていると見られている。

 アメリカ支配層が出している定期刊行物とも言えそうな フォーリン・アフェアーズ誌の2006年の3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文 には、ロシアの武器は急激に衰え、中国は核兵器の近代化に手間取り、相対的にバランスが大きく変化し、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしている。

 ソ連消滅後、ボリス・エリツィン時代にロシアは政治的にも経済的にも破壊され、軍事力も大きく低下したようで、この論文が間違っているとは言えないのだが、その後、ウラジミール・プーチンの時代になって状況は大きく変化した。

 ところが、ネオコン/好戦派は古い感覚が消えず(要するに希望的観測)、核戦争も辞さないという姿勢を明確にしている。核戦争で圧勝できるという思い込みがあるため、核攻撃しかねないと相手に思わせる「狂人理論」で押し切れると信じているようだ。その手先になっているのがオリガルヒ(イスラエル系が多い)やネオ・ナチである。



 現状を考えると、戦争を最も望んでいるのはアメリカのネオコン/好戦派。戦争を避けたいなら、そのネオコン/好戦派を抑える必要があるのだが、日本は逆に同調(服従)している。イラクを攻撃した際にはマスコミがアメリカの嘘を承知で戦争を煽り、平和を望む人びとを攻撃していた。リビア、シリア、ウクライナでは「リベラル派」や「革新勢力」もアメリカの嘘を受け入れ、その傀儡勢力による破壊と虐殺に沈黙している。

 中東/北アフリカに目をやると、イラクから地中海の東岸(レバント、つまりトルコ、シリア、レバノンなど)を統一するとしてシリアやイラクでISIL(ISISまたはIEIL)なる戦闘集団が支配地を広げ、ファルージャに続いてモスルを制圧、首都のバグダッドを伺う動きを見せている。

 そうした状況の中、クルドの独立が現実味を帯び、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はクルド人国家を支持すると語っている。以前からイスラエルがクルド人勢力を支援していると言われているので、こうした発言が飛び出しても不思議ではない。

 調査ジャーナリストの シーモア・ハーシュがニューヨーカー誌の2006年11月27日号に書いた記事 によると、イランに対する工作にイスラエルはクルド人グループを使っている。「装備と訓練」を提供するのと引き替えに、イラン国内の目標リストをクルド側はアメリカへ提供しているのだという。また、イスラエル政府は2000年代に入ってからネゲブ砂漠の基地などでイランを空爆する訓練を続けているともハーシュは主張していた。

 イランを空爆する計画の推進者はネタニヤフ首相やエフード・バラク国防相で、 2010年に両者はガビ・アシュケナジ参謀総長へすぐにイランを攻撃できるように準備しろと命令 したという。これは一部の閣僚が集まって決めたことにすぎず、好戦派の暴走だった。会議から間もなく、アシュケナジのほか、モサド(イスラエルの情報機関)のメイル・ダヤン長官やシン・ベト(イスラエルの治安機関)の長官だったユバル・ディスキンも職を辞している。

 ベンヤミン・ネタニヤフの父、ベンシオン・ネタニヤフは「修正主義シオニスト世界連合」の創設社として知られるウラジミール・ジャボチンスキーの秘書だった人物で、ふたつの世界大戦でジャボチンスキーの人脈はイギリスと緊密な関係にあった。彼の団体は好戦的なことで知られ、その流れの中からリクードは生まれている。

 イスラエルで好戦的なグループが主導権を握るのは1970年代。同じ時期、アメリカでも好戦的な勢力が台頭、ジェラルド・フォード政権のときにデタント(緊張緩和)派が粛清されている。そのときに中心的な役割を果たしたのがドナルド・ラムズフェルド大統領首席補佐官(後の国防長官)とリチャード・チェイニー大統領副補佐官(後の副大統領)で、ポール・ウォルフォウィッツなどのネオコン(親イスラエル派)も台頭してくる。

 1970年代の終盤、アメリカはアフガニスタンで秘密工作を開始、ソ連軍を引きずり込むことに成功するが、その頃からアメリカ、イスラエル、サウジアラビアは同盟関係に入る。 この三国同盟がシリア、イラン、レバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めたとハーシュが書いたのはニューヨーカー誌の2007年3月5日号 だった。



2009年7月から今年9月まで駐米イスラエル大使を務め、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に近いと言われるマイケル・オーレンはエルサレム・ポスト紙のインタビューで、イスラエルにとって最大の脅威はイラン、シリア、レバノンで、要石のシリアからバシャール・アル・アサドを排除しなければならないと主張、イランよりアル・カイダの方がましだと語り、アメリカがアル・カイダに武器を供給することも容認している。

 イスラエル人の子どもが殺された報復と称し、イスラエル軍はガザを爆撃、また破壊と殺戮を始めているが、問題の子どもたちを殺害したのは自分たちだとISILに忠誠を誓っているというグループは主張、ハマスは関与を否定している。事実はどうであれ、イスラエル政府はISILでなく、ガザを攻撃することにしか興味は持っていない。そのイスラエルを守っているのもアメリカだ。





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最終更新日  2014.07.16 11:34:36


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