イスラエルはイランの警告を無視して6月7日にベイルート郊外のダヒヤを攻撃、6月8日にはイランのマフシャフルにあるカルーン石油化学工場を空爆。それに対し、IRGC(イラン革命防衛隊)は6月7日にイスラエルの占領地北部にあるラマト・ダビデ空軍基地をミサイル攻撃、8日にはネバティム空軍基地とテルノフ空軍基地を攻撃した。イエメンのアンサール・アッラー (フーシ派)もイスラエルに向けてミサイルを発射、展開によってはイスラエルとイランの戦闘が激しくなり、ホルムズ海峡だけでなく、アデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡も閉鎖される可能性があった。
しかし
イスラエルがベイルート攻撃を決断した目的はイランにイスラエルへ報復攻撃させ、アメリカを戦争へ復帰させて和平協定を潰すことにあったと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは推測している。 この推測が正しいなら、ハタム・アル・アンビヤ中央司令部がイスラエルに対する軍事作戦の停止を発表したことでイスラエルの目論見は外れたと言えるだろう。
イスラエルとアメリカの間に不協和音が生じさせたのではないかと思われる話が伝わっている。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相と非機密回線を使った電話会談を実施、その中でペゼシュキアン大統領はアメリカの攻撃が続く場合、核和平交渉からの即時撤退、将来の核条約枠組みの完全放棄、イラン領土内での核爆発という3段階の「最後通牒」を伝えたというのだ。アメリカとイスラエルに傍受させるため、非機密回線を使ったと考えられている。同じ内容の話をマルコ・ルビオ国務長官はパキスタンのイシャク・ダル外相から電話で伝えられたという。
アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害する前、イランは核兵器の開発をしていなかった可能性が高い。
イランがすでに核兵器を保有しているとするならば、「友好国」から入手したということになるだろう。入手先として考えられるのはパキスタン、ロシア、中国、そして朝鮮。中国やロシアは核以外でイランを支援していることは明確だ。
1992年2月に世界征服プロジェクトを作成したネオコン、そのネオコンを含むシオニストはイランを殲滅して「大イスラエル構想」を実現しようとしている。シオニストを産んだイギリスの支配層は権謀術数をめぐらせ、ロシア、中国、そして西アジアを支配しようとしてきた。
こうした長期戦略を彼らが放棄するとは考え難いのだが、アメリカが動かないと前に進まない。日本やドイツにアメリカの代わりはできないだろう。すでに一度、失敗している。イスラエルはイランに対する攻撃を中断してもレバノンへの攻撃は継続し、ガザへの物資搬入は妨害している。イランに反撃させ、アメリカを戦争へ引き摺り込むしか道はないのかもしれない。
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【 櫻井ジャーナル(note) 】