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2026.07.30
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 未成年者に対する性的な犯罪の容疑で2019年7月6日に逮捕され、ニューヨークのメトロポリタン矯正センターに入れられていたジェフリー・エプスタインは同年8月10日に独房で死亡した。そのエプスタインへ女性を紹介していたダニエル・シアドの死体が2026年7月20日、フランスのコロンブにある自宅で発見された。2022年2月19日にはシアドと同じようにエプスタインと関係があり、性的の人身売買に関与した疑いでラ・サンテ刑務所の独房に収監されていたジャン-リュック・ブリュネルが首を吊った状態で発見されている。シアドやブリュネルは表向きの仕事はモデルのスカウトだ。

 エプスタインは2006年7月27日にも同じ容疑で逮捕された。14歳になる義理の娘がエプスタインの自宅で猥褻な行為をされたと、ひとりの女性がフロリダのパームビーチ警察で訴えたことが発端。捜査の過程でエプスタインが有力者へ少女を提供、その行為を秘密裏に録音、撮影して恐喝の材料に使っていたことが浮かび上がった。

 パームビーチの警察には富裕層の利益を守るため、犯罪を隠蔽する仕組みが存在していた。その仕組みで守られていた富豪のひとりがマー・ア・ラゴを所有するドナルド・トランプにほかならない。

 しかし、そうした実態を告発した保安官補もいた。ジョン・マーク・ドーガンだ。2006年の摘発でエプスタインが盗撮していた映像を警察は押収、捜査を指揮したのはジョセフ・リケアリーからその資料をドーガンは受け取り、保有している。2008年6月30日にエプスタインは有罪を認め、懲役18カ月を言い渡されているが、州刑務所へは入れられていない。パームビーチの拘置施設で週6日、1日12時間という制限の下、街で働くことが許されている。その年、ドーガンは退職を強いられた。

 その後、ドーガンはインターネットで告発を続けるが、2016年にFBIは彼の自宅を家宅捜索、コンピュータなどを押収した。そこで彼はロシアへの亡命を決断、ロシアへは盗撮映像を含むエプスタインに関する資料を持ち出している。彼に資料を渡したリケアリーは2018年5月、50歳で急死した。

 2006年の事件で地方検事として事件を担当したアレキサンダー・アコスタはドナルド・トランプ政権で労働長官に就任しているが、2019年にエプスタインが逮捕された際、エプスタインについて「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。(Vicky Ward, “Jeffrey Epstein’s Sick Story Played Out for Years in Plain Sight,” Daily Beast, July 9, 2019)

 後にエプスタインはイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていたことが判明する。エプスタインはギレーヌ・マクスウェルと内縁関係にあったが、彼女や彼女の父親であるロバート・マクスウェルも同じ情報機関の下で働いていたと、1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)

 1980年代半ば、アメリカでは情報機関による秘密工作が発覚した。イラン・コントラ事件である。イランへの武器密輸とニカラグアの反革命ゲリラ、コントラへの違法支援工作が発覚したのだ。

 この事件については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』三一書房、2005年でも説明したように、1979年2月のイランにおけるイスラム革命が関係している。

 ムハマド・レザー・パーレビ国王が王妃と国外へ脱出、フランスからアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニが帰国するのだが、11月に「ホメイニ師の路線に従うモスレム学生団」を名乗るグループがテヘランのアメリカ大使館を占拠、大使館内の機密文書を手に入れる一方、52名を人質にとった。人質の多くはアメリカの情報機関員だと見られている。

 ジミー・カーター政権は人質の早期解放を目論む。その年は大統領選挙があり、人質の解放はカーターにとって追い風。そこでカーターの敵対勢力は共和党の勝利を確実なものにするため、人質の解放を遅らせる工作をしていたと言われている。

 秘密交渉で共和党はイスラエルのリクードと連携、人質の解放を遅らせることに成功したのだが、その代償としてイランへ武器を密輸出することになる。この取り引きの儲けをCIAはコントラへの支援に充てたわけだ。

 ところが、1984年9月にイスラエルで労働党のシモン・ペレスを首相とする政権が誕生、リクードが行っていたイランへの武器密輸を労働党は知り、自分たちも独自に武器密輸で儲けようとする。そして目をつけたのがアメリカ海兵隊のオリバー・ノース。その結果、ふたつのグループが争うことになり、暴露合戦に発展、イラン・コントラ事件の発覚につながった。この事件にエプスタインも関係していたのであり、彼は人身売買や恐喝をしていただけではない。

 エプスタインは黒魔術にも関係、ペトログリフの刻まれた岩石などを集め、古代の建造物に模した建物を建てたりしている。イングランドではエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にオカルトが流行、女王に寵愛されたジョン・ディーは錬金術や超自然的な存在との交信で知られていた。

 その当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も 自分を「イスラエルの王」だと思い込み、ピューリタンの指導者たちも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていた。

 19世紀にもオカルトは流行、同世紀の終盤にイギリスを動かしていたのセシル・ローズのほか

 エプスタインと親しかったビル・クリントンによると、親しくしていた理由はエプスタインがロスチャイルド家につながっていたからだという。実際はロスチャイルド家の代理人だったかもしれない。

 エプスタインはイスラエルの元首相エフード・バラクとも親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がり、バラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。エべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドもエプスタインの友人で、クリントン夫妻とも親しい。ジェイコブ・ロスチャイルドの代理人として働いていたユーコスのミハイル・ホドルコフスキーも1989年頃、KGBのコネクションを利用してソ連の若い女性をニューヨークへ「モデル」として送り出す仕事をしていた。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999)

 エプスタインにしろ、シアドにしろ、ブリュネルにしろ、そこから始まる人脈を辿ると、一般的に知られてはならない人びとへつながっているはずだ。ドナルド・トランプ政権は司法省が保有するジェフリー・エプスタインに関する約600万件の文書や映像、いわゆる「エプスタイン・ファイル」のうち約300万件を公開していない。公開されたファイルは黒塗りだらけ。財務省関係のファイルも公開されていない。しかもエプスタインがライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、自宅から6つの保管庫へ運び込んだコンピュータ、映像、写真、文書などを捜査当局は調べていない。

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最終更新日  2026.07.30 01:16:12


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