雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2013年07月31日
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▼専門外で評価を下げるなかれ▼

 東京でエキゾチックアニマルの診療やご研究をされている獣医さんのサイトに、 「カナリーシード、エンバク、トウモロコシは過剰に脂質が含まれるため、与えすぎには注意が必要です」 と書かれているのを見かけました。この獣医さんが、どのような認識を元にして「過剰」とされているのか、残念ながら、うかがい知ることは出来ませんが、これは、 はっきりし過ぎた誤り です。
 えん麦とトウモロコシについては、人間の食用にもなるので、その栄養成分は明瞭になっています。例えば、文部科学省の 食品データベース で検索すれば、 えん麦は5.7% トウモロコシは5% だと、誰にでもすぐにわかってしまうのです。そしてその数値は、人工の小鳥用総合飼料のペレットに含まれる脂質の数値と 同等かそれ以下 に過ぎません(米国ハリソン社『ADULT LIFETIME SUPER FINE』 6%以上 、米国ラウディブッシュ社の『メンテナンスダイエット』 7%以上 )。
 つまり、 5%台の脂質を過剰 だと主張すれば、ほとんどのペレットは否定されなければならなくなります。何しろ、穀物を主食とする場合なら、副食として青菜など脂肪をほとんど含まないものも与えるので、総摂取量に含まれる脂質の割合はより低下しますが、総合栄養食だけを与えていれば、その表示の割合のままの摂取されることになるのです。また、もし3%なら可で5%なら不可などと、誤差の範囲程度の細かな違いを分けてお考えなら、そのわずか数パーセントによる有為な相違を、科学的に実証していただきたいものです。
 この点については、「 ペレットは次善に過ぎず 」と題して、数ヶ月前に書き散らかしましたが、脂質が一桁であれば、アワ・ヒエ・キビなどの雑穀もペレットも、 当然ながら 、カロリーに有為な違いは現れません。そもそも、「カナリーシード、エンバク、トウモロコシは過剰に脂質が含まれるため、与えすぎには注意が必要です」などとする断定は、これらの穀物の脂質含有率を認識した上での主張とは、私には思えません。むしろ、脂肪含有率が数十パーセントに及ぶ種実類と、 初歩的な混同をして思い込んでいるだけ ?つまり、 過剰なのは、脂質ではなく、この優秀な獣医さんの思い込みの方だ と思うのですが、いかがなものでしょうか?

 獣医学の研究や、臨床技術において評価されるべき優秀な獣医さんでも、己の思い込みが、偏頗で幼稚な非科学的なものである事実を自覚しないままに年月を経過し、ごく初歩的なミスを起こすこともあるでしょう。むしろ、学者というのは、『学者馬鹿』と言われるように、 専門外のことには非常識な人も多い とされていますから、穀物の栄養的な問題が、基本的には獣医療の専門外である以上、それについての獣医さんの主張が、 中卒でも高卒でも無資格でも何でも構わない小鳥屋のおっちゃんの店先トーク 同様に、眉につばして検討しなければならない程度のものであっても、不思議はないのかもしれません。
 小鳥のエサについて、ごく単純な事実誤認に基づく自説を、「飼育指導」などと称して語る獣医さんがいても、それとその人の医療技術はまったく別のはずです。しかし、「上から目線」で指導された内容が、まったくデタラメなことに気づける程度の知識がある飼い主にとって、そういった獣医さんの態度が、どのように映るか、 いちおうはサービス業の側面もあるはず ですから、少しお考えになって頂きたいものです。すなわち、その獣医さんへの信頼を失墜させることになってしまい、さらに 不審感が募れば、獣医さんに診せること自体を避けるようになってしまう かもしれません。
 別の地域の別の獣医さんですが、飼育の専門用語「落鳥」を誤用して語るので、うんざりさせられたとするお話を、最近教えていただきました。落鳥(らくちょう)とは、小鳥が死んでしまうことで、飼い主はあまり耳にしたくない言葉であり、獣医さんが口にするのは憚られる言葉なのです。「生兵法は怪我のもと」で、知ったかぶりは、無知な人には通じても、 多少知識を持つ人からは軽蔑されるだけ に終わり、本来、専門とする治療技術によって受けるべき尊敬を、台無しにしてしまいかねません。せっかく優秀な治療技術を持ち、多くの小鳥を救うことが出来るにもかかわらず、余計なおしゃべりで信頼を失い、助けられたはずの小鳥を遠ざけることにならないように、気をつけていただきたいものです。

