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テーマ: ニュース(100306)




三億円事件
犯人は 捕まる はずが な い?
戦後ニッポン犯罪史
  犯罪史

増補新装版

  批評社 2,520円
送料無料

文 ・ 礫川全次 「戦後ニッポン犯罪史」 批評社
                       (2000年06月)より一部を掲載・敬称略
文献・「三億円犯人」大下英治 「戦後史開封」産経新聞社 「三億円事件」一橋文哉
    (※ 本書では少年をBと表記していますが、混乱を避けるため、Sに統一させていただきました)




   元警視庁捜査一課長の 齊藤訓正 は  『立場上口に出せなくても、捜査員の多くは
  S少年への疑いを捨て切っていないのではないか』
と言い切る。また、同じく捜査員
  の 石井千代松 『S犯行説は時効直前の昭和50年の時点でも強かった』 と証言する。

   ある捜査幹部は、Sが再度シロとされた時点で、当時の警視庁副総監から
『本当にSじゃないのか』  と電話で念を押されたという。

   Sがシロだとされたのは、多磨駐在所へ脅迫電話があった時期に東京・練馬区の
  東京少年鑑別所にいたこと。さらには、銀行に届いた脅迫状と筆跡も違っていた --
  などの理由からだったという。 (「戦後史開封」より)

  しかし、この論はほかに共犯がいた場合はもちろん成り立たない。警察はまた、S少年
  には事件当日のアリバイがあるとした。 (※前回記事、オカマX氏の一件) 犯行当日の
  下準備という事を考えると、S少年が犯人ということは有り得ない、というのだ。



honchou.2. 多少でも疑惑を
 感じれば、平気で
 犯人扱いしかねない
 警察が、S少年に対
 してはずいぶん気を
 使っているようである。


事件直後の12月15日、
 捜査本部はS少年をクロと
 にらみ、逮捕状を持って
 少年宅へ向かった。


 (※ 上記記述は大下英治
 「三億円犯人」。一橋文哉
 「三億円事件」によれば少
 年宅に向かったのは立川
 署の刑事で逮捕状は別件
 の恐喝容疑であったという)

対応した 母親 「いない」
 とウソをついた。

 少年が青酸カリで自殺を遂げ
 たのは、その日の夜である。
逮捕状が出ている有力な容疑
 者に、やすやすと自殺を許す
 というのも不思議な話である。

 こういう事になったのは、少
 年の父親がたまたま警官だっ
 たから、としか考えようがない。





  ・・捜査本部は少年をクロとにらみ、逮捕に向かう。両親(父親)も息子が犯行に加わって
 いることを認めざるを得なかった。しかし、警官の息子がこのような犯罪を犯したとあれば、
 警察全体に傷がつく。 そこで父親は息子に因果を含め、隠し持っていた青酸カリを渡す。
 捜査本部も父親の措置を黙認し、S少年の死後、クロ説を改め、シロ説を打ち出す ----

  もしこの推測が誤っていないとすれば、
この事件の「真犯人」が捕まるはずはない。

10億円近い費用と、7年の歳月をかけた大捜査は、全くの無駄だったということになろう。


  この事件はほぼ間違いなく複数犯による犯行であり(S少年は白バイ担当)多磨農協脅迫
 事件を含め、事件全体を計画、指揮し、脅迫状作成などの準備を行った有能なリーダーが
 存在するはずである。 (前出の大下英治氏はオカマのX氏も共犯の一人に擬している)

  そのリーダーを始めとする犯人たちは、今頃どこで何をしているのだろうか。
 巷間には、この時の犯人が後に「グリコ・森永事件」を起こした、とするウワサがある。
 一笑に付せないものがあるようにも思うのだが、どうなのだろうか。


【付記】
  その後1999年に至り、この事件についての注目すべき論考があらわれた。言うまでも無く
 一橋文哉の『三億円事件』である。この事件の真犯人(リーダー)は恐らく一橋氏がアメリカで
 インタヴューした人物に間違いないだろう。また、実行犯が当時、福生にいた少年グループで
 あったというのも当っているように思う。

  しかし、この本はこれまで諸書が言及してきたS少年に対する疑惑を晴らすことには成功して
 いない。即ち、事件の構造が一橋氏が想定する形に近いものだったとしても、これにS少年が
 (あるいはその父親が)関与していたという疑いはなお消えないのである。

 この一橋氏の著書が労作であることは十分認めるが、最初の情報提供者のイメージが?みに
 くいこと(この人は警察関係者ではないのか?)、一橋氏が覆面をかぶっていること等の理由
 から、私は同書の内容に対し、僅かながら疑念を抱いている。





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最終更新日  2010年12月13日 15時49分24秒
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