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2008年07月25日
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テーマ: お勧めの本(8116)
カテゴリ: カテゴリ未分類

『魔法の文字』
朗読すると物語が現実になる魔法の声を持つ少女メギーと父モー。物語の世界に閉じこめられた母親を無事取り戻してから、平穏な毎日を送っていた。一方、火噴き師ホコリ指は、望郷の念に押され再びその世界へ帰ってしまう。自ら物語を書き換え朗読し、危機が迫っているホコリ指を助けに物語の世界へ入り込んだメギーは…。




魔法三部作シリーズ

第一巻 『魔法の声』 (Inkheart)2003年 英米日同時出版
第二巻『魔法の文学』(Inkspell) 2005年
第三巻『魔法の死』(Inkdeath) 2007年


魔法の声 ポール・ベタニー ホコリ指役

コルネーリア・フンケのファンタジー「魔法の声」映画化決定 2009年米公開予定 「Inkheart」公式サイト
↑ ポール・ベタニー ホコリ指役 
*ちなみに彼は主役ではありません。金髪でチョイロンゲのベタニーさんというのは、新鮮ではないでしょうか~♪



『魔法の声』の続編『魔法の文字』です。

『魔法の声』では、本のこちら側の世界で物語は進行します。
『魔法の文字』では、本の世界が舞台となります。
メギーたちは、本の世界へと読み送られるのです。

著者コルネーリア・フンケは『魔法の声』を書いた時は、三部作にするつもりはなかったそうです。三部作なんて、巷にたくさんあふれているのだからっと、あとがきでもおっしゃってますね。ですから、『魔法の声』一冊で物語は、一旦完結しています。でも、第二作目『魔法の文字』は、前作は序章に過ぎなかったと思えてくるような、深みと奥行きがありました。


ストーリー

『魔法の声』のラストから数ヵ月経ったところから始まります。
平穏な日々を取り戻したメギー一家。
主人公メギーの父モーは特殊な声の持ち主。
物語を声に出して読むと、その物語のなかの事物を読み出し、かわりにこちらの世界のものを物語へと“読み送る”力を持っています。(やがてメギーも同じ力があることを知ります。)

そのため、メギーの幼い頃、知らずに朗読していた本「闇の心(インクハート)」から、本の人物たちを読み出してしまい、かわりに、妻のテレサを失うという過去がありました。逃亡生活を送っていましたが、ついに、本の人物達が次々にメギーたちの前に現われ、最後に本の世界に行く者、命を落とす者、本から戻ってくる者、といろいろな顛末を迎えました。

本から読み出された人物のひとり、火噴き大道芸人ホコリ指は、こちらの世界にどうしても馴染めず、なんとか「闇の世界」に戻りたいと願っていて、『魔法の文字』の冒頭、その願いをかなえて自分の故郷へ帰っていきます。なぜ、あれほど、元いた世界に帰りたがったのか。その理由がわかります。
なるほど、そういうわけだったのね!と。。

さらに、悪党バスタたちがホコリ指やメギーたちへの復讐を企み、新たな魔法の声の持ち主オルフェイスが加わり、「アラビアンナイト」出身のファリッド、メギー、モー、テレサらが、次々と「闇の世界」へと読み送られていきます。彼らおなじみの登場人物に加え、本の世界の人物らも多数登場。

感想

『魔法の文字』では前作とくらべて、物語そのものが持つ力というのがより大きな要素となっているようです。
本の世界、「闇の世界(インクハート)」に入ったフェノグリオは、著者である自分の創造した世界なのに、自分の思惑をまったく超えて動き出してしまった世界を、なんとかしようと四苦八苦します。自分のコントロール下に引き戻そうとするんですが、裏目裏目に出てしまいます。まるで「闇の世界(インクハート)」独自の意志が働いているようです。著者の指図を拒むかのような展開になっていきます。新たに書き加える話の筋を、利用して予期せぬ方向へ世界が動いてしまう。


フェノグリオやメギーが考えたのは、こうです。
フェノグリオ「本の著者」が書いた文章を、メギーたち「読み出す」能力を持った人間が読み上げると、物語に新たな展開が生まれるだろう、と。メギーたちの有利に働くよう、変えようとするのが、相変らず一方的な思慮足らずに感じるんですが。
メギーは、モーが死にそうだから助けたい、といった、差し迫った危機に対してなので家族の心情としては、そうするだろうというもの。
フェノグリオとしては、自分の書いた世界ながら、あまりにも残虐な支配者と虐げられた人々をなんとかしたい。
自分がその世界の人物のひとりとなり、初めてなんとかしたいと思う彼は浅はかで、自分の創造した世界や人物たちを、自分のモノとして嬉しそうに見ている姿勢が、傲慢にも感じます。やがて彼のそうした傲慢さも打ち砕かれるようですが。

この浅はかさや傲慢さが漂うフェノグリオや、魔法舌を持つ特殊能力にちょっと無頓着な?モーには、賞賛や尊敬の念より、憎しみや恐れ批判の眼差しが、周囲から向けられているのが、おもしろいです。重要人物なのに。
自分たちが、本の登場人物にすぎず、誰かの手で人生が決められていて、勝手に本来の世界から読み出され、宙ぶらりんな目に合わされる、、なんてのは、確かに気持ちの良いものではないでしょうね。
ホコリ指はですから、極力、フェノグリオには近づかず、話もしようとしません。
自分の創造主、なんて存在は煙たいだけ。

ホコリ指だけではありません。人物だけでなく、本の物語そのものも創造主(=著者=フェノグリオ)を裏切り続けてます。反抗的で勝手な方向に向かっていきます。
「読み出す力の持ち主」が、ただ、声に出して読めばなんでも実現するわけではないのです。
どうやら、制約が働いているようです。読み上げる文章は、創造主(=著者)の語彙で吟味した文章でなければならない。本には著者の魂がこもっているでしょうが、決して一体ではなく、一度誕生した物語世界は、独自の力を持っている。たとえ創造主の著者でも、物語の流れを意のままに変えることはできない、というのが『魔法の文字』をおもしろくしていますね。

かなりネタバレ↓

おもしろさといえば、ちょっとドロドロな人間ドラマが昼メロチック。
ホコリ指をめぐる、嫉妬の渦。(笑)
彼には奥さん、のみならずこどもがいた!
不在9年を、奥さんがどう過ごしていたか、ホコリ指を再び受け入れるのか。ホコリ指を慕うファリッドと、隠し子かと疑う奥さんの嫉妬や、ホコリ指がメギーの母レサに想いがあることなど、ちょっとドロドロしていて、著者は昼メロ好きなのかな~なんて、勝手に想像してしまいます。ドイツに昼メロがあるのか分かりませんが!

それに、脇役だとばかり思っていたファリッドが、メギーとラブラブになるのも、あらあら、、。急に良い役どころになってしまったので、もう、びっくりです。なんだか吊り合わない様な。。メギーに恋愛というのもなんだかな~という感じ。アンバランス。







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最終更新日  2008年07月25日 14時18分53秒


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