2004/09/05
XML
カテゴリ: 読了本


東大仏文卒→TBS勤務→九大医学部卒、現在、精神科医。
英語、フランス語、韓国語もこなせる語学の達人。
本作は「日本人として書いておくべき義務がある」物語として構想された。


現在の河時根と半世紀前の回想との物語。

韓国・釜山の河時根(ハーシグン)会長の元に、日本に居る日本名を吉田と名乗る韓国人の友人から手紙が届いた。
戦前、河時根らが強制連行されて働かされた炭鉱のボタ山が壊される案があるらしい・・・・と。
最初は強制連行によって渡った海峡、そして戦後解放されて祖国に戻る為に渡った海峡、そして三たびの海峡を渡ることを決心する。
昭和18年、17歳だった河時根は病弱な父の替わりに強制連行され日本の炭鉱で地獄のような働きをさせられた。
食事も満足に与えられず、15時間以上働かされ、寒い煎餅布団で寝かされ、死ぬのを待つか逃亡か・・・と皆考えるようになる。
しかし逃亡を企て見つかり、なぐり殺された者、なぶりものにされ発狂した者、・・・・
この人たちの事は、今も心にある。

が、河時根は逃亡し、運良く土方の仕事して食いつなぐ。
そこで知り合った日本人女性・千鶴。
そして子供が出来る。
戦後になり解放され祖国に戻るが、日本人の嫁など誰も認めず村八分になる。
日本から千鶴の両親が無理やり千鶴と子供を日本に連れて帰る。
千鶴も子供の将来、河時根にとっても日本人の妻が居ると不利な将来を考え、泣く泣く日本へ帰る決心をした。
その後、河時根は幼なじみだった女性と出会った。
彼女も日本軍によって深い心の傷を持っていた。
2人は結婚し、子供も出来、事業も成功した現在。

三たびの海峡を渡って、千鶴と自分の子供に再会する。
息子は、父を憎まず迎えてくれた。
河時根にとって、赤ん坊の時に別れ、何の援助もしなかった千鶴と息子には恨まれても仕方ないのに・・・
千鶴は再婚もせずに女で一つ、行商をして息子を育てて死んでいた。
ボタ山を見ると炭鉱でのつらい仕事、同胞達の死が思い出される。
このまま彼らを忘れ去らせて良いのか??
息子に最後の手紙を残し、人生の最後の大仕事に決心する。

***************************

戦争中の平時でない時の人間の凶暴さ野蛮さ。
差別による人を人とも思わない行動。
悲しくつらい出来事です。
戦争という人の心を狂わすものの怖さ。
そんな中でも、清く生きる人もいる。
重いテーマですが、どんどん読み進みました。
戦争と平和を考えてしまう本です。
皆さんも読んでみてください。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004/09/05 02:37:22 PM コメント(12) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カテゴリ

カテゴリ未分類

(11)

イギリス

(10)

DVD  ビデオ 映画

(16)

旅行記

(23)

読了本

(501)

本のあれこれ

(16)

英会話

(2)

ソフトバンクホークス

(0)

(1)

コメント新着

☆かよ @ よっしぃーさんへ お話を楽しみにしてますね。 写真もアッ…
よっしぃー119 @ サンフランシスコへ 娘と2人で行ってきます。 かよさんのよう…
☆かよ @ たっちゃんさんへ ドナウの旅人は、自分も一緒に旅してる感…
たっちょん @ ドナウの旅人 楽しそうな旅だったんですねー。 ドナウ…
☆かよ @ たっちょんさんへ お久しぶりで~す! どうされてましたか…

バックナンバー

2024/11
2024/10
2024/09
2024/08
2024/07
2024/06
2024/05
2024/04
2024/03
2024/02

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: