じゃくの音楽日記帳

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2009.10.04

スクロバチェフスキ/読響/アンドレ・ワッツのベートーヴェンとブルックナー

(6)

カテゴリ：演奏会（2009年）

読響第518回名曲シリーズ（9月24日サントリーホール）を聴きました。指揮はスクロバチェフスキ、ピアノはアンドレ・ワッツで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第４番と、ブルックナーの交響曲第９番です。

ベートーヴェンは、ワッツのピアノが本当にききものでした。鍵盤と対峙するのでなく、手が鍵盤の上をころころと楽しく動き回って、鍵盤と手とが呼吸がぴったりとあって反応しあっているような感じです。そこから紡ぎ出される音楽は、温かく、さりげなく、それでいて確固としています。ワッツの存在感が、じわじわっと少しずつ大きくふくらんでくるような、すばらしい演奏でした。

そしてブルックナーの９番。スクロヴァチェフスキの９番を聴くのは２回目になります。最初は2002年４月、スクロヴァチェフスキがＮ響を振ったＮＨＫホールでのコンサートでした。朝比奈・ヴァントが相次いで没して大きな衝撃を受けて以後、僕がはじめて臨んだ演奏会であり、特別な感慨深いコンサートでした。そのあと東京のオケではブルックナー９番がほとんど演奏会で取り上げられない時期が長く続きました。それはあたかも朝比奈御大に敬意を表し喪に服しているかのようでした。2008年7月9日、朝比奈隆生誕100周年の誕生日に、大植さんが大阪フィルとシンフォニーホールで９番を演奏しました。記念碑的なすばらしい演奏会でした。そのようにしてひとつのけじめが着くのを東京でも待っていたかのようにその後東京のオケでこの曲がふたたび取り上げられ始めています。2008年9月のヘンヒェン/日フィル、今回のスクロヴァ/読響、来年2月に尾高/東フィル、3月にハウシルト/新日フィル。

さて今回のスクロヴァチェフスキの９番、第一楽章は緩急の変化が大きく、ちょっと落ち着かない感じでした。しかし第三楽章は、全体的にゆっくりとしたテンポで一貫し、いい演奏でした。スクロヴァチェフスキは例によってスコアにいろいろと手を加えているらしく、ところどころ聞き慣れない音量バランスで大きく聞こえてくるパートがあったりしましたが、それ自体に強い違和感はありませんでした。読響は今回もいい音を出してくれていました。ただ僕としては残念ながら圧倒的な感銘というまでの体験にはいたれませんでした。

ところでプログラムにはスクロヴァチェフスキ/読響のブルックナー演奏歴が載っていました。2000年3月の９番からはじまっています。その後8,7,6,4,3,2,5,0,1番と続き、そして今回再び９番でした。来年３月はスクロヴァチェフスキが読響音楽監督として最後の演奏会で、８番です。

蛇足ですが来年３月下旬はブルックナー８番ラッシュが凄いことになってますね。3月25日がスクロヴァ/読響とインバル/都響の同日同時演奏対決。翌26日がスクロヴァ/読響、そして28日がティーレマン/ミュンヘンフィルです。聴く方も体力をつけておかないと。

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Last updated 2009.10.05 12:34:57
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■コメント

Re:スクロバチェフスキ/読響/アンドレ・ワッツのベートーヴェンとブルックナー(10/04)

ヒロノミンＶさん

　ご無沙汰しています。更新の度に楽しく読ませて頂いています。
　東京のオケでブルックナー９番が取り上げられない時期が続いた、というのは初めて知りました。大植さん＆大フィルの９番は、残念ながら平日だったため実演は聴けませんでしたが、ＣＤを聴いた瞬間に会場のすごい雰囲気は伝わってきました。朝比奈先生没後の沈黙を破る凄まじい演奏会だったのですね。

　スクロバチェフスキ＆読響のブルックナーは、大阪で３番を聴きました。読響の桁違いの精度に圧倒され、演奏も老巨匠とは思えぬ若々しさで終始緊張感のある演奏でした。来年３月は８番が目白押しなんですね。羨ましい・・・。レポート楽しみにしています。 (2009.10.05 22:27:07)

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Re[1]:スクロバチェフスキ/読響/アンドレ・ワッツのベートーヴェンとブルックナー(10/04)

