《櫻井ジャーナル》

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2015.09.28
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 9月19日に安倍晋三政権は「安全保障関連法案」、いわゆる「戦争法案」を強引に参議院で成立させたが、その5日後に警視庁公安部公安1課は法案に反対していた学生が出入りしていたシェアハウスを家宅捜索、その様子を警察が連れてきたテレビ局のクルーが撮影していたという。部屋の中には学生を 取材中だった日刊ゲンダイの記者

 日刊ゲンダイの記者によると、シェアハウスのドアを警官が叩いた直後、住人たちの反応も待たずに警官が網戸をこじ開け、土足で踏み込み、玄関に回り鍵を開けて数人の警官を中に入れ、令状を見せることも弁護士への連絡も拒否したという。令状を瞬間見せ、写真撮影して令状をしまうということもしなかったようで、警察側は裁判も学生からの法律的な反撃も想定していないのか、裁判所を見下しているように感じられる。

 戦争法案はアメリカの好戦派が要求していた集団的自衛権と密接に結びついているわけだが、本ブログでは何度も書いているように、出発点は1 992年にアメリカの国防総省で作成されたDPGの草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」 だ。ソ連の消滅でアメリカが「唯一の超大国」になったと考えたネオコン/シオニストは世界制覇を実現するため、潜在的なライバル、つまり旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潰し、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアを支配しようとした。

 このドクトリンが作成される前年、 ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしていた 。これはヨーロッパ連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官だったウェズリー・クラーク大将の話。アメリカ支配層への忠誠度が足りないと考えられたのだろう。

 このドクトリンに基づき、1995年にジョセフ・ナイ国防次官補が「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」、2000年にはナイとリチャード・アーミテージのグループによって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」が作成された。この報告で集団的自衛権を要求されている。

 2002年になると小泉純一郎政権が「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、05年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名され、12年にはアーミテージとナイが「日米同盟:アジア安定の定着」を発表している。2012年の報告だけを問題にするのは間違いだ。



 菅直人が新首相になって3カ月後、尖閣諸島(釣魚台群島)の付近で操業していた 中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり 、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕する。1972年に田中角栄と周恩来の間で「棚上げ」を決めていた尖閣諸島の領有権問題に火をつけ、中国との関係を悪化させる方向へ動き始めた。

 こうした状況を喜んだのがアメリカで、ネオコン系のヘリテージ財団でアジア研究所北東アジア上席研究員を務めていたブルース・クリングナーは2012年11月14日に発行されたレポートの中で「 日本国民のあいだに中国への懸念が広がりつつあるという状況」を歓迎 している。その後、政府とマスコミは二人三脚で中国との関係を悪化させるキャンペーンを展開、少なからぬ国民が踊らされてきた。「良いマスコミ」と「悪いマスコミ」が存在するというのは戯言だ。

 菅直人の後を継いだ野田佳彦首相は2012年に自民党や公明党と手を組み、消費税の税率を引き上げる法案を可決、同年11月に衆議院を「自爆解散」して惨敗、自民党と公明党で衆議院の3分の2を占める事態になった。2013年に行われた参議院選挙でも自民党が改選121議席の過半数を上回る65議席を獲得、「安保関連法案」を成立させる準備はできあがる。

 この段階で安保法や特定秘密保護法は成立、日本がアメリカの戦争マシーンへ組み込まれることは決定的。アメリカの好戦派から見ると「詰み」だ。そうした段階でマスコミの一部が安倍政権を批判し始めたわけで、「アリバイ工作」にしか見えない。

 ところが、最終局面で予想外に反対の声が高まった。学生がこれほど反対の意思を示すとは思っていなかったに違いない。そうした流れを断ち切るため、戦争に反対する人間は逮捕し、関係する場所は家宅捜索すると脅したつもりなのだろう。わざわざテレビ局を連れてきたのも、そうした「権力の意思」を広く知らせるためだとしか考えられない。

 安倍政権が服従しているアメリカの好戦派は1992年に世界制覇戦争を始めたのだが、その前提はロシアが属国化し、中国のエリートは買収済みということ。その前提がウラジミル・プーチンによって壊された。ロシアを再独立させ、中国と関係を強化してドル体制からの離脱を進め、中東、北アフリカ、ウクライナの軍事制圧に外交で対抗している。

 そこで打ち出されたアメリカの政策を見ると、1970年代や80年代に実行して成功したものばかり。予想外の展開になっているため、カビの生えた昔の戦術を持ち出しているのだが、いずれも裏目に出ている。今回の家宅捜索もそうした類いの戦術に見える。

 追い詰められたネオコンは全面核戦争で脅そうとしているが、それにロシアや中国が屈するとは思えない。人類は非常に危険な状況に陥っているわけで、ドイツなども危機感を感じてアメリカからの離反を始めている。そうしたとき、アメリカにとってタイミング良くフォルクスワーゲンのスキャンダルが発覚した。





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最終更新日  2015.09.28 21:37:05


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