つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

2007年01月05日
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カテゴリ: 映画
武士の一分.jpg


海坂藩のお毒見役三村新之丞は、ある日、貝の毒にあたり、
失明してしまう。妻の加世は、藩の実力者島田藤弥に、夫の
身の振り方を依頼するが、その代わりに身体をもてあそばれ
てしまう。新之丞は加世を離縁し、「武士の一分」を守るため
島田と果し合いに打って出る。

そんな物語が、ところどころ、ホッとするような軽い笑いのシ
ーンを織り込みながら、淡々と進んでいく。予定調和するスト
ーリーで、特に奇をてらったところもないが、さすがに山田洋


新之丞と加世夫妻の愛情よりも、家来の徳平との主従関係の描
き方が素晴らしかった。馬鹿にしながらも、徳平を頼る新之丞。
また徳平の主人夫婦への愛情。これがいちばんの見どころでは
ないか。

この徳平を演じた笹野高史、うまい役者だなぁと思ったのだが、
なんとオンシアター自由劇場出身とのこと。では当時、上海バ
ンスキングでの演技をリアルタイムで見ていたのだ。

敵役の番頭島田を演じる坂東三津五郎、さすがにすばらしい活
舌、その声に聞きほれる。木村の発声との差を痛切に感じた。
格の違いを見せつけられた。

まぁ、木村の演技も、特に色眼鏡で見る必要もなく自然であっ

美しい姿だった。

今までのニ作品は、封建社会のもと、個人と組織の軋轢に苦悩し
ていく人間の姿を描いたものだったが、今回は、復讐というよ
り身近に感じる感情が主題となっていて、さほどの重厚さは感
じなかった。


も「一分」を通す人はいるだろう。その意味では、毒見の責任
を取らされて、一族が見守る中、切腹した小林稔侍の方が、ま
だ「武士の一分」を通したのではないかと思う。





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最終更新日  2007年01月06日 08時03分58秒
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