じゃく3 さん

ヒロノミンＶさんご無沙汰しています、ブログ常々拝見しています。コメントありがとうございました！

「そのあと東京のオケではブルックナー９番がほとんど演奏会で取り上げられない時期が長く続いた」と書きましたが、すみません、僕が演奏会の予定を念入りにチェックするようになったのはわりと最近のことですので、念のためちょっと調べたら、もれてました。

朝比奈氏と関係が深かった都響は、氏の没後２回やっていました。
2003年10月若杉弘指揮
2006年 4月デプリースト指揮
どちらも僕は聴いていません。若杉さんのときは朝比奈氏の没後1年と少しですから、都響も相当な思いをこめていたことでしょう。
あとＮ響、新日フィル、東響も、朝比奈氏と関係が強かったので、やっているかもしれませんが、ちょっと調べたところでは見つかりませんでした。

ですので、少なくとも都響で２回やっていました、お詫びして訂正しておきます。

> 大植さん＆大フィルの９番・・・

このコンサートは、本当にすごかったです。会場のロビーには、朝比奈氏の写真と共に、氏が使用した９番のスコアが２冊、飾られていました。１冊は最初にこの曲を指揮したときに使ったスコアで、手書きのもの！もう１冊は氏が最後にこの曲を振ったときに使ったスコアで、これまでにいつどのオケとこの曲を演奏した、という記録が書きこまれていました。

> スクロヴァチェフスキ＆読響のブルックナーは、・・老巨匠とは思えぬ若々しさで・・

そうですね、本当に若いエネルギーがあります。東京の３番のとき、たしか第二楽章アダージョが終わった途端に目立つ咳払いをしたお客さんがいて、そしたらスクロヴァ氏は思わず片手を上に振り上げて怒りを現してました！なんと凄い気合かとびっくりしました。

朝比奈氏の晩年のブルックナーも、驚異的に若々しくみずみずしかったことが、思い出されます。
(2009.10.06 02:05:22)

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9番

jupiter さん

じゃくさんご無沙汰しています。
9番て本当に名曲揃いだなぁ、と今更のように思います。
大植さんのブル9も感慨深く思い出されますが、DISKに残してくれたことでいつでもあの会場に戻れる感じがしますよね。
今日大フィルの浪切ホールでの（多分初めての）コンサートがあって、素晴らしかったのですが、その感想どころではなくて・・この6月のマラ9が発売されていたんですよ。
今それを聴きつつ～～やっと3楽章までこぎ着けました。
いいDISKを残してくれたEXTONに感謝感謝です。

(2009.10.19 00:09:56)

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Re:9番(10/04)

じゃく3 さん

jupiterさんこんばんは、コメントありがとうございます。ちょっとお久しぶりですね！

＞9番て本当に名曲揃いだなぁ、と今更のように思います。

ベートーヴェンがあんなすごい「第９」を書いてしまったので、シンフォニストは誰もが気合をいれて創作するのでしょうし、しかも９番を書くころには年齢的、技術的にも円熟期に達しているでしょうからね。シューベルトのグレートがこのごろ８番になってしまったのがちょっと惜しいような。

＞大植さんのブル9も感慨深く思い出されますが、DISKに残してくれたことでいつでもあの会場に戻れる感じがしますよね。

ほんとに、あの会場の特別な雰囲気が思い出されて、ありがたいことです！

＞・・この6月のマラ9が発売されていたんですよ。

うわー、もう出たんですか！このごろCD情報に疎くなっていて、まったく知りませんでした。なんだかどきどきしてきます。

＞今それを聴きつつ～～やっと3楽章までこぎ着けました。

もう全曲を聴き終えられたころでしょうか。僕も近く入手したいと思います。聴くのが楽しみでもあり、もったいなくてとっておきたいような気持ちでもあります。
(2009.10.19 01:58:56)

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ミュンヘンフィル

ぐすたふ３６９さん

残念ながら、関西ではミュンヘンのブルックナーの予定がないんです（泣）。

東京まで行こうかなあ、などとおもう、極道グスタフ君でありました。 (2009.10.19 22:44:29)

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Re:ミュンヘンフィル(10/04)

じゃく3 さん

ぐすたふさん、是非おいでください、極道じゃくよりお誘いいたします！
(2009.10.20 01:49:27)

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