《櫻井ジャーナル》

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2015.03.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ウクライナで富豪同士の対立が激しくなっているようだ。3月19日にはイゴール・コロモイスキーが私兵を使い、大手石油関連会社ウクルトランスナフタ、そして同社の親会社であるウクルナフタのオフィスを制圧、書類を廃棄したと伝えられている。何度も書いているように、コロモイスキーはウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ富豪で、ドニエプロペトロフスクの知事を務めてきた。

 今回の襲撃を受け、ペトロ・ポロシェンコ大統領に知事の職を解かれたが、こうしたことはアメリカ政府が許可しなければできないはず。パイアット大使がコロモイスキーの行為を非難したとも言われているので、アメリカのバラク・オバマ大統領はこの富豪を押さえ込もうと決断したようだ。こうした展開はコロモイスキーも予測していただろうが、それでも処分しなければならない書類があったに違いない。

 会社を利用して私腹を肥やしていたことは想像に難くないが、ネオ・ナチを使ってライバルから略奪していたとも言われている。例えば、 東部でビジネスを展開、政治的に中立的だったライバルの富豪、リナト・アフメトフの資産を盗んでいる のだ。この話はクーデター直後から伝えられていたが、興味深いことに、ドイツの有力紙がここにきて報道している。ドイツがアメリカと一線を画そうとしているのは間違いなさそうだ。ライバルから略奪する際、ネオ・ナチが心理的な圧力と物理的な暴力を使い、誘拐もしているという。コロモイスキーは犯罪集団のボスと言えそうだが、その犯罪集団とネオコン/シオニストは結びついている。

 コロモイスキーはオデッサの虐殺やドネツクとルガンスクでの民族浄化(ロシア語系住民の殺害/追放)で黒幕的な役割を果たしたと言われている。その手先として使われたのは、やはりネオ・ナチ。コロモイスキーが支配する天然ガス会社の ブリスマは重役としてジョー・バイデン米副大統領の息子、R・ハンター・バイデンを雇い 、アメリカ政府にも人脈を広げている。

 このオリガルヒはネオ・ナチを手下として使う一方、ネオコン/シオニストと緊密な関係を維持してきた。本人もイスラエルの国籍を持っている。このコロモイスキーをドニエプロペトロフスク知事に任命したのはアルセニー・ヤツェニュク首相だが、その後ろ盾はネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補。

 キエフでは昨年2月23日、憲法の規定を全く無視した形で暴力的にビクトル・ヤヌコビッチ大統領が排除されたが、そのクーデターで黒幕的な役割を果たしていたのがヌランド次官補だった。現場で指揮していたのはジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使だと言われている。

 この ヌランドとパイアットが「次期政権」の閣僚人事について電話で話し合っている音声

 このヌランドの結婚相手がネオコン/シオニストの大物、ロバート・ケーガン。ネオコンは1992年にDPG(国防計画指針)の草案という形で世界制覇プランを作成、それに基づいてネオコン系シンクタンクのPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)は「米国防の再構築」を書き上げ、2000年に発表している。ロバート・ケーガンも共同執筆者のひとりとして名を連ねていた。

 アメリカの支配層は昔からメディアをプロパガンダの道具と認識、1932年の大統領選で当選したフランクリン・ルーズベルトを排除する目的でクーデターを計画した際には新聞を使って新大統領が病気だと宣伝することにしていた。大戦後にはアレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてフィリップ・グラハムを中心に情報操作プロジェクト、いわゆる「モッキンバード」を実行したが、1980年代に入ると情報管制が強化され、「プロジェクト・デモクラシー」が始まる。

 この「プロジェクト・デモクラシー」時代にCIAで心理戦の中心的な存在だった人物がウォルター・レイモンド。ロナルド・レーガン政権ではNSC(国家安全保障会議)のスタッフとして働いているが、その下で情報操作の手法を学んだひとりがケーガン。ウクライナのクーデターは「プロジェクト・デモクラシー」の延長線上にあると言えるだろう。同じことは「アラブの春」でも言える。

 1980年代からアメリカの支配層はメディア支配を強め、90年代からは広告会社を使ってプロパガンダを展開するようになった。2003年にアメリカ政府がいくつかの国を従えてイラクを先制攻撃した際、日本を含む西側のメディアは戦争を推進し、戦意を煽るためのプロパガンダ機関以外の何ものでもなくなっていた。そうした状態は強化され、今に続いている。

 こうした流れを作り上げた人脈の中枢にレイモンドの愛弟子、ケーガンがいる。そのケーガンの妻がヌランド。そのヌランドに選ばれた傀儡がヤツェニュク首相であり、その首相から知事に任命されたのがコロモイスキー。そのコロモイスキーと対立しているオバマ大統領は、ウクライナ制圧とロシア支配を夢見てきたズビグネフ・ブレジンスキーの教え子。ウクライナで富豪同士の対立が激しくなってもアメリカ支配層の好戦的な姿勢は変化しそうにない。生存を望むなら、EUはアメリカから離れざるをえない。今、アメリカに従おうとしている国があるとするならば、その国は狂っている。





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最終更新日  2015.03.28 19:51:42


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