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2009.09.10
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無意識下の出来事とはいえ、光から抜けた衝撃からか、

俺はただ強く抱き寄せて、安堵の息をつく。
ミリを腕の中に抱けることで感じられる心の充足感と、
そのかけがえのなさを思い知る。
噴水の縁にゆっくりと、ミリを壊れ物を扱うように、ひざの上に乗せて腰掛けてから、
目を閉じているミリに声をかける。

「ミリ」
ゆっくりと目を開くミリ。俺を見て、

今度はすぐに、愛おしそうに、甘い声で呼ぶ。俺は、微笑んで、
「大丈夫か?」
囁くようにたずねる。それには応えず、ミリは起き上がり、抱きついてきた。
というより、首に手を回ししがみついてくる。
そのあまりの必死さに、俺は、背中をそっと撫でてなだめながら、
「・・どした?」
「・・ケースケ、ごめんね、私。。」
「何が?」
「・・私、別れても、いい、なんて、、ヒロトのとこに行きたいなんて。私、、どうかしてた。。」
俺は、ふっと笑って言う。
「謝んなくていいよ。俺が、、悪かったんだ。ごめんなミリ。もっとちゃんと抱きしめておくべきだった、ミリがこんなに揺れないように」

まだ謝るミリに、
「もう、いいんだって。こうして、また腕の中にいるんだから」
やさしく抱き寄せて言う。
ミリは、俺の感触を確かめるように、また強くしがみつく。
しばらくそうしてから、ミリは、顔を上げ、辛そうに言う。

その言葉に、俺はヒロトが寂しそうに言った言葉を思い出す。

『もう、ここ、お前のこと、ばっかなんだ』

俺はミリをいったん胸から離してから、
「なあ、ミリ」
「?」
「俺とヒロト、どっちのこと考えてる時間が長い?」
ミリは、俺をみつめて言う。
「それは、、ケースケでしょ。。」
なんだ。ほっとするより、拍子抜けする俺。
「だったら、いいよ。気にしなくて」
「ほんとに?」
「ああ」
「ムリ、、してるんじゃなくて?」
「してないよ」
「よかった」
やっとやっとにっこり笑うミリ。

・・やっぱり、俺には、この笑顔がなくては。

感慨深くみつめる俺にミリは、
「それって、ケースケのことが一番だったら、他はどうでもいいってこと?」
「バッカ。ヒロトだけだぞ?他のヤツはダメだぞ?」
「な~んだ」
つまんなそうに言うミリに、俺は、
「な~んだって、なんだよ。・・あ、ミリ、、お前、、まさか、」
「なあに?」
「他に誰か、、?」
慌てはじめる俺に、ミリはゆったりと、
「いないよ~。何焦ってんの?誰か思い当たる人でもいる?」
首をかしげて聞く。俺は、思わず口に出す。
「新谷、、だよっ」
ミリは笑って、
「また言ってる~。新谷先生はそりゃいい人だけど、お父さんの娘だからかまってくれてるだけだよ?大体、あんなオトナな人が、私のこと興味持つわけないじゃない」

そうじゃないんだって。俺、はっきり言われたんだから。向こうからの矢印ははっきりしてるのに。でも、まさか、そんなこと伝えるわけにもいかない。

「相手が、じゃなくて、ミリがどう思ってるかが、気になんだけど・・」
「私が、どう。。?」
「そう」
「言ってるじゃない、いい人、だって」
「だけ?」
「だけだよ?・・・今のところは、だけど」
そう言って、いたずらに笑うミリ。元通りのミリ。
「なんだよ、もう早速、意地悪ミリ復活かよ」
「いけない?」
なぜか得意げにあごを出すミリに、俺はため息をついていう。
「・・いいよ。ミリはやっぱそうでないと。」
「へ~、、じゃあ、妬かない?私が新谷センセと出かけても」
意地悪加速し過ぎ。俺をいじめる時は、小悪魔な表情で。そんなミリも魅力的ではあるけれど。でもさ。。
「・・・妬かないよ」
妬いてたまるか、あの程度のヤツに。虚勢も込めて俺は言う。
「ほんとに??」
「妬かない。でも、怒る。いや、、スねるかも」
ミリは、笑って、
「それって、妬いてるんだって」
俺は、一緒に笑ってから、まじめな顔になって言う。
「でも、」
ミリは俺の顔を見て自分も笑顔を引っ込めてから、問う。
「でも?」
「でも、俺が一番妬くのは、ヒロトのことだから。俺が一生一番のライバルって思うのは、ヒロトだけだから」
ミリは、優しい笑顔で微笑んでから言う。
「・・・分かってるって」
俺は言ってやる。
「ほんとに、分かってんのか?」
「分かってるよ~」
「なあ、ミリ、ヒロトはさ、、、強敵なんだからな。ミリが、いつだって、一方的に元サヤに戻ろうって思ったら、行っちゃえるし、受け入れられちゃうんだからさ」
遠まわしな俺の言い方にも、ミリは、すぐに反応し、申し訳なさそうに、唇を小さく噛む。やべ、皮肉っぽかったかな。そんなつもり、ないのに。
俺はミリをもう一度抱き寄せて言う。
「ごめん。何も皮肉で言ってんじゃないんだ。ミリがヒロトのこと、思うの、ヤダっていってんじゃないんだぞ?ミリが、もう2度と、ヒロトのトコに行きたいなんて思わせないように努力するし、もし思ってもまた絶対引き止めるよ。だけど。。」
ミリは黙って俺を見る。俺はその瞳をみつめて言う。
「だけど、来年からは・・・」
「・・・何?」
「命日に、ヒロト思い出さないように、1日中一緒にいるよ。いや、一日中ミリをベッドから出さない」
「何それ~」
拗ねたように口を尖らせるミリに、
「そのくらいで丁度いいんだよ。命日はまだヤバイって。命日でなくたって、きっと、、ちょっとでも油断したら、すぐ、ヒロトヒロトだからな、ミリは」
そういう俺に、ミリは、
「そんなこと言う?ケースケこそ、油断しなくてもすぐ、H、Hじゃない」
「・・いけないか?」
たずねる俺に、ミリは恥ずかしそうに、
「・・・別に、、いけなく、は、ないけど。。」
「なんだよ?」
「・・・ほんとに、、他のヒトとは、もう、、しないでね?」
「またそんなこと。まだ信じられないのか?」
不満げに言う俺に、ミリは笑って、
「嘘、嘘、信じてるよ。」
「ほんとかよ?」
ミリは、しっかりと、うなずいてから言う。
「・・ねえ、じゃあ、もう、私から、誘わなくていいね」
「浮気防止の為に、ならな。・・・名残惜しいけど」
心底、残念そうに(だって、残念だから)言う俺を哀れむようにミリは言う。
「そんなに残念?」
「残念だよー。だって、、ミリから、、、・・ほんと、最高だったのに」
「ほんとに?」
「ほんとに」
「だったら、、、まあ、・・時々は、誘ってあげてもいいよ」
思いっきりウエから言われてることも、気にせず、
「ほんとに?」
身を乗り出す俺に、ミリは、
「食いつきすぎっ」
って笑った。


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最終更新日  2009.09.10 01:55:06
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