 △カナリアシード無罪△

 さて、「カナリーシード、エンバク、トウモロコシ」は、比較的に低脂肪な穀類なので、穀類を主食とし、食の多様性が必要な種類の小鳥なら、その主食の一部に取り入れるのに、何ら支障はありません。少なくとも、「過剰に脂質が含まれるため」などとするのは、 主張する者の 無知 を示している に過ぎません。
 鳥が好んで食べれば、その食べ物が栄養を多く含んでいるからだ、と決め付けてしまう人は、大昔から多くいます。ごく素朴な思いつきなのです。しかし、それは非科学的な思い込みに過ぎず、実際は、人間の知る限りほとんど同じような栄養組成の食べ物でも、好き嫌いが生じます。まして、脂肪価が高く必然的にカロリーが高いから好むわけではありません。人間がそうであっても、動物が違うと思うのは、 人間を勝手に特別な生き物だと思い込みたい19世紀以前の戯言 で、嗜好性、好き嫌いは、どのような生き物にも存在し、それぞれの生き物が、それぞれの生き物に適した食性を持ち、その食性に準じた「味覚」を持たねばならない以上、当たり前の話なのです。
 小鳥の飼い主は、それぞれの鳥種の食性を踏まえて、正しい栄養知識をもとに逸脱や冒険にならない程度に試行錯誤しつつ、それぞれの「味覚」を探っていくしかなく、文鳥のような古くから飼鳥化され、飼育下で繁殖し続けている生き物は、その点非常に有利です。すでに、 安全性が確かめられた選択肢が多い わけです。
 文鳥の場合、もともとが人間の栽培するお米や、野生の雑多な穀物を主食とする生き物と思われますから(人間の稲作文化に寄生することで繁栄した鳥種)、雑穀に類する「カナリーシード、エンバク、トウモロコシ」を主に与えたところで、不自然にはならないでしょう。そもそも、トウモロコシが不自然なら、アメリカ産のペレットを与えるのは不可能になるはずです。ただ、実際には、カナリアシードを好む者が多いはずですが、えん麦はあまり食べないかもしれず、また、乾燥したトウモロコシは、大きすぎて食べることが出来ないと思われます。飼料として考える場合、それぞれで異なるわけです。
 もし、カナリアシードばかり食べるとしても、その脂肪含有率は10パーセント未満と考えられますから、昔から盲目的に信じられているように、 カナリアシードばかり食べても脂肪過多になる理屈は存在しない と思われます(過食で太る可能性はある)。ただ、食の多様性の面で、ヒエやアワやキビなど他の穀物も与えるべきだ、と考えられる程度のことです。
 しかし、案外に思われる人もいるかもしれませんが、カナリアシードばかり与えても喜ばなくなると思います。私は、20数羽の放鳥時間中、カナリアシードを好きなだけ食べられるようにしていますが、 カナリアシードだけを食べ続ける文鳥は一羽もいません 。ペットショップから連れてきた成鳥は、始め、エサをひっくり返しつつカナリアシードを選んで食べていますが、やがて何でも食べるようになります。これは、文鳥にとってカナリアシードは、「味覚」に合ったわりに好きな食べ物ながら、ペットショップのエサの中では配合割合が少ないので、それにこだわるようになり、やたら好物に見えるだけなのかもしれません。つまり、好きなだけ与えればこだわらなくなるのに、 脂肪価が高いというウソを信じて制限するので、かえってそれを血眼に探すような悪循環に陥っている ケースが多いように思われます。

 飼い主にとって、愛するペットの食べ物は、とても気になる話題です。それだけに、いろいろと間違った情報も多くなります。思い込みで、自分の文鳥の「味覚」を阻害しないように、気をつけたいものだと思います。






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Last updated  2013年07月31日 18時31分30秒コメント(0) | コメントを書く
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