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2016年05月05日
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カテゴリ: 鈴木藤三郎

5月5日、朝方、川を海のほうへ下って行き、海岸沿いを久しぶりに歩いた。

風が強く、波が高く、サーフィンしている人が多かった。

一時間半ほど歩いたが、いつもより少なかったので、昼過ぎ電車で川の上流にある図書館に行き、夕方からまた川沿いにウォーキングしようと考えた。

図書館に着くと、返却コーナーで一冊の本が目にとまった。

「凛冽の宰相加藤高明」寺林峻著である。

加藤高明といえば、鈴木藤三郎が米欧旅行のとき、イギリス公使であり、一度面会している。

その後、日記には登場しないのだが、鈴木藤三郎はその後、衆議院議員となるので、その後も接点があったのであろう。

後に加藤高明の秘書官をしていた鈴木富士弥を娘婿としている。
鈴木富士弥は昭和15年12月24日~昭和19年12月23日. 昭和19年12月24日~昭和20年12月10日鎌倉市長を歴任した。

鈴木藤三郎の米欧旅行日記には次のように記す。

九月七日  晴

 午前九時ユウストンホテルを引上げ、ハムステット・パルラメントヒル十六番地チヤプマン 女方 ( おんなかた ) に投宿す。 是より 日本 ( にほん ) 公使館 ( こうしかん ) ( いき ) 加藤 ( かとう ) 高明 ( たかあき ) 公使 に面会す。 是よりウヰンター・ガーデンに ( おい ) て中飯す。 ( しか ) して午後二時フヱンチヨーチ・アベニー一番地の旧アーレンス商会に ( いき ) 、モスレ氏に面会して必要器械の大体を ( はな ) す。是より テームス川岸ホテルサボイに ( いき ) 山本 ( やまもと ) を問ふ 。同氏一行皆不在に ( つき ) 、是より ( ただち ) に帰宿す。 ( この ) 今井 ( いまい ) ( とも ) 次郎 ( じろう ) に面会す。同氏は当所に先年中より下宿せり。 ( また ) 大河内 ( おおこうち ) より 添書 ( てんしょ ) を渡す。

 加藤高明は1860年尾張国(愛知県)の佐屋の代官屋敷で服部 重文(しげふみ)の 次男として生まれ、幼名を総吉(ふさきち)といった。

父は代官手代で、明治5年以降は名古屋で劇場経営、区会議員などしたが、明治16年新田開発が天災で失敗し、明治22年に亡くなった。

明治五年  総吉は、祖母加奈子の姉あい子の養孫として、加藤武兵衛の名跡を相続し、加藤姓を名乗った。

総吉は叔母久和子の夫で司法省官吏の安井譲がその才能を認め、明治6年暮に上京し、安井の勧めで明治7年 「高明」と名を改めた。

 4月に東京外国語学校に入学し、8年7月卒業した。

その年の9月、東京開成学校に入学した。明治10年4月、開成学校は東京大学の一部となり、加藤は法学部一年に編入され、主として英語により法律を学んだ。

明治14年東京大学を卒業すると郵便汽船三菱会社に就職した。

東京大学の2年先輩の末次道成が三菱にいるのを頼ったところ、岩崎弥太郎の晩餐に招かれた。

弥太郎は晩餐の席で、加藤の面構えをじっと見て

「三菱はおぬしに乗っ取られてやろう」

とうなるように言ったという。

加藤は明治14年(1881)7月22歳で三菱に入社し、最初3月間、本社の調役を勤め、10月からは神戸、小樽、大阪各地で海運の実務を学んだ。

明治16年1月から本社本務課詰めとして東京に帰った。

加藤は英文の運営規則類をかたっぱしから訳していった。

「これも頼む」と横浜支店の山本達雄が加藤の下宿まで翻訳の書類を抱えてきた。

「この程度の英語なら自分でもできるでしょう」

「だめだ、俺は数字を並べる方が向いている」と会話した。

その山本とも鈴木藤三郎はロンドンで出会っている。当時、山本は日本銀行から金本位制にむけての調査のために調査に来ていたのである。

明治の世は、実に人間関係がろいろと繋がっていることに驚くばかりである。

優秀な人間はどんどん抜擢されて指導者となっていった時代であった。 






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最終更新日  2016年05月06日 02時44分19秒


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