発表年/1973年 プロデューサー/リチャード・ペリー 【ザ・ビートルズの4人が結集したアルバム】
ザ・ビートルズ時代にドラマーだったリンゴは、ジョージの勧誘もあってもっとも遅くメンバーになった。グループは1969年には事実上解散状態にありながらも、ただ一人リンゴだけは他のメンバーとの関係は良好だったのは彼の大らかな性格ゆえか? 1970年に解散してからメンバーはそれぞれソロ活動に入った。ポールだけはウィングスというバンドを率いていたが、そんな四人が別々にではあるがこの「RINGO」というアルバム制作に協力した。ジョン、ポール、ジョージがそれぞれ自作曲をリンゴに提供したし、特に、ジョージは3曲を提供しリンゴと共作し大いに支えた。 アルバムのジャケットは、「リボルバー」のジャケットを担当しグラミー賞に輝いたクラウス・フォアマンだ。 【このアルバムについて】
1曲目の I'm The Greatest
はいきなりジョン・レノン提供のブギー風ロックの不思議なメロディ・ラインを持った曲。ピアノにジョン、ギターにジョージ、ベースにクラウス・フォアンマン、オルガンにビリー・プレストンとファミリーで固めている。後半の歌詞に「俺の名前はビリー・シアーズ」とのフレーズが出てくる。これは「SGT.PEPPER'S...」でポールが「それではビリー・シアーズです」と言って「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」に繋がりリンゴが「ビリー・シアーズ」として登場するシーンを指している。ジョンのこの曲のデモ・テイクが「アンソロジー」で聴ける。 2曲目の Have You Seen My Baby
はランディ・ニューマン作の曲で明るいポップスでホーンのアレンジにトム・スコット、ギターにマーク・ボラン(T-REX)が参加している。 3曲目の Photograph
ジョージはギターとコーラスで参加している。 4曲目の Sunshine Life For Me(Sail Away Raymond)
はジョージの単独作品で、バンジョー、マンドリンの演奏が加わりどことなくカントリーっぽいサウンドが特徴。 5曲目の You're Sixteen(You're Beautiful And You're Mine)
はカバー曲だがとてもポップで親しみやすいナンバー。バック・ヴォーカルのニルソン、口でサックス・ソロを演じるポールが彩りを添えている。このアルバムでも耳に付く一曲だ。 6曲目の Oh My My
はリンゴとヴィニ・ポンシアの共作。何の変哲もない「Oh My My」を繰り返すナンバーで、バックにはモータウンでも活躍したマーサ・リーブスが加わっている。演奏面ではトム・スコットのホーンが目立つ。 7曲目の Step Lightly
はどことなくノンビリとした、それでいてチョッとジャズっぽい雰囲気がある。中間部ではリンゴの華麗なタップ・ダンスの音が入る。 8曲目の Six O'Clock
はポールの作品で、ポールはピアノとシンセを演奏しリンダと二人でコーラスも付けている。如何にもポールらしい美しい旋律を持った曲であるが、この曲に幻の初期バージョンもあった。発売直前に差し替えられたが一部では流出した。そのバージョンは次作の「グッドナイト・ウィーン」のCDのボーナス・トラックとして収録されている。違いは曲の最後にリフレインが付いてポールとリンゴがシャウトしているが、この部分の有無については議論が分かれるだろう。個人的には無い方が良いと思う。 Devil Woman
はこのアルバム中一番のロック調の曲で、リンゴとジム・ケルトナーのツイン・ドラムが終始唸っている。 10曲目の You And Me(babe)
はアルバムでは最終曲になるが、エンディングを飾るに相応しい曲でジョージと元ローディーのマル・エバンスとの共作。最後にアルバム参加のアーティストやスタッフへの感謝の言葉が述べられているのはリンゴの真骨頂か? CDではここからボーナス・トラックが収録されているがこの三曲もとても大事な曲なので紹介したい。
11曲目の It Don't Come Easy
は珍しくリンゴ単独作で1971年にシングルとして発表された。リンゴの作品としては単調ながらも、コーラスも加えて聴きやすくシングル・ヒットした。 Early1970
は11曲目のB面として収録されたリンゴ単独作のナンバーで、確かジョージがギターを担当していたと思う。 13曲目の Down And Out
もリンゴ単独作だが特にこれと言った特徴のないブギ-調の単調なナンバー。 【ヒット・チャート】
リンゴの解散後最大のヒットをもたらしたこのアルバムからは3曲のシングル・ヒットが生まれた。「Photograph」「You're Sixteen」は共に見事に1位を獲得した。「Oh My My」は5位、アルバム全体では2位と大健闘だった。 ボーナス・トラックに収録の「It Don't Come Easy」は1971年に4位を記録した。 最後にポールと共に元ビートルとして、何時までも元気で精力的に活動してもらいたい。今年出た新譜は買っていませんけど、ポールの新譜は来月出ます。 【バック・ナンバー】
1.リー・リトナー「RIT」(1981) 2.ボズ・スキャッグス「MIDDLE MAN」(1980) 3.ジェイ.P.モーガン「JAYE.P.MORGAN」(1976) 4.クインシー・ジョーンズ「THE DUDE」(愛のコリーダ)(1980) 5.サントラ盤「FOOTLOOSE」(1984) 6.ヒューイ・ルイス「SPORTS」(1983) 7.ジョン・レノン「IMAGINE」(1971) 8.フランキー・ブルー「WHO'S FOOLIN' WHO?」(1982) 9.ワークシャイ「OCEAN」(1992) 10.バーシア「SWEETEST ILLUSION」(1987) 11.グロリア・エステファン・アンド・マイアミ・サウンド・マシーン「LET IT LOOSE」(1987)