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2008年06月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
さて、「小泉純一郎はなにをしているのか」


前編では、小泉さんがどうも
福田首相を支える側に
回ったように思えることを
書いてみた。

それでは、なぜ小泉さんが
福田首相を支えようとしているのか。

それを論じてみたいと思うのだけど、

別に、急に変わったわけではない。

これまで、「かみぽこ政治学」で
書いてきた範囲内で、
理解できるものなのです。

それは、このエントリーである。
(2007年9月21日
自民党総裁選:浮かれる森と固まる古賀、義理人情の小泉。(4)

ここに書いたことを
もう一度振り返ってみる。

『結論から言えば、
小泉さんという人は


よく言えば、
天が与えた自らの使命が終わったら
静かに身を引くという
小泉さんらしい美学。』

『ただ、小泉さんという政治家は

死ぬまで譲らないと
いうものがあるんだよね。
言うまでもない。

「郵政民営化」

である。

これに誰かが手をつけて
後戻りさせるような事態になるならば
小泉さんはオペラ鑑賞をすぐやめて
徹底的に介入する。』

うん。。。

では、「郵政民営化」に
誰かが手を付ける様な
状況が起きていたかと
いうことなんだけれども、
まさに、起きてましたね。

「平沼赳夫」

である。

平沼親分による、
新党結成の問題があったわけだ。
(平沼さんのことを「親分」と呼ぶのは、
このブログだけですが、
これは、伊吹派の「潜在的総裁候補」
中川昭一さんとの絡みで
「親分」と呼んでいたことは
このブログの常連さんは
よくご存じのことと思います。)

平沼親分は、言うまでもなく
郵政民営化を巡って
小泉さんと激しく対立し
自民党を飛び出した人。

その人が、衆参ねじれ国会の下で
第三局となる新党を結成し、
元々、彼の子分であるところの
中川昭一さんや、
同期の桜である麻生太郎さんらの

「真の保守」
(2007年12月31日
「中宏池会」と「真の保守」とはなんなのか。(前編)
「中宏池会」と「真の保守」とはなんなのか。(後編)

と、がっちり手を組んで、
自民党内に対して
強い影響力を持ち始めていたわけだ。

今後、平沼親分と「真の保守」が

「郵政民営化の見直し」

を福田首相に求め、
福田首相がそれに応じるという
懸念がないとは言えない。

だから、小泉首相は
これを防ぐために
福田首相をがっちりと
サポートする側に回った。

平沼親分はここのところ、
小沢一郎民主党代表と会談し、
鈴木宗男や中村喜四郎など
自民党を追い出された
いわば「ゾンビ」のような政治家(苦笑)と
連携するスタンスを取っている。

しかし、平沼親分は元々、
「保守」という思想信条で
一致する勢力を集めて
キャスティングボートを握ろうという
戦略で動いていたわけで
小沢民主党や「ゾンビ」たちと
組もうなんて
端から考えてなかったはずだ。

つまり、平沼親分はここにきて
明らかなる軌道修正を行ったわけで、
それは、「小泉純一郎」という
彼にとって憎んでも憎みきれない敵が
福田首相と組んでしまったために
もう自民党とは組めないと
考えてしまったからだろうね。

いや、普通の政治家なら
福田さんは福田さん、
小泉さんは小泉さん、と
適当に分けて考えるのだろうけど
なんせ平沼親分は、今どき珍しいほどの
愚直な一徹さを持つ政治家だから
自民党と組むなんて
考えられなかったのだろう。

要するに、小泉さんは
「郵政民営化」に手を突っ込んでくる
可能性がある平沼親分を
自民党から排除するために
福田首相のバックに着いた。

そして、小泉さんの狙い通り、
平沼親分は愚直に一徹に
自民党から離れて
小沢さんや「ゾンビ」の方に
着いてしまったということだ。

それでは、この小泉さんの動きは、
政界になにを起こしたのかを
ちょっと見てみたいと思う。

まず、小沢一郎さんなんだけれども
これは「得と損」がある。

小沢さんにとっての「得」とは、

「平沼新党によって、
参院で野党が過半数を失うこと」

という危険性が遠ざかったことだ。
小沢さんは平沼親分と会談した際、

「新党、どんどんやってくれ」

みたいなことを言ったみたいだけど
内心はニヤついているだろうね。

これまで小沢さんは
平沼新党について
ある種の懸念を
持っていただろうと思う。

民主党の中の「保守派」、
前原誠司さんなどが
保守という思想信条によって
平沼新党に走り、
それについていく参院議員が出て、
参院で野党が過半数を失う事態になれば
民主党の政権奪取戦略は
一挙に崩壊するからだ。

しかし、平沼親分が自民党から離れ、
民主党に接近してくれば、
その懸念はなくなる。

なぜなら、仮に平沼親分が
新党を作ろうとしても、
それが民主党と連携するものならば
民主党から離脱して
新党に参加する人間は
ほとんど出ないだろうからだ。

だって、民主党を離脱して
民主党と組む政党に移っても
なんにも意味がないでしょ?(苦笑)

それだったら、大きな民主党に
残っていた方が得だもん。

だから、平沼親分が
小沢さんに接近した時点で
前原グループなどが
民主党を離脱する懸念は
事実上なくなったと言える。

小沢発言というのは、

「自民党を割って、新党を作ってくれるなら
それはどうぞやってちょうだい」

という意味である。

しかし、この状況というのは
小沢さんにとって
いいことばかりではない。

小泉さんが明確に福田首相のバックにつき、

「解散しない権利」

を、進言してしまったので、
福田首相は一点の曇りもなく
解散する気が
なくなってしまったからである。

民主党にとって最悪なシナリオは
このまま解散がないままに
国会でなにも決まらず、
それに対する世論の批判が
民主党に向いてきたり、
それによって民主党内が
混乱してしまうことである。

福田首相のここのところの
強気な姿勢によって
民主党には焦りが
生じ始めているように思う。

小沢さん、鳩山さん、管さんといった
党首脳が「解散」を口にする回数が
ここのところものすごく
増えているように思う。

それは、明らかに焦っているんだと思うよ。

小沢さんは、小泉さんの進言によって
福田首相が「解散しない権利」を
行使することで
打つ手がなくなって
動けなくなってきているように思う。

次に、自民党の中なのだけど、
まず、「ポスト福田」を狙っているはずの
麻生太郎さんや中川昭一さんである。

この2人は、まず「真の保守」という
グループを作って
思想信条が一致する人たちを
派閥横断的に集めることで
党内に一大勢力を築くという戦略で
動いていたわけだ。

そして、その動きは
平沼親分という盟友が
新党を結成して
民主党の保守勢力を吸収し
キャスティングボートを握ることで
自民党に対しても
強い影響力を発揮することで
補強されるはずだった。

麻生・中川昭両氏にとっては
自らの数の力だけでは
党内で大勢力となりえないので、
この平沼親分の影響力というのは
極めて重要だったと思う。

ところが、その平沼親分が
小泉さんを嫌って
小沢さんやゾンビたちの元へ
走ってしまったわけだ。。。(涙)

その結果、麻生・中川両氏は
戦略練り直しを余儀なくされたし、
「ポスト福田」に動きようが
なくなってしまった。。。

それでは、自民党内の他勢力はどうか。

「宏池会」

だけれども、
これも福田首相が
「解散しない権利」を行使すると
動きようがない。

古賀さんも谷垣さんも
党四役であり、
福田首相を支える立場だからだ。

他の総裁候補も同じ意味で
動きようがない人が多い。
町村信孝さんや甘利明さんも
現職閣僚なのだからね。。。

要するに、小泉さんが
福田首相のバックに着いたことで
生じた政局というのは、

「誰も、動けなくなった。。。」

ということに尽きるように思う。(苦笑)

変な話だけど、
今の政局というのは
この時の状況に近い。
(2007年8月28日
安倍人事を考える(6):そして、体にダイナマイトを巻きつけて親分たちを人質に。

福田首相は官邸に
親分たちを閉じ込めたまま
官邸の周りに地雷を敷き詰めて
自分は外国に遊びに行っちゃったって
感じかな。(苦笑)

そして、親分を人質に取られた子分たちも
反対勢力の人たちも
誰も官邸に手を出せないって感じだ。

もしも、小泉さんが

「解散しない権利を使えばいいんだよ」

と、一言囁くだけで
この状況を生み出したのだとしたなら、
やはりこの男は
「希代の喧嘩師」なのだと
認めざるを得ないと思うね。

(6月5日、ちょっと追加=苦笑)

しかし、小泉さんは「喧嘩師」でも
福田首相は「常識人」だからね。

支持率がさすがに
ひとケタ台とかになると
耐えられないで

「自爆」

することはあるかもしれないね。

その時に誰が出てくるかというと

「小泉さんによって、動けなくされた人たち以外」

なのかもしれないよね。(苦笑)
それが誰かは、
まあ、ともかくとして。。。

うひょひょ。。。

それでは、またね。



「かみぽこ政治学」バックナンバーは こちら。






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最終更新日  2008年06月05日 10時43分13秒


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