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2009.09.09
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少し落ち着いた様子のミリ。

今日のコトだって、しっかりと受け止めておかないといけない。
ここまでミリが、オちた直接の原因を。
そうしないことには、終わらない。
その証拠に、まだ、ミリは光の中で半透明だから。

「・・・で、、今日は?」
戸惑った様子で俺を見るミリ。
「涼子のヤツ、なんかひどいこといったんだろ?」

「・・・何、言われたんだ?」
美莉は哀しげに小さく微笑む。
「別に、いいの。。。」
「いいってことないだろ?あいつキツイから、何かとんでもないこと、、」
「いいの、ほんとに。確かに、色々言われたことは言われた。だけど、それでよかったと思うの、、」
ミリは、哀しげに言う。
「私ね、ちゃんと非難されたかったのかも。・・・だってみんな優しくて。これまで何年もずっと、ヒロトのことで、私を責める人はいなかった。私は1人、自分の中で自分自身を責めてきた。だから、、涼子さんに言われて、、、よかったの」
「・・・なんて?なんていったんだ?アイツ」
ミリはためらいがちにいう。
「ヒロ、トを死なせといて、、よくケースケと付き合ったりできるねって。」
「死なせといて?」

震える唇、揺れる声。抱きしめてやりたいのに、俺の手はまだ光に阻まれ、ミリには届かない。

涼子、、・・・あのバカっ。絶対ゆるさねぇ。オレは心の中で舌打ちする。

ミリはポツリと続ける。
「ケースケ、、、ごめんね。」
「なに、謝ってんだよ?ミリ。涼子がなんていおうが、ミリは、何も悪くなんてない」

ミリは、思い直したように言う。
「私なんか、、ケースケの前からも、、、お父さんやお母さんの前からも、消えた方が、、いいのかなぁ・・?」
ミリの姿が若干薄れていく。

アイツ、そんなことまで?
・・・いや、言うかも。
あ~、俺、ほんと迂闊だった。
命日だから、涼子が来るってコトだって予測するべきだった。
ミリと二人きりになることだって。
ごめん、ミリ。

オレは即否定する。
「そんなわけないだろ?ミリ。何度でも言うよ。俺には、ミリしかいないって。父さんや母さんだって、どんだけミリのこと、大切に思ってるか」
自信を失って薄く薄くなっていくミリの気配。俺は必死で言う。
「なあ、ミリ、違うだろ?ヒロトは自分で選んだんだ。ミリのせいじゃない。」
ミリは、小さく言う。
「ありがと。ケースケは優しいね。。お父さんとお母さんも。私ね、・・・分かってるよ。私のせい、じゃない。。。ううん、私のせい、、だけ、じゃない。・・・でも、きっと私のせい、でもある。一番そばにいたのに、、気づけなかったの。。」
ミリが目を閉じると、一筋の涙がこぼれる。拭ってやれない歯がゆさを抱えながら俺は言う。
「いいんだよ、もう。そうやって、十分、苦しんできたじゃないか。」
「・・・」
うつむきがちなまま、でも、目を開けたミリ。
「これからだって苦しみ続けるじゃないか。誰にも、、謝る必要なんてないんだ、ミリ」
「・・・ケースケ。。」
小さく吐き出すミリ。
「俺だって、父さんだって母さんだってみんな分かってるよ。ヒロトは確かにミリを愛してた。だからって、ミリがヒロトの自殺の原因だなんて誰も思っちゃいない。なのに、ミリがずっとそうやって自分を責めてきたことも分かってる。・・だから、、俺はもちろん、父さんも母さんも、ミリが、幸せになること心から願ってるんだよ」
それ以上、考えさせないようにオレは聞く。
「・・後は、どんなこと言われたんだ?」
ミリは、哀しげに少し笑って言う。
「私とケースケの間に愛なんてないとか・・・」
「は?なんだよ、それ。あいつ、なに勘違いして・・」
哀しげにうつむくミリ。俺は聞く。
「それで、、なんで、ミリ、ちゃんと愛し合ってるって言い返してやらないんだよ」
「・・・私、ケースケのこと、愛してる?」
ぼんやりした目で問いかけるミリ。
「・・・美莉?」
「・・・ただ、利用してない?」

涼子のヤツっ。ミリが落ち込んでるときに、図に乗りやがって。
あとでただじゃおかね~からな、と心で思う。
でも、今は、まずは、、ミリだ。

「利用?そんなことないよ。何言ってんだよ」
「ヒロトの変わりにてっとりばやく、じゃ、」
「ない!」
「ケースケだって、本当に、私のこと、、、」
「愛してるよ。なあミリ、何回聞きたい?何百回でも言ってやる。言葉だけじゃ不安なら、何千回でも抱いてやる。」
小さく息をつくミリ。
「ミリ、ヒロトの命日で、気持ちが戸惑うのは分かる。心が震えるのも分かる。あの夜のことで、心に不安があったのも分かる。でも、そこは迷うなよ。俺たち、ちゃんと時間をかけて確かめてきたろ?愛し合ってるよ。間違いなく。ミリが言えないなら、俺がはっきり言ってやる。涼子のヤツに。」
ミリは、そんな俺を静かにみつめて言う。
「涼子さん、、、ケースケのことが好きなのね。きっと。ずっとずっと前から。」
「・・・」
黙る俺を、静かに見返して、ミリは続ける。
「気づいてたの?」
「ああ。だけど、俺は、」
続きをさえぎるようにミリは、
「いいじゃない。いとこ同士って法的にも何も問題ないんだよね。」
あきらめたようにポツリと言うミリ。
「おま、何言ってんだよっ」
「ケースケはその方が、幸せになれる、んじゃない、?」
「ミリ・・?本気でいってるんじゃないだろ?」
「・・・どうかな。。でも、涼子さんに限らず、、他の人の方が、、って、、思うことがある。いっぱいいっぱいある。。わざわざ、私じゃなくてもいいんじゃない?って、ね。」
「・・・それは俺だって同じだよ。」
ミリは驚いたように問い返す。
「。。同じ?」
「ああ。俺はヒロトの弟だから、ミリは、、。ミリがヒロトのこと愛してたことも、いや、まだ愛してることも、そのことで俺に悪いと思ってることも、分かってる。だから、やっぱり、辛いと思うから。いっそ手を離してやれたら。俺以外の誰かの方が、ミリはわだかまりなく幸せになれるのかもしれないって、俺も悩んでる。」
俺は、ヒロトとミリの間に今も確実にある、愛、に想いを馳せる。そして、、首を振る。

・・でも、譲れないよ、俺。

俺は、今日、ずっと、ふわふわと揺れ続けてきた美莉の心を、見据えて言う。
「でも、俺は手を離さない。離せない。愛してるから。ミリしか愛せないから。」
「ケースケ・・・。」
「何度でも迷っていい。俺だって迷ってる。やっとやっとやっと手に入れられたけれど、まさかそれで一生自分のモノだなんて気を抜いてるわけじゃない。」
俺はミリをみつめて、微笑んで続ける。
「ミリ、何度でも迷っていいよ。そのたびに、何度も捕まえてやる。何度でも手に入れる。何度でも迷って、それでも、何度でも見つけあえるって信じてる。だから、、」

何度も何度も、ミリに伸ばしてきた俺の手。
ミリが握るたびに、想いを込めて握り返してきた手。
俺は、ミリの目をみつめたまま、光のベールギリギリまで、手を伸ばす。

「・・さあ、ミリ。もう一度、俺の手をつかめよ。たった今、ここで、俺のコト、なくせるはずなんて、ないよな?」

ミリは、伸ばされた俺の手をみつめながら身動きしなかった。
長い時間。
少しずつ、少しずつ、ミリの心がその揺れを収めていく。
そして、最後には、元にあった場所に、戻って。

・・そうだよ、ミリ。
ミリは俺のこと愛してる。

小さく心で囁いたとき、
ミリは、ゆっくりと、引き寄せられるように、
その小さな手を伸ばし始める。

光のベールを破り出た部分から、半透明ではなくなっていくミリの小さな手が、俺の手に触れた。
俺は全ての力を込めて、その手をしっかりと握り締め、引き寄せる。
ミリの全身がくっきりと見えた瞬間。
光のベールははじけ飛んで舞い上がる。

そして、ミリを強く強く抱きしめたとき、光の破片が、俺の額を小突き、、

『ほんと、しっかりしろよなっ』

ヒロトの声が頭の中を通り過ぎた気がした。

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最終更新日  2009.09.09 04:51:57